ユーフォルビア・ダイアモンドフロストは長期開花が魅力! 特徴や育て方を詳しく解説

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白い小花を株いっぱいに咲かせるユーフォルビア・ダイアモンドフロスト。かすみ草のような美しさで近年人気が急上昇した注目の植物です。春から秋まで長期間咲き、非常に丈夫で育てやすいのも人気のポイント。寄せ植えの花材としても、花壇で他の植物と調和しやすいなど、ガーデニングのさまざまなシーンでとても重宝します。ユーフォルビア・ダイアモンドフロストを中心に、その特徴や近縁の仲間、育て方をプロが解説します。
目次
ユーフォルビア・ダイアモンドフロストの基本情報

植物名:ユーフォルビア・ダイアモンドフロスト
学名:Euphorbia hypericifolia ‘Inneuphe’
科名:トウダイグサ科
属名:ユーフォルビア属
分類:一年草扱い(本来は常緑低木または多年草)
ユーフォルビアの仲間は非常に多く、ポインセチアのような低木や多肉植物、草本性植物まで多様な種類があります。その中でも白い小花がたくさん咲いてカスミソウのように見える種類が、近年とても人気があります。寒さに弱いので屋外では冬越しできずに一年草として扱われますが、本来は常緑低木または多年草です。
ユーフォルビア・ダイアモンドフロストの花や葉の特徴
園芸分類:草花
開花時期:4〜11月
草丈・樹高:30~50cm
耐寒性:弱い
耐暑性:強い
花色:白
代表種が「ダイアモンドフロスト」で、4~11月と長期間開花し、夏の暑さにも弱らず咲き続けます。気温が下がると株が弱り、生育が止まりますが、寒さに当てず室内の暖かい場所で冬越しさせれば、多年草として育てることができます。

ポインセチアと同じく、白い花びらのように見える部分は葉に由来する苞(ほう)で、本来の花は目立ちません。株姿はよく分枝してふんわりとしたボリューム感があり、剪定しなくても自然に形が整います。たくさん開花する白い清楚な小花は、他の植物と組み合わせやすく、寄せ植えに最適です。鉢植えや吊り鉢、グラウンドカバーなど、さまざまな楽しみ方ができます。また手間がかからず病気に強いので、初心者にもおすすめです。
茎や葉を切った際に出る白い乳液は、皮膚や目に炎症を引き起こすことがあります。また衣服などに付くと落ちにくいので注意してください。
ダイアモンドフロストの花言葉や名前の由来
ユーフォルビア・ダイアモンドフロストの花言葉は「君にまた会いたい」「デリケートな美」などです。「君にまた会いたい」は、古い葉を自ら落とし、花が咲き終わっても次の花を咲かせ続ける様子からつけられたといわれています。「デリケートな美」は、茎が細く繊細なイメージと、雪のように真っ白な小花が咲く様子に由来するといわれます。
ユーフォルビア・ダイアモンドフロストの仲間
ダイアモンドフロスト Euphorbia hybrid

手間がかからず、丈夫でよく咲き続けることから世界中で人気です。種苗会社のハクサンが参加する植物の国際ブランドPW(PROVEN WINNERS)の品種です。草丈は30~40cmで、地植えすると1株でもよく広がって見応えがあります。
ダイアモンドスター Euphorbia hybrid

白い苞がさらに目立つように改良された品種で、株姿は比較的コンパクトにまとまります。苞の密度が高いため、白色の苞がより鮮明に引き立って見えます。白い苞の密度が高い類似した品種に、生育旺盛でボリューム感のある「ダイアモンドスノー」があります。
オトギリバニシキソウ Euphorbia hypericifolia

熱帯・亜熱帯アメリカが原産の一年草、または株元付近だけが木質化する亜低木で、高さ60㎝ほどになります。世界の広い地域で野生化しています。
ダイアモンドフロストは、このオトギリバニシキソウからの選抜によって誕生した品種です。
ユーフォルビア・レウコケファラ Euphorbia leucocephala

中央アメリカ原産で、高さ2~3mになる常緑低木です。短日開花性で、10月頃から咲き出します。‘白雪姫’などの品種があり、ポインセチアと相性のよいクリスマスシーズンの鉢花などとして流通します。冬咲きなので、剪定は春に行ってください。
ユーフォルビア‘グリッツ’ Euphorbia graminea ‘Glitz’
メキシコから熱帯アメリカ原産で、沖縄などにも帰化しているカワリバトウダイ(変葉燈台)から育種された実生系品種で、種も販売されています。根は直根性なので、移植は根鉢をくずさず行ってください。姉妹品種に、グリッツより開花が早く背丈も大きい「グラマー」があります。
ユーフォルビア ブレスレスブラッシュ Euphorbia hybrid
銅葉にほんのりピンク色の苞が個性的な品種です。おしゃれな大人の雰囲気の演出に最適です。
ユーフォルビア・ダイアモンドフロストの栽培12カ月カレンダー
開花時期:4〜11月
植え替え適期:5~9月
肥料:5~10月
入手時期:4〜10月
植え付け時期:5~9月
ユーフォルビア・ダイアモンドフロストの栽培環境

日当たり・置き場所
【日当たり/屋外】日向から半日陰の風通しのよい場所が適しています。地植えする場合は、雨が降ると水が溜まりやすい場所は避け、排水性のよい場所に植えてください。
【日当たり/屋内】基本的に屋外で育てるのをおすすめしますが、屋内で引き続き育てる場合は、日が当たる窓辺で風通しよく管理してください。
温度
寒さには弱く、生育には5℃以上が必要です。冬越しさせる際は室内で5℃以上を保ち、乾かし気味に管理します。窓際の日当たりのよい場所に置きますが、夜間は厚手のカーテンを引いてください。
ユーフォルビア・ダイアモンドフロストの育て方のポイント
用土
【地植え】腐葉土や堆肥などの有機質資材をすき込んで土づくりをしておいた場所に、5〜10cmの穴を掘り、苗を植え付けます。
【鉢植え】土は、草花の栽培用にブレンドされた市販の培養土を利用すると便利です。
水やり
【地植え】地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、真夏に晴天が続いてひどく乾燥している場合は水やりをして補いましょう。真夏は昼間に水やりすると水の温度が上がって株が傷めるので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。
【鉢植え】表土が乾いたらたっぷり与えてください。温度の低下とともに乾きにくくなります。温度が低いと根腐れしやすいので、過湿に注意してください。
肥料
【地植え・鉢植えともに】花が長期間咲き続けるので、肥料を切らさないようにしてください。5~10月に、3要素(チッ素・リン酸・カリ)が等量の緩効性化成肥料を規定量与えてください。
ユーフォルビア・ダイアモンドフロストの詳しい育て方

苗の選び方
よく分枝して全体的に葉がよく茂っている株がよいでしょう。
植え替え
春から夏に購入したダイアモンドフロストのポット苗は、すぐに1~2回り大きな鉢に植え替えてください。春に購入して植え替えたものは、7~8月に最終的に10号鉢に植えるとよいでしょう。深型の10号鉢を使う場合は、鉢底石をやや多めに入れて排水性をよくしてください。
花がら摘み
小花が全体に咲きますが、花が咲き終わると自然に落下するので、花がらを都度摘む必要がなく、ローメンテナンスな植物です。
剪定・切り戻し
ダイアモンドフロストは、そのままでも自然に形が整います。ただし大きくなると台風の強風による被害を受けやすくなるので、風の当たりやすい場所では夏頃に半分程度までバッサリ切ると安心です。
室内で冬越しさせる株は、移動する際に1/2~1/3程度まで枝を切り詰めるとよいでしょう。また冬に枝が間のびしてしまった場合は、春先に再度半分程度まで切り詰めてください。
増やし方

5~10月に挿し木で簡単に増やすことができます。切り花として楽しみながら、水挿しでよく発根します。
※ダイアモンドフロストはPWのブランド苗です。種苗法で無断増殖して商取り引きしたり、人に譲渡するのは禁止されていますので注意してください。
冬越し
寒さには強くないので、室内で5℃以上を保ち、乾かし気味に管理します。窓際の日当たりのよい場所に置きますが、夜間は厚手のカーテンを引いてください。また冷え込みの厳しいときは、温度が下がりやすい窓際から離すとよいでしょう。
繊細な美しさと強健な性質が魅力のユーフォルビア・ダイアモンドフロスト

カスミソウのような小花がふんわり咲くユーフォルビア・ダイアモンドフロストは、ナチュラルな美しさがあって、他の植物を引き立てます。もちろん主役としても活躍。暑さに負けず長期間咲き続け、グラウンドカバーにすると白いフワフワの絨毯のようです。近年急速に人気が出たのも納得でしょう。まだ育てたことのない人は、ぜひ入手してみてください。
Credit
文 / 小川恭弘 - 園芸研究家 -

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