ナチュラルガーデンに似合う英国生まれのコッツウォルド・ストーン
Photo/ PJ photography/shutterstock.com
「英国でもっとも美しい村々」と呼ばれる、イングランド中部に位置するコッツウォルズ。ガーデニングの聖地ともいわれるこの地域で、建物や塀に多く使われている石材を「コッツウォルド・ストーン」と呼びます。このコッツウォルド・ストーンを使った石組みの技術を日本で実践する神谷造園の神谷輝紀さんに、その魅力を教えていただきます。
花々と調和するハチミツ色の石

「コッツウォルズ」は、イギリス中部に広がる丘陵地帯で、古いイギリスの村々や建物が残る貴重な場所として、ガーデン好きも多く旅する観光地です。旅の道中で出会うのは、羊たちがのんびりと草を食む牧草地。その隣り合う敷地の間をハチミツ色の石積みの塀が仕切り、どこまでも続く田園の風景は、この地域ならでは。

このコッツウォルズ地方で採掘されているハチミツ色の天然石「コッツウォルド・ストーン」は、現地では「ハニーカラード・ストーン」とも呼ばれている石灰岩の一種です。石造りの建物や塀に限らず、門柱や花壇の縁取り、敷石など、イングリッシュガーデンでもよく使われていることから、日本でも憧れのガーデン資材として近年取り入れる人が増えています。
英国の技で積み上げる「ドライストーンウォーリング」とは

コッツウォルド・ストーンを使った石積みの技を持つ神谷造園の神谷輝紀さんは、英国でその技術を習得し、現在、日本で数々の施工を行なうプロフェッショナルです。
「コッツウォルド・ストーンを積み上げていく石積みを、ドライストーンウォーリングと呼びます。これは、モルタルなどの接着材を使わないのが特徴です。小動物や植物などと共存できる地球に優しい石積みで、もし撤去する場合も、石材一つ一つを分離し、リユースすることができます。産業廃棄物が出ない、とてもエコな工法です」。
植物と調和し共生する「ドライストーンウォーリング」

ガーデンの中では、隣家との境や隣のエリアとの間仕切りにフェンスや塀が設けられますが、コッツウォルド・ストーンの塀は、緑や草花と調和し、庭風景としても、とても魅力的です。
「ドライストーンウォーリングは、見た目の気持ちよさだけでなく、一般的な塀のように地中にコンクリートなどで基礎をつくらないので、根の成長をさまたげず、植物と共存できるエクステリアなんです。基礎を設けないので石の隙間から酸素が届き、排水性もよいので、石積みのすぐそばに植物を植えることができます。もちろん耐震性も高く、基礎がなくても崩れない強度があります。イギリスの教科書にはない日本独自の技術をプラスして、わたしがつくるドライストーンウォーリングは、震度6強でも崩れないので安心です」と、神谷さんは言います。
コッツウォルド・ストーンでつくるファイヤーピット

これまで、ガーデンのアーチやエントランス、花壇、ステップなど数々のドライストーンウォーリングの施工を行ってきた神谷さん。いま新たに熱く提案するのが、コッツウォルド・ストーンだけでつくる円形のファイヤーピットです。

「見る庭から、機能的な庭へとステップアップするデザインが、ファイヤーピットです。火が扱える安全な場所として石材を使いながら、火を囲むことで会話を引き出すスペースづくりに、大小さまざまな形のコッツウォルド・ストーンを組み上げて美しく仕上げます。薪がはじける心地よい音と香ばしい香り、揺らめく炎を前にしたら、人は感動してストレスも解消する。その効果を期待して、庭で家族や友人と炎を囲む時間も一緒につくりたい」。神谷さんは熱く語ってくれました。

神谷輝紀さんは、Dry Stone Walling Association of Great Britainが定める4段階ある石積み資格制度のうち、3つを保有するストーンアーティスト。2011年にはDry Stone Walling Association of Japanを設立し、会長として石積み教室の講師を行い、日本の技術者の育成にも力を入れています。崩れにくく、後世に残るような石積みと、その技術の継承を大事に考えて活動を続けています。
神谷造園 http://www.kamiya-zoen.com
Credit

取材&文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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