「私の庭・私の暮らし」庭のある人生を楽しみ尽くす愛知県・松原邸

花や緑に親しみ、季節感に溢れる暮らしを訪ねる「私の庭・私の暮らし」。SNSで全国のガーデニング仲間とつながりながら、自身も千葉の自宅でDIYと庭づくりを楽しむ橋本景子さんが、お気に入りの庭をご案内。今回は、庭づくり歴22年になる愛知県の松原成子さんのスタイリッシュな庭をご紹介します。
インスタグラムで再会して庭訪問が実現

私が松原成子さんのお庭の存在を知ったのは、10年以上も前。ホームページやブログがネット発信のツールとして人気で、ガーデニングも現在よりもっと盛んな時代でした。私も、自身のブログにガーデンの様子を綴ったり、全国各地のガーデンブログを読んだりして、たくさんのガーデナーさんと知り合いになって交流をしてきました。
そんな中、今回ご紹介する松原さんは、フルタイムでお仕事をされていて、週末ガーデナーとして更新されていたブログも、多忙でときどきお休みをされたり。しばらく更新されないページを見て、気にかけながらも連絡ができずにいました。そんなある日、インスタグラムを見ていたら、見覚えのある庭の写真がタイムラインに現れて、それを発見した時の嬉しかったこと!
その場ですぐにフォローして、「お久しぶりですが、覚えてらっしゃいますか?」とメッセージを入れたのでした。

懐かしい庭と、その庭主さんとの久しぶりの嬉しい再会。しかし、実際に松原さんのお庭訪問が叶ったのは、3年前のことです。インスタグラムで再会してから1年後、友人と庭巡りをしている旅の途中に、急に連絡を入れての突撃となりました(笑)。そして昨年2019年の春にも再びお邪魔することになったのです。
自分らしいガーデンデザインを目指して

松原さんのガーデン歴は22年になります。最初はマンションのベランダでパンジーを育てていた程度でしたが、一戸建てを買うことになり、「せっかくだからカッコいい庭にしたいな」と思っていたところ、喫茶店でたまたま見ていた雑誌にアンティークレンガを使った素敵な庭の施工会社が掲載されていました。それが地元、名古屋市内の会社だと知り、庭の骨格をつくってもらうことになりました。

90坪の土地のうち25坪ほどのスペースを占めるガーデンには、アンティークレンガがふんだんに使用されています。例えば、階段。上りながら植物が愛でられるようにと、緩やかにカーブするデザインを希望したところ、レンガをアールに積むのは、図面で見るよりもずっと難しい作業だと判明。職人さんが仕上がりのガイドとなるアールをベニヤ板で作り、そこにレンガを積んで仕上げてくれたそうです。
その頃、植物に関しては全くの無知だったと話す松原さん。「手がかからない植物」で、「白い花が好き」ということを伝え、大きな木を3株と、柏葉アジサイやアオキなど、メインの植栽もやってもらいました。

しかし、この22年の間に、その植栽も抜いては変えていきました。
「庭ができて嬉しくて、毎週のように園芸店をはしごして買っては植え、買っては植えのお決まりのコース。今まであらゆる植物を植えてはみましたが、3年ほど経った頃、これではいけないと気がつきました」
敷地は南向きではあるけれど、周りの建物が高いので日当たりがそれほどよくはなく、植物がうまく育たなかったのです。
庭をつくった頃にブームだったバラも、「デビッド・オースチン・ロージズ」のカタログをバイブルのように眺め、毎年のように買っては植えました。でも、なかなかうまく育たなかったり、咲かなかったり。ランブラーは樹勢が強いから大丈夫かな? と試してみたり。四季咲き性でなくても、一季咲きで十分だと思い直して植えてみたり……。
「そんな試行錯誤のバラ育てを経て、バラをメインにした庭をつくるのも、もう諦めました(笑)」
引き算と足し算を繰り返してベストを探る

そして、仕事を退職した3年ほど前からは、庭友のインスタグラムや掲載された雑誌を見ては、「あれ? うちってジャングル? これじゃダメじゃん」と思ったとか。それからは、生い茂る植物を減らして、広い空間を確保し、ガーデンファニチャーなどの配置換えも楽しんでいます。

レイアウトを変えてみて「去年より絶対いいわ〜」と思うのに、しばらく経つと、「やっぱり違うかも……」と元に戻したり(笑)。
雑貨のセレクトや使い方がとても上手な松原さん。そのコツを聞いてみると「インスタグラムや雑誌をチェックしたり、実際にショップに行ったりして取り入れるものを探しますが、メルヘンチックなものは選ばないで、素材も重厚なアイアンや石などの大人っぽいものを厳選しています」ということでした。



はじめの庭の骨格はプロにつくってもらいましたが、エアコンカバーや立水栓、雨戸隠しのシェルフなどは、松原さんがDIYしました。


自慢の小屋ができるまで

DIYで作ったものの中でも、一番の大物は小屋です。
駐車場にあった既製品の物置が気に入らなくて、小屋を作ろうと10年ほどどうしようか考え続けていました。退職したことで時間ができたので、物置の中身をすべて出し、物置を業者さんに引き取ってもらったことで、庭のつくり替えにはずみがついたと言います。


物置を撤去したら、ラッキーなことに、地面は完ぺきな水平でした。そこで、小屋作りの本を読んで勉強し、まずは土台を作ってみました。そして、次の週は床、その次の週は壁、そして屋根……と。ホームセンターで材料を買ってカットしてもらい、最後に扉を作ってフィニッシュ! ほとんど一人の作業で完成させました。

「途中、寸法を間違えたり、窓の場所を変更したりと、小さな回り道はありましたが、完成して大満足! 見るのも嫌だった物置が、自分で作った“見せたい”小屋に変わったことは、じつに楽しいものでした」
最初は心配していたご主人も感心するほどの出来栄えになりました。
庭の歴史を見守るコレクションのオーナメント

松原さんの「ワンダーデコール」のコレクションも必見です。
「車での移動の時は、家族を待たせても必ず立ち寄り、新幹線での遠征時には、新横浜で途中下車してでも寄ります。15年以上前のカタログも、今でも大切にしています。仕事で頑張った自分へのご褒美に、カタログから選んで通販で買ったことも数回あります」。

人生を豊かにしてくれる私の庭
「若い時は、週末何時間も費やし手間をかけていた庭でしたが、年と共に、植えっぱなしでもほったらかしでもよい植物を選ぶことを心がけています」という松原さん。庭を持ったことで世界が広がり、庭が人生を豊かにしてくれたと話します。

「庭を持ってすぐは、何でも植えようというガーデニング熱にかかり、ふと気がつけばジャングル化した庭。それを乗り越えてやっと到達したところは、珍しいものを植えるのではなく、普通一般にある、その土地に合った植物をいかに組み合わせるかでした」
庭と共に22年過ごしてきて、松原さんが出した結論に、「うんうん、本当にそうよね」と頷きつつ、お互いの庭の歴史を知っている昔からの庭仲間と再会でき、こうして訪問もできて記事が書けた私も、とても幸せだったと思うのでした。
松原さんのお庭をぐるりと一周ご案内する動画もお楽しみください。
Credit
写真・文/橋本景子
千葉県流山市在住。ガーデングユニットNoraの一人として毎年5月にオープンガーデンを開催中。趣味は、そこに庭があると聞くと北海道から沖縄まで足を運び、自分の目で素敵な庭を発見すること。アメブロ公式ブロガーであり、雑誌『Garden Diary』にて連載中。インスタグラムでのフォロワーも3.
Noraレポート https://ameblo.jp/kay1219/
インスタグラム kay_hashimoto
写真(*)/松原成子
松原成子さんのインスタグラム green.stage
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