天然のパラソルを作ろう! 木陰も実りも楽しめる果樹のパラソルツリー
日本でも一番ゆっくり春が訪れる北海道の集落のはずれで、家族とともに森を育み、庭づくりをする山崎亮子さん。長い月日をかけて育ててきた庭は、山崎さんをやさしく包み、いつも希望を与えてくれます。「庭には人を前向きにさせる力がある」と、小さな森の中でガーデニングを楽しみ続ける山崎さんからの庭便り。果樹を可愛く仕立てる「パラソルツリー」の作り方をご紹介します。
目次
管理がラクな果樹のパラソル仕立て
我が家には、木陰が心地よい小さな果樹が数本育っています。高さと幅はおよそ180cm。花や実を楽しむのはもちろん、枝葉を伸ばす木がまるでパラソルのように直射を遮りつつ、木漏れ日まで楽しめる。そう、名付けて「パラソルツリー」。住宅地でも育てられる存在感十分の生きたパラソルを育ててみませんか?
この仕立てにすることで、枝葉に日光がまんべんなく当たり、株が元気に育ちます。そして、樹高180cm程度に低く抑えているので梯子いらず。隅々まで手が届きます。慣れると管理が楽ちんですよ。大きく育った今ある庭木でも、夏剪定の方法次第で木陰を楽しむパラソルに仕立て直せます。ぜひトライしてみてください。
パラソル仕立てに向く木の種類
大きく育ち剪定を必要とするバラ科の果樹であればパラソル仕立てが可能です。我が家では、スモモとミニリンゴの「アルプス乙女」をパラソル仕立てにしています。
ハナカイドウやウメもパラソルに仕立てることが可能な花木です。近年は品種改良も進んだことで、我が家のような寒冷地でも、暖地でも育つ樹種がいろいろ選べるようになっていますよ。ぜひ、調べてみてください。
パラソル仕立ての樹木の植え付けの時期と準備
土作りが、その後の成長を左右します。まずは、直径50cmほどのできるだけ深い穴を掘って、掘り上げた土に完熟堆肥をタップリ混ぜておきましょう。土がフカフカになり根がよく張って、すくすく育ちます。
一般的な植え付け適期は、通信販売で多くの苗が購入できる秋から3月頃。ですが、私の暮らす北海道夕張郡は凍結のため5月が適期です。こうしてみると、日本の気候は多様ですね。 地元のホームセンターに苗が並び始める時期が、お住まいの地域の植え付け適期である場合が多いようです。参考にするといいですよ。
パラソル仕立ての方法
【手順1】 植え付けた翌年の早春に、枝を1本残して切ります。残した枝をパラソルにしたい高さに切ります(長尺苗の場合、この段階は飛ばします)。
【手順2】7月初めに伸びた枝を3本残して切ります。その後さらに伸びてくる脇芽は見つけ次第手で折るか、翌年早春に剪定します。
【手順3】 残した枝に重りを吊り下げることで、枝先を下げます。初夏に内側に伸びた枝や多すぎる枝を切り、長すぎる枝先を切り詰めます。
パラソル仕立ての3~4年目以降の育て方
待ちに待ったパラソル状に仕立てることができたら、枝数や花や実が年々増えていきます。4~5年目には木陰の下でくつろげるようになりますよ。
剪定は「要らない枝を初夏に切る」「伸ばしたい枝に重りを下げる」を繰り返します。太くなった枝を切る場合、まだ寒い早春(冬)に行いましょう。
枝を下げるための重り選びの楽しみ
私は100円ショップの持ち手つきの小さな瓶を重りとして愛用中です。中にビー玉などを入れると重くなって、太く育った枝もたわめることができて実用的。
瓶の重りの使い方は、持ち手に紐を結び木に引っかけるだけ。とっても簡単です。瓶のほか、地面に置いたレンガに紐をかけて枝を下ろす方法もあります。人間が引っ掛からないよう、目印としてフラッグなどのアクセサリーを付けると可愛いですよ。
重りを吊す楽しみ方は、きっと無限大です。
剪定で今ある樹木を小さなパラソルに
今庭に育っている大きくなった庭木も、切り戻すことでパラソルにできます。
その手順は、初夏にほどよい位置で伸びてきた新枝に瓶などの重りを付けて枝先を下げておき、早春(寒冷地)もしくは冬(暖地)に、その新枝の上の部分を切り落とします。切り戻すと枝がたくさん出てくるので、すぐにこんもり茂ってきますよ。
年数が経った大木の場合、大胆に切り戻すとダメージが大きいので、何段階かに分け、数年かけて切り戻すと安心です。
パラソルツリーの根元に花壇を作る
苗木がパラソル状になるのは早くて3年目以降と気の長い話ですが、木の下を花壇として楽しめば、すぐ素敵な空間になりますし、花にあげる水や肥料が木にも届いてよく育ちます。
上は、我が家の木の下を参考に描いた図面です。
南側にお月様の形の花壇を、北側に椅子のコーナーを配しました。木の根元には根を傷めないよう、植えっぱなしにできるハーブを植えています(実際にもう15年、共存中です)。根元から離れた場所に宿根草や一年草を植えて楽しんでみるのはどうでしょうか?
パラソルツリーで果樹をいっぱい収穫!
充実した実を安定して収穫するためには、品種ごとにさらなるコツが必要ですが、成功すれば達成感はひとしお。ぜひチャレンジしてみてくださいね。
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