【園芸歴25年の庭】Alex’s gardenのバーチャルオープンガーデン
5月は樹木の新芽が出揃い、宿根草が葉を広げ、バラが咲いて、一年で一番庭が華やぐ季節です。2020年は、Stay Homeで各地のガーデン散策も自粛される中、自宅の庭を公開する「バーチャルオープンガーデン」を開催した、神奈川の自宅の庭で長年ガーデニングを楽しむベテランガーデナーの遠藤昭さん。家の周囲で育てているバラや宿根草、果樹やオージープランツなど、5月中旬の庭に育つ植物たちを隅々までご紹介します。動画も併せてご覧ください。
目次
オープンガーデン開催のご挨拶
オープンガーデンの季節ですが、今年は東京近辺ではStay Homeの生活が長引き、そのほとんどが中止となりました。オープンガーデンのシーズンを心待ちにしていた愛好家にとっては、本当に残念なコロナ騒ぎです。
我が家では、以前オープンガーデンを実施したことがありますが、ご近所迷惑などの懸念があったことから、一度限りで断念しました。
しかし、今年はStay Home。きっとオープンガーデン愛好家の皆さんはがっかりされているだろうと考えたとき、ふとバーチャル・オープンガーデンなら私にもできるかもと思い立ち、この記事に着手しています。
特に準備もなく、普段のままのAlex’s Gardenですが、皆さんもStay Homeの普段着で、画面越しにオープンガーデンをお楽しみください。5月中旬に撮影した写真で、ご案内いたします。
25年の庭の歴史を振り返って
我が家の庭は20坪程度ですが、つくり始めて25年ほど。欲張ってオージープランツを中心に、いろいろな植物を育ててきました。しかし、10年目の2005年頃をピークに、仕事も忙しく、手間のかかるオージープランツは自然淘汰で消滅。現在は横浜の気候に適応した植物だけが残っています。
特に、サラリーマン卒業後の10年間は、趣味のガーデニングを生かして植物園勤務などをしていたため、仕事で植物と触れ合う時間が長く、つい自宅での庭仕事は、もううんざり! となっていました。まさに「紺屋の白袴」の如くジャングル状態。そして、今年3月で植物園の仕事を辞め、これからは旅行などいろいろと楽しもうと思っていた矢先のStay Home。しかし、それが庭を整理するにはちょうどよい機会となって、4月からは樹齢25年以上のユーカリやシラカシを伐採するなど、流行の断捨離を庭で進行中です。
まだ整理中ではありますが、ご案内します。
敷地の外側のあらゆる場所に植物が育っています
まずは、家の外からです。公道から数メートル高い位置に住まいがあり、外側には擁壁があります。その擁壁と歩道との間にあるほんの数十センチのコンクリート面も、植栽スペースとして活用しています。
最近、コンクリートのコンテナに植えてあった夾竹桃の木を伐採・伐根し、代わりに多肉植物の寄せ植えに作り替えました。
寄せ植えに使った植物は、(写真/上下とも左から右に)十二の巻、カンガルーポー2色、黒法師、笹の雪、滝の白糸です。
擁壁には、上からクレマチスのアーマンディや斑入りツルハナナスを垂らしています。ツルハナナスは3月頃から12月頃まで連続的に開花します。
この隅にも、ほんの少しコンクリートが剥がれている場所にユーカリを植えています。庭にも数本あったのですが、樹齢25年近くなり、大きくなりすぎたので、少しずつ処分してきたら、残るはこの1本だけとなりました。
階段を上りながら、左右の植物をご紹介します
階段を上って我が家の玄関に向かいます。ガレージの上にもプランターを置いてレンガで囲い、スペースを有効利用しています。
階段左手の植栽ボックスも、4月に樹齢25年以上のシラカシを伐採処分し、グレビレアやニューサイランに植え替えて、改造中です。
玄関左手には、妻が管理するホンの数坪のバラのコーナーがあります。5月中旬は、まさに花盛りでした。
アメリカハナミズキに取り付けた鳥小屋には、シジュウカラが毎年来るんですよ。
入り口のアーチには右側に‘コーネリア’を、左側には‘カーディナル・ヒューム’を絡めています。
アーチの向こう側から見た‘コーネリア’。クレマチスを一緒に誘引しています。
‘カーディナル・ヒューム’は半つる性です。このアーチに這わせるには、こぢんまりとして狭いスペースに適している品種をと思い、選びました。
デルフィニウムやジギタリスは、種子から育てたものです。
あ、こちらは愛犬のココちゃん。一緒に庭をご案内します。
このエリアの突き当たりには、以前はモッコウバラがあったのですが、暴れるので処分して(モッコウバラについてはこちらの記事でご紹介)、現在は‘ブラン・ピエール・ド・ロンサール’を育てています(写真左上)。フォーカルポイントには、ニューサイランの鉢植えを置いています。
玄関ポーチには寄せ植えと、冬は寒さに弱いストレリチアなどを置きますが、冬以外はいろいろ、置き換えています。今日は左にドドナエア、右にワイヤープランツを配置しました。
南側のメインガーデンへご案内します
以前はフェンスがあって、玄関前のアプローチからはアクセスできなかったのですが、フェンスを撤去したことで、行き来が楽になりました。
壁沿いに立てたフェンスに絡むのは、‘ロココ’です。
20年以上前に感動して購入した銅葉ネムノキも健在です。ちょうど新芽が伸びてきました。
少し先へ進むと突然、通路を妨げるのは、胞子から育てて25年にもなるオーストラリアの木生シダ、ディクソニアです。ちょうど新しい葉が伸びてきて新緑がきれいでしょ。背丈を越すほど巨大化してきたので、我が家では、そろそろ限界かもしれません。
これはリビングから見たディクソニアと、母が遺した‘クィーンエリザベス’。とても丈夫な品種です。
そして、ここでちょっと見上げてください。これが今、我が家で一番背の高い木、グレビレア‘ムーンライト’です。
枝先を見てください。カールした花びらが面白い、ブラシのような花がいっぱい咲いていますよ。
BBQをしながら、庭がある暮らしについてお話しします
ここで、手軽にオージーBBQにしましょうか。今年は夫婦でひっそりとですが、何度もBBQをして庭で過ごしました。ここへ引っ越してくる前、オーストラリアのメルボルン駐在中の夏は、ほぼ毎週、週末にはどこかでBBQをやっていましたよ。その習慣は今も変わりません。
あ、そこの大きく茂っている木は、そう、レモンですよ。樹齢は25年以上になりますが、毎年100個以上収穫できます。育ててみませんか? 育て方や楽しみ方は、こちらの記事でどうぞ。
その奥は、もうジャングルみたいでしょ。正面で葉を伸び広げているのは、巨大化したディクソニアです。その上に咲いている赤い花は、ボトルブラシです。
庭の素晴らしさは、やはり植物ありきと常々思っているので、あまりガーデンアクセサリーは飾らない主義なんです。でも、ダックスフントとクロコダイルがいるんですよ。
このダックスフントは、じつは靴の底にこびりついた泥落としで実用品なのです。
その右側が育苗コーナーです。挿し木苗なんかを育てています。上で満開なのは、ピンクボトルブラシですね。急な思いつきのオープンガーデンでしたから、普段のままで。私の庭はまぁ、こんな具合です。
突き当たりのディクソニアを背に振り返ると、こんな景色です。左の大きな葉はアカンサス・モリスです。
そうそう、いい機会ですから、2階からの景色もご紹介しておきましょう。いつもブログに定点観測でアップしている場所です。
高い場所に咲いている花も眺められますよ。
他の部屋から眺める庭景色もサービスしちゃおう。
それから、今年は庭のサザンカなども断捨離したので、その空いたスペースを生かして、トマトやスイカを植え、野菜作りに挑戦しています。庭づくりが25年になり、歳をとってライフスタイルも変わりました。これからは野菜作りも楽しみたいと思っています。
今回、長期間に及ぶ外出自粛で、この1カ月余りは今までになく庭で過ごす時間が多くなり、お陰で久々に趣味としてのガーデニングを楽しむことができました。また同時に、ガーデニングの趣味があって本当によかったと思います。振り返れば、この家での庭づくりも25年が経ち、木々も庭の主と同様に高齢化してきました。最近、僕自身も体力に衰えを感じています。Stay Homeが庭を見直すいい機会を与えてくれました。
オーストラリアでの楽しかった生活を再現しようと、25年前に育て始めたオージープランツ栽培ですが、ユーカリもグレビレアもディクソニアも、いつも僕に元気を与えてくれました。
突然思い立ったバーチャル・オープンガーデンでしたが、皆さんのほんのひと時の息抜きになれたなら光栄です。
●『Alex’s gardenのバーチャルオープンガーデン』は動画でもご覧いただけます。
Credit
写真&文/遠藤 昭
「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。
30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。
ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/
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