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- コルジリネの育て方<屋外・屋内>用途別にプロが解説!
スラリと伸びる葉で人気のリーフプランツ「コルジリネ」。じつは大きく分けて「屋外向き」と「室内向き」の2タイプがあることをご存じでしょうか。「屋外向き」の種類はガーデニングや公共庭園などでガーデンプランツとして扱われ、「室内向き」の種類は部屋でインドアグリーンとして育てて冬越しをさせます。この記事では、多くの品種のあるコルジリネを、明確な用途別に分けてご紹介。栽培のプロがその特徴や育て方、増やし方などを詳しく解説します。
目次
コルジリネ(コルディリネ)とは
キジカクシ科センネンボク属
学名 Cordyline
原産 中国南部、台湾、東南アジア、太平洋諸島、オーストラリア、ニュージーランド
コルジリネは常緑の低木または高木です。地下の多肉質の根茎はよく発達し、大きく育つにつれて乾燥に強くなります。また地上部が寒さなどで枯れてしまっても、株元から新しい芽が出てくることがあります。細い葉を放射状に伸ばす姿がよく似ていることからドラセナの名で呼ばれることがありますが、分類上ドラセナとは異なります。
コルジリネは、高木に育ち寒さに強い種類と、低木でコンパクトに育ち寒さに弱い種類の2タイプに分けられます。それぞれ、育て方や楽しみ方が異なるので、混同しないよう注意が必要です。
屋外のガーデニングや造園用とされるコルジリネと、室内で冬越しさせる観葉植物のコルジリネに分けて解説します。
屋外で育てるコルジリネの種類
屋外用の植物として主に育てられるのは、ニオイシュロランの和名があるコルジリネ・オーストラリスです。また同じニュージーランド原産の近縁の種類やその交配種も同様で、世界の温帯地域で広く栽培されています。
耐寒性が強く、屋外で地植えすると7〜8mの大きな木に成長します。関東以西の地域では造園用の植物としてよく使われます。 購入しやすい小さなポット苗から、造園用として人間の背丈を大きく超える大木まで、非常に幅広いサイズの株が流通しています。
屋外用の代表種
ニオイシュロラン(コルジリネ・オーストラリス)
Cordyline australis
原産地のニュージーランドでは高さ20mにもなります。ニュージーランドのマオリ人は古くから栽培し、葉から繊維を採取したり、食用や薬用などさまざまに利用してきました。
幹は直立し、大きく育ってくると分枝します。春から秋に、先端付近から茎を伸ばして芳香の強い白花を咲かせます。枝先付近に葉を付ける株姿はヤシのようにも見え、アジアンリゾートやエキゾチックな雰囲気を演出するのに最適です。大株に育つと-9℃までの低温に耐え、目立った病気が少なく、丈夫で育てやすいです。
品種は多くは流通していませんが、葉が赤銅色の‘レッドスター’がよく育てられています。
ガーデニングでは手ごろなサイズの株が、枝先に葉を付ける株姿を生かして寄せ植えなどにもよく使われます。
近年は流通する品種が徐々に増え、緑の葉に株の中心付近が赤みを帯びる‘サンダンス’や白斑が目立つ‘トーベイ・タズラー’なども見られます。
コルジリネ・エレクトリックシリーズ
Cordyline banksii
ニュージーランド原産でオーストラリスに近縁な原種バンクシーの園芸品種です。鮮やかな斑入りの葉が美しいです。
成長はやや遅く、地際から葉が出ているように見える株も年数が経つと幹が伸びてきます。購入したばかりの株は、強風で根元から折れることがあるので、風当たりの強い場所に置くのは避けたほうがよいでしょう。
ピンクと紫のストライプが美しい‘ピンク’、落ち着いたストライプ模様がクールな‘スター’、明るいストライプ模様がナチュラルな美しさの‘フラッシュ’など品種のバリエーションがあります。
屋外栽培向きのコルジリネの育て方
適した環境・置き場所
日当たりと排水性のよい場所を好みます。最低半日以上日光が当たる場所で育てるようにしてください。雨が降ると水がたまりやすい水はけの悪い場所は避けてください。また小さな株や枝が細い株は、台風などの強風で幹が折れるなどの被害を受けやすいので注意してください。
斑入りの品種は、35℃を超えるような夏の猛暑時に日向に置くと葉焼けすることがあります。夏は午前中だけ日光が当たる半日陰で育てたほうがよいでしょう。
水やり
鉢植えは、表土が乾いてから水やりします。大株になるにつれて乾燥に強くなります。過湿を嫌うので、受け皿に水はためないようにしてください。
地植えした株は、根付けば水やりは不要です。
肥料
鉢植えは、4〜10月に窒素(N)・リン酸(P)・カリ(K)の三要素が等量の緩効性化成肥料などを規定量与えます。あまり大きくしたくない場合は、肥料の規定量の半分程度を与えてください。
地植えの場合は、肥料は与えなくてよいでしょう。
冬越し
大株になると-10℃近くの低温に耐えます。ただし小株は性質が弱く、寒さにも強くありません。軽い霜に当たった程度で枯れることもあります。また斑入りの品種は寒さに弱い傾向があります。
地植えしたい場合は、大きく育った株を植えたほうが冬に枯らすことが少ないです。また植え付けは春に行い、冬までにしっかりと根が張るように育ててください。地下部が発達すると、地上部が寒さなどで枯れても春に芽が出てくることが多くなります。
台風対策
地植えした株は、台風の強風で折れることがあります。しっかりとした支柱を立て、先端部の葉も支柱にヒモなどで縛って固定してください。
剪定と増やし方
剪定に強いので、大きくなりすぎたら好みの位置で切ってください。切った枝は土に挿すと簡単に発根します。大きな木の太い幹を切って地面に植えるだけでも発根します。5~6月に作業を行えば、冬までに根が成長します。
室内で育てるコルジリネの種類
熱帯産で寒さにあまり強くないため、室内で冬越しさせる観葉植物として楽しむ種類をご紹介します。丈夫で育てやすいので、ミニ観葉から大型の鉢植えまで幅広いサイズの株が販売されています。
室内用の代表種
コルジリネ・フルティコサ
Cordyline fruticosa
カラフルな葉が美しく、観葉植物として多く育てられるコルジリネです。
中国南部、東南アジアからオーストラリアまで熱帯の広い地域に分布し、最大で高さ4mほどになります。
鮮やかなカラーリーフが美しく、観賞用植物として盛んに栽培されています。例えば、ポリネシア東部では肥大した根茎をもつ品種が食用されていたり、ハワイでは葉の厚い品種をレイの材料にするなど、古くから熱帯の広い地域でさまざまな用途に使われ、暮らしに密着した植物として栽培されています。
品種が多く、大きく厚い葉や小さく薄い葉、細長い葉や短くずんぐりした印象の葉など、葉のバリエーションも豊富です。
コルジリネ・ストリクタ
Cordyline stricta
オーストラリア原産で、高さ5mほどに成長します。葉は細長く先端が尖り、艶やかな緑色が美しい観葉植物です。長さ20〜40cmの穂に紫色の花を咲かせ、花後に紫色から黒色の果実を無数につけます。
環境適応性が高く、日向から明るい日陰で育てることができます。
大株に育つと-5℃程度の耐寒性があり、霜が降りにくい地域では屋外でも越冬します。関東南部や都心部の条件のよい場所では庭木になります。
葉先が丸まった‘グローカル’や斑入りの品種などがあります。
屋内栽培向きのコルジリネの育て方
適した環境・置き場所
日向から半日陰が適します。葉の薄い品種は高温時の強い直射日光で葉焼けすることがあるので、夏は半日陰に置いたほうがよいでしょう。
日光に当てて育てることで、葉色が鮮明になります。5〜10月は、葉焼けしないように気をつけながら屋外で育てるのがおすすめです。
水やり
土の表面が乾いてから水やりしてください。大株になるに従い、乾燥に強くなります。空気が乾燥する場合は、葉水をこまめに与えたほうがよいでしょう。
肥料
5〜10月に、三要素(N/P/K)が等量の緩効性化成肥料などを規定量与えてください。あまり大きくしたくない場合は、肥料の規定量の半分程度を与えればよいでしょう。
植え替え
根の成長が旺盛なので、毎年植え替えるとよいでしょう。5〜8月に根鉢の1/3程度、底の部分を崩し、伸びすぎた根茎は切ります。一回りから二回り大きな鉢に、観葉植物用の培養土などを使って植えてください。
冬越し
葉を美しく保つためには、11〜4月は室内の日当たりのよい場所に置いてください。株が大きくなってくると0℃程度の低温に耐えますが、葉は枯れて枝も傷みます。ですが、寒さで地上部が枯れても、地下部が生きていて春に再び芽が出てくることがあります。
増やし方
5~9月に挿し木で簡単に増やすことができます。葉の付いた先端部の枝を10cmほど切り、葉をヒモなどで軽く縛って蒸散を防ぎます。赤玉土小粒などの清潔な用土に挿し、明るい日陰で乾燥させないように管理してください。他の枝も5~10cmほど切って挿し木すれば発根します。
水挿しでも簡単に発根し、透明の器越しに見た目にも楽しめます。
植え替え時などに余った根茎を利用して増やすこともできます。その場合は、3~5cmに切った根茎を赤玉土小粒を入れた浅鉢などに置いて、軽く覆土してください。
コルジリネを育てるポイントまとめ
- 屋外で育てるガーデニング向けの種類と、熱帯性のため室内で冬越しさせる観葉植物向けの種類がある
- 分類上は異なるドラセナの名で間違って認識されることがある
- 地上部が損傷しても復活しやすい
- 好みの位置で切って仕立て直すことができ、切った枝は挿し木で簡単に発根する
南国リゾート風の雰囲気の演出に最適なコルジリネ。カラーリーフとしてのバリエーションが多彩で、どの種類も丈夫で育てやすく、増やすのが非常に簡単なのも魅力です。リーフプランツとして優秀で重宝するコルジリネを、ぜひ育ててみてください。
Credit
文 / 小川恭弘 - 園芸研究家 -
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