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【秋植え先取り】春の庭で芸術的な異彩を放つ「パロット咲きのチューリップ」7選

【秋植え先取り】春の庭で芸術的な異彩を放つ「パロット咲きのチューリップ」7選

まだ残暑厳しいタイミングですが、秋植え球根のセレクトに役立つ“先取り情報”をプロがお届け! 秋植え球根の植えどきは、全国各地から紅葉のニュースが聞こえてくるころですが、人気品種は早期予約&購入するのが吉。春の庭で芸術的な異彩を放つ「パロット咲きのチューリップ」のイチオシを、ボタニカルショップのオーナーで園芸家の太田敦雄さんが7種をセレクト。その魅力とともにご紹介します。

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春の庭で芸術的な異彩を放つパロット咲きのチューリップ

今回は芸術的・個性的な春の庭の演出にとても活躍するパロット咲きチューリップの魅力や品種について紹介します。

パロット咲きチューリップ
Onajourneythrunature/Shutterstock.com

チューリップは春の庭を象徴するような花。毎年お庭に植えて楽しんでいる方も多いことでしょう。しかし、個性的なお庭作りをしたいと思った場合、じつは、チューリップのように誰もが知っている、あるいは誰もが植えるような花ほど、他人とカブりやすく、効果的に魅せるのが難しいんですよね。

花弁がグチャグチャっとよじれたり裂けたりしたパロット咲きの花は、良くも悪くも「美しさと醜さの境界」にあるような花。

私自身、最初にパロット咲きのチューリップに美を見出し世に送り出した人は、園芸史に残る大変な先見性とセンスを持ったイノベーターと思います。

パロット咲きチューリップ

パロット咲きのチューリップは、誰でもが無条件に好むようなチューリップらしい整ったキレイさではなく、「植える者、観る者の美的センスを問い直すような」観賞するにあたり少しだけハードルが高いところにアート観賞にも似たオトナな園芸の醍醐味があります。

とても変わった花なので、庭の中でも少ない本数でよく目立ちますし、庭の来訪者の話題の的にもなりやすいですし、そして他の園芸家ともカブりにくい。

パロット咲きチューリップ
Vlad Antonov/Shutterstock.com

そんな、ちょっと異端な魅力を持ったパロット咲きのチューリップを春の庭の個性的な味付けに取り入れてみてはいかがでしょうか。

過去の記事で、少ない本数で個性的に魅せるチューリップの活用法についての記事も書いています。こちらも参考にお読みください。

パロット咲きチューリップ

少ない本数でも効果的に魅せるチューリップ。セレクトとコーディネートのコツ〜前編〜

少ない本数でも効果的に魅せるチューリップ。セレクトとコーディネートのコツ〜後編〜

パロット咲きチューリップの買い時は秋ではなく真夏です

チューリップは秋植え球根の代表格ですが、パロット咲きの品種はどちらかというと万人受けするわけではないやや通好みな品種なので、取り扱っている園芸店も流通量も限られています。

球根
Vera.FoodandGarden/Shutterstock.com

実際、植え時の秋になって探してみると、欲しい品種はすでに売り切れてしまっていることもよくあります。秋に買えないと翌年までおあずけになってしまうので、それは避けたいところ。

通販
Stokkete/Shutterstock.com

お目当ての品種を買い逃さないためには、夏場から始まっているネットショップでの早期予約で早め早めに押さえておくのがおすすめです。早期予約特典で通常価格よりも安く予約できるショップなどもありますので、有効に活用してみてください。

つぼみから開花までのグロテスクな変化も見モノ!

整形花のチューリップは卵型の整った形のつぼみからキレイに咲いていくところまで、予定調和的に抜け目なく美しいですが、パロット咲きのチューリップは、なんだか病的によじれやねじれが入ったつぼみから、グチャッと絵の具をしぼり出したように色が溢れ出しながら咲き進んでいく開花の挙動も目が離せないポイントです。

チューリップ
Teo Wei Keong/Shutterstock.com

チューリップの観賞価値において「グロテスク」という観点ってあまりないですよね。パロット咲き品種は、つぼみの形状から開花、そして散っていくところまで、整形花のチューリップにはないようなドロドロしたグロテスクな頽廃美が漂っていて、これは本当に他にはない稀有な魅力だと思います。

パロット咲きチューリップ
Brita Seifert/Shutterstock.com

開花が始まると1日の間でも刻々と様子が変わり見飽きしません。一般に植物の動きはゆっくりなので、短時間の変化というものがあまり気にならないものですが、パロット咲きチューリップの開花挙動は「生物の営み」を目で感じられるようなダイナミックな変化を伴うのでなかなか面白いですよ。

では続いて、個性的・芸術的・頽廃的な魅力満点のパロット咲きチューリップのおすすめ品種をACID NATURE 乙庭 厳選セレクトで7種紹介します。

セレクト1
チューリップ ‘ブラックパロット’ (Tulipa ‘Black Parrot’)

神秘的な黒紫褐色みの花色に加え、花弁外縁が裂け込んだりよじれたりしたパロット咲きの乱れた頽廃的花容も相まって、園芸家を惹きつけて止まない不動の人気品種です。

チューリップ ブラックパロット
Uliana Amelina/Shutterstock.com

園芸植物の中でも稀有なダークファンタジーを感じさせる品種で、独創的・芸術的の植栽演出にとても活躍します。

セレクト2
チューリップ ‘アプリコットパロット’ (Tulipa ‘Apricot Parrot’)

クリーム色・アプリコット色・ピンク、そして外弁の白緑色が、パロット咲きの乱れた花形によってパレット上の絵の具のように入り交じり、えもいわれぬ頽廃的・絵画的な美観を発揮する魅惑品種です。

チューリップ ‘アプリコットパロット’
Sergey V Kalyakin/Shutterstock.com

優美なアプリコット~ピンク色系の多色のパロット咲き品種で、クリーム色・アプリコット~ピンクといった優美な色の絵具をパレット上でグチャっと混ぜたような、複雑でどれ一つとして同じ色形のものがない唯一無二の花がアートを観賞するような楽しみを与えてくれます。

セレクト3
チューリップ ‘パロットキング’ (Tulipa ‘Parrot King’)

前出のアプリコットパロットよりも派手でビビッドな朱赤~黄橙、アプリコット色といったより濃いオレンジ系のグラデーション。そこに加えて、白色や白緑色なども入り混じる多色咲きです。パロット咲きのバロックな花容と混沌とした色合いが相まって、頽廃あるいは狂乱とった、園芸の分野では新感覚な美意識を提示してくれる、たいへん興味深い品種です。

チューリップ ‘パットキング’ 
Sergey V Kalyakin/Shutterstock.com

派手な系統の色みではありますが、単色咲きのような強烈すぎるインパクトではなく、多色が複雑に入り混じることによって絵画的な雰囲気を獲得しています。植栽の中でも浮きすぎることはなく程よい感じで目立ち、アートのように思わず見入ってしばし眺めてしまうような不思議な魅力があります。

チューリップ ‘パットキング’ 
Sergey V Kalyakin/Shutterstock.com

白緑みのつぼみからビビッドなオレンジ系グラデーションカラーがドロドロと溢れ出してくるような、開花時の挙動もグロテスクで邪悪な予兆のようで、目を見張るものがありますよ。

セレクト4
チューリップ ‘エステラ ラインヴェルト’ (Tulipa ‘Estella Rijnveld’)

鮮やかな紅白の刷毛込み模様とパロット咲きの頽廃美が相まって、植える者の創作意欲を煽り立てる「攻め」感に溢れた品種です。

チューリップ ‘エステラ ラインヴェルト’
eans/Shutterstock.com

花色はグラデーションのかからないハッキリした紅白の不規則な刷毛込み模様。コントラストが強い原色の組み合わせにパロット咲きの乱れた花容との組み合わせで、とても強烈なキャラクターの花です。

チューリップ ‘エステラ ラインヴェルト’
Walter Erhardt/Shutterstock.com

美醜の境い目ギリギリ。「美とは何か」を観る者に問いかける、ある意味哲学的でもあり、パンクで危険な魅力をも感じさせますね。

セレクト5
チューリップ ‘フレーミング パロット’ (Tulipa ‘Flaming Parrot’)

黄色地の花弁中央に赤色の太い縦ラインの模様が入るという、ド派手でインパクトのある花色とパロット咲きの花容の組み合わせ!

チューリップ ‘フレーミング パロット’
Sukhvinder Saggu/Shutterstock.com

悪趣味の一歩手前くらいに装飾性盛り盛りの品種です。使い方が難しく感じられるかもしれませんが、実際植えてみると意外と悪目立ちしすぎず、かつオリジナルな主張もあり、植栽によいアクセントになります。

セレクト6
チューリップ ‘ロココ’ (Tulipa ‘Rococo’)

白緑色のグチャグチャと歪んだつぼみから、毒々しさも感じさせるダークレッド~真っ赤な色が溢れ出す開花の様子が、不気味でもありながら耽美的ともいえるような深く濃厚な味合いを感じさせます。「好きな人にとってはたまらない」通な魅力のある品種です。

チューリップ ‘ロココ’ 

本種 ‘ロココ’ は、基本的には赤花の品種なのですが、観賞のポイントとして一番の魅力は 、ちょっと沈んだ雰囲気の白緑みの歪んだつぼみから毒々しい赤色が混じり合うように溢れ出す、開花時のドラマティックな変化の様子にあります。

チューリップ ‘ロココ’ 
Brita Seifert/Shutterstock.com

赤と白緑色が複雑に混ざり合う様はかなりきわどく「醜」に近い状態になるのですが、その「ハラハラするような」不穏な気分というのは、園芸の分野では滅多に味わうことのできない稀少な感動要素です。決して単純ではない「美」というものの奥深さがありますね。

セレクト7
チューリップ ‘ブルーパロット’ ( Tulipa ‘Blue Parrot’)

ニュアンス満点のバイオレットパープルの花色がとても大人っぽく、パロット咲きの乱れた花容も相まって、春の明るい庭に少し憂いある味わいを添加してくれる、意味深な雰囲気が魅力の品種です。

チューリップ ‘ブルーパロット’ 
Joe Kuis/Shutterstock.com

大人っぽい妖艶さと優美さを兼ね備えたバイオレットパープルの花色が魅力的で、パロット咲きの花容によって、花弁の重なり具合などによって、単色には見えず、不規則な濃淡グラデーションな色合いとなり、絵画的な美しさを呈します。

チューリップ ‘ブルーパロット’ 
LesiChkalll27/Shutterstock.com

また、花が咲き進むにつれ青みと灰色みが増したり色がまだらにかすれたりしながら、乱れ咲いた先に枯れゆく様。この変容も仄暗く頽廃的で、開花最盛期の魅力だけではない栄枯盛衰的なドラマティックな移ろいもあり、耽美的な楽しみのある品種といえるでしょう。

パロット咲きチューリップ

「畏れることなく醜にも邪にもぶつかって見よう。その底に何があるか。
もしその底に何もなかったら人生の可能性は否定されなければならない。」

(有島武郎 作家 1878 – 1923)

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