『ガーデンダイアリー』誌でおなじみの人気連載「明田川奈穂美の行かなくちゃ!」ウェブ特別版をお届けします。年間100の庭を巡る自称「ガーデンストーカー」あけさんが今回、ご紹介するのは、神奈川県逗子市にある菊池邸。鎌倉時代から続く旧家の白く高い壁に囲まれた秘密の花園です。バラと草花が咲き乱れる菊池邸を、あけさんとご一緒にお楽しみください。

Print Friendly, PDF & Email

菊池邸に行きたいの

菊池邸のローズガーデン
菊池邸のローズガーデン。

こんにちは♪ 「あけ」こと明田川です。すっかり春めいて、ワクワクする季節になってきたね。今回ご紹介するのは、「ガーデンダイアリーVol.13」でもご紹介している逗子市の菊池邸です。本誌では書けなかったことや裏話付きのウェブ特別版を、一緒に菊池邸に遊びに行った気分で楽しんでもらえたらいいな。

最初に菊池邸のガーデンのことを知ったのは、バラ友達からの情報で、「逗子に河合伸志さんが監修した個人邸の庭がある」って聞いたの。横浜イングリッシュガーデンのスーパーバイザー河合さんが手がける庭は、バラと草花と樹木を、フォルムと色にこだわって組み合わせてあることで有名。植物の種類が多い分、その知識も必要だし管理も大変。それを個人の庭で? って思ったら、いてもたってもいられなくて、取材を申し込んじゃいました。

2階から見たガーデン。奥の壁面がホワイトガーデン
2階から見たガーデン。奥の壁際がホワイトガーデン。

フォトグラファーの「ふくちゃん」こと福岡将之さんと最初に菊池邸をお訪ねしたのは2016年の春。初めて菊池邸の前に立ったときには、2人で固まったわ。泣きそうになるくらいの大豪邸なんだもん。目の前にそびえたつロダンの地獄門のようなゲート。敷地は白い壁に囲まれていて、中の庭の様子もまったく分からない。「どうしよう、『お~ほほほほほほほ』って笑うようなマダムが出てきたら」とビビッていたら、迎えてくださった庭主の菊池恵美子さんは、写真とバラが好きな、とっても気さくな方でした。ホッ。

ダナエのアーチ
ダナエのアーチ。

菊池家は鎌倉時代から続く旧家です。東日本大震災をきっかけに、築90年になる家を建て替えることになって、恵美子さんは、「家は明るくモダンに。庭は、ただバラだけを栽培するんじゃなくて、自分の楽しめる空間にしよう」と思ったそうです。たとえば、ガラス張りのガーデンルーム。庭のバラや草花でアレンジメントを作ったり、庭を眺めながら過ごしたり。最高に楽しめる空間が実現されています。

白い壁の中に隠された秘密の花園

アーチのダナエ
アーチのダナエ

それでは、菊池邸のガーデンをご案内しまぁ~す。

門を入ると、広がる芝生の庭。そこには、「オーレ」って赤いバラが1株だけ。西側の壁沿いはホワイトガーデンになっていて、オベリスクに白いつるバラの「ジャクリーヌ デュ プレ」と「マリー キュリー」が交互に植えられています。

この芝生の庭の北側には外壁よりも低い壁があり、その奥がローズガーデンです。広い庭の中の植栽スペースは、約150坪。美しく管理された芝生を囲むように、バラ100株と花々が咲き乱れています。花色、葉色のコントラストも、さすがに河合伸志さんのデザイン、うっとりしちゃう。

「家を建て替える前には、200種類以上のバラを栽培していました。新しい家になって、バラと草花の庭をつくろうと決めたものの、どうしようかと思っていたときに、横浜イングリッシュガーデンに行き、河合伸志さんのデザインした茶系のバラとグラスを組み合わせた庭に衝撃を受けて、『こんな庭にしよう』って決めました。私の好きなバラを10株だけ残してもらい、あとの植栽は河合さんにお願いしました」と恵美子さん。

河合伸志さん作出のバラ「まほろば」
河合伸志さん作出のバラ「まほろば」。

で、この広い庭の管理は? 専属の庭師さんは? と思っていたら、「バラ栽培こそ10年の経験がありましたが、草花の管理に迷ったり、今までに見たことのない病気が発生したり、バラの消毒も草花をかき分けながらで、手間も時間もかかります。つるバラ以外のバラの剪定と水やりも自分でしています。こうして新しい庭と付き合いながら、バラや草花を新たに買い足して雰囲気を変えてみたりしていると、徐々に自分の庭になっていくのを感じます」と恵美子さん。

お見それいたしました! 河合さんにガーデンをつくってもらって、管理は庭師にお任せ、ではなくて、庭づくりで同じことを悩んだり苦労したりしてるんだもん。恵美子さんのこと、身近に感じて好きになっちゃいました。

河合伸志さん作出のバラ「ベルベティー トワイライト」
河合伸志さん作出のバラ「ベルベティー トワイライト」。

この日の取材は、ホント楽しかった。豪邸拝見みたいになって、ふくちゃんと一緒にお部屋を見学したり、屋上から海を眺めたり。3人でランチに行っておしゃべりしたり・・・・・・・・取材の仕事なのか、遊びに来たのか怪しいよね(笑)。まぁ~、あけの取材の場合、いつも、写真だけふくちゃんにお願いして、あとは遊んでいるようなものなんだけどね。

銅葉のカンナが庭をキュっと引き締めてるね。
銅葉のカンナが庭をキュッと引き締めてるね。

この日の取材は15時くらいに終了。だけど、あたし、菊池邸のお庭に未練を残しちゃったのよ。「夜は庭をライトアップしているの。夜のバラもいいのよ」という恵美子さんの一言が気になって、気になって、気になって。とはいえ、夜まで庭に居座るわけにもいかず、未練タラタラで帰路に着いたの。

ピンクのバラは「まほろば」。白いアグロステンマと。
ピンクのバラは「まほろば」。白いアグロステンマと。

でもね、執念深いあけですから、「絶対に見に来る」って、虎視眈々と機会を狙っていたのね。

1回目の取材の記事は「ガーデンダイアリーVol.8」で紹介していまぁ~す。

バラは、夕方はゴールドに輝いて、夜は妖艶にほほ笑む

ガーデンダイアリーでは毎号、「『庭の時間』を広げませんか?」って提案をしているの。年々、温暖化が進んじゃって、庭で過ごしやすい期間が短いでしょ、ガーデンの良い季節は過ごしやすい朝や夜まで庭を楽しんじゃおうって提案です。菊池邸にぴったりじゃん。ふふふふふふふふ、これをネタに菊池邸の夜の庭に潜入よ。

アル・カウンベンチはどこに置いても絵になるよね。
アル・カウンベンチはどこに置いても絵になるよね。

2度目の取材は2019年の初夏。「『庭の時間』を広げませんか?」の提案を応援してくださるタカショーさんから、助っ人が2人、来てくれましたぁ~。タカショーはガーデンテーブルやチェアなどの屋外家具や、ライトアップの製品を多数取り扱っているエクステリアメーカーです。眺めて美しいだけでなく、庭をより楽しく過ごしやすい空間にしようという今回の取材にご協力いただき、素敵なガーデングッズを持ってきてくれました。

今回来てくれたお2人は、ガーデンダイアリーが主催した、京成バラ園での「トワイライト ローズガーデン」のイベントから、あけの庭のライトアップまで、見事な手腕を見せてくれた「光の魔術師」橋爪広典さんと、ガーデンダイアリー担当の「働くお母さん」の江川知子さんです。フォトグラファーのふくちゃんとあけの4人で、菊池邸の取材です。

ソーラーファウンテン 天使と小鳥
ソーラーファウンテン 天使と小鳥

この日は天気も上々、バラは見事に満開です。3年前には、まだアーチを覆ってはいなかった「レイニー ブルー」が、見事にアーチをラベンダー色に染めていました。午後、トラックに資材を積んでタカショーさんが到着。若い2人が、テキパキと準備を進めてくれます。

ガーデンベンチやガーデンテーブルを庭に配置してみると、どこに置いても絵になるし、フォーカルポイントにもなる。ベンチやテーブルは、フォーカルポイントになるだけじゃなくて、そこに座って、お茶したり、ガーデンを眺めたりする機会を作り出してくれる、ってところもいいよね。

ふくちゃんが配置を指示して、橋爪さんと江川さんがせっせと働いているときに、あけはベンチに座って幸せな気分に浸ってた。サボってるわけじゃないのよ、ここで幸せな気分になるのを読者に伝えるため、だからね(笑)。

夕日にバラもファウンテンもキラキラします。 ソーラーファウンテン アクアフロー
夕日にバラもファウンテンもキラキラ輝きます。
ソーラーファウンテン アクアフロー

陽が傾いてくると、オレンジ色のバラが浮かび上がるように光って見えます。イングリッシュローズの「パット オースチン」があんまり綺麗だったから近づいてみたら、ファウンテンの水音がいい感じ。「バラと水の流れる音って似合うんだなぁ~」って思いながら、恵美子さんのお孫さんの朋ちゃんと水遊び。朋ちゃん、楽しそう。こんな素敵な庭で遊んでいたら、朋ちゃんはバラや植物が好きになるね。

ガーデンオクタゴナルテーブル ガーデンフォールディングアームチェアー 電池式ランタンライトL アンティークホワイト 電池式ランタンライトS アンティークホワイト ローボルト ストリング パーティーライト10球
ガーデンオクタゴナルテーブル
ガーデンフォールディングアームチェアー
電池式ランタンライトL アンティークホワイト
電池式ランタンライトS アンティークホワイト
ローボルト ストリング パーティーライト10球

夕暮れの時間は短くて、撮影も忙しくなってきます。椅子やテーブルを抱えて、タカショーの橋爪さんと江川さんが走ります。この↑の写真の木に設置されたローボルト ストリング パーティーライトはね、右側には木がなくて設置できないから、竿の先端にライトをくくりつけて、橋爪さんが支えてるの。さすが「光の魔術師」。だけど、支えるのが相当辛いらしく腕がプルプルしてる。時々、江川さんに代わってもらってるの。翌日は2人とも筋肉痛になってたと思う。橋爪さんは、京成バラ園の「トワイライト ローズガーデン」では、雨の中のライトの設置で凍死しそうになってたから、次からダイアリーの仕事は断られるかも(笑)。

風が吹くと、葉の影もゆらゆらと揺れます。
風が吹くと、葉の影もゆらゆらと揺れます。

そして、念願の夜のガーデン。妖艶で美しかったです。浮かび上がるような白いバラが、夜にはいっそう色っぽいの。「普段はひとりで楽しむ夜の庭だけれど、バラの季節には、友達を呼んで、ナイトローズパーティーを開きます」と恵美子さん。あたし、恵美子さんの家の子になりたい。

アル・カウン ベンチと赤いバラの「オーレ」
アル・カウン ベンチと赤いバラの「オーレ」。

撮影が終わったところで、みんな揃って、ガーデンルームで食事タイム。夜のライトアップされたバラの庭を見ながらの食事なんて、「この仕事していて良かったぁぁぁ~」。

庭の掃除をしたり、長時間の取材にお付き合いくださった菊池恵美子さん、可愛い笑顔を振りまいてくれた朋ちゃん、撮影のためにアレンジを作ってくださった恵美子さんのお友達の西尾規子さん、忙しく走り回ってくれたタカショーの橋爪広典さん、江川知子さん、ありがとうございました。バラの一日を余すことなく堪能いたしました。

ガーデンオクタゴナルテーブル ガーデンフォールディングアームチェアー 電池式ランタンライトL アンティークホワイト 電池式ランタンライトS アンティークホワイト
ガーデンオクタゴナルテーブル
ガーデンフォールディングアームチェアー
電池式ランタンライトL アンティークホワイト
電池式ランタンライトS アンティークホワイト

後日、菊池邸に遊びに行ったら、恵美子さんがカレンダーを見せてくれたの。恵美子さんは写真教室に通っていて、年に一度、先生と生徒の写真でカレンダーを作るんだって。恵美子さんがたくさん提出した写真の中から、先生がカレンダー用に選んだのは、「ソーラーファウンテン 天使と小鳥」とバラのシーンの写真だったそうです。

「先生から、『この写真は1カ月見ていても飽きない』と褒められました」と恵美子さん。ガーデンオーナメントって、やっぱりフォーカルポイントになるね。恵美子さんはふくちゃんの写真に感動して、「次は夜のシーンを狙ってみる」とのことです。

庭は植物を育てるだけの場所じゃなくって、そこで過ごしたり、眺めたりする時間をもっともっと楽しまなきゃって気持ちにさせてくれる菊池邸です。

影も美しいアル・カウン ベンチ
影も美しいアル・カウン ベンチ

商品問い合わせ
青山ガーデン:http://aoyama-garden.com/shop/

Credit

文/明田川奈穂美(あけたがわ なほみ)

文/明田川奈穂美(あけたがわ なほみ

『ガーデンダイアリー』創刊号より、エディター&ライターとして大活躍。本音の取材がたくさんの読者の支持を得る。年間100の庭を巡る自称「ガーデンストーカー」。素敵なガーデンの噂を聞くと、即出没。ある日、あなたの庭の前に立っているかも。

ブログ「あけの秘密の花園」https://akechuchu.exblog.jp/
『ガーデンダイアリー』http://hachigatsusha.net

写真/福岡将之

Print Friendly, PDF & Email