山菜といえば、旬を感じられる春の味覚の一つ。独特の苦みや香りを持ち、「子どもの頃は嫌いだったのに、大人になってからハマってしまった不思議食材」にもあげられるのではないでしょうか。天ぷらやお浸し、和え物、汁物にしてもおいしくいただける山菜ですが、なかなか手に入らないのも実情。山へ採りに出かけるといっても、「道に迷ったり、採り間違えをしたりするのでは?」という不安もありますし、買うといっても、地方の「道の駅」などにでも立ち寄らなければ、なかなかバラエティー豊かに揃うわけでもありません。それならいっそ、庭で育ててみてはいかが? 家庭栽培用の山菜苗のジャンルをのぞいてみましょう!
目次
庭で手軽に育てられる山菜6選!
家庭栽培用の「山菜苗」はあまり知られていませんが、アクが少ないもの、大株に育つものなどの品種改良も進み、一般家庭でも育てやすくなっています。もともと山で採れるものなので、放任しても元気に育ってくれるはずです。傾斜をつけて岩を組み合わせたロックガーデン風の植栽地をつくり、さまざまな山菜を植えて、野趣あふれる景色を楽しむのもオススメ。ここでは、比較的ポピュラーな手に入りやすい山菜苗をセレクトしてご紹介しましょう。
ワラビ
多年生シダ植物に分類されるワラビは、地下茎で増え、地掘り苗やポット苗が流通しています。アクの少ない‘あくなしわらび’の品種も出回っているのでオススメ。日当たりと水はけがよく、保水性もある環境を好みます。
植え付けてから1年間は収穫せずに、まずは株を充実させるのがポイント。収穫は2年目以降に行い、3〜5月ごろが適期です。新芽を若いうちに地際で切って収穫します。アクが強いので、十分にあく抜きしてから調理しましょう。煮物やお浸し、天ぷらに向いています。
タラノメ
山菜といっても、タラノメは落葉低木に分類される植物。地掘り苗やポット苗が手に入ります。芽がついた株を入手して、日当たりのよい場所に植え付け、まず1〜3年は収穫を見送って、木を充実させましょう。
収穫の適期は春から初夏にかけてで、1番目の芽と脇の2番目の芽を切り取ります。全部収穫すると、木が育たなくなるので、新芽を残しておきましょう。トゲが多いので、収穫の際にはガーデニング用のグローブをはめて作業します。なんといっても天ぷらがおいしいですが、バター炒めやまぜごはんに入れても美味!!
ゼンマイ
多年生シダ植物に分類され、地掘り苗が流通しています。ワラビと似ていますが、先端がクルッと巻いて綿毛をかぶっているのがゼンマイです。日なた、または半日陰で水はけがよく、また保水力のある場所に植え付けます。
成長が遅いので、周囲の雑草に養分をとられて弱ってしまわないように、除草を忘れずに。2〜3年は収穫せずに、株を充実させましょう。収穫は4〜5月が適期で、立ち上がる新芽を地際で切り取ります。収穫したら、綿毛をとってその日のうちにあく抜きをしましょう。お浸し、煮物、炒め物にしておいしくいただけます。
コゴミ
多年生シダ植物で、地掘り苗が流通しています。夏の強い日差しに弱いので、半日陰の場所を選んで植え付けます。乾燥を嫌うため、水切れしないように管理しましょう。成長が非常に早く、植え付けから1年後を目処に収穫できます。
収穫は4月下旬〜5月頃で、新芽が出たら地際で切り取ります。大きく育つと年に2〜4本のランナーを出すので、子株取りをして増やせます。アクがほとんどないので食べやすく、わたを取り除いてお浸しや和え物、天ぷら、汁物に。
ツワブキ
キク科の多年草で、ポット苗で出回っています。日なた〜半日陰を選んで植え付けます。古来から日本で生育する植物で、放任してもよく育ちますが、植え付けから収穫までは1〜2年おいて、株を充実させましょう。10〜12月頃に黄色い花を咲かせるので、観賞価値もある山菜です。
収穫の適期は5〜6月で、地際で切り取ります。葉は切り取って葉柄だけを残し、あく抜きしてから調理に利用します。独特の風味があり、和え物、炒め物、佃煮、塩漬けなどに向いています。
ウルイ
ユリ科の多年草で、別名はギボウシ。シェードガーデンでも人気のギボウシですが、山菜として食されるものはウルイと呼ばれ、ポット苗が流通しています。半日陰で、水はけがよく、保水性もある場所に定植。植え付けから収穫までの目安は1〜2年です。
4月下旬〜5月に新芽が出たら、地際で切り取って収穫します。シャキシャキとした食感で、軽く湯通ししてからお浸しやサラダ、酢味噌和えなどに用います。植え付けから3〜4年して大株に育ち、芽が10本以上つくようになったら株分けして増やせます。
Credit
取材&文/長田節子
ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが、醍醐味ですね。https://twitter.com/passion_oranges/
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