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夏植え球根を植えて秋の庭を華やかに演出! おすすめの品種6選

夏植え球根を植えて秋の庭を華やかに演出! おすすめの品種6選

Picmin/Shutterstock.com

球根植物は、ヒヤシンスやチューリップなどのように秋に植え付けて春に開花を楽しむイメージが強いのですが、夏に植え付けて秋に咲かせるタイプもあります。あまり大きくなりすぎず、季節の変化を伝えてくれるのも魅力です。この記事では、夏植え球根について、特性や育て方、主な種類などをご紹介します。

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球根植物とは

球根
Nadezda Verbenko/Shutterstock.com

球根植物は、宿根草に分類される草花で、根や茎が肥大して水分や養分を蓄える器官をもっているのが特徴です。花を咲かせた後に葉を茂らせて光合成を行い、球根を太らせて養分を蓄えます。その後は地上部を枯らして休眠期に入ります。球根を掘り上げて貯蔵するか、植えたままにしてよいかは、育てる球根によって異なりますが、一年草のように半年ほどで枯死することはなく、上手に管理すれば毎年開花を楽しめる、息の長い植物です。一般に「球根」と呼ばれるのは養分を蓄える器官で、鱗茎、球茎、塊茎、根茎、塊根の5つに分類されています。また、種類によって植え付けに適した時期が異なり、主に春植え、夏植え、秋植えがあります。最もポピュラーなのは秋植え春咲きのもので、クロッカスやアネモネ、チューリップなどがあります。

夏植え球根とは

コルチカム
ZanozaRu/Shutterstock.com

夏に植え付けると、秋に咲くのが夏植え球根です。開花が終わると葉を茂らせて光合成を行い、地下に養分を蓄えます。その後、春から夏にかけて地上部を枯らして休眠するライフサイクルです。9〜10月に開花するものが多く、種類によっては冬まで咲くものもあります。比較的植え付けから開花までが短いのが特徴です。休眠中の球根を植えたままにしてよいのか、掘り上げて貯蔵する必要があるのかは種類によって異なるので、ラベルに記載された説明書きなどで確認して、適切に越年させるとよいでしょう。

夏植え球根の栽培上のポイント

夏に植え付けるタイプの球根植物の栽培のポイントについて、解説します。

栽培環境

土
funnyangel/Shutterstock.com

ほとんどの球根植物は、日当たり・風通しのよい場所を好みます。明るめの半日陰の場所でも栽培は可能ですが、日なたに比べて茎や葉がひょろひょろと徒長気味に伸び、花数は少なくなるようです。

植える場所には堆肥や腐葉土などの有機質資材を混ぜ込み、水はけと水もちのバランスが取れた、ふかふかとした土を作るとよく育ちます。

植えっぱなしにして越年するものもあれば、寒さに弱いものもあるので、入手した品種のラベルに書かれている性質を確認しておくとよいでしょう。寒さ対策としては、腐葉土や落ち葉などをかぶせる「マルチング」をしておくのもおすすめです。

植え付け

球根の植え付け
Richard Griffin/Shutterstock.com

夏植え球根の種類にもよりますが、植え付けの適期は6月中旬〜9月中旬です。花苗店などに出回る開花株を買い求めた場合は、早めに定植します。

球根植物は、1株のみ咲かせるより、同じ品種で球根を5〜10球まとめ植えし、一斉に咲かせると華やかに演出できます。

【地植え】

腐葉土や堆肥などの有機質資材をすき込んで土づくりをしておいた場所に、それぞれの球根に適した大きさの穴を掘り、植え付けます。たくさん植える場合は、適した間隔を開けましょう。最後にたっぷりと水やりをしておきます。

【鉢植え】

土は、草花の栽培用にブレンドされた市販の培養土を利用すると便利です。

用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を入れます。球根を植え付ける深さや間隔は、ラベルの説明に従ってください。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。最後にたっぷりと水やりをしておきます。

開花株を入手した場合は、ポットよりも1〜2回り大きな鉢を用意します。軽石を1〜2段分入れてから培養土を入れ、入手した株をポットから出して根鉢をくずさずに植え付けましょう。

日常の管理

水やり
Ivanko80/Shutterstock.com

●水やり

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えましょう。真夏は昼間に水やりすると水の温度が上がって株が弱るので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。また、真冬は、気温が低くなる夕方に水やりすると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に行いましょう。

【地植え】

地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、真夏に過度の乾燥が続く場合は水やりをして補いましょう。

【鉢植え】

鉢栽培では土が乾きやすいので、日頃から水やりを忘れずに管理します。とはいっても、毎日水を与えればいいというものでもありません。なぜなら、気温や湿度など天候の状況によって、土の乾き具合が異なるからです。動物が毎日食事を必要とするのとは異なり、植物は毎日水を与えて土がジメジメと過湿の状態になると、根腐れして枯れてしまうこともあるので注意。土の状態を見てから水やりするのがポイントで、基本は、土の表面が白っぽく乾いたら、鉢底から水が流れ出すまでたっぷりと与えます。また、茎葉がだらんと下がって勢いがなくなっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。

一方で、真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕の水やりを欠かさないようにします。

●肥料

【地植え・鉢植え共に】

球根植物は、肥大した根に養分を蓄えているため、植え付け時に元肥を施してあれば、開花までは特に追肥は不要です。開花した後は株が消耗している状態なので、地上部が枯れて休眠するまでは月に1度を目安に緩効性肥料を施し、球根を太らせましょう。根の発育を促すリン酸やカリ分が多めに配合された肥料を選ぶとよいでしょう。

●花がら摘み

花が終わったら、花茎の先端にある花房の下で切り取ります。花茎は光合成をして球根を充実させるのに一役買ってくれるので、残しておきましょう。

花がらをいつまでも残しておくと、腐って病気を招いたり、種子を作ろうとして養分がそちらに集中し、株がエネルギーを消耗して球根が太れない結果になってしまいます(中にはヒガンバナのように種子をつけない種類もあります)。早めに切り取って株まわりを清潔に保ちましょう。

球根の掘り上げ

ガーデニング
OlegDoroshin/Shutterstock.com

球根は、植え付けてから数年経つと大きく太って充実します。植えっぱなしで込み合ってきたと感じたら、地上部の葉が枯れた後に、掘り上げてみましょう。大きくなった球根は自然にいくつかに分球できるので、それぞれ球根をはずし、離して植え直すと増やすことができます。

夏植え球根は、すぐに植え直して越年できるものと、掘り上げて次の植え付けまでネットなどに入れて風通しのよい場所で保存したほうがよいものがあります。種類によって掘り上げ後の対処の仕方が異なるので、入手した球根のラベルに書かれた説明に従うとよいでしょう。

夏植え球根の楽しみ方

夏植え球根は、花数が少ないものが多いので、球根を5〜10個ほどまとめ植えしたほうが迫力が出ます。また、夏植え球根は、葉よりも先に花茎を伸ばして開花するタイプが多く、株元には葉がないために寂しく見えがちに。そのため、草丈の低い秋咲きの植物やカラーリーフを手前に植えておくのがおすすめです。

おすすめの夏植え球根6選

夏に植え付けるタイプの球根植物はたくさんありますが、その中からビギナーでも失敗が少なく、育てやすいものをピックアップしました。ぜひ栽培にチャレンジしてください。

リコリス

リコリス
Picmin/Shutterstock.com

リコリスは、ヒガンバナ科ヒガンバナ属(リコリス属)の球根植物。原産地は日本や中国、ミャンマーなど東アジアの地域で、10〜20種が確認されています。秋の彼岸頃に咲くヒガンバナや、山野などで見かけるキツネノカミソリ、ナツズイセンなどもリコリスの仲間です。日本でも自生している種類があるということは、ビギナーでも比較的育てやすい草花だといえます。

リコリスは葉よりも先に花茎を伸ばし、頂部に花を咲かせます。数輪の花弁が外側に向かって放射状に並ぶ、エレガントな咲き姿が大変華やか。細長い花弁が外にクルンと反り返り、長く伸びるしべとの対比もあって、秋の庭の主役となる存在感があります。植え付け適期は7〜8月で、開花期は9月中旬です。花色は赤、オレンジ、黄、白、ピンク、紫、青、複色があり、バラエティー豊か。花弁にキラキラとラメが入るような光沢感のある品種もあります。

リコリスの草丈は20〜50cmで、花壇の中段などに向いています。花茎を伸ばした先端に花を咲かせるときには、まだ葉が出ていないので株元がぽっかりと空いてしまいます。その空間を埋めるように、草丈の低い草花やカラーリーフプランツを組み合わせるとよいでしょう。

コルチカム

コルチカム
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コルチカムは、イヌサフラン科イヌサフラン属(コルチカム属)の球根植物。原産地は欧州、北アフリカ、中東、中央アジアで60種ほどが分布しており、暑さにも寒さにも強い性質です。植え付け適期は8〜9月で、開花期は9月中旬〜10月。花色はピンク、紫、白、黄など。草丈は5〜30cmで、葉よりも先に花茎を伸ばし、頂部に花を咲かせます。早春から葉を伸ばすので追肥をしておくとよいでしょう。地上部が枯れた6月頃に掘り上げて、植え付け適期まで風通しのよい場所で貯蔵します。

コルチカムは土に植え付けずに、窓辺などに置いておくと茎葉を伸ばして開花するほど強健なので、開花までインテリアて楽しむのもいいですね。ただし、コルチカムの球根はアルカロイドの一種コルヒチンを含み、毒性があるので、幼児やペットなどが誤って口に入れることのないように管理してください。

ネリネ

ネリネ
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ヒガンバナ科ヒメヒガンバナ属(ネリネ属)の球根植物。原産地は南アフリカで、暑さには強く寒さには弱い性質です。植え付け適期は4〜9月、開花期は10月中旬〜12月中旬で、花色は赤、ピンク、オレンジ、紫、白、複色など。花弁に光が当たるとキラキラと光るラメのような質感から、ダイヤモンドリリーの別名もあります。草丈は30〜40cmほど。2〜3年は植えっぱなしにしてもいいのですが、一般に流通しているネリネは耐寒性の弱いサルニエンシスをもとに品種改良されたものが多いため、鉢栽培にして越年させるほうが無難です。

サフラン

サフラン
ZhakYaroslav/Shutterstock.com

アヤメ科サフラン属(クロッカス属)の球根植物。もともとは染料や香料、薬用などに利用されてきました。原産地は地中海沿岸で、寒さに強く、暑さにはやや弱い性質をもっています。植え付け適期は8〜9月、開花期は10月中旬〜12月上旬で、クロッカスに似た花を咲かせます。花色は紫で、芳香があるのが特徴です。草丈は10〜15cmとやや低いので、花壇の前面などに向いています。5月頃から地上部を枯らして休眠期に入るので、梅雨前までには掘り上げて風通しのよい涼しい場所で管理しましょう。鉢栽培の場合は、夏にあまり雨の当たらない涼しい場所へ移動できれば、数年は植えたままにしてもかまいません。

ステルンベルギア

ステルンベルギア
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ヒガンバナ科キバナタマスダレ属(ステルンベルギア属)の球根植物。原産地はヨーロッパ南東部〜アジア南西部で、5〜8種が確認されており、寒さに強い性質です。植え付け適期は8〜9月、開花期は主に9月下旬〜10月中旬。花色は黄色で、クロッカスに似た花姿をしています。草丈は10〜25cm。水はけが悪い土壌では夏に球根が腐りやすいので、6月頃に葉色が黄変して地上部が枯れたら掘り上げ、植え付けまで風通しのよい涼しい場所で保管しておきましょう。

オキザリス

オキザリス
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カタバミ科のカタバミ属(オキザリス属)の球根植物。原産地は主に南アフリカ、中南米で800〜850種が確認されており、世界中に分布しています。日本で流通しているのは20種ほどで、秋咲きタイプのほか、春咲きタイプ、四季咲きタイプもあります。秋咲きタイプの植え付け適期は8〜10月で、開花期は10〜12月。花色は紫、ピンク、白、黄、オレンジ、複色などがあります。草丈は5〜30cm。光に反応して花を開き、暗くなると閉じる性質があるので、一日を通して日当たりのよい場所で栽培しましょう。

夏植え球根で外空間を彩り豊かに

夏植え球根
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夏植え球根は、植え付け後、比較的短い期間のうちに花が咲き始めるため、ほとんど放任してもよく、ビギナーにおすすめの草花です。花のフォルムが美しく、花色もカラフルなものが多いので、庭や空き地、ベランダを華やかに彩るのに一役買ってくれます。ぜひ夏咲き球根の栽培にチャレンジしてはいかがでしょうか。

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