咲かせて、眺めて、飾って嬉しい、花のある暮らしにオススメの植物をセレクトしてご紹介。夏のガーデンにユリが咲く景色をつくり、時には花を活ける。小さな庭のある暮らしを楽しむ前田満見さんがご紹介します。
目次
夏の庭を彩るユリ
わたしの故郷の夏の景色は、深緑の山々を縫うようにゆったりと流れる四万十川と抜けるような青い空。緑の絨毯を敷き詰めたように一面に広がる青田。その川縁や山の斜面、田んぼの畦道には、青々と茂る夏草に混じってユリの花が咲いています。そんな景色を、ささやかながら小さな庭に設えて、故郷の夏に想いを馳せます。

7月半ば。ヤマユリの芳潤な香りが庭に漂い始めると、いよいよ本格的な夏の到来です。草木深まる中、その香りと大きな花は圧倒的な華やかさを放ち、まさに夏花の女王。どこから見ても美しく存在感抜群です。

そして間もなく、草丈1m以上にもなるオニユリが咲き始めると、庭がぱっと明るくなります。橙色のくるりと反り返った花弁が下から順々に咲く様は、フロアースタンドライトのよう。夏の陽射しにも負けない輝きを放っています。

花期の終わった山アジサイと秋を待つノコンギクと、涼やかなタカノハススキが寄り添い、懐かしい風景を思い出させてくれます。8月になると、白やピンクのカノコユリが咲き始めます。ピンクのカノコユリは、スラリと愛らしく、エキナセアと共に夏の庭の人気者です。

室内でユリを愛でる
徐々に暑さが厳しくなると、庭に出ることが億劫になりがちです。そんな時は、和室の腰窓からユリの咲く景色を楽しみます。窓辺に置いた飾台に幾つかガラスの器を設えると、一瞬、外の暑さを忘れてしまうほど涼やかに見えます。

また時には、小さなオニユリの花を花瓶に活けて室内に飾ることも。ガラスの器が入った鍛鉄作家さんの吊り花器に活けると、鮮やかなオニユリが、室内を軽やかに装ってくれます。
花の少ない夏に庭や室内を彩り、遠く離れている故郷の夏の風景を思い出させてくれるユリの花が、わたしは大好きです。
併せて読みたい
小さな庭と花暮らし「夏の収穫の楽しみ」自家製ミニトマトの簡単レシピ
天野麻里絵さんの「やってみよう! 初めてのガーデニング」 小さな花壇で育てる春にプラスしたい初夏の花5選
一年中センスがよい小さな庭をつくろう! 英国で見つけた7つの庭のアイデア
Credit

写真&文/前田満見
高知県四万十市出身。マンション暮らしを経て30坪の庭がある神奈川県横浜市に在住し、ガーデニングをスタートして15年。庭では、故郷を思い出す和の植物も育てながら、生け花やリースづくりなどで季節の花を生活に取り入れ、花と緑がそばにある暮らしを楽しむ。小原流いけばな三級家元教授免許。著書に『小さな庭で季節の花あそび』(芸文社)。
Instagram cocoroba-garden
新着記事
-
ガーデン&ショップ
バラ咲くシーズンも間近! 特別な時間を過ごせるバラ園「横浜イングリッシュガーデン」 ロ…PR
バラ咲く季節はもうすぐです! 希少なアンティークローズから最新品種まで2,200品種、2,800株のバラをコレクションする「横浜イングリッシュガーデン」では、バラの開花に先駆けて「ローズ・フェスティバル2025」(…
-
ガーデン
都立公園を新たな花の魅力で彩る「第3回 東京パークガーデンアワード」都立砧公園【花盛りの4月】
新しい発想を生かした花壇デザインを競うコンテストとして注目されている「東京パークガーデンアワード」。第3回コンテストが、都立砧公園(東京都世田谷区)を舞台にスタートし、春の花が次々と咲き始めています。…
-
イベント・ニュース
【5月の連休は横浜へ!】日本最大級の園芸イベント「横浜フラワー&ガーデンフェスティバル2025」に出かけ…
日本最大級として大盛況の園芸イベント「横浜フラワー&ガーデンフェスティバル2025」が今年も5月3日(土)〜5日(月)の3日間、開催決定! 場所は、2027年国際園芸博覧会の開催を控える横浜市。多彩なコンテ…