花咲く庭で散歩する様子や、庭でくつろぐ動物たちの姿が微笑ましい! と話題の北海道旭川の「上野ファーム」。「庭づくりをしながら撮りためた写真には、愛らしい動物たちの姿がたくさん!」と言う上野砂由紀さんに、フォトジェニックな動物の写真とともに、その思い出を教えていただきます。
目次
花咲くガーデンで過ごす動物たち
春から秋まで、さまざまな花が咲く上野ファーム。庭には花や植物が欠かせない存在ですが、庭と一緒に「上野ファーム」のちょっとした名物となっているのが、動物たちがいる風景です。
私が本格的に植物に触れるようになって、十数年が経ちましたが、動物との付き合いはもっともっと長く、自分の周りに生き物がいなかったことは、記憶の中では一度もありません。小さな頃から動物が家の周りにいるのが当たり前の環境で育ち、犬や猫も含めてさまざまな動物と出合ってきました。
昔の農家では、鶏を放し飼いしている家も多くあり、上野ファームもかなり前から鶏を飼っていたようです。現在もその流れのまま、鶏がガーデンの中を自由気ままに歩き回っています。美しい花ももちろん魅力的ではありますが、生き物がいるガーデンは、とても絵になります。今回は、上野ファームで撮影した、庭の動物たちの写真をご紹介します。
上野ファームにいる動物たちをご紹介
現在、上野ファームにいる動物は鳥類が多く、チャボ(小さめの鶏)、ガチョウ、アイガモ、七面鳥がいます。親が卵を産んで温めることも多いですが、難しい場合は、卵から孵卵器で孵化させた鳥たちもたくさんいます。鳥たちは、天気の良い日は毎日外に出かけて、庭やお客様が入れないバックヤードなどで過ごしています。ガーデンの隙間に入って、大好きなミミズや虫を捕まえたり、体をきれいにするためなのか、庭に穴を掘って土浴びをしている姿もよく見かけます。
ガーデンで土を耕すと必ず駆け寄ってくるのは鶏たち。お目当ては、土の中に棲んでいる元気なミミズ。スコップで土を掘り返すと必ずミミズは出てくるのですが、鶏たちは賢くて、スコップの掘る音を記憶しているので、その音が聞こえると、どんな遠くからでも足早にやって来ます。
ガーデンを熟知する動物たちの行動
動物たちは、もしかすると人間以上に植物の変化に気づき、ガーデンを熟知しているのかもしれません。鳥が自由に歩いていると、植物を傷めませんか? など、いろいろなご質問をいただきます。でも、今までそれほど驚くような悪さはしていないように思います。
鶏の目線を毎日観察しながらいつも思うことは、その時きれいな場所を動物たちは一番分かっているのかもしれないということです。気が付くと、きれいな場所で遊んでいたり、ゆっくり休んだりしている姿をよく見かけます。もしかすると、人間と同じように動物も庭を楽しんでいるのかもしれません。
チャボやアイガモのいるガーデン風景
羽が美しく、普通の鶏よりも小さなチャボは、おとなしい性格もあってガーデンでも人気者です。
動物もお花見をするんだ〜と思った一枚。フジザクラの下で、花を見上げながらまったく動かなかったチャボ。
花を眺めながらガーデンを散策する様子。
動かない仲間がいる!? と思ったかどうか。思わずクスッと笑いを誘うワンシーン。
グリーンのトンネルを気持ちよさそうにくぐるチャボたち。
寄せ植えについて話し合っているような七面鳥。
天気の良いある日、裏の山を登るアイガモとガチョウの行進。15歳くらいになるガチョウのモルテンは、みんなのリーダー的存在で、いつも威張っているよう。
突然の雨に、寄せ植えの下で雨宿りしている鶏たち。まるで人間のようです。
上野ファームの庭の歴史と重なる動物たちとの記憶
鶏やアヒルをたくさんご紹介してきましたが、ウサギを庭で放し飼いにしていた時代もあります。その頃は、とても仲の良いミニウサギの夫婦、ひとみちゃんとマンサクが、毎日仲睦まじい姿をガーデンで見せつけてくれました。夜になるとキツネに狙われる恐れがあるため、鶏と一緒に鶏小屋へ入るという、とても利口な夫婦でした。日中は、他の動物たちと一緒に庭に出て、好きな草を食べていました。今はもう天国へいってしまいましたが、ガーデンを訪れる人をいつも温かな気持ちにしてくれたことを思い出します。
たくさんの木々に囲まれた上野ファームには、野生動物もやってきます。野鳥もさまざまな種類を確認することができます。野ネズミもたくさんいるので、それを目当てにやってくるキタキツネが閉園後の静かなガーデンを散策していることもよくあります。庭のオニグルミを目当てに、エゾリスが通ってきていた時もあり、毎日クルミを取りに来る姿を見るのがとても楽しかったです。
このように、上野ファームの庭にはいつも楽しい動物たちがいました。植物だけでなく、彼らがいるからこそ物語があり、たくさんの素晴らしいシーンが生まれてきたのだと思います。植物からもいつも感じていることですが、生命の逞しさや動物たちの生きる知恵からは、たくさん学ぶものがあります。きっとこれからも、楽しいことや大切なことを彼らは教えてくれることでしょう。
「上野ファーム」の2019年度ガーデン公開期間は、4月20日~10月14日まで。
*動物はいつも庭にいるわけではありません。危害は加えませんので、見かけたときは追いかけたり、餌をあげたりせずに、あたたかく見守ってください。
併せて読みたい
・一年中センスがよい小さな庭をつくろう! 英国で見つけた7つの庭のアイデア
・上野ファームの庭便り「ガーデンはインスタ映えの宝庫! 写真で振り返る庭の四季」
・カメラマンが訪ねた感動の花の庭。北海道 上野ファーム
新着記事
-
ガーデン
都立公園を新たな花の魅力で彩る「第2回 東京パークガーデンアワード 神代植物公園」は晩夏の彩り
新しい発想を生かした花壇デザインを競うコンテスト「東京パークガーデンアワード」。第2回のコンテストは、都立神代植物公園(調布市深大寺)を舞台に一般公開がスタートしています。ここでは、5つのコンテストガ…
-
外構事例
【住宅事例】大好評シンプルモダンシリーズ第4弾 住宅とエクステリアを徹底的に解説!
各地の素敵な庭と住宅の実例をご紹介しているこの連載では、現在スタイリッシュなシンプルモダンデザインの邸宅を特集中。そんなシンプルモダンシリーズ第4弾となる今回は、直線が生きるシックなモノトーンの住宅を…
-
宿根草・多年草
アルテルナンテラはカラフルな葉色も魅力! 特徴や育て方を詳しく解説
さまざまな葉色の種類があり、花々をより引き立てるカラーリーフプランツとして活躍するアルテルナンテラ。この記事では、アルテルナンテラの基本情報や特徴、名前の由来や花言葉、種類・園芸品種、育て方のポイン…