思い出深い家は、取り壊さずにリノベーションで住み続けることを決意。家を守りつづけてきた高齢の母の暮らしを少しでも快適にする庭づくりに取り掛かった。また、地域ならでは“沼津垣”を使うなど、地元に馴染みやすい素材を採用し、落ち着いた雰囲気を作り出している。
築60年の家屋を安全で暮らしやすくするために…
Fさんの築60年の家屋は冬の寒さや段差の大きさなどにより住みにくくなってきたが、思い出深い家を壊すのは惜しまれていた。そこで、いずれ娘さん一家がそこに住むことも考慮し、耐震・省エネ・バリアフリー工事を含むリノベーションに踏み切り、庭も一新した。
テラスの床に敷き詰められた灰御影石の平板は、狭いスペースに奥行き感を出すため、900mm×300mmの特注のサイズに。灰御影石は濡れると色が濃く変化するので、天候により違った表情も楽しめる。また、出入りがしやすいように同じ石種の沓脱石を置いた。
段差をできるだけ少なくし、移動しやすい庭に
庭をデザインしたのは、建設関連の仕事に従事している娘婿の舘智徳さん。「高齢の母は足に障害もあり、家と庭との出入りをしやすくすることが目的となりました」。加えて隣家は地盤が高いため、見下されないような目かくしをしつつ、風を通すなどの配慮もしながら庭造りをしている。
高齢のFさんの負担を減らすために、庭の半分をテラスとして地盤面を上げ、高低差を低めに抑えている。
沼津垣の目かくし塀で落ち着いた雰囲気に
隣家からの目かくしとして、この地域ならではの〝沼津垣〞をデザインした人工竹垣が採用された。風通しのよさを確保するために足元を開け、竹の中桟を2本通して全体のバランスを保っている。山採りのダンコウバイやツリバナなどとともに、自然石のバードバスが鳥たちを招く。
沼津垣の目かくしにより、隣家の視線を気にすることなく過ごせる庭に。夜は風通しのよい室内から庭を眺めたり、外に置いたベンチに座って涼むなど、過ごし方も広がった。また、程よい大きさのテラスは、ビニールプールを広げたりバーベキューをするのに都合よく、娘さん一家が母の家で過ごす機会が増えたことは「ことさらうれしい変化です」と舘さんは語った。
引用元/『HomeGarden&EXTERIOR vol.3』より
写真提供/舘 智徳
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