カランコエは冬に咲くカラフルな花が魅力! 特徴や育て方を詳しく解説

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寂しくなりがちな冬の窓辺を彩る鉢花として、昔から愛されてきたカランコエ。たくさんの花をつけることから、縁起のよい花としても重宝されてきました。この記事では、カランコエの特徴や花言葉、種類、育て方、増やし方、注意したい病害虫などについて、幅広くご紹介します。
カランコエの基本情報

植物名:カランコエ
学名:Kalanchoe
英名:Kalanchoe
和名:リュウキュウベンケイ(琉球弁慶)
科名:ベンケイソウ科
属名:リュウキュウベンケイ属(カランコエ属)
原産地:アフリカ南部、東部、アラビア半島、東アジア、東南アジア
分類:常緑多年草
カランコエはベンケイソウ科リュウキュウベンケイ属(カランコエ属)の多年草です。原産地はアフリカ南部、東部、アラビア半島、東アジア、東南アジアなど。約100種が確認されており、大きく分けると花を観賞するタイプと、葉を観賞するタイプがあります。ここでは冬の鉢花として親しまれてきた花を楽しむタイプについてご紹介します。
カランコエの花や葉の特徴
園芸分類:観葉植物・草花
開花時期:1〜5月
草丈:10〜50cm
耐寒性:弱い
耐暑性:強い
花色:赤、オレンジ、ピンク、黄色、白など
開花時期は1〜5月ですが、開花調整されたものが通年販売されています。花色は赤、オレンジ、ピンク、黄色、白など。一重咲きのほか、八重咲きやベル形の花も出回っています。草丈は10〜50cmほど。寒さに弱く、耐寒温度は10℃くらいまでのため、基本的に鉢栽培にして晩秋からは室内に取り入れて初夏まで開花を楽しみ、その後は戸外に出して適した場所に移動しながら管理するとよいでしょう。
カランコエは肉厚な葉をもつ多肉植物で、体内に水分を溜め込んで乾燥した気候を乗り切る能力を身につけた植物です。そのため水の与えすぎに注意し、乾燥気味に管理する必要があります。また、カランコエは短日植物に分類され、日が短くなると花芽をつける性質があります。そのため室内に置く場合は、夜に照明が届かない暗い場所でなければ花が咲きにくくなるので注意しましょう。
カランコエの花言葉や名前の由来

「Kalanchoe」という名前は、同属に属する植物の中国名「加籃菜」の発音から、フランスの博物学者ミシェル・アダンソン(1727~1806)が名づけたという説が有力視されています。カランコエの日本の花言葉は「幸福を告げる」「たくさんの小さな思い出」などで、小さな花をたくさんつける株姿から。一方、カランコエの西洋の花言葉は「人気」「人望」などです。
またカランコエは、風水では子孫繁栄を象徴する縁起のいい植物とされています。それは、一部に葉から多くの芽を出す種類があるほか、花つきもよく強い生命力をイメージさせるため。子宝に恵まれるとされ、妊娠を希望する方へのプレゼントとして選ばれることも多いようです。
カランコエの代表的な種類

カランコエは主に、草丈20cm以下のミニサイズと、30〜50cmのレギュラーサイズに分類されます。
カランコエ・プミラ‘白銀の舞’は、草姿全体に細かい産毛が覆われているため、シルバーがかった姿が美しく、カラーリーフとしても人気。ピンクの花が咲き、やや寒さに強い性質を持っています。‘ウェンディ’はオランダで作出された改良品種で、草姿がコンパクトにまとまり、花が次々と咲くのが特徴。「クイーンローズ」シリーズはバラのような咲き姿を見せる八重咲き種で花もちがよい特性があり、花色は白、ライム、オレンジなどがあります。
カランコエの栽培12カ月カレンダー
開花時期:1〜5月
植え付け・植え替え:5〜6月、9月
肥料:5〜12月
入手時期:通年(主な流通は晩秋~初春)
挿し芽:4~7月、9月
カランコエの栽培環境

日当たり・置き場所
【日当たり/屋外】日向で風通しのよい場所が適しています。6月から10月までは屋外で栽培できますが、真夏の強い日差しにより葉焼けすることがあるので、真夏は明るい半日陰で管理するとよいでしょう。
【日当たり/屋内】明るい窓辺など、よく日の当たる場所で育てましょう。日光不足だと花色や葉色が冴えずに花つきも悪くなり、徒長して軟弱な株になります。
【置き場所】カランコエは、日照時間が短くなると花芽をつける短日植物のため、夜も明るい場所に置くと花芽がつきにくくなります。そのため秋以降は、夜に照明が明るく照りつけない場所に置いてください。もしくは、日が落ちたら箱をかぶせるなどして暗くしてもよいでしょう。
温度
寒さには弱く、約10℃を下回ると生育に影響が出ます。11月から5月くらいまでは室内の明るい窓辺などに移動しましょう。
カランコエの育て方のポイント
カランコエは、基本的に冬の鉢花として出回っており、寒さに弱いために地植えではなく、鉢栽培で楽しみます。ここでは、カランコエの鉢栽培での管理のポイントについて、詳しくご紹介します。
用土

贈答用の鉢花を入手した場合は、そのまま植え替えずに開花を楽しみましょう。ポット苗を入手した場合は、市販の草花用培養土を利用して植え替えると手軽です。または、自身で培養土をブレンドする場合は、赤玉土小粒5、腐葉土3、酸度調整済みのピートモス2の割合で用いるのがおすすめ。さらに元肥としてリン酸分を多めに含む緩効性肥料を施しておくとよいでしょう。
水やり

カランコエは鉢栽培が基本なので、日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、もともと乾燥地帯で自生してきたカランコエは多肉質の葉に水分を溜め込んで生命をつないできた性質があり、乾燥に強い反面多湿を嫌うので注意。いつも湿った状態にしていると根腐れの原因になってしまいます。土の表面がしっかり乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。
水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。特に花弁に水がかかると、傷みやすくなるので注意が必要です。また、真夏は気温の高い昼間に水やりすると、直射日光のもとではすぐに水の温度が上がり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。一方真冬は、気温が低くなる夕方に水やりすると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に行うようにしましょう。
肥料

5〜9月まで、緩効性肥料を月に1度を目安に与えます。ただし、真夏は暑さによって株が消耗するため、肥料を与えるとかえって弱ることがあります。控えめにするか与えずに乗り切るとよいでしょう。10〜12月は、速効性のある液肥を、10日に1度を目安に与えます。
注意する病害虫

【病気】
カランコエが発症しやすい病気は、うどんこ病、灰色かび病などです。
うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢、つぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放任するとどんどん広がるので注意。対処せずにそのままにしておくと光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。うどんこ病が出たら病気の葉を摘み取って処分し、適用する殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。
灰色かび病は花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほどで、多湿の環境下にて発生しやすい病気です。ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれています。風通しが悪く込み合いすぎていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合いすぎている場合は、間引いて風通しよく管理しましょう。
【害虫】
カランコエに発生しやすい害虫は、カイガラムシ、アブラムシなどです。
カイガラムシは、体長は2〜10mmほどの害虫。植物について吸汁し、だんだんと弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われており、薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。
アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、シャワーではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。
カランコエの詳しい育て方
苗の選び方
花芽の多い、徒長していない株を購入するとよいでしょう。
植え付け・植え替え
カランコエの植え付けの適期は、5〜6月か9月頃です。
まず、6〜7号の鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから草花用の培養土を半分くらいまで入れましょう。カランコエの苗をポットから取り出して鉢の中に仮置きし、高さを決めたら、根鉢を軽くほぐし、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐ水があふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るよう、割りばしなどでつきながら培養土を足していきます。水やりや降雨時の泥はねによって病気が発生するのを防ぐために、表土にバークチップなどを敷いておくとよいでしょう。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えます。
鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替えの適期は、開花が終わった後の6月頃です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。手始めに、草丈の半分くらいまで切り戻しておきましょう。そして鉢から株を取り出して根鉢をくずし、新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢を崩す程度にして植え替えてください。
日頃の管理
【摘心】
夏に新芽が出始めたら、早めに茎の先端を切り取る「摘心」をしておきましょう。そうすることで分枝して茂り、株張りがよくなって花茎の数も多くなります。
【花がら摘み】
カランコエの終わった花は、早めに花茎の付け根で摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながりますよ! また、いつまでも花がらを残しておくと、種子をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。
【切り戻し】
5〜6月と、9月に草姿が乱れてきたら切り戻して、株の若返りをはかります。新芽がついている部分は残し、地際から草丈の半分くらいの高さを目安にカットしましょう。株が込み合いすぎているようなら、数本の茎を地際から切り取り、風通しをよくします。
【汚れを落とす】
インテリアに飾って楽しんでいる場合、カランコエの葉にはホコリが付着しやすいので、気になる場合は、洗い流して取り除いておきましょう。
増やし方

【挿し芽】
挿し芽とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物のなかには挿し芽できないものもありますが、カランコエは挿し芽で増やせます。
カランコエの挿し芽の適期は、4〜7月か9月頃です。新しく伸びた枝に葉を3〜4枚つけた切り口が斜めになるように切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を2〜3枚取ります。黒ポットを用意して新しいバーミキュライトを入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。発根後は乾燥気味に管理し、成長して根が回ってきたら植えたい場所へ定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。
季節別の管理方法のポイント

カランコエは、鉢植えにして育てるのが基本ですが、移動がしやすいために季節に応じて適した場所で管理できるのがメリットです。日本は四季がはっきりしていて、夏や冬は厳しい気候条件となりますが、どんな場所で管理するのが適しているのか、解説します。
夏越し
カランコエは暑さには強い性質を持っているので、鉢を戸外に出してもOK。ただし、強い日差しを浴び続けると、葉焼けを起こすことがあります。そのため梅雨明け以降の夏の暑さが本格化する前に、軒下やオーニングの下など強光線にさらされない半日陰の場所に移動するとよいでしょう。また、暑さで株が消耗し、肥料を与えるとかえって株が弱ることがあるので真夏は肥料を与えないこともポイントです。
冬越し
カランコエは寒さに弱く、耐寒温度は10℃以上とされています。生育期に戸外で管理していた場合は、寒くなる前に室内の日当たりのよい窓辺などに移動しましょう。気温が10℃以下になると蕾がつきにくくなり、5℃以下になると生育が止まって悪くすると枯死することがあるので注意。また、冬の夜温は窓辺から冷えてくるので、室内に置いていても油断しないようにしてください。
温度や水やり、日照時間に配慮して、カランコエを冬の部屋でも楽しもう!

カランコエは室内を彩る鉢花として重宝しますが、多肉植物かつ短日植物であるため、季節ごとに適した場所へ移動して管理する必要があるほか、日照時間に配慮するなどのケアが必要です。その手間をかけた分、冬に見事な花を咲かせてくれると、喜びはひとしお。ぜひカランコエの栽培にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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