夏は蒸し暑く、冬は寒さが厳しい鹿児島の気候風土に適応した快適な住まいを提案しているヤマサハウスは、グッドデザイン賞を3年連続受賞しており、プランニングの上手さや格子の使い方には定評がある。今年4月、鹿児島市内にオープンしたモデルハウス「繋がる家」は、同社が展開する住宅シリーズの一つであるMOOK HOUSEの新たな拠点であり、身近に四季折々の自然を感じる暮らしが提案されている。
鹿児島らしさを表現

「繋がる家」は家族のコミュニケーションが取りやすいセンターリビング設計。そんな住まいに寄り添う庭は、風(ふわり)代表の楠耕慈氏によるもの。楠氏は絶滅が危惧される山野草の保護を訴える造園家で、山野草や雑木を用いた庭づくりを得意としている。この庭にも春夏秋冬で花を咲かせる品種を選び、50種類以上の「在来種」の山野草と雑木を植えた。
野趣あふれる玄関アプローチ

玄関アプローチは、南九州産の大きな溶岩石で土留めをして築山をつくった。築山とダイニングに続くデッキの床とのレベルを近づけ、室内外の繋がりを感じさせる。軒高を超える高木は山採りの雑木で、アオダモやコナラなどを植え、樹下に広がる植物や人に心地よい環境をつくっている。
溶岩石は多孔質で水分を多く含むため、苔や山野草など下草の保湿を助け、また高木が倒れないよう根元を押さえている。
アプローチの舗装材には桜島の溶岩から切り出した平板と島津のビリ砂利を用いて鹿児島らしさを演出。地場の材料を活用したいヤマサハウスと、山野草を慈しむ楠氏の想いが表現された庭といえる。
見出し移りゆく四季を感じさせるウッドデッキ

ダイニングとリビングからは深い軒の下にデッキが広がる。そばに植えたのは鹿児島の日差しに強いアオダモやコナラなどで、夏季には涼しげな木陰を生むなど、庭の樹木や草花が移りゆく四季を感じさせてくれる。
「庭と食が繋がる」

主庭のテーマは、「庭と食が繋がる」こと。キンカンやボンタン、シャシャンボ(ブルーベリーの仲間)など実のなる常緑中低木や、オオバやミョウガなどの日本のハーブを植え、自邸の庭で育ったものを食する楽しみをプラスした。
商品企画を担当した岡本大樹氏は「花が咲いたり実がなったり、季節の変化が家族の会話や思い出になります」と話す。
長く大切に暮らせる住まいへの愛着は、庭の恵みによっても育まれていく。
繋がる家の配置図

「繋がる家」の配置。植えられた絶滅危惧種の山野草は、春の花:紫蘭(シラン)、夏の花:桔梗(キキョウ)、丁子草(チョウジソウ)、秋の花:藤袴(フジバカマ)、冬の花:福寿草(フクジュソウ)など。日本では4種に1種が絶滅危惧種といわれているが、風代表の楠耕慈氏によると、住まいの庭で育てやすい山野草も多いという。
引用元/『Home&Garden EXTERIOR vol.3』より
写真・図版提供/ヤマサハウス
設計/野沢正光建築工房
施工/ヤマサハウス株式会社
庭/楠耕慈
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