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【注目!】宿根草ショップの店長が教える! 2023年度人気の宿根草5選
コスパのよさから注目が集まるガーデンプランツ、宿根草(しゅっこんそう)。植えっぱなしで手入れが楽で、毎年新しい品種も登場して目が離せない宿根草の中から、2023年度に人気が高かった品種をご紹介します。選者は、4千種を超す植物を扱う「おぎはら植物園」店長の荻原範雄さん。進化したニューフェイスやプロに選ばれている注目品種が登場する2023年度版、人気の宿根草5種から、あなたのお気に入りを見つけましょう!
目次
植えっぱなしで丈夫に育つ
選ばれている人気の宿根草
宿根草と山野草の販売で有名な「おぎはら植物園」。長野県上田市にある同園では、越年して毎年花を咲かせる「長生きする植物」の宿根草を中心に、幅広くガーデン植物を取り扱っています。全国のガーデニングを趣味にする人たちをはじめ、観光ガーデンや公共の庭などからも珍しい植物やお目当ての植物を求めて注文が入る「おぎはら植物園」で、2023年度に人気が急上昇した宿根草を5種ピックアップ。人気の理由と育て方、特徴を解説していただきます。
セレクト1
シェードガーデンの下草に最適
エゴポディウム ‘バリエガータ’
ライトグリーンにクリーム色の斑入り葉が、明るく爽やかな印象を与えるので、シェードガーデンの下草にも最適です。初夏にホワイトレースフラワーに似た繊細な白花を咲かせるのも魅力。極めて性質強健で、地下茎で広がるように増えます。
シェードガーデンのカバー決定版ともいえるおすすめ品種です。とにかく丈夫で、放任してもよく広がり、目立った病害虫の心配もないので、手間がかかりません。ライトグリーンの葉色で日陰がパッと明るくなります。しかも花がとってもかわいいので、切り花にもできます。
夏場涼しい地域では日向、日陰問わず植えられますが、暑い地域では葉焼けの心配があるので、半日陰(かなり暗くても大丈夫)または、日向でも午後から陰るような場所に向いています。
日向の乾燥地では葉が小さく密になって生育が遅くなるので、コンパクトに楽しむことができます。日陰で水分が多い場所では葉が大きくなり、どんどん広がります。用途に合わせて場所を選定するとよいでしょう。
このように優良な植物ですから、もっと普及してもよいと思いますが、タネによる大量栽培ができず、株分け生産になるため、流通量はかなり少ないです。見つけたらぜひ育ててみてください。
【Data】
■ セリ科 宿根草(耐寒性多年草)冬季半常緑~落葉種
■ 学 名 : Aegopodium podagraria ‘Variegata’
■ 別 名 : エゴポディウム(アエゴポディウム)ポダグラリア(学名)
斑入りイワミツバ 斑入りイワゼリ など
■ 花 期 : 初夏
■ 草 丈 : 20~30cm前後(生育後・花丈も含む)
■ 株張り : 30cm以上(生育後・環境差がある)
■ 耐寒性 : 強い(-15℃~-25℃ ※環境差がある)
■ 耐暑性 : 強い
■ 日 照 : やや半日陰
■ 原産地 : ヨーロッパ(原種の主な自生地)
セレクト2
プロに選ばれている名脇役
レセダ・アルバ
白い小花を長く穂状に咲かせ、上品な雰囲気を持つモクセイソウの一種です。花後に切り戻すと繰り返し咲き、花期も長いので、花壇や寄せ植えにプラスするのに向いています。一年草扱いとされる場合もありますが、夏に切り戻したり涼しい場所で管理できれば、越年することも可能です。
株姿がスッと直立するので、他の草花と合わせやすく、細やかな葉と白く透き通るような花が、花壇で爽やかに調和します。寄せ植えや花壇に使いやすい万能さがあり、また、珍しさもあって、毎年植えたくなる花です。
春植えにすると、春の後半から初夏にかけてたくさんの花が咲きます。
夏までの一年草ともいわれますが、花後早めに切り戻すことで、体力を残し、葉が茂った状態で夏を越せます。
夏越しした株は、秋になるとわずかながら花を咲かせて楽しませてくれます。
2022年時点ではほとんど流通していませんので、聞きなれない名前かもしれませんが、プロのガーデナーさんたちの間では名脇役として有名な花です。
耐寒性もあるので、ごく寒冷地を除けば常緑のまま越冬します。
こちら長野県でも越冬できましたので、耐寒性はかなり強いと思います。
【Data】
■ モクセイソウ科 耐寒性多年草(冬期常緑~半常緑)
■ 学 名 : Reseda alba
■ 別 名 : ホワイトミニョネット、シノブモクセイソウ など
■ 花 期 : 春~初夏
■ 草 丈 : 30~60cm前後(生育後・花丈も含む)
■ 株張り : 20~40cm前後(生育後・環境差がある)
■ 耐寒性 : やや強い(-8℃~-12℃ ※環境差がある)
■ 耐暑性 : 普通
■ 日 照 : 日向
■ 原産地 : ヨーロッパ(主な自生地)
セレクト3
緑に引き立つアプリコットカラーの魅惑花
ゲウム ‘マイタイ’
アプリコット色で咲き進むとピンクを帯びる、魅力的な花色のダイコンソウで、コンパクトな株姿から多くの花を咲かせる「カクテルシリーズ」の品種です。パステル調の柔らかな色の移り変わりが美しく、何ともオシャレで、各色をコレクションしたくなる魅力をまとっています。
本種‘マイタイ’は、ベージュ、オレンジ、ピンクなどを混ぜたような絶妙な色が楽しめ、温度や咲き進み具合で花色を変化させます。丈夫で花上がりもよい小型のゲウムで、大株になると数十本の花芽が伸びて、一斉に咲く素晴らしい姿を見せてくれます。
パステル調の花色で、どこかクラシカルな雰囲気もあります。さまざまな草花と合わせやすく、調和の取りやすい色なので、ガーデンの花材として重宝します。比較的水上がりがよいので、切り花にも最適です。大株になると、たくさんの切り花が収穫できるので、室内に飾る楽しみもあります。
【Data】
■ バラ科 多年草(耐寒性多年草)冬季常緑~半常緑種
■ 学 名 : Geum ‘Maitai’
■ 別 名 : ダイコンソウ など
■ 花 期 : 春~初夏
■ 草 丈 : 30~40cm前後(生育後・花丈も含む)
■ 株張り : 30~50cm前後(生育後・環境差がある)
■ 耐寒性 : 強い(-15℃~-25℃ ※環境差がある)
■ 耐暑性 : 強い
■ 日 照 : 日向~やや半日陰
セレクト4
強健で生育も早く豪華花が楽しめる
エキナセア ‘アップルグリーン’
さまざまなエキナセアの中でも、丈夫さや花つきのよさのほか、開花タイミングが揃うなど優秀な特徴の多い「サンシーカーズ」シリーズの一種。オランダで作出され、世界的に評価されているシリーズです。
ボリュームのあるセミダブルの平咲きで、白〜淡くグリーンを帯びる爽やかな花色が周囲を明るくしてくれます。グリーンのエキナセアといえば、当店では‘グリーンジュエル’が長年のベストセラーですが、本種 ‘アップルグリーン’も、爽やかで美しい花色が魅力的です。‘グリーンジュエル’に比べると花色は「グリーン」よりも「白」に近く、丈夫な性質が特徴です。
当初は一重咲きのみだった同シリーズも、2018年に初めての「セミダブル咲き」’サンシーカーズ・サーモン’が登場し、プランタリウム展(オランダ国際展示会)で金賞を受賞したことから注目を集めました。本種 ‘アップルグリーン’も、続くセミダブル(半八重咲き)のシリーズとして登場しました。2022年より販売を開始しているニューフェイスです。
セミダブル咲きは、丈夫な一重咲きからの選抜・改良なので、八重咲き種に比べて強健で、生育も早いことが大きな魅力です。花形としても、一重咲きよりもボリューム感があるので、見栄えもします。丈夫な一重咲きの性質はそのままに、花の豪華さがアップした、というバランスのよいエキナセアで、庭植えにおすすめです。
【Data】
■ キク科 宿根草(耐寒性多年草)冬季落葉種
■ 学 名 : Echinacea purpurea ‘Sunseekers Apple Green’
■ 別 名 : エキナセア(エキナケア) パープレア(プルプレア)、
馬簾菊(バレンギク) など
■ 花 期 : 初夏~盛夏
■ 草 丈 : 30~50cm前後(生育後・花丈も含む)
■ 株張り : 30~40cm前後(生育後・環境差がある)
■ 耐寒性 : 強い(-15℃~-25℃ ※環境差がある)
■ 耐暑性 : 強い
■ 日 照 : 日向
■ 原産地 : 北アメリカ(原種の主な自生地)
セレクト5
人気急上昇の赤いスモーク状の美しいグラス
ミューレンベルギア・カピラリス
夏から秋に出る赤みを帯びた穂が、スモーク状になる美しいグラスです。シルバーグリーンの葉は常緑で細く、硬さがあり、カラーリーフとしての観賞価値が高い点も魅力です。
大株になると美しい赤紫の穂がたくさん出て、遠目ではモヤモヤと赤い霧のような不思議な雰囲気に。陽光が当たると幻想的なシーンとなって目を奪われます。
穂の美しさもさることながら、細く硬めの葉が密生して、気温が低い時期はグレーに変化します。特に冬は常緑で葉色もよく、ウィンターガーデンの花材としてもおすすめです。
海外で特に人気の高いグラスで、学名で画像検索すると植栽例などがたくさん見られます。近年注目の‘ナチュラリスティック・プランツ’としても選ばれていて、人気急上昇です。
【Data】
■ イネ科 宿根草(耐寒性多年草 常緑~落葉性)
■ 学 名 : Muhlenbergia capillaris
■ 別 名 : ムーレンベルギア など
■ 花 期 : 晩夏~晩秋
■ 草 丈 : 90cm前後(生育後の高さで花丈も含む)
■ 耐寒性 : 約-12℃
■ 耐暑性 : 強
■ 日 照 : 日向
■ 原産地 : アメリカ(原種の主な自生地)
2023年度に人気だった宿根草セレクト5選はいかがでしたか? 近年の気候変動にも順応し、丈夫に育つ種類が続々と登場している宿根草。まずは多くの人が育てている植物を植えることからガーデニングをスタートすることも一つの方法です。最初は小さな株でも、植えっぱなしで長く育てていると、大株で見事な景色になるのも宿根草栽培の醍醐味です。お気に入りの植物との出会いがたくさんありますように。2024年もガーデニングを楽しみましょう!
Credit
写真&文 / 荻原範雄 - 「おぎはら植物園」店長 -
おぎはら・のりお/長野県上田市にある宿根草と山野草を扱う植物専門店「おぎはら植物園」の店長。1979年から植物の栽培と販売をスタートさせた「おぎはら植物園」では、現在、取り扱う宿根草と山野草は4千種を超える。全国に苗生産者のネットワークを持ち、海外からの新品種の導入なども積極的に行う。近著に『咲かせたい!四季の宿根草で庭づくり』『決定版 カラーリーフ図鑑』(ともに講談社)。
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