これまで長年、素敵な庭があると聞けばカメラを抱えて、北へ南へ出向いてきたカメラマンの今井秀治さん。カメラを向ける対象は、公共の庭から個人の庭、珍しい植物まで、全国各地でさまざまな感動の一瞬を捉えてきました。そんな今井カメラマンがお届けするガーデン訪問記。第34回は、愛知県日進市でバラを中心に育てながらナチュラルスタイルのガーデンも手作りする牧勝美さんの庭をご紹介します。

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庭を会場にした写真講座を開催

ガーデン
右に隣接する駐車場を隠すように立つレンガの柱とグラスのホルデューム・ジュバタムが美しいボーダー花壇。2021年5月撮影。

僕がはじめて牧さんにお会いしたのは2012年12月、名古屋在住の友人の紹介で牧さんのお宅で写真講座をさせていただいた時になります。

その当時は、写真講座をよくやっていましたが、ほとんどの開催が東京中心。たまに大阪で開催したこともありましたが、名古屋周辺での写真講座は初めてでした。

名古屋周辺はコッツウォルドストーンやテラコッタなどガーデン資材を輸入してお庭をつくっている職人さんもたくさんいらっしゃるし、岐阜の「花フェスタ記念公園」も近隣にあるので、ガーデニング熱の高い地域だということは聞いていました。

イングリッシュローズ‘ジ・オルブライトン・ランブラー’
つるバラとしてもとても優秀なイングリッシュローズ‘ジ・オルブライトン・ランブラー’。2021年5月撮影。

写真講座の当日もガーデニング関係の仕事をされている方や、フェイスブックのお友達など多くの方が来てくださり、賑やかな写真講座となりました。開催日は12月でしたから、翌年のオープンガーデンに改めてお邪魔することを牧さんに約束し、その日は帰りました。

庭の最盛期に初訪問

ガーデン通路
ナチュラルガーデンから‘芽衣’が咲くエリアを繋ぐ通路もしっかりガーデニングされていた。2021年5月撮影。

翌年のオープンガーデンに伺って、バラ咲く牧さんの素晴らしい庭を拝見して以降、この地域周辺に来た際には必ずお邪魔させていただくようになりました。

そして、2016年の5月末、花フェスタ記念公園でいつものようにバラの撮影をしていて、日も暮れてきたから、そろそろホテルに帰ろうかと思っていた時のこと。偶然、産経メディックス『New Roses』編集長の玉置一裕さんと「花ごころ」の村田高広さんにお会いして、夕食に誘っていただきました。

可見市のイタリアンレストランでの食事中の話題は、もちろんバラです。最新のバラの話に盛り上がっているなかで、玉置さんに「今度『New Roses』でお庭の実例紹介のページはいかがですか?」と聞いてみたところ、それは面白いと気に入っていただき、翌年の春に撮影をして秋号で掲載という約束をいただきました。

撮影したいのは、ニューローズの咲く庭

フレンチローズ
この咲き過ぎくらいのタイミングが、フレンチローズだと不思議と可愛いと感じる。2017年5月撮影。

『New Roses』での仕事は、これが初めてになりますから、気合を入れて取材に伺うお庭を考えてみるものの……。僕の得意なバラはオールドローズですから、オールドローズが咲く美しい庭ならすぐに頭に浮かぶのですが、玉置さんからの条件はただ一つ「ニューローズの咲くお庭でお願いします」だったのです。

セリンセとフェンス
ナチュラルガーデンの一角、アイアンフェンスとセリンセの組み合わせにセンスのよさを感じた。2021年5月撮影。

『New Roses』を開きながら「これらのバラが咲いているお庭は?」と考えてみてもすぐには思いつきません。自分で考えても分からないなら誰かに聞くしかありません。ニューローズというと「バラの家」の木村卓功さんの「ロサオリエンティス」、「河本バラ園」、花ごころのフレンチローズの「デルバール」が咲くような庭を探せばいいかなと思い至って、早速フェイスブックで繋がっている友達に連絡をとってみることにしました。

「ビアンヴィニュ」
ブルーの扉の前で咲き誇る‘ビアンヴニュ’が可愛い。2017年5月撮影。

予想通り「ロサオリエンティス」が咲く庭は千葉にあり、河本純子さんのバラが咲いているというのは以前Garden Storyにも登場していただいた内田美佐江さんの庭、そして「デルバール」のバラが咲くであろう庭は、名古屋で2軒がすぐ浮上し、そのうちの1軒が牧さんのお庭でした。

バラの最盛期に合わせて訪問

ビバーナムの咲くガーデン
庭のフォーカルポイントとして小さな家をバックに手前には、ビバーナムが美しく咲き誇る。2021年5月撮影。

名古屋周辺のバラの撮影は、例年ですと5月20日前後です。この年も、2週間前から牧さんにバラの開花状況を確認しながら、2017年5月24日の午後3時にお庭に到着。天候は晴れ。以前は納屋だったという外壁が黒く塗られた可愛い小屋を一面に覆い咲く「小松バラ園」作出の‘芽衣’と「デルバール」の‘ビアンヴニュ’、そして、大小のピンクのバラが目に飛び込んできました。

コテージのバラ
可愛いコテージにつるバラ‘芽衣’が圧倒的なパフォーマンスを見せている。2017年5月撮影。

小屋の手前にはグラスが風になびき、宿根草がさまざまに咲いていますから、僕はただこの絵になる小屋の真正面に立って、夕方の優しい光になるのを待てばよいだけでした。5時過ぎ、斜めからの優しい光が差し込んできてピンクのバラが輝き出したので、三脚にカメラをセットして撮影を開始。ゆっくり光の変化を確認しながら30分後には撮影を終了しました。その後、敷地の奥にある、以前は家族の畑だったというエリアをナチュラルな宿根草の庭に変える計画話をうかがって、その庭が完成したらまた撮影させてくださいねと約束して帰りました。

新エリアのナチュラルガーデンの成長

ガーデンのバードハウス
つくってまもない初々しさが残るナチュラルガーデン。バードハウスや、木製のオベリスクはブルーにペイントされてアクセントになっている。2019年5月撮影

2019年5月17日には、約束の出来立てのナチュラルガーデンを撮影してGARDEN STORYにいち早く載せようと思ったものの、牧さんのお庭が何と同年に開催されたGARDEN STORYのバラのフォトコンテストで編集長賞を受賞したことから掲載時期の調整に続けてコロナ渦が重なったため、今年2021年の5月8日に改めて撮影に伺うことができました。

3連のノイバラのアーチ
3連のノイバラのアーチの向こうに見えるフォーカルポイントの鏡がおしゃれ。2021年5月撮影。

2019年の庭はまだ初々しい宿根草の庭でしたが、今年は、よりナチュラルな植栽に変わって、おしゃれ度も増した素敵なお庭になっていました。撮影時期が延期されましたが、改めて撮影に行くことができよかったと、つくづく思いました。

ガーデンの鏡
フォーカルポイントにアンティーク調の鏡というアイデアが素晴らしい。2021年5月撮影。

牧さんの庭のご紹介動画もぜひご覧ください。

Credit


写真&文/今井秀治
バラ写真家。開花に合わせて全国各地を飛び回り、バラが最も美しい姿に咲くときを素直にとらえて表現。庭園撮影、クレマチス、クリスマスローズ撮影など園芸雑誌を中心に活躍。主婦の友社から毎年発売する『ローズカレンダー』も好評。

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