[ROSE LABO通信 Vol.3]食べられるバラの栽培地レポートを埼玉県深谷市よりお届け!
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食用の花“エディブルフラワー”の中でも、バラに着目し、“食べられるバラ”の栽培から、バラを使った食品やコスメの販売までを行うのがROSE LABO株式会社。代表取締役の田中綾華さんは、食べられるバラに魅了されて、2015年にこの会社を立ち上げました。今回は、埼玉県深谷市にある栽培地の様子や、スタッフの皆さんの声、社員研修の様子などをレポートしていただきました。
目次
なぜ埼玉県の深谷市? 深谷とROSE LABOの関係性
まずは、なぜ栽培地に深谷市を選んだのか、その経緯などをご紹介します。

バラを育てるにあたって深谷市を選んだ理由
バラは、一日の平均温度を足し算して1,000℃になったら1輪咲くという性質を持っています。お花屋さんなどで見る観賞用のバラを育てる農家さんは、冷房の効く環境で育てていることが多いのですが、私たちはあえて暑い環境の中で育てます。なぜなら、平均温度が高いほどバラはエネルギーをたくさん使って早く咲き、そうすると茎が細く、そして夏場には花弁が小ぶりになります。これが食用バラには最適だからです。
暖かい…いや、むしろ夏は暑すぎるくらいに暑くなる埼玉県深谷市は、食用バラを栽培するのに最適な地というわけなのです。
また、深谷市は「花のまち深谷」と呼ばれていたり(詳細についてはこの後ご紹介します!)、高速道路の出口が「花園インター」だったり…と、個人的に運命を感じてしまったのも大きな理由です(笑)。

食用バラの栽培方法は…
そんな理由で選んだ深谷市で、私たちは全ての食用バラをビニールハウスの中で、“農薬”と“土”を使用せずに栽培しています。
防草シートを周辺に敷き、除草剤(農薬)は使用しません。なので、夏場は特にハウス周辺の雑草抜きが大変です!
そして、ビニールハウスは散乱光のシートで作ってもらっています。バラは光合成で成長するため、日光が少しでも多く当たることが重要だからです。
ROSE LABO栽培地の一日
バラ農家で働く人の一日って、なかなか想像できないと思いますので、ご紹介しますね。
一番忙しい夏場の場合・・・
○起床 5:00
バラは夜にデンプンを貯め込むので、日が昇るタイミングがいちばん香りが高いといわれています。
お客さまに少しでも香り高いバラを楽しんでいただくため、朝は太陽とともに起床します。
○作業 6:00~8:00
上記の理由から、まずすぐにバラを摘みます(摘んだらすぐに涼しい作業所へ運び、茎を水へつけるメンバーに渡します)!
そして摘む作業と同時に、葉の表面の色みや、裏に虫がついていないかなどのチェックも並行して行います。また、通年“うどんこ病”にならないように細心の注意を払い、

○朝食 8:30~9:30
体力勝負なので、炭水化物と塩分が欠かせません。夕食は美容のために(!)炭水化物は少なめにしていますが、朝はしっかりと食べます。炭水化物と塩分を一緒に摂ることができる“梅のおにぎり”は、朝ごはんの必需品です!! また、太陽が高い時間帯にハウス内で作業をすると、熱中症になる恐れがあるので、休憩後は選別や発送作業を行います。
○休憩 9:30~13:00
お手伝いしてくれているスタッフには、子育て中のママさんや副業の人もいるので、皆さん帰宅して家事や仕事をするなど、自由に過ごします。
○作業 13:00~15:30
朝摘みのバラの花弁を1枚ずつばらし、選別して受注分のバラを発送します。
選別は、1の花びらに対して2名で行い、1枚ずつ傷がないか、虫がいないかを目で確認し、念のために筆でも払います。慎重に、そして最高の状態で、バラを発送しています。
○作業 16:00~17:30
栽培地に戻り、剪定作業やハウスの掃除などを行います。
○あがり 17:30
○就寝 21:00
朝が早いので、就寝時はもうクタクタ…。早めに寝て、明朝に備えます!
バラづくりスタッフにインタビュー!
ROSE LABOのバラづくりを手伝ってくれている皆さんの声を聞いてみました!
●松本喜宏さん

Q:ROSE LABOとの出会いは?
松本さん:そもそも私が所属している会社でバラを育てていたのですが、その中で田中代表と代表のお母さんが「バラを育てることができる場所を深谷で探している」ということを知り、一緒に“食べられるバラ”を育てる事業をスタートしました。
Q:代表・田中の最初の印象はどうでしたか?(笑)
松本さん:最初はとても若い女の子でびっくりしましたね。でもROSE LABOの事業内容や、その目標、そして何よりも、若いのに持っている代表としてのキャパの広さ、ポジティブで前向きな姿勢がとても魅力的だと思いました。だから事業としてだけでなく個人的にもすごく協力したいという気持ちになる。おそらくROSE LABOで働きたいと思って集まった皆が、同じように感じていると思います。

Q:今後のROSE LABOの展望はいかがでしょうか?
松本さん:代表がずっと言っているように、“無農薬でバラを育てる”という栽培方法は確立はしているけれども、まだまだもっとできることがあるんじゃないのかなとも思っています。無農薬でバラを育てることは不可能だとずっと言われてきた中、ROSE LABOは病気や虫に日々気を付けながら、栽培を実現しました。その栽培方法の精度を上げれば、バラ以外の農業にも生かせるんじゃないでしょうか。そうすれば、埼玉、ひいては日本の農業の可能性をROSE LABOが広げていけるのではないかと思います!
●本田由紀さん

Q:ROSE LABOとの出会いは?
本田さん:ROSE LABOを手伝っている友達がいたことが、最初のきっかけです。はじめは「とっても可愛い若い女の子がいるな~」くらいの感じで見ていました。やがて「食べられるバラを始めたんだよ」という話を聞き、そうこうしているうちにどんどん盛況になっていき、手伝ってほしいという話が来たんです。ROSE LABOで初めて、バラを育てるという機会をもらいました。
Q:バラを育てる立場に立ってみて、大変だなという点と、うれしいと感じる点は?
本田さん:大変だなという点は、やはり農薬を使っていないがために持ち上がる課題に、その都度対処していかなければならないところです。うれしいなと感じるのは、咲きたてのバラを目にする時。ここに来るだけでテンションが上がり、「やってよかったな」って感じます。

Q:栽培地にはなかなか来られないお客さまに、どのようにここの魅力を伝えたいですか?
本田さん:ROSE LABOで心を込めて作り、販売している加工食品やコスメなどの商品を開けたときに、ハウスに入ったときに感じる“バラの香りに包まれる”感覚を、ぜひ感じていただきたいですね。
Q:ROSE LABOを通してお客さまに伝えたい想いは?
たまにちょっと高価なものを食べたりすると、人ってとても豊かな気持ちになりますよね? 食べられるバラには、そんな気持ちにさせてくれる魅力があると思います。せっかく体にとても良い成分が入っているバラですので、ROSE LABOの商品をどの世代の女性にも気軽に手に取っていただき、心も体も満たしていただけたらいいなと思っています。
栽培地での社員研修の様子をレポート
先日、深谷の栽培地に社員全員で赴きました。その目的は、初の社員研修! 社員が増えたこともあり行ったのですが、“初深谷”を体験するメンバーがほとんどでした。農業経験者は、私と、九州出身のもう一人のみで、その他のメンバーは花を育てているハウスに入ったこともありません…。農業を始めたころの初々しい自分の姿が、走馬灯のように蘇りました(笑)。

研修の日に行った作業は、‘ルージュ・ロワイヤル’という名のバラの剪定と、枯れて落ちてしまった葉や枝の除去でした。
農薬を使わず栽培しているため、虫や菌などがハウス内に混入しないよう、常日頃からとても気をつかっています。
研修当日も、下の写真にあるように、全員防護服を着用、そして作業用の長靴を履いてスタートしました。

全メンバー、最初は恐る恐る剪定バサミを使っていましたが、そのうち慣れてきたのか、どんどんスピードアップ! 作業も夕方前には終わっていました。

ROSE LABOの“食べられるバラ”が、どこでどのように栽培されているのか、身をもって体験することは、社員として大変貴重な経験です。これからもできるだけ深谷に赴き、栽培体験を通して、その大変さを学んでもらい、そして農業の未来に能動的に関わっていこうというマインドを育てていければと思っています。
「食べられるバラ」栽培を通して深谷市を盛り上げていきたい!
深谷市は前述の通り、「花のまち深谷」と呼ばれています。例えば、チューリップについては、年間で約1.5万本、約120種類を生産していて、その生産高は日本一を誇っています。
“深谷ネギ”だけではなく“深谷ゆり”もあるなど、深谷は本当にお花の街なのです!
私たちが育てている“食べられるバラ”を通して、深谷の空気の良いところ、優しい人が多いところ(完全主観です…)、そして「深谷はお花の街だ!」ということをPRできればと思っています。
また、日々ていねいに良い作物を育てて、ROSE LABOとしてのブランディングをしっかり行い、ブランド農家のロールモデルになって、深谷市から埼玉県へ、埼玉県から世界へ…と、日本を代表する作物を発信していきたいと思っています。まずは、小さなことからコツコツと邁進していきます!
併せて読みたい
・夢を持てない少女が“食べられるバラ”農園の若き経営者になるまで[ROSE LABO通信 Vol.1]
・美にも健康にも嬉しい…食べられるバラの魅力と栽培方法[ROSE LABO通信 Vol.2]
・バラの花言葉を色ごとに紹介! 花屋では売っていないバラを育ててプレゼントしよう
Credit

文/田中 綾華(たなか あやか)
ROSE LABO株式会社代表取締役。
農林水産省農林女子プロジェクトメンバー。世界56カ国から世界一の学生起業家を決めるGSEA2016日本代表。SNB女性起業家賞受賞。埼玉県深谷市にある約1,000坪(約3,000平方メートル)のビニールハウスで、無農薬の“食べられるバラ”を栽培している。栄養も摂りながら、五感で楽しめる加工食品やコスメなど、オリジナル商品の生産・販売も行う。
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