植物を育成するメンテナンスとディスプレイデザイン、両方の立場から緑化の提案を行い、想いやストーリーを感じられる、花と緑の空間づくりを目指す。
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「1本の木からはじまるストーリー…parkERs tree」 植物の文化を運ぶplants culture caravan vol.8

日常に豊かさと公園のような心地よさを提案しているparkERsが、観葉植物を日本の四季のある暮らしに取り入れる新しい植物の楽しみ方をご紹介するこの連載。
日本の文化には移り変わる季節に合わせた行事や習わしがたくさんあり、日本人はそれらを大切にして暮らしてきました。慌ただしく暮らす毎日に、その時旬の花や自然の情景を取り込んで、日本人らしく植物と生きる考え方を未来へ運びます。

1本の木の下で生まれる空間と時間
私たちparkERsは、室内空間にたくさんの植物を植えてきました。
ですが、ただ単に「室内に植物があればいい」と考えているわけではありません。
植物はたった1鉢、1本だけで多大な力を持ち、私たちにさまざまな効果を与えてくれます。
例えば、室内空間にたった1本の木があるだけで、その木の下で過ごす“時間”をつくることができます。



1本の木が持つストーリーを伝える…「フィカス・ウンベラータ」の物語
たった1本の木にも、それぞれに生きてきた過程があります。
その植物は、もともとどんな場所に自生していたのでしょうか。
昔からどのように人々と関わってきたのでしょうか。
私たちが扱う植物は、日本各地の生産者によって栽培されています。同品種の植物であっても、環境と作り手によって、その風合いは異なります。
そんな数ある中から厳選した植物を、私たちは「parkERs tree」と呼んでいます。
今回は私たちが植物を扱う際、大切に思っている「parkERs tree」のコンセプトについてご紹介します。



今回のお話の主役は、この“ウンベラータ”。観葉植物として近年人気の高い品種です。
一般的に流通しているものとは異なる、私たちparkERsが厳選した上で皆さまにお伝えしたい“ウンベラータ”の物語です。

植物のはじまりは、およそ4億5千年前…

海中にいた植物の祖先たちは、陸上に上がり、土に根を張らせていきます。

太陽の光を浴びて植物は成長し、

1本の木になりました。

木があることで、たくさんの生命が集い、生まれました。

人もまた、植物からたくさんの恵みをもらいました。

衣・食・住
植物から原料を頂戴し、植物と共に生きてきました。

フィカス・ウンベラータは、熱帯アフリカの低地降雨林に育つ植物です。

ウンベラータは、フィカス属の仲間。
フィカス属はゴムの木とも呼ばれています。
木の皮を削ると出てくる樹液は、天然ゴムとしてさまざまなゴム製品に加工され、今も私たちの生活に役立っています。
天然資源のひとつとして、昔から人との関わりがとても深い木でした。

この木を、たくさんの人に広めたいと願う者がいました。

今回このウンベラータを育てたのは、千葉県「高橋園芸」高橋繁之さん。

高橋さんのウンベラータは、およそ3、4年の年月をかけて、1本1本、何度も鋏を入れてつくられたものです。

強制的に落葉させ、新鮮できれいな葉が芽吹くよう促します。
落葉した後に出てくる葉は強く、強健な1枚となるからです。
高橋さんがつくるウンベラータは、自然界にある樹形とは異なり、洗練された1本の木となります。


そして、その思いを引き継ぎ、私たちは植物を植えています。










その木が持つストーリー、生産者や市場や仲卸の方々の思い、それらを全て内包している木を「parkERs tree」と呼んでいます。
1本の木があるだけで、人は豊かになる。
その豊かさをもたらす木には、さまざまな歴史や過程があります。
私たちは数ある植物の中から「parkERs tree」となる木を厳選し、
その植物が持つストーリーを含め、お客様のもとへ提供しています。
今月の植木屋:全ては計算された幹と葉の構成…千葉県「高橋園芸」

前述の「parkERs tree」の物語でもご紹介した、千葉県「高橋園芸」。
千葉県九十九里浜に広がる敷地面積3,300坪の土地に施設やハウスを所有する、千葉県最大の観葉植物生産者です。
ウンベラータ以外にも、20品種以上の植物を扱っています。

「植物は全て形は違うけれど、1本ずつ、それぞれの最大限のポテンシャルを引き出す方法がある」
1本の枝を育てることや、1枚1枚の葉を芽吹かせること、それら全ては計算されており、そこには高橋さんが導き出した方程式がありました。
高橋さんは、技術やノウハウを私たちにも惜しげもなく教えてくれます。切り花とは違い、根がある植物は、出荷された後も管理できることが大切です。そのため、私たちは生産者の管理方法を理解する必要があります。

日本という国が持つ土地の魅力を大事に考え、日本の人々に必要とされる植物を生み出し続ける高橋さん。
「僕たちは植物を作ることが仕事。後は任せたよ、たくさんの人に植物を広めてくれ」と、私たちparkERsの背中を押し、いつも支えてくださっている生産者の一人です。

併せて読みたい
・「都会から森を想うことの大切さ」植物の文化を運ぶ plants culture caravan vol.7
・「縄文時代の“自然との共生”本能を現代に…」植物の文化を運ぶ plants culture caravan vol.6
・「室内にも水と植物の織りなす風景を」〜植物の文化を運ぶplants culture caravan vol.5
Credit

田村未和(Miwa Tamura)
美術大学を卒業後、アーティストのもとで生花(切り花、生け込み、プリザーブドフラワー)を学ぶ。その後、parkERsのメンテナンス業を経てプランツコーディネーターになる。
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