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「私の庭・私の暮らし」物へのこだわりと美意識を庭に反映する群馬県・伊佐邸

「私の庭・私の暮らし」物へのこだわりと美意識を庭に反映する群馬県・伊佐邸

花や緑に親しみ、季節感に溢れる暮らしを訪ねる「私の庭・私の暮らし」。SNSで全国のガーデニング仲間とつながりながら、自身も千葉の自宅でDIYと庭づくりを楽しむ橋本景子さんが、お気に入りの庭をご案内します。今回は、樹木と植物に雑貨や構造物を組み合わせた遊び心のある庭づくりを実践する群馬県の伊佐敦子さんの庭をご紹介します。

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日差したっぷりの吉日にガーデン訪問

群馬県・伊佐邸

伊勢崎市の静かな住宅街にある伊佐敦子さんの庭に初めてお邪魔したのは2019年5月の末、眩しいくらいの快晴の日でした。ご自宅は築30年、70坪ほどの敷地のうち30坪ほどが庭として使われています。

敦子さんは、長年フルタイムで働いていた会社を退職してから4年経ちますが、2年前からは、友人に誘われてオープンガーデンを始めました。

ヤマボウシ、トネリコ、シラキ、ジューンベリー、アズキナシ、八重花の咲くハナミズキなど、10株以上の樹木が日当たりのよい庭に茂り、その間にたくさんの構築物と植物、そしてセンス溢れるお気に入りの雑貨たちを飾って、遊び心のある庭を目指しています。

この庭の植栽とデザインは敦子さんで、ご主人が仕事の合間にDIYをして、夫婦2人で協力し合ってつくり上げてきました。

ご主人は、アメリカンカントリーの家具に関わる仕事をしていたお友達の影響で、パイン材の食器棚やガラスを使った家具も作れるという経験と、たくさんの道具と製作用の小屋を実家に持っているという、プロ顔負けの腕前の持ち主です。

それでは、順を追って、お二人が丹精する庭のDIYの歴史をご紹介します。

絵になるスポットいっぱい! の庭をご案内

伊佐邸のテラス

まず、一番最初に完成したのは、ご主人がお気に入りの、名付けて「俺のテラス」で、普段は自転車置き場として使われています。リビングから続くデッキだった場所に屋根を取り付け、窓を入れ、ドアを付け、余ったサッシを取り付けて、開閉可能なテラスにしました。

アンティーク風の窓枠

アンティークのレースなどを飾った窓枠は、敦子さんが大好きな、東京・吉祥寺の洋服屋さんの什器からヒントをもらったそうです。

大人っぽく斜めがけにして見せることができ、写真映えする場所です。

伊佐邸の小屋

次にご紹介するのは、ティールーム風の小屋です。こちらは、業者さんにお願いしてつくってもらいました。

小屋の内部

中には、テラコッタを敷いた床に小さなテーブルが置かれ、お気に入りの照明を飾っています。夕暮れ時に灯した照明の下でお茶を飲むと、とても落ち着くといいます。

オーダーメイドの立水栓

そして、この小屋の隣には、敦子さんがデザインして業者さんに作ってもらった立水栓があります。台所のシンクと同じくらいの高さでという希望を出し、「こんな高さでのオーダーは初めて」と言われながらも、大きなアンティークレンガを使って、どこにも無い個性的な立水栓が完成しました。「水を使うときに腰をかがめるのは大変だから」と予想していた通り、楽に作業できてとても気に入っています。

さまざまなタイプの構造物が庭を演出

バス停風の小屋

次にご紹介するのは、制作当時流行っていた「バス停風の小屋」です。

フェンスに小さな屋根をつけた、奥行きがあまりない開放されたタイプの小屋ですが、雑貨や鉢植えの植物を飾ったりするスペースとして利用しています。

小屋風の構造物

その隣に作ったのは、こちらの小屋風の建物です。でも、じつは小屋のように見える構造物なのです。

バラが這うフェンス

フェンスの前に、さらに窓と扉があるフェンスを作り、後ろのフェンスとつなげて屋根をかぶせただけ。ですから、両脇が空いていて、じつはちゃんとした小屋の形にはなっていません。その理由は、バラを屋根に這わせるための工夫。

電灯が備わっていることで、見た目には分からないくらい小屋の雰囲気が出ています。

小屋風構造物の窓

さらにその隣にも、敦子さんが好きなスタイルの大きな窓を作ってもらいました。

窓を斜めに開けられるので、ここでも雑貨などを飾って、オシャレな空間を演出しています。

敦子さんの庭づくりへの思い

伊佐邸の入り口

こちらは庭への入り口です。もともとあった門扉を壊して、敦子さんのアイデアで三角形のユニークなアーチを提案しました。

2019年の春に完成したばかりの最新のDIY作品です。

残っていた屋根材を使いたいという希望も叶って、先日手に入れたアンティークのアイアンゲートをここに取り付けるつもりだそうです。

カシワバアジサイとセアノサスなど
カシワバアジサイとセアノサス、エンジェルヘアーがなびく先に、バス停風の小屋。

敦子さんは、きれいに整った庭よりも遊び心あふれる庭が好き。自然に伸びた植物や枯れた植物も愛おしいと思い、そのセンスとこだわりを庭のあちこちで表現して、見せ場を作っています。

銅葉と雑貨の組み合わせ
銅葉の植物と雑貨を組み合わせて、甘すぎないコーナーに。

フレンチ系のインテリア関連の雑誌で見つけたお気に入りのシーンに付箋を貼って、記憶できるほど何度も読み返しています。そして、それらを参考にしながら、庭の中にリビングを持ち込むような感覚で景色をつくることもよくあるそうです。

庭づくりのこだわりは細部にも

バラと枕木の階段

ピンクのバラ‘モーティマ・サックラー’とコバノズイナの壁との間に、枕木の階段とディコンドラの小道が続き(写真左)、その突き当たりにはジョウロでフォーカル ポイントを。

壁のボックス

ご主人にお願いして壁に取り付けたボックスには雑貨を飾り、山アジサイを寄り添わせて、演出をさらにボリュームアップ。

ガーデンシーン

錆びた鳥カゴの上に、さりげなく置かれたバラがドライフラワーになっていたり(写真左)、フウチソウの鉢(写真右)に勝手に飛び込んだエリゲロンが可愛く咲いていたり……。これは私も真似してみたい!

ビオラとルブス

秋の庭では、ブルーのポットに入れたビオラとライム色のルブス‘サンシャイン・スプレンダー’の色の組み合わせにハッとさせられました。

ドライフラワー

雨に濡れにくい軒下のベンチに飾られたドライフラワーやリース。

ちりとりとクルミ殻

まるで「お掃除の途中」のような演出…落ち葉が散らばり、ちり取りにはクルミの殻が。

ヘビイチゴ

ヘビイチゴの小さな赤い実が可愛くて、思わず足をとめてしまいます。

センニチコウ

割れたポットとグリーンのシダにピンクの千日紅‘ファイヤーワークス’が一輪。

枕木の階段

さまざまな素材を使った小道と、こぼれ咲くような植物……。

庭のナチュラル感をどう演出するかは紙一重のところがあって、放ったらかしでも、やりすぎてもうまくいかないものですが、敦子さんの「ほどほど具合」はお見事です。

インテリアディスプレイ

敦子さんのお部屋のあちこちにも、こだわった雑貨やディスプレイのテクニックが光っていました。

インテリアディスプレイ

お茶をいただきながら、庭に対する向き合い方や、庭に限らず「キュンキュンする」物へのこだわりと美意識を語る敦子さん。私が知る中でも一番の美魔女ガーデナーでした。
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Credit

写真・文/橋本景子
千葉県流山市在住。ガーデングユニットNoraの一人として毎年5月にオープンガーデンを開催中。趣味は、そこに庭があると聞くと北海道から沖縄まで足を運び、自分の目で素敵な庭を発見すること。アメブロ公式ブロガーであり、雑誌『Garden Diary』にて連載中。インスタグラムでのフォロワーも3.1万人に。大好きなDIYで狭い敷地を生かした庭をどうつくろうかと日々奮闘中。花より枯れたリーフの美しさに萌える。
Noraレポート https://ameblo.jp/kay1219/
インスタグラム kay_hashimoto

伊佐さんのインスタグラム aiyu0128

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