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私のガーデンストーリー「ベランダで育てるブドウの四季」

私のガーデンストーリー「ベランダで育てるブドウの四季」

植物を育てる人のごくごく個人的なガーデンストーリーをご紹介します。今回は東京のマンションのベランダで、試行錯誤しながら植物を育てているTさんのストーリー。地植えの庭に憧れながらも、空が広く見えるベランダで丈夫に育って楽しみが多い植物を探し続けています。

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丈夫で手がかからない一才ヤマブドウ

南向きの6階に越してから、ベランダガーデニングを始めたというTさん。ずっと長く続けられる趣味を探していたところ、引っ越したマンションのベランダが少し広いことを生かしたくて植物を育て始めました。「これまでたくさんの植物を育てては枯らしてしまったけれど、ここ数年、ずっと元気に育って、四季の変化が楽しい植物といえば、一才ヤマブドウです」。

ベランダガーデンでは、土や落ち葉が排水口に流れ込まないように注意したり、真夏の水切れや強風対策など、おそらく地植えの庭では大きな問題にならないことが、気をつけなくてはいけない大事なポイントになるといいます。それでも、部屋の窓越しに植物が見えると、「今日は風が穏やかだな」「随分日が長くなったなぁ」など、家事の合間の息抜きになるそうです。

ブドウの開花から実りまでの変化を愛でる

バラやミモザ、クレマチスなどが育つ鉢植えの中でも、水やり以外、何も手入れをする必要がなく、虫もつかずにかれこれ4年、丈夫に育っているのが、一才ヤマブドウです。一才ヤマブドウは、落葉性のつる植物で、山中に自生するノブドウの選抜種。雌雄同体なので、花が咲けば自然と実がなります。

Tさんのベランダでは、3月から新芽が伸び始め、4月上旬には花芽が。5月の中旬に小さな花が咲き、次第に小さな実ができてきます。

花が実へと変わりだした5月中旬。
開花して数日でブドウらしさを感じるように。まだ房は上向き。

7月上旬になると、ブドウらしい粒が見えてきます。8月には色づき始め、溢れる日の光の中で緑から紫、黒へと変化していく、その自然の色の美しさにハッとするとか。

数年前の晩夏は、いつ収穫しようかなぁと楽しみに眺めていたら、ある日、粒の数が減っていることに気がつきました。周囲をよく見ると、皮やタネが下にバラバラと落ちていました。

もしやこれは野鳥の仕業? その年は収穫をあきらめ、経過を見ていると、軸だけがきれいに残りました。完食してくれた様子を見て「このベランダガーデニングも何かしら世の中の役に立っているんだなぁ」と、ちょっとほっこりしたTさんでした。

ささやかなブドウの収穫

またある年は、お気に入りのザルに収穫した房を並べ、葉もバランスよく配置してSNSにアップしました。「いいね!」がたくさんもらえたのも嬉しい思い出です。

自家採種のブドウでクッキング

ネットで「一才ヤマブドウ」を検索すると、パーゴラにたわわに実る様子やバケツいっぱいに収穫をする写真が見つかって、自分が育てている一才ヤマブドウの収穫量の少なさにがっかりしたこともありました。でも、ベランダの一角で実りを毎年見守ることができることに、飽きずに楽しんでいるとTさん。

収穫したヤマブドウは、いったん冷凍してから時間ができた休日に煮詰めてジャムにしました。小さな瓶1本分にしかなりませんでしたが、砂糖の分量を自分の好みに調整したり、小さなタネや残った皮を網でこしたりする作業が新鮮だったとか。でき上がったヤマブドウのジャムは濃厚で、朝食でトーストに塗ったり、慣れないお菓子づくりにもチャレンジ。マフィンの生地に少しジャムをプラスしてみたら、不思議な色のマフィンが焼き上がったそうです。うっかり写真を撮る前に食べ終わってしまったため、SNSにアップできなかったのは残念でしたが、また次回、収穫ができたら何をつくろうか、今から楽しみだとか。

ひと枝切って水に活けても絵になるブドウ

ブドウの葉は形がよく、夏に伸びすぎた枝を適当に切り詰めて水に挿しておくと、涼しげなインテリアになります。水を替えながら1カ月ほど立つと、根が出てきて、秋の落葉までもつので、ベランダにささやかに返り咲いたバラや季節の花を添えて、思いがけないコンビネーションを楽しむのにも役立っています。

ベランダガーデニングで思うこと

Tさんのベランダでもう一つお気に入りの丈夫な果樹は、花ユズ。

Tさんのこれまでの経験上、ベランダガーデニングでストレスなく育てられる植物選びの条件は、まず夏の過酷な暑さに耐えるもの、そしてスペースに収まる程度の樹勢で、多少水切れしてもすぐには枯れないもの。でも、それらの条件は、図鑑やネットの情報だけでは適応があるかの判断ができないため、今シーズン限定になるかもしれないと薄々思いながらも、まずは育ててみて適否を見極めているそうです。

数々育ててきた植物の中でも一才ヤマブドウは、剪定によってコンパクトに樹形をコントロールでき(夏に伸びすぎた枝を切り、冬は細めの枝を切り取る程度で)、花から実りまで四季の変化を楽しめるので、ベランダガーデニングをする人にイチ押しの果樹。「華やかさはないけれど、毎年育つ姿に出合えるのは、思い出が増えて楽しいものですよ」とTさんは教えてくれました。

Credit

写真&文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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