ロンドンの街には、色鮮やかな寄せ植えでデコレーションされたパブ(バー)がたくさんあるのをご存じですか? どこもその店構えに合わせて、華やかさを競うように見事な寄せ植えをディスプレイしています。ガーデンツアーで人気のイギリスですが、広大なガーデンばかりでなく、ロンドンの街中で“パブのお花見はしご酒”もオススメ。ありふれた花をかっこよく見せるヒントも見つけられますよ。
花に溢れるロンドン・パブ

ノッティングヒルにある「ザ・チャーチル・アームズ」は、ロンドンで最も有名なパブの一つ。1750年に開業した老舗で、色鮮やかな寄せ植えと、はためく英国国旗で埋め尽くされた外観は圧巻。現在のオーナー、ゲリー・オブライエン氏がたった2つのハンギングバスケットから始めた花のデコレーションは、今や42のハンギングバスケットと48のウィンドウボックス、100鉢以上の寄せ植えで彩られ、ついには世界的なガーデニングショー「チェルシー・フラワー・ショー」でも優勝を果たすほど美を極めました。度肝を抜かれる外観もさることながら、店内もパブの領域を超えたエンターテインメント空間。


ザ・チャーチル・アームズ
119 Kensington Church St, Kensington, London W8 7LN
http://www.churchillarmskensington.co.uk

黒と金色のスタイリッシュな建物にビビッドな花色のハンギングが映えるのは、パブ「ザ・ジャック・ホルネル(ホーナー)」。寄せ植えに使われている花は、いずれも枝垂れて咲くのが特徴のフクシア、ベゴニア、ゼラニウムの3種。花を揃えて統一感を出しつつ、溢れ咲く様子が豪華な印象です。若者に人気のパブ。
ザ・ジャック・ホルネル(ホーナー)
234-236 Tottenham Court Road London W1T 7QJ
http://www.jackhornerpub.co.uk/

ビッグベンや国会議事堂からほど近くにあるパブ「ザ・レッド・ライオン」の歴史は中世にまで遡ることができます。1434年の開業以来、約600年もの間、人々に愛されてきた老舗中の老舗。場所柄、歴代の英国首相も訪れており、時折政府高官たちがグラスを手にくつろぐ姿も見られます。店名にふさわしく、外観を彩る赤と白の巨大なハンギングは華麗そのもの。暑さに強いペチュニア、フクシア、ベゴニア、ゼラニウムが夏中キレイに彩ってくれます。
ザ・レッド・ライオン
48 Parliament Street London SW1A 2NH
http://www.redlionwestminster.co.uk/

テムズ川のほとり、石畳の古い街の一角にあるパブ「ザ・メイフラワー」。素晴らしい川の景色を眺めながら、地元の新鮮な食材をたっぷり使用した伝統的な英国料理とクラシックエール、クラフトビール、地元のジン、上質なワインをいただくことができます。オススメは夕暮れどき。窓辺のハンギングと川に沈む夕日を眺めながらグラスを傾けるひとときは最高です。
ザ・メイフラワー
117 ROTHERHITHE STREET ROTHERHITHE LONDON SE16 4NF
https://www.mayflowerpub.co.uk/

リージェンツパークからほど近く、若者カルチャーの発信地でロックの街としても有名なカムデンタウンにあるパブ「ザ・エレファンツ・ヘッド」。ペチュニアやゼラニウムなどパッと明るい色のハンギングが親しみやすい雰囲気の店は、昼間から人が溢れています。夜は生演奏が加わり、さらに賑やかに。オリジナルのビールにも定評があり、ロンドンに来たら必ず寄るというミュージシャンやサウンドエンジニアなども。音楽を愛する人々から信頼の厚いお店です。
ザ・エレファンツ・ヘッド
224 Camden High St, Camden Town, London NW1 8QR
http://www.elephantsheadcamden.com/
ありふれた花を素敵に見せるヒント

ロンドンのパブの外観を彩る花は、いずれも比較的手に入りやすい種類ばかりで、特別珍しいものを使っているわけではありません。なのに、どのお店もカッコよく素敵に見えるのは、シンメトリーとパターン化が秘密。花の種類を絞って同じ寄せ植えをつくり、一定のパターンで配置すると、華やかでありながらスッキリ、品よく見えます。逆に、いろいろな花を用い、いくつも異なる寄せ植えをつくって、それを統一感をもたせて並べるのは、かなりの絵心を要します。色を絞ってパターン化するロンドン・パブのフラワーデコレーションは、セオリー通りにやれば誰でも簡単に美しく完成できる方法です。ペチュニアやゼラニウムなど、繰り返しよく咲く花を選ぶのもメンテナンスに手間をかけないポイントです。
ここでご紹介したお店以外にも、ロンドンの街には寄せ植えの素敵なパブやレストラン、ブティックがたくさんあります。街を歩きながら、ガーデニングの勉強ができてしまいますよ。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
Photo/1&2) mikecphoto/ 3) AC Manley/ 4) chrisdorney/ 5) Spiroview Inc/ 6) 4kclips/ 7) Spiroview Inc/ 8) mikecphoto/ 9) IR Stone/ 10)4kclips/Shutterstock.com
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