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モクレン(木蓮)は優しい香りと清楚な花が魅力! 特徴や育て方を詳しく解説

モクレン(木蓮)は優しい香りと清楚な花が魅力! 特徴や育て方を詳しく解説

flaviano fabrizi/Shutterstock.com

早春に、新葉を出す前から大きな花をすっくと立ち上げて咲くモクレン。爽やかな甘い香りを漂わせ、一足早く春の喜びを感じさせてくれる花木です。この記事では、モクレンの基本情報や特徴、名前の由来・花言葉、種類、詳しい育て方まで、幅広くご紹介します。

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モクレンの基本情報

モクレン
Marinodenisenko/Shutterstock.com

植物名:モクレン
学名:Magnolia liliifloraMagnolia quinquepeta
英名:Magnolia
和名:モクレン(木蓮)
その他の名前:シモクレン
科名:モクレン科
属名:モクレン属
原産地:中国南部
分類:落葉性中高木 

モクレンは、モクレン科モクレン属の落葉樹。原産地は中国で、暑さや寒さに強く、日本の気候に馴染みやすく育てやすい花木の一つです。葉を展開する前に、大きな花がたわわについて満開になる姿は見応えがあり、シンボルツリーとして庭に取り入れるケースも多いようです。花が咲くと、爽やかな甘い香りを楽しめます。

モクレンの花や葉の特徴

モクレン
IMG Stock Studio/Shutterstock.com

園芸分類:庭木
開花時期:3〜4月
樹高:4〜5m
耐寒性:強い
耐暑性:強い
花色:ピンク、複色など

モクレンの開花期は3〜4月で、新葉が芽吹く前に花が満開になります。花色はピンクや、外側が赤紫で内側が白い複色など。6枚の花弁を持つ、チューリップに似た花径7〜10cmの大きな花が、枝から天に向かってまっすぐ立ち上がるのが特徴です。花後に芽吹く葉は卵形で15cm前後。自然樹高は4〜5mですが、剪定によって樹高をコンパクトに抑えることも可能です。

モクレンの名前の由来や花言葉

モクレン
Mike Pellinni/Shutterstock.com

モクレンという名前は、漢字で「木蓮」と書くとおり、花がハスに似ていることに由来します。かつてはランの花に似ているとして、モクラン(木蘭)と呼ばれていたこともあります。モクレンの花言葉は「自然の愛」「崇高」「持続性」などです。

モクレンの種類や品種

モクレン
サラサモクレン。LifeCollectionPhotography/Shutterstock.com

トウモウレン(唐木蓮)は花や葉が木蓮より小さめで、ヒメモクレン(姫木蓮)の別名も持っています。樹高もコンパクトで3m以内にとどまるので、小さめの庭におすすめ。サラサモクレン(更紗木蓮)はモクレンとハクモクレンを交配した品種群で、花弁が大きく豪華な咲き姿を見せる‘アレキサンドリナ’が有名です。

モクレンの栽培12カ月カレンダー

開花時期:3〜4月
植え付け:1月〜3月上旬
植え替え:4月下旬〜5月上旬
肥料:1~2月、9月

モクレンの栽培環境

モクレン
Alex Manders/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

【日当たり/屋外】日当たり・風通しのよい場所を好みます。あまり日当たりがよくない場所では、花つきが悪くなってしまうので注意してください。

【日当たり/屋内】一年を通して屋外で管理します。

【置き場所】水はけ・水もちがよく、有機質に富んでふかふかとした土壌を好みます。樹高が4〜5mほどになるので、枝葉を伸ばしたときに邪魔にならないような場所をあらかじめ確保しておきましょう。根が粗くて細根が少ないため、成木になると移植を嫌うので、植え場所は十分検討しましょう。

耐寒性・耐暑性

日本の気候に馴染みやすく、暑さ寒さに強いので、一年を通して戸外で管理でき、冬越し対策なども特に必要ありません。

モクレンの育て方のポイント

用土

土
blueeyes/Shutterstock.com

【地植え】

植え付けの約2週間前に、直径・深さ約50cmの穴を掘り、掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで穴に戻しておきます。土づくりの後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

市販の花木用培養土を利用すると手軽です。

水やり

水やり
Afanasiev Andrii/Shutterstock.com

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために、枝葉全体にかけるのではなく株元の地面を狙って与えてください。

真夏は気温が高い昼間に水やりをすると、すぐに水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。

また、真冬は気温が低くなる夕方に水やりをすると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。

【地植え】

植え付け後にしっかり根付いたら、下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつも湿った状態にしていると根腐れの原因になるので、与えすぎに注意。土の表面がしっかり乾いたら、鉢底から流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。特に開花期や真夏は水を欲しがるので、水切れしないように注意しましょう。

肥料

肥料
sasimoto/Shutterstock.com

【地植え】

植え付け時には、元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。その後は9月に追肥として緩効性肥料を株の周囲にばらまき、スコップなどで軽く表土を耕し、土に馴染ませます。

越年後は、毎年1〜2月と9月に緩効性肥料を与えましょう。

【鉢植え】

植え付け時には、元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。その後は3〜6月に追肥として、緩効性肥料を月に1度を目安に施します。越年後も毎年3〜6月に追肥として緩効性肥料を、月に1度を目安に施しましょう。

注意する病害虫

カイガラムシ
Decha Thapanya/Shutterstock.com

【病気】

モクレンに発生しやすい病気は、うどんこ病、すす病などです。

うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢、つぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放置するとどんどん広がって光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が茂りすぎて風通しが悪くなると発病しやすくなります。うどんこ病が出たら病気の葉を摘み取って処分し、適用のある殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。

すす病は、一年を通して葉や枝などに発生する病気です。葉に発生すると表面につやがなくなり、病状が進むと黒いすすが全体を覆っていきます。見た目が悪くなるだけでなく、葉に広がると光合成がうまくできなくなり、樹勢が衰えてしまいます。カイガラムシ、アブラムシ、コナジラミの排泄物が原因で発生するので、これらの害虫を寄せ付けないようにしましょう。込み合っている枝葉があれば剪定して、日当たり・風通しをよくして管理します。

【害虫】

モクレンに発生しやすい害虫は、カイガラムシ、カミキリムシなどです。

カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫で、体長は2〜10mm。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物が原因ですす病が発生し、二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われており、薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。

カミキリムシは、主に夏から秋に発生しやすくなります。カミキリムシの幼虫が幹に穴をあけて中に侵入し、木質部を旺盛に食い荒らすので注意。被害が進むと木が弱るうえ、中が空洞化して枯れてしまうこともあります。成虫が飛来して卵を産み付けるので、成虫や卵は見つけ次第駆除しておきましょう。また、木の株元などにおがくず状のフンを見つけたら、木の内部で活動していると推測できます。おがくずが出ている穴に、細長い針金状のノズルを差し込むタイプの薬剤を注入して駆除しましょう。

モクレンの詳しい育て方

苗の選び方

モクレンの苗木は、幹が太くしっかりしていて、枝ぶりがよいものを選ぶとよいでしょう。

植え付け・植え替え

ガーデニング
Jurga Jot/Shutterstock.com

モクレンの植え付けの適期は1月〜3月上旬です。ただし、ほかの時期にも苗は出回っているので、花苗店などで入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、根鉢を軽くくずして植え付けます。最後にたっぷりと水を与えましょう。苗木が若いうちは、支柱を立てて誘引し、強風などによる倒伏を防ぎましょう。しっかり根付いたら支柱を取り外してもかまいません。

地植えの場合、環境に合って健全に育っていれば、植え替えの必要はありません。

【鉢植え】

モクレンを鉢で栽培する場合は、入手した苗木よりも1〜2回り大きな鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから花木用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗木をポットから取り出して仮置きし、高さを決めたら、根鉢を軽くほぐし、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。苗木が若いうちは、支柱を立てて誘引し、強風などによる倒伏を防ぎましょう。しっかり根付いたら支柱を取り外してもかまいません。

鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、2〜3年に1度は植え替えることが大切です。植え替え適期は、開花が終わった頃の4月下旬〜5月上旬です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出して、あまり根鉢をくずさずに、新しい培養土を使って植え直しましょう。

剪定

剪定
mihalec/Shutterstock.com

剪定適期は花後すぐで、新葉が出る前に行います。一般家庭では、樹高3〜5mまでに抑える剪定を行いましょう。モクレンは比較的樹形が自然に整うので、それほど剪定には手がかかりません。地際から出てくるひこばえは付け根から切り取り、枯れ枝や木の内側に向かって伸びている「逆さ枝」、垂直に立ち上がっている「立ち枝」なども枝元から切り取りましょう。また、込み合っている部分があれば、日当たり・風通しがよくなるように、透かし剪定をします。勢いよく長く伸びている徒長枝は、下から3〜5節残して切ると、花芽をつける短枝が出やすくなります。

増やし方

種まきポット
Kunlanan Yarist/Shutterstock.com

モクレンは、挿し木、接ぎ木、種まきで増やすことができます。いずれも簡単にたくさん増えるというわけでもないので、多めに作っておき、その中からよい苗木を選抜しながら育苗するとよいでしょう。

【挿し木】

挿し木とは、枝を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し木ができないものもありますが、モクレンは挿し木で増やすことも可能です。

挿し木の適期は、6〜7月頃です。モクレンは活着率が悪く、成功率が高くはないため、生育のよいものを選抜することを前提に多めに挿しておくとよいでしょう。その年に伸びた新しい枝を10cmほどの長さで切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を切り取ります。3号くらいの鉢を用意してゴロ土を入れ、新しい培養土を入れて水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して表土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて管理します。その後は日当たりのよい場所に置いて2〜3カ月ほど育苗し、大きく育ったら植えたい場所に定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。

【接ぎ木】

接ぎ木とは、増やしたい樹木の枝(穂木)と、強健な性質を持つ近縁の木の台木を用意し、その両方の切断面をつけて接ぎ合わせ、互いの性質を生かして増殖する方法です。

接ぎ木の適期は、2〜3月です。台木は同じモクレン属のコブシを選ぶとよいでしょう。コブシの台木は、種まきして育苗した2年目の苗木を用います。穂木は、2〜3芽ついた勢いのある枝を選び、枝先から5〜6cmのところで切り取りましょう。切り口は斜めにカットしておきます。台木は地上部の主枝をカットし、株元に縦へ切り込みを入れて穂木を差し込み、園芸用の接ぎ木テープでしっかり固定します。穂木が生育し始めたら成功です。

【種まき】

モクレンは開花後に果実をつけ、熟すと中から赤い種子が出てきます。そうなる前に莢の状態で採取して陰干しし、数日後に莢が裂けて出てきた種子を採取します。果肉を取り除いて流水できれいに洗い流し、そのまま種まきしましょう。

黒ポットに新しい培養土を入れて十分に湿らせます。モクレンの種子を黒ポットに数粒播いて軽く土をかぶせ、明るい日陰で管理。春に発芽した後は日当たりのよい場所に置きましょう。本葉が2〜3枚ついたら勢いのある苗を1本のみ残し、ほかは間引いて育苗します。ポットに根が回るまでに成長したら、少し大きな鉢に植え替えて育苗します。苗木として十分な大きさに育ったら、植えたい場所に定植しましょう。

モクレンを育てて春の庭を彩ろう!

モクレン
IanRedding/Shutterstock.com

あまり高くなりすぎず、自然に樹形がまとまるモクレンは、比較的手入れのしやすい花木で、シンボルツリーとしても人気があります。暑さや寒さに強く、放任してもよく育つので、ビギナーにもおすすめ。花の少ない早春から咲き、春の喜びをいち早く感じることのできるモクレンを、ぜひ庭に取り入れてはいかがでしょうか。

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