トップへ戻る

「私の庭・私の暮らし」DIYの構造物にバラが絡み咲く進化する里山の庭 千葉県・山本邸

「私の庭・私の暮らし」DIYの構造物にバラが絡み咲く進化する里山の庭 千葉県・山本邸

花や緑に親しみ、季節感に溢れる暮らしを訪ねる「私の庭・私の暮らし」。SNSで全国のガーデニング仲間とつながりながら、自身も千葉の自宅でDIYと庭づくりを楽しむ橋本景子さんが、お気に入りの庭をご案内。今回は、モルタル小屋やガーデンシンク、バードフィーダーなどの構造物をすべてご夫婦でDIYしたという千葉県・山本道子さんの庭。150坪に150株のバラが育つ、すり鉢状の土地での庭づくりをご紹介します。

Print Friendly, PDF & Email

里山のバラ咲くガーデンを訪問

今回ご紹介するのは、私と同じ千葉県在住で、我が家からは少し離れた里山にガーデンをつくっている山本道子さんの庭です。千葉県北東部の私の自宅からは高速で1時間半ほど。下道をのんびり走ると3時間近くもかかる場所です。コロナ禍の様子を伺いつつ、今年もバラが一番美しい5月の中旬に何度目かの訪問をさせていただきました。

ガーデン
駐車場からガーデンへ続くエントランスの様子。ガーデンシェッドの裏側の壁面に‘マニントン・モーヴ・ランブラー’や‘ブルー・ランブラー’ ‘ビオレット’などを誘引し、ガーデン雑貨で飾った、この先に待っている楽しさを予感させるシーン。

道子さんのご自宅の敷地は約150坪。頻繁に通っていたゴルフ場に近く、都内にもそれほど遠くない点が気に入って、この地に移住。2013年から庭をつくり始めました。

庭の構造物はすべて夫婦でDIY

ガーデンシェッド
ガーデンシェッドを庭の中から眺めて。左右に立つ高い2本のポールは、大きなクヌギの落ち葉などを避けるためのタープ設置用に、今年DIYしたもの。

ガーデンシェッドやシンク、モルタル小屋、バードフィーダーに至るまで、庭にある構築物は、すべてご夫婦でDIYしたものです。

それらは、どれも道子さんが設計してペイントを手伝い、ご主人が形にしていきます。

ガーデンDIY
初期の頃にDIYしたガーデンシンク。シンクの左は収納庫で、下に車輪がついていて引き出せる、使い勝手のよい構造です。頭上に咲いているバラは‘シティー・オブ・ヨーク’と‘ローゼンドルフ・シュパリースホープ’。

道子さんの注文はいつも厳しく、何度もやり直しということもよくあるそうですが、仕上がれば、庭に来てくださる皆さんからの評判がとてもいいのです。それは、ご主人のやる気につながることからも妥協はしたくないと言う道子さんは「ダメだし担当」でもあります。

バードフィーダー
アルザス地方に旅した時に見たコロンバージュ(木組み)の家をモデルにして作ったバードフィーダー。飾りに多肉を植え込んで。

毎年のように新しいDIYに挑戦するお2人ですが、まだまだ作りたいものがたくさんあります。
ガーデンDIY

上写真は、2018年にバラの季節になんとか間に合うようにと作ったモルタル小屋です。

大きな構造物で、隣家との目隠しと収納を兼ねています。この小屋作りに合わせて、横のエリアもバラの花壇に作り替えました。

屋根の上方や周りを‘マダム・アルディ’や‘フェリシテ・エ・ペルペチュ’ ‘キャサリン・モーレー’などのバラが飾ります。

敷地の条件に合わせて植栽も試行錯誤

ガーデニング
丘の上方から見た庭の一部。比較的日当たりのよい中央部分は芝生を植え、周りを構築物や植物で囲む、すり鉢状のガーデンです。

道子さんの庭は小高い丘の麓付近に位置し、東側には隣家の擁壁があり、クヌギの大木や家屋などで周囲が囲まれています。そのため、朝日が当たり始めるのが遅いうえ、西日も当たらないという、意外と日当たりには恵まれない場所。

ガーデニング
クヌギの大木の下にあたる日陰の植栽は、ホスタやヤマアジサイなどを、葉がきれいに見えるよう組み合わせています。

もともと「泉」という漢字が地名についていることからも分かるように、周辺地域には井戸も多く、湿り気のある土地です。同時に、斜面の造成部分にあたるガーデンは逆に水はけがよすぎたりと、エリアごとに条件が大きく異なります。この複雑な土地にうまく育つ植物を見つけるために、同じ植物を分散して育ててみたりと、試行錯誤を繰り返しています。

ガーデニング
左手のクリーム色の壁がご自宅。写真の中央に咲いているバラの奥にある階段を上ると、丘の上の道路に出ます。

バラ好きが止まらずバラを育てて20年以上

バラ
丹精するバラたち。左/‘ジュビリー・セレブレーション’ 右/‘シスター・エリザベス’。

バラ好きになったのは、都内のマンションに住んでいた2000年頃。隣の奥さんが庭をつくっていたのでお邪魔してみると、とっても美しいバラがたくさん咲いていたのです。それらがイングリッシュローズだと初めて知った道子さんは、なかでも‘キャサリン・モーリー’の美しさに驚かされました。それから、苗を輸入してもらうなどして育て始めましたが、もっとバラを欲しくなり、探し出したナーセリーの「村田ばら園」さんを訪ねます。そこで品種を選んでもらったのがきっかけで、オールドローズも育てるようになりました。

バラ
左/‘ファンタン・ラトゥール’ 右/‘リベルラ’。

「この庭の、あまり日当たりがよすぎないところは、イギリス生まれのバラであるイングリッシュローズや、オールドローズの性質には向いている気がします。

今の庭では全部で150株ほどのバラを育てていますが、その内、つるバラ系が70株近くあるので、冬の誘引は2カ月くらいかかることも。なので、作業は11月末からとりかかっています」

DIYした構造物にもバラが優雅に絡む山本邸ですから、冬場の誘引も手が届かない場所は、脚立とご主人の出番。そこはもちろん、道子さんの指導つきだそうです(笑)。

バラ
左/‘トッタリング・バイ・ジェントリー’ 右/ロサ・カニナ。
バラ
左/‘アリスター・ステラ・グレイ’ 右/‘カーディナル・ドゥ・リシュリュー’。

トライ&エラーを繰り返して、まだまだ発展途上の庭づくり

ウェルカムフラワー
ウェルカムフラワーをあちこちに飾って。

このガーデンをつくり始めて10年目で、生き物はなんでも好き! 草も花も動物も! と言う道子さん。「これからのガーデンをどうするつもりですか?」と聞いたら、自分がそうであるように、「老後に備えてお手入れを楽にしたいと思います」という答えが返ってくるのを予想していた私。

ガーデンシェッドとバラ
ガーデンシェッドの屋根から降り注ぐように咲く‘マニントン・モーヴ・ランブラー’。

でも「先日の北海道への花旅でたくさんの刺激を受けて。あれもこれも、したいことがいっぱいで」と楽しそうに話す道子さんを見て、そんな愚問はしないことにしました(笑)。

これだけの庭を10年でつくり上げて「まだまだ発展途上だから、トライ&エラーを繰り返しながら頑張るわ」というひたむきな心を、私も見習いたいと思います。

ガーデンシェッド
ガーデンシェッドにも彩りを添える‘マニントン・モーヴ・ランブラー’の誘引も美しく見事な仕上がり。毎年ちょうど見頃のタイミングに庭を訪問させていただけることは、私の楽しみの一つでもあります。

Credit

写真・文/橋本景子
千葉県流山市在住。ガーデングユニットNoraの一人として毎年5月にオープンガーデンを開催中。趣味は、そこに庭があると聞くと北海道から沖縄まで足を運び、自分の目で素敵な庭を発見すること。アメブロ公式ブロガーであり、雑誌『Garden Diary』にて連載中。インスタグラムでのフォロワーも5.2万人に。大好きなDIYで狭い敷地を生かした庭をどうつくろうかと日々奮闘中。花より枯れたリーフの美しさに萌える。
Noraレポート https://ameblo.jp/kay1219/
インスタグラム kay_hashimoto
Youtube「山本道子さんの庭紹介」 https://www.youtube.com/watch?v=nWYdMTqBOtI

山本道子さんのインスタグラム bara4236921

Print Friendly, PDF & Email

人気の記事

連載・特集

GardenStoryを
フォローする

ビギナーさん向け!基本のHOW TO