暮らしの中で何気なく目にしている植物。その構造をどれだけご存知でしょうか? 身近にありながら、なかなか意識されないものかもしれません。でも、一度知識を得たら、植物の面白さがもっともっと広がる! 植物学の広い世界を探検してみましょう!

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タネや球根などから芽吹き、根・茎をのばし、葉を広げ、花を咲かせ、そしてまたタネをつける……。このようにして一生を過ごす植物。その植物の基本的な構成をおさらいしてみましょう。

植物の基本3要素

植物の構成要素は、基本的に根・茎・葉の3つに分かれます。それにプラスして、ガーデニングでの重要な要素である花についても見ていきましょう(この構造を持つのは、水分やミネラルなどを輸送する維管束を持った植物であり、コケ類、藻類は除きます)。

1.根

水や栄養分、ミネラルなどを土中から吸い上げる役目を持つ根。また、四方に張り巡らすことにより、植物を支える役目も担っています。

植物の根には、太くまっすぐな主根(しゅこん)を持つものと、写真のようにひげ根からなるものに分かれます。主根は胚芽の時に形成された根がもとになっていて、成長するにつれて主根から側根(そっこん)が分岐。地下茎を持つものや、最初に出す葉である子葉(しよう)を1枚出す単子葉類は、ほとんどがひげ根系です。主根を持つ植物は、根を傷つけると回復が難しく、移植や植え替えを嫌うものが多いのが特徴です。

根の構造を見てみましょう。先端近くには分裂組織があり、ここが細胞分裂を繰り返すことで根は成長していきます。根の表面からは細い根毛が土中へと伸びていて、表面積を増やして根を固定するとともに、水分や養分の吸収にも一役買っています。根毛の寿命は基本的に数日から数週間程度と短いもの。吸収された水分などは、根の中心にある中心柱を通って株全体に運ばれていきます。

根にはほかにも気根や寄生根などの種類もあるのですが、それらはまたの機会に。

2.茎

地上部にあって葉をつけるのが茎。植物の全体を形づくる骨格としての役割とともに、養分や水分の移動の通り道ともなっています。幹や枝も茎の一種です。

茎の先端にも、根と同様に分裂組織があり、細胞分裂を行いながら成長します。そして、節の部分では葉をつけ、光合成を行わせるという大切な役割があります。

茎の中心には導管を含む木部(もくぶ)や師管(しかん)を含む師部が組み合わさった維管束系(いかんそくけい)が通っています。導管は水や無機養分を、師管は有機養分を運ぶための管のこと。水分や養分はこれらの管の中を移動して、植物全体へといきわたります。

茎には地上でまっすぐ伸びる直立茎(ちょくりつけい)のほか、地下茎や匍匐茎(ほふくけい)、よじ登り茎などさまざまな種類があります。

3.葉

茎から伸びる葉は、光合成による養分の生成を担う大切な器官。また、蒸散や呼吸といった、外界との水分や酸素の交換などの役目もあります。さまざまな色や形の葉が見られますが、その役目は基本的には同じです。

葉がつくられるには、元となる分裂組織が必要です。葉のできる元になるのは、茎の先端にある分裂組織から斜めに分かれた、新たな頂端(ちょうたん)分裂組織。葉は茎の節にでき、一つの節に一枚の葉がつくことを互生(ごせい)、二枚の葉が付くことを対生(たいせい)、それ以上の場合は輪生(りんせい)と呼びます。

葉の最も重要な役割は何といっても光合成。光合成を行うのは、葉緑体の中のグラナに含まれる葉緑素です。光合成の過程では、気孔から取り込まれた二酸化炭素と水が、光のエネルギーを使って炭水化物と酸素に変換されます。生成された炭水化物は、有機養分として葉柄(ようへい)から茎を通過し、株全体へと運ばれます。

4.花

次世代へと命をつなぐためのタネを作る花。ガーデナーにとっては一番なじみ深い器官ではないでしょうか。

花は葉が変化したもの。花を構成する主な要素は、一番外側にあり葉の要素を残した萼片(がくへん)と、その内側にある花弁(かべん)、そしておしべとめしべです。おしべでつくられた花粉がめしべに付着することで、受粉して果実やタネをつくることができます。受粉の方式にはいろいろありますが、代表的なものが昆虫が花粉を運ぶ虫媒花(ちゅうばいか)、風が運ぶ風媒花(ふうばいか)など。しべの周囲にある花弁と萼片は合わせて花冠(かかん)といい、しべを保護したり、昆虫を引きつけたりする役割を担っています。

花の先端から少し目を移してみましょう。花をつけている茎は花柄(かへい)、先端は花托(かたく)と呼ばれます。また、花のつけ根にあってほかとは異質な葉のことを苞(ほう)といいます。ポインセチアやクリスマスローズなど、花弁よりも華やかな見た目の苞を持つ花も多くあります。

植物の構成についておさらいしてみましたが、いかがでしたか。もうご存知のことも多かったと思いますが、植物の各部分にどんな役割があるのかを改めて確認すると、少し植物を見る目が変わりませんか? ここでご紹介したのは本当にさわりです。植物の世界はもっともっと深くて複雑、そして魅力的です。これを機に、ぜひ身近な植物をじっくり眺めてみてください。今まで気づかなかった新たな発見があるかもしれません。

Credit

写真&文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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