[ROSE LABO通信Vol.4]美しすぎるバラのスイーツが誕生!「花のババロア」とROSE LABOがコラボ
“食べられるバラ”の栽培から、バラを使った食品やコスメの販売までを行うROSE LABO株式会社。この会社を2015年に立ち上げたのが、若き女性経営者が田中綾華さんです。そしてROSE LABOは2018年、四季折々のエディブルフラワーを使ったスイーツ店『花のババロア』とコラボし、新ブランドを誕生させました。そこで今回は、『花のババロア』を展開する株式会社バルニバービイートライズ 代表取締役社長・井田大輔さんをお迎えし、お2人にコラボの経緯や、商品に込めた思いを語っていただきました。
目次
“大切にしているもの”が同じだから、最初から意気投合
田中: 今回、井田さんとコラボスイーツを作ることができてとっても嬉しいのですが、井田さんがエディブルフラワーを知ったのは、いつなのでしょうか?
井田: 20代の頃、レストランでエディブルフラワーを初めて目にしました。ステキだなと思い、いつか「食べられる花をスイーツに生かせないか」という気持ちが芽生えたんです。その後、エディブルフラワーを作る農家の方が、とても苦労してお花を育てていらっしゃることも知り、「一緒にエディブルフラワーの市場規模を大きくしたい!」という思いを持つようになりました。
田中: ステキな思いを持って、エディブルフラワーを使ったスイーツのお仕事に携わるようになったのですね。 高品質のエディブルフラワー農家さんがたくさん存在している中で、ROSELABOにお声をかけていただいたのはどうしてですか?
井田: 「エディブルフラワーの中で、どの花がいちばんキレイなのかなぁ」と考えたときに、僕の中ではやっぱり“バラ”だったんですよね。それで、食べられるバラを作っている農家さんを探したら、すごく少なくて。エディブルフラワーの中でもバラの栽培は難しいため、生産者さんも限られていることを知りました。
田中: そうなんですよね。農薬を使わずにバラを育てるのはとても難しいんです。やっと最近、少し増えてきましたけれど、私が事業をスタートした2015年当時は、日本で10あるかないかでした。そんな中、弊社を選んでくださった理由は何でしょうか?
井田: “思い”じゃないでしょうか、やっぱり。僕自身、どこかと手を組むとき、そこの企業の力というよりは、“背景”を重視しています。パートナーとして長く続けられるかどうかは、その会社がどんな思いを持って仕事をしているかが大切だと思っているので。ROSE LABOのホームページや、田中さんのインタビューが載っている記事をたくさん読んで、多分たくさんの苦労をしてこの事業をやられているのだろうなと思いましたし、バラへの思いが強いことが伝わってきたので、「ぜひ一緒に仕事がしたい…いやするんだ!」と心に決めたんです。
田中: ありがとうございます。私、井田さんに初めてお会いした日のことを、今でもはっきり覚えてますよ。最初からすごくフィーリングが合いましたし、なにより私が会社のホームページやブランドブックに書いている思い、“なんで私がやらなくてはならないのか”とか、どういうこだわりをもってバラを栽培しているのかなどを、井田さんがしっかり汲み取ってくださっていて。だから、「ぜひやらせてください!」って思えたんです。
井田: 最初から受け入れていただいて、ありがたいです。
田中: いやいや、こちらこそありがたいです(笑)。井田さんの手がけるブランド『PARADIS』のスイーツも、パティシエさんが一つひとつ手作りされている。私たちも、手作りでバラを栽培している。お互い“手作り”という愛情の部分が同じなので、すごくマッチしていますよね。私たちはパティシエさんみたいに素晴らしいケーキを作ることはできないし、井田さん側ではバラの栽培は難しい。だからこそ、お互いのないところを補い合って、長所と長所を掛け合わせれば、最強のものが作れるんじゃないか、商品を通してお客さまに感謝の気持ちや思いを伝えられると思ったんです。
井田: やっていることは違えど、エディブルフラワー界を盛り上げたい、いい商品を丁寧に作りたいといった“思い”は同じ2人ですからね。いまだから言いますが、お話を持っていく前から、絶対OKをいただけると思っていましたよ。
田中: さすがです!(笑)
いくつもの意味が込められた“RLP(アールエルピー)”というブランド名
田中: 井田さんが考えてくださった、『RLP』というブランド名は、<Relation つながり><Love 愛情><Passion 情熱>という、私たちがお互いに大切にしているものが全部盛り込まれていて、本当に素晴らしいネーミングですよね。
井田: 気に入っていただけて嬉しいです。「ROSELABOにふさわしい名前ってなんだろう」というところからスタートして、「絶対に私たちの思いをかけ合わせた名前がいいな」と思い、アイデアを出していったので。
田中: しかも、最初の2つの頭文字“RL” がROSE LABO、最後のPが『PARADIS』のPと、お互いの会社の頭文字でもあるっていうのが、これまたすごい。で、「最高の名前じゃないですか!」って言ったら…、「いやいやいや、まだまだあるんですよ」っておっしゃって、『星の王子さま』を机にボーン!って置いて…。
井田: “Rose of Little Prince”つまり、“星の王子さまのバラ”という意味でもあるんですよ、ってね。
田中: 思わず「よ、さすが!」って言いましたね(笑)。
井田: 弊社の目の前に本屋さんがあるのですが、たまたまそこで『星の王子さま』が目に入って、もう1回読み返してみたんですよ。あの本って、読む人それぞれの年齢や立場などで捉え方が変わりますよね。そのとき本当に大切なものが何かっていうのを教えてくれる本だと思うんです。それに、あのお話に出てくるバラは、王子さまがバラのためにかけた時間や手間があるからこそ特別なバラになる。「あ、これはRLPという名前にマッチする」と思ったんですよね。
田中: そんな本が、たまたま目に入るって、すごいですよね!
井田: 僕、なんか引きがあるんですよね(笑)。
田中: こんな素敵な名前をつけていただいて、単なるコラボ商品というだけではなく、しっかり大切に育てたいブランドだと井田さんも思ってくださっているのかなと思いましたね。
井田: もちろんです!
何回も試行錯誤を重ねて商品が完成
田中: コラボさせていただくことが決まってから、本当に何回も何回も、試作品をいただきましたよね。
井田: けっこうな数を提案しましたよね(笑)。何個くらいサンプルを作ったのかな〜? 数え切れないほどですね。
田中: 毎回「すごくいいじゃないですか!」って言うのですが、でもまた新しい試作品が上がってきて…。
井田: 田中さんがすごく褒めてくださるので、「あ、これで大丈夫かな」って、途中で僕も分からなくなっちゃって…。1回もNOとは言われなかったですもんね。
田中: だって、どのサンプルも全部良かったので。何がダメなのか、本当に分からなかったです。
井田: こだわったのは、見え方です。バラ自体がしっかりキレイに見えているか、多くの方に食べていただけるか、そこをいつも気にしていました。なので、最初は大きなバラ一輪をまるまる入れて作ってみたりもしました。でも、より多くの方に食べていただきたいと考えたとき、正直食べにくいから、ちょっと違うなと思いまして…。まあ、作らせたのは僕なんですけど(笑)。
田中: 切るのも難しかったですね(笑)。ただ、一輪まるごと入ったものは、見た目が本当に美しかったですよね。そうやって作っていただいた試作品は、1回目より2回目のほうが、2回目より3回目のほうがやはり良くて、「これ、どこまで良くなるんだろう?」って思っていましたもん(笑)。
井田: そんなふうに思われていたとは(笑)。最後、完成形ができたときも、すごく褒めていただいて。
田中: そう、最後の作品を見たとき…もはや商品というよりは作品だと思っていましたが、最後の作品は満場一致で、みんなが「美しい!」って言いましたよね。「井田さんが求めていたものは、これなんだ」って、すごく腑に落ちました。バラの見え方や立体感が素晴らしくて、ただ入れりゃいいってもんじゃないんだなって。
井田: そう言っていただけると、何回も試行錯誤したかいがあります。
田中: 私たちはバラの品質を追い求める。そこで妥協はしません。例えば他の人がB 品やC 品でいいと言っても、私たちは全部A品を作っていくぞと思っています。井田さんがスイーツを作る時もきっと同じで、他人が「いいじゃないですか」と言ったとしても、井田さんご自身が納得できなかったら商品化しないんでしょうね。他の人からは見えない景色が見えているんだと思います。でもそれって、すごく大切なことですよね。そうやって、お互いの最高品質をぶつけ合ってできたのが、このRLPですね。
高級な“食べられるバラ”を、もっと身近に楽しんでほしい
田中: 私は、食べられるバラを通して、世界中の女性を美しく健康で幸せにしたい。これは創業当時から、ずっと掲げている理念です。でも、今まで弊社には生の製品がなくて、バラの花びらを飲食店さんに納品するだけでした。それも、一人1万円以上のコースのデザートにバラの花びらが乗っている…といった感じのレストランなので、多くの方に食べていただくとのは難しかったんです。ですので、今回のコラボで、これまで食べられるバラにトライしたかったけれど機会がなかったという方にもお届けすることができて、とても嬉しく思っています。
井田: 僕も、バラというちょっと高価な花を、より多くの方に身近に感じていただけるといいなぁと思って商品開発を進めたので、このRLPでたくさんの方にバラの良さをお届けしたいですね。あと、僕は男なので…男性目線で語ると、女性への贈り物など特別なシーンで使っていただけたらいいなと思います。見た瞬間、きっとその美しさに驚いてもらえると思うので!
田中: 絶対、贈り物にしたら女性に喜ばれると思いますよ〜。少しでも多くの方に、この商品を通してワクワクする気持ち、高揚感を味わっていただきたいですね。
今回は、ブランドや商品にかける思いをご紹介しました。次回は、若き経営者2人が考えるエディブルフラワーの未来について語っていただきます。お楽しみに!
併せて読みたい
・知っておきたい! 流行中の薔薇トレンドとオススメ品種10選
・美にも健康にも嬉しい…食べられるバラの魅力と栽培方法[ROSE LABO通信 Vol.2]
・夢を持てない少女が“食べられるバラ”農園の若き経営者になるまで[ROSE LABO通信 Vol.1]
Credit
●田中 綾華(たなか あやか)
ROSE LABO株式会社代表取締役。
農林水産省農林女子プロジェクトメンバー。世界56カ国から世界一の学生起業家を決めるGSEA2016日本代表。SNB女性起業家賞受賞。埼玉県深谷市にある約1,000坪(約3,000㎡)のビニールハウスで、無農薬の“食べられるバラ”を栽培している。栄養も摂りながら、五感で楽しめる加工食品やコスメなど、オリジナル商品の生産・販売も行う。
https://www.roselabo.com
https://www.roselabo.jp/
●井田 大輔(いだ だいすけ)
株式会社バルニバービイートライズ代表取締役社長。
パティスリードパラディのスイーツ販売をメインに、エディブルフラワーを使ったババロア専門店「花のババロア」などを展開する。「PARADIS 小石川本店」「PARADIS トウキョウミタス店」「ARINCO TOKYO STATION」など8店舗を運営。
https://www.hana-no-babaroa.com
文/徳永 幸子(とくなが さちこ)
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