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【夏の青花】こんもりと咲く姿がかわいいアゲラタム

【夏の青花】こんもりと咲く姿がかわいいアゲラタム

mizy/Shutterstock.com

青紫や白などの小花がまとまって咲いて、華やかな雰囲気をもたらすアゲラタム。開花期間が長く、育てやすいので園芸ビギナーにもおすすめの植物です。この記事では、アゲラタムの基本情報や種類、育て方などについて、詳しくご紹介します。

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アゲラタムの主な特徴とは

初夏から長い期間にわたって愛らしい花を咲かせるアゲラタム。ここでは、アゲラタムの基本情報や、花や葉の特徴についてご紹介します。

基本情報

アゲラタム
Picmin/Shutterstock.com

アゲラタムはキク科アゲラタム属(カッコウアザミ属)の多年草で、別名カッコウアザミ。原産地は熱帯アメリカで、暑さには強い一方、寒さには大変弱い性質です。そのため寒い日本の冬を越せずに枯死しやすく、国内では主に一年草として出回っています。草丈は15〜80cmで、種類や品種によって幅があります。

花や葉の特徴

アゲラタム
Traveller70/Shutterstock.com

アゲラタムの開花期は5〜11月で、長い期間にわたって開花します。花色は青紫、ピンク、白など。花径1cmほどの小さい花ですが、花茎を伸ばした先端に数輪咲くので、それが色の塊となって華やかな花姿を楽しめます。1輪の花はアザミの花姿によく似ています。

アゲラタムの葉は楕円形でやや薄く、互生につくのが特徴。よく分枝してこんもりと茂り、株張りも大きくなります。

アゲラタムの育て方ポイント8つ

ここまで、アゲラタムの基本情報と花や葉の特徴についてご紹介してきました。では、ここからはガーデニングの実践編として、アゲラタムの栽培方法について、詳しく解説します。

1.栽培環境

アゲラタム
mizy/Shutterstock.com

アゲラタムは、日当たりと風通しのよい場所を好みます。日当たりの悪い場所では花色や葉色が冴えずに花つきも悪くなり、徒長して軟弱な株になるので、日光不足に注意してください。土壌は、水はけと水もちのバランスがよく、有機質に富んだふかふかの状態を好みます。暑さには強い一方で、冬の寒さには弱く、本来は多年草ですが日本の冬の寒さに耐えられずに枯死してしまいます。夏は蒸れると株が弱ることがあるので、込み合っているようなら、適宜茎葉を間引いて風通しよく管理しましょう。

2.種まき

種まき
Vladyslav Lehir/Shutterstock.com

アゲラタムは、ビギナーでも種まきから育てられますよ! 種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなりますね。

ただし、アゲラタムの苗は初夏から花苗店に出回り始めます。手軽にスタートしたいなら、苗の植え付けからおすすめです。「1〜2株あれば十分だから、苗の植え付けから始めたい」という方は、次項に進んでください。

アゲラタムの発芽適温は20〜25℃前後。種まきの適期は、4〜6月頃です。種を播く際は、種まき用のトレイに草花用にブレンドされた市販の培養土を入れ、種同士が重ならないようにばらまきします。アゲラタムは「好光性種子」といい、発芽の際に光が差すのを好む植物のため、種に覆土はしないでください。種が流れ出すことがないように、トレイより一回り大きな容器に浅く水を張り、トレイを入れて底面から吸水させます。乾燥しないように管理すると、1週間ほどで発芽します。

発芽したら、日当たりと風通しのよい場所で管理しましょう。本葉が2〜3枚出始めたら、黒ポットに植え替えて育苗します。10日に1度を目安に液肥を与えると、生育がよくなります。本葉が5〜6枚つくまで管理し、ポットに根が回ってしっかりした株に育ったら、植えたい場所に定植しましょう。

3.用土

土
funnyangel/Shutterstock.com

【地植え】

丈夫な性質で土壌を選びませんが、植え付ける1〜2週間前に腐葉土や堆肥などの有機質資材を投入し、よく耕して水はけのよい土壌を作っておくとよいでしょう。

【鉢植え】

草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。

4.苗の植え付け・植え替え

ガーデニング
OlegDoroshin/Shutterstock.com

花苗店で苗を購入する際は、節間が短く茎ががっしりと締まって勢いがあるものを選びましょう。

アゲラタムは冬が寒い日本では一年草として扱われており、寒くなると枯れてしまうので植え替える必要はありません。枯れて株まわりが汚くなる前に抜き取って処分します。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に、苗を植え付けます。複数の苗を植え付ける場合は、20〜25cmの間隔を取っておきましょう。あまり密に植え付けると、風通しが悪くなって株が蒸れることがあるので、余裕を持たせておいたほうが無難です。植え付けた後は、たっぷりと水やりをしておきましょう。

【鉢植え】

鉢の大きさは、入手した苗よりも2回りほど大きい鉢を準備します。

用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。アゲラタムの苗を鉢に仮置きし、高さを決めます。苗をポットから出してみて根が白く回っているようなら、軽く根鉢をくずしてから植え付けましょう。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。

アゲラタムは冬が寒い日本では一年草として扱われていますが、もともとは多年草なので、暖かい場所に移動すれば越冬も可能です。越冬できたら、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてこないよう、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出してみて、根が詰まっていたら、根鉢をくずして古い根などを切り取りましょう。根鉢を1/2〜1/3くらいまで小さくして、元の鉢に新しい培養土を使って植え直します。

5.水やり

水やり
Ivanko80/Shutterstock.com

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。

真夏は、気温の高い昼間に水やりすると、すぐに水がぬるま湯のようになり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。

また、真冬は、気温が低くなる夕方に水やりすると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。

【地植え】

根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつもジメジメした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまいます。土の表面がしっかり乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。

6.肥料

肥料
Vitalii Stock/Shutterstock.com

【地植え】

元肥として緩効性肥料を施してあれば、追肥の必要はありません。株の生育に勢いがない場合は、液肥を与えて様子を見てください。

【鉢植え】

5〜7月上旬と9月頃に、株の状態を見て勢いがないようであれば、緩効性化成肥料を少量、株の周囲にまきます。スコップなどで軽く耕し、土に馴染ませておきましょう。開花期間中は、緩効性化成肥料をやめて速効性タイプの肥料を与えるのも一案。開花を促すタイプの液体肥料を、10日に1度を目安に与えて株の勢いを保ちます。窒素成分の多い肥料を与えると、茎葉ばかりが茂って花つきが悪くなるので注意してください。

7.日常のお手入れ

剪定
mihalec/Shutterstock.com

【花がら摘み】

アゲラタムは次々に花が咲くので、終わった花は早めに摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながりますよ! また、いつまでも花がらを残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。

【切り戻し】

6〜9月に草姿が乱れてきたら、そのつど切り戻して株の若返りをはかります。地際から草丈の1/2〜1/3の高さを目安に、深めにカットしましょう。すると新芽を出して株が盛り返し、再び開花し始めます。

【冬越し】

アゲラタムは、日本の冬の寒さに耐えられず枯死してしまうことが多いので、基本的には一年草として扱われています。しかし本来は多年草なので、冬に10℃以上を保つことができれば、越年させることも可能です。株が弱る前に鉢に植え替え、室内の日当たりがよく暖かい場所で管理するとよいでしょう。

8.注意すべき病害虫

アブラムシ
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【病気】

アゲラタムが発症しやすい病気は、灰色かび病などです。

灰色かび病は花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほど、かつ多湿の環境下で発生しやすい病気です。ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれています。風通しが悪く込み合っていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合っている場合は、間引いて風通しよく管理しましょう。

【害虫】

アゲラタムに発生しやすい害虫は、アブラムシ、ハダニなどです。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、シャワーではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。

ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要です。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけて予防するとよいでしょう。

アゲラタムの増やし方

種まきポット
Kunlanan Yarist/Shutterstock.com

アゲラタムは、種まきと挿し芽で増やすことが可能です。ここでは、それらの方法を詳しく解説します。

種まき

アゲラタムを種まきから増やしたい場合、開花後に種を採取してもOKです。開花期が終わりを迎える頃に花がら摘みをやめ、熟したら種を採取して密閉容器に入れ、翌春まで保管しておきましょう。その後の手順は、前述の「種まき」の項目を参照してください。ただし、品種改良された園芸品種の場合は、親と同じ性質になるとは限りません。

挿し芽

挿し芽とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し芽ができないものもありますが、アゲラタムは挿し芽で増やせます。

アゲラタムの挿し芽は、生育期ならいつでも可能です。新しく伸びた茎葉を2節以上つけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した茎葉(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を2〜3枚切り取ります。黒ポットを用意して新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。成長して根が回ってきたら植えたい場所へ定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。

アゲラタムの主な品種

アゲラタム
‘ブルーハワイ’。Nahhana/Shutterstock.com

アゲラタムは40種ほどが分布しています。品種改良も盛んで、園芸品種も多様に揃います。ここでは、育てやすいスタンダードな品種をご紹介します。

トップブルー

夏の庭に涼を呼ぶブルーの花色が魅力。株張りは約50cm、草丈は80cmほどになります。花茎が丈夫で花もちがよいため、切り花にしてインテリアに飾っても素敵です。

レッドシー

赤紫色の花色がよく映える品種です。咲き始めのブライトレッドから、咲き進むにつれパープルレッドへと変化していきます。草丈は60cm前後。茎が細く、しなやかなのが特徴です。

ハワイシリーズ

草丈が15〜20cmの矮性タイプで、早くから咲き始めます。特に花数が多いことで知られるシリーズで、‘ブルーハワイ’、‘ホワイト’ ‘ロイヤル’ ‘スカイブルー’など、数種が揃います。

長く楽しめるアゲラタムで庭を華やかに

アゲラタム
EQRoy/Shutterstock.com

アゲラタムはよく分枝してこんもりと茂り、開花期も長いため、初夏から秋にかけて庭を鮮やかに彩ってくれます。放任してもよく育つので、ビギナーさんにもおすすめ。ぜひ庭やベランダに取り入れて、庭を涼やかに演出してはいかがでしょうか。

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