“日本で、いちばん屋上が好きな男”が提唱するのは生活を豊かにする「文化」としての屋上。天空とつながる開放的なスペースに置かれた家具はデザイン性に優れ、コンパクトにまとめられている。使い勝手や機能性はもちろん、洗練されたディテールが紡ぐ、暮らしを楽しむプライベートリゾートを作り出した。

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日常生活に屋上の楽しさを

写真/PASIO

アウトドアで得られる開放感や食事の楽しさを日常的に楽しんでほしい。それを商品化したのが屋上デザイン会社PASIOによる「COLORS」だ。

屋上緑化のメーカー勤務を経て、2015年1月にPASIOを創業した岡崎富夢氏は、「日本で、いちばん屋上が好きな男」だと話し、その原点は20歳代半ばにリゾートホテルで感動した体験に基づいている。屋外でくつろぐことは心と身体を癒し、食べ物もいっそう美味しく感じる。

これほど感動的で素晴らしい体験なのに、言葉では伝わらないもどかしさ。
それを住まいで再現して、新しいライフスタイルとして定着させたい、そんな想いがCOLORSには込められている。

3つのソフトによるゾーニング

写真/PASIO

COLORSのコンセプトは、「絵になり、眺めて美しいこと」「頻繁に使えるように便利で簡単なこと」「適正価格で提供すること」の3点。
これらを実現するためのポイントは、屋上空間というハードに、家具というソフトを加えた3つのゾーニングにある。

「屋上をただつくっても、実際はあまり使われないんですよね。ところが、家具やしつらえでゾーニングすると、機能的で“使える”空間に様変わりするんです」

写真は、日中の明るい陽射しに照らされたダイニング。開放的な場所で過ごす時間は、心と身体を癒してくれる。

COLORSのこだわりのゾーニングとは

図版/PASIO

 

ゾーニングは、

①キッチン&ダイニング
ロースタイルのダイニングセットに、手を洗ったり、ちょっとした調理に使えるシンクをセット。快適さと便利さを追求したかたち。

②ホームバー
テーブルとスツールのバーセット。ダイニングと高さを変えることで、また違った楽しみ方が生まれる。

③リラクゼーション
リクライニングチェアとサイドテーブルで、寝転がってリラックス。オプションにはスカイバス、照明器具、パラソルなどがあり、今後は開閉自在なシェードの新製品発売も予定されている。

好みに合わせてカラーパターンを選べる

写真/PASIO
写真提供/PASIO

デザイン性を追求した結果、バリの高級リゾートをイメージしたシンプルモダンにたどり着いた。

白を基調にした「COLORS white」の床タイルは、海外のリゾートホテルで使われている高級感のある白を再現。

一方、「COLORS black」は、ダークブラウンやネイビーなど、落ち着いた色合いでまとめている。

屋上の楽しみかたを追求して生まれた使いやすさ

写真/PASIO

ダイニングはロースタイルのソファとテーブルがセットになっている。
「床に座る生活になじんでいる日本人には、低いほうがくつろげます」

COLORSの家具類は、構造部材にはアルミ、主な素材に人工ラタンを使っている。
屋外用の耐候性や耐久性をクリアしているだけではなく、台風対策で床への固定金具までを備えている。

テーブルの中には、ボンベ式の2口バーナーがセットされているので、バーベキューもできる。水が使えるシンクが標準でセットされているのは、屋上で気軽に食事を楽しんでほしいからだ。

「バーナーを使うのはもちろん、私は炭で焚き火をするのも好きです。赤く燃える炭を眺めて飲むお酒は、格別です」

センターテーブルは、コンロや炭を使っても支障がないように設計されている。
これは、商品開発のコンセプトの2つ目に掲げた「使いやすさ」に考慮してのことである。

「非日常のキャンプとは違って、住まいでの暮らしは日常です。面倒くささを極力排除して、出しっぱなし置きっぱなしで大丈夫な仕様にしました」

ソファの脇は15㎝幅で、ちょっと腰かけたり、グラスを置いたり、単に座るだけではない使い方のバリエーションも想定したデザイン。
“屋上が大好き”で、“屋上の楽しみ方”を知り尽くした岡崎氏だからこそ生まれたアイデアと言えるだろう。

四季を通じて楽しむ 癒しの屋上ジャグジー

写真/PASIO

COLORSの最大の魅力はスカイバスを取り入れた屋上ジャグジーだろう。
日本人のライフスタイルにはまだなじみが薄いが、これこそが岡崎氏が提唱する“屋上ライフ”による癒やしの時間である。

同じ温泉でも、室内の風呂と露天風呂では心地よさがまったく異なることを考えると、星空の下のバスタイムは特別だ。

ジャグジーの三方をほどよく目隠しし、気候や気分によって天井シェードを付けたり外したり。
包まれる安心感と人目を避けるクローズ性、空の広さを感じつつ風が通り抜けるオープン性の共存。
この絶妙なバランスにより自宅の屋上が“プライベートリゾート”に生まれ変わる。
ジャグジー付きのスカイバスは湯温の調整ができ、四季を通じて楽しめる。
真夏はプール代わりに使うのもおすすめ。

多彩な床・壁の演出

写真/PASIO

床はゾーニングに合わせて、ダイニングのタイル、ホームバーのウッドデッキ、リラクゼーションの芝生の3種類だ。

「標準的な住まいで屋上の床面積は40 ㎡。
視野に入る広さとして捉えると、床のビジュアルの影響は意外と大きいんですよ」
ダイニングはタイルの上にラグを敷いて演出。芝生やラグは裸足で歩けるほどに柔らかい。

また、屋上の壁は特に指定をしていないが、心地よい空間を実現するため、高さ1600㎜くらいを推奨しているという。
屋上ゆえにフェンスなど開放的な設計を考えがちだが、外からの視線が気になるとやはり落ち着かない。
壁で“外界”と区切ればプライベート感が向上する。

現在、開閉式のシェードを開発中であり、今後は小雨の中での風景も楽しめるようになるだろう。期待したい。

床材に家具を留める金具は特許を取得済み。特殊な工具を使わずに家具を固定させることができ、台風対策になる。

 

感動の体験を適正価格で身近に・・・

写真/PASIO

COLORSのコンセプトの3つ目は適正価格による提供である。「見て楽しい、使って楽しい、ラグジュアリーテラス普及のためのコストダウンです」

屋根を施工するコストを差し引き、百数十万円の費用でCOLORSによる“感動の体験”と“今までにないライフスタイル”が手に入る。販売開始から約1年、月間40~50棟が施工されているCOLORSの5年後の目標は年間1万棟。「テラス先進国として東南アジアへの進出も視野に入れています」と岡崎氏は今後の展望を語る。

屋上の過ごし方をデザインしたPASIOの提案と適正価格により、より多くの人にとってラグジュアリーテラスが身近な空間になったといえるだろう。

 

引用元/『HomeGarden&EXTERIOR vol.3』より
写真・図版提供/PASIO

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