今年はStay Homeでガーデニングをスタートしたという人も多いようですが、「植栽はしたいけれど、場所が狭くて……」と、諦めてしまったらもったいない! 今回は、神奈川の自宅の庭で25年以上ガーデニングを楽しむベテランガーデナーの遠藤昭さんに、狭い植栽スペースでも見栄えがよくて、成長も楽しめる2つの植栽例を紹介していただきます。

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【実例1】我が家のフロントガーデンをリニューアル

フロントガーデン
リニューアル後。

我が家の玄関アプローチの横には、奥行き60cm、幅250cm程度の細長くて狭い植栽スペースがある。建売住宅で用意されていたこの花壇スペースには、当初から、シンボルツリーのシラカシとカルミヤ、沈丁花、コニファーなどが植わっていた。

そして、その樹木の隙間を利用して季節の花を楽しんでいたのだが、これが雑然としていた。長年、「なんとかしたいなぁ~」と思ってはいたものの、太く大きくなったシラカシやコニファーを伐採する勇気も湧かず、ズルズルと時が過ぎていった。

フロントガーデン
Before。

ところが、この4月からのコロナ禍に伴う外出自粛で在宅時間が長くなり、25年ぶりに庭の断捨離を始めた。作業が進めば進むほど、どうしてもこのコーナーをリニューアルしたくなって、やっと決断したのだ。だが、4月は春の草花のきれいな季節だし、5月はカルミアやミニバラなどが咲いていたので抜くわけにもいかず、草花が一段落した6月にいよいよ決行した。

オージープランツのコレクションガーデン

オージープランツ

私は常々「ガーデニングとは個性と創造性の表現」と思っている。狭いスペースだが、今回のリニューアルは、実際に自分の好みの植物を取り揃え、ゼロからその思いを実現させる絶好の機会となった。

そして、長年、鉢植えで大切に育てていた僕の好きな植物たちの中で、この場所に植えられそうなオージープランツや、シャープな剣葉系の植物やセダムを頭に浮かべ、個性的で創造性に満ちた植栽構想を描いた。こうした想像する過程が楽しい。「アレも植えたい、コレも植えたい」と願望と空想は膨らむが、現実のスペースは限られている。

そこで、場所を取らない個性的なオージープランツと剣葉系の植物でまとめることにした。

センターを務めるのはグレヴィレア

グレヴィレア‘ロビンゴードン’
グレヴィレア‘ロビンゴードン’

まずは、我が家の看板娘的な存在の一つ、オーストラリア原産のグレビレア‘ロビンゴードン’を中央に配した。ロビンゴードンは、ほぼ年中、個性的な赤い花を咲かせてくれる異国情緒溢れる植物だ。白い壁に映えるだろうし、成長が比較的遅い低木なので、狭いスペースには向いている。何よりも、このロビンゴードンは25年前に庭づくりを始めた当初から育てていて、思い入れが強く、思い出もある樹木なのだ。それ故、僕にとっては、センターに植えるに相応しいのだ。

グレヴィレア‘ロビンゴードン’

●ロビンゴードンについて詳しくはこちら『春夏秋冬一年中咲く! 驚異の花木グレヴィレア‘ロビンゴードン’

名脇役には、コルディリネをセレクト

コルディリネ
次に、僕の好きなコルディリネ2種。左は‘レッド・スター’、右は‘トーベイダズラー’。

最近流行してしまってどこにでもあるので、ちょっと抵抗はあったが、僕の庭づくりには欠かせない植物だ。ガーデニングを始めた25年前は、緑の葉の、いわゆる「ニオイシュロラン」はあったが、銅葉は珍しく、この‘レッドスター’=Cordyline australis ‘Redstar’は、オーストラリアから種子を輸入して育ててきた株だ。大きくなったので、一度切り詰めて3本仕立てにした。もう1株の斑入りのコルディリネ‘トーベイダズラー’=Cordyline australis ‘Torbay Dazzler’は、数年前に入手したモノ。この2株をグレビレアの両サイドに配置した。やはり、コルディリネのシャープな姿は、雰囲気を引き締めてくれる。

●コルディリネについて詳しくはこちら『スタイリッシュな庭づくりに必須「コルディリネ・オーストラリス」

スタイリッシュな植栽に欠かせないニューサイラン

ニューサイラン
左上から時計回りに、‘レインボーサンライズ’(Phormium ‘Rainbow Sunrise’)、‘レインボークィーン’(Phormium ‘Rainbow queen’)、‘バリエガータ’(Phormium tenax ‘Variegatum’)、‘プルプレア’(Phormium tenax ‘Purpureum’)。

次に選んだのは、数鉢育てていたニューサイランだ。全体のバランスを考えて、4種5株ほど植えた。ニューサイランもコルディリネ同様にニュージーランドの原産の植物で、メルボルンの住宅街でよく見かけた思い出の植物だ。ニューサイランは、コルディリネと同じスタイリッシュな植栽には欠かせない。

なお、コルディリネは木(木本)で背が高くなり、ニューサイランは草(草本)なので幹は伸びない。ニューサイランも最近は人気だが、コルディリネと合わせて7株使用した。25年前は、まだ日本では珍しく通販などでしか入手できなかった。最近は、どこでも見かけるようになり、時代の変化を感じる。

ニューサイランとコルディリネ
手前がニューサイラン‘レインボークィーン’、後方がニューサイラン‘バリエガータ’。

●ニューサイランについて詳しくはこちら『「ニューサイラン」スタイリッシュな植栽に不可欠な葉物

目を惹きつけるカンガルーポー

カンガルーポー

さて、次にご紹介するのは、ちょうど開花期を迎えたオージープランツのカンガルーポーだ。いかにもオーストラリアらしい花だ。切り花や鉢植えでは見かけるが、植栽に使用されているのは見かけることはない。やはり珍しい植物は人目を引き、興味を誘う。植栽でスタイリッシュな雰囲気を出すには、「なんだろう?」と思わせる植物を入れるのも一つの手法だ。

●カンガルーポーについて詳しくはこちら『ダンディーな花が咲く宿根草「カンガルーポー」

前列に選んだ草丈が低い剣葉系

上から、ユッカ・アロイフォリア(Yucca aloifolia)、アガベ‘滝の白糸’、ユッカ・ロストラータ(Yucca rostrata)。

こうして骨格がほぼ固まった。次は、ユッカ・アロイフォリア、アガベ‘滝の白糸’、ユッカ・ロストラータの背の低い剣葉系3株を前列にずらりと並べた。植栽スペースには、この3株しか植えられなかったが、すぐ横にある数段高い場所に大型のアガベ・ベネズエラの鉢を置いた。

アガベ・ベネズエラ
アガベ・ベネズエラ

●アガベ・ベネズエラについて詳しくはこちら『アガベ奇跡の開花! ニュースでも話題になった貴重な2種の花を公開

成長後を期待した植栽をプラス

ジャカランダ
ジャカランダ

以上で、ほぼスペースは埋まったのだが、あまりにツンツンの剣葉系が多く、潤い感がないのと、上の空間が遊んでいるので、将来、その高い位置に空いた場所を満たしてくれるであろう、僕の好きなジャカランダ、グレヴィレア‘ムーンライト’、メラレウカ‘レボリューションゴールド’、そしてリューカデンドロンを植えた。完成時には花が終わってしまったが、来年の5月には華やかに咲いてくれるはずだ。

リューカデンドロン
リューカデンドロン
グレヴィレア・ムーンライト
グレヴィレア‘ムーンライト’
メラレウカ‘レボリューションゴールド’
メラレウカ‘レボリューションゴールド’

仕上げのグラウンドカバー

グラウンドカバー
左から、メキシコマンネングサ、斑入り丸葉マンネングサ、セダム・フォレステリナム。

最後に、グラウンドカバーにセダムを使用し、アクセントに伊勢ゴロタ石を配置した。

狭い植栽スペースだったが、自分が好きで育ててきた植物だけでつくった植栽には、思い出もいっぱい詰まっていて、自己満足だが惚れ惚れする。

フロントガーデン

人それぞれに好みは異なるので、自分の庭は自分の好きな植物を育てるのが一番だ。狭いスペースだと諦めないで、狭いからこそ、好きな植物だけで植栽を楽しんでみませんか? コロナ禍の外出自粛が、思いもよらず与えてくれた、庭のリニューアルの機会でした。

【実例2】テナントビル前の狭い植栽

ちょうど我が家の庭の断捨離をして、玄関前の植栽リニューアルをやりかけていた頃に、ガーデンストーリーの私のレポート『スタイリッシュな庭づくりに必須「コルディリネ・オーストラリス』を読んだという方から、「小さなスペースだが、コルディリネを使用した、スタイリッシュな植栽をしてもらえないか?」という相談を受けた。聞けば、スペースは60cm×2mと言う。そう、先にご紹介した我が家とほぼ同じスペースだ。得意分野だし、面白そうな仕事だったので、引き受けることにした。

コルディリネは、銅葉のレッドスターと斑入りのトーベイダズラー

ご希望のコルディリネは、銅葉の‘レッドスター’と斑入りの‘トーベイダズラー’をメインに使用し、奥にグレヴィレア‘ココナッツアイス’を植えることにした。

ブルーファンフラワーと黄色いガサニア

また、場所柄、明るく目立つように、青い花と黄色い花を使用してほしいという要望があり、2株のコルディリネの周りに、ブルーファンフラワーを配した。そして、カンガルーポーを3色、赤花、ピンク花、黄花の3株を植えた。

カンガルーポー
小さな花壇の植栽
花壇の周りには薄手の枕木(厚さ7cm)で縁取りし、グラウンドカバーにセダムを。

狭いスペースだが、コルディリネの放物線を描くような葉が広がり感を与え、スタイリッシュな植栽ができ上がった。

小さな庭の植栽

大勢の方が行き交うテナントビルなので、それぞれの植物には名札を付けた。少しでも、人々がオージープランツに興味を持ってくれたら嬉しい。

そして施主様には「想像をはるかに超えた素晴らしいものができた」と喜んでいただけた。

狭い場所だからこそ、それぞれの植物が引き立つのだと思う。

Credit


写真&文/遠藤 昭
「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。
30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。
ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/

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