【果樹栽培】カシス(クロスグリ)は自宅で栽培可能! 特徴や育て方のコツを解説

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カシスといえばリキュールやスイーツなどを思い浮かべる方も多いことでしょう。濃い紫色の小さな果実のカシスは、じつはコツを押さえれば家庭の庭でも育てることができる果物なのをご存じですか? この記事では、カシス(クロスグリ)の特徴から育て方のポイントについて詳しくご紹介します。
カシス(クロスグリ)の主な特徴とは

まずはカシス(クロスグリ)とはどのような植物なのか、主な特徴について解説します。
基本情報

カシスは日本ではクロスグリとも呼ばれるスグリ科スグリ属に属する落葉低木で、分類法によってはユキノシタ科に分類されることもある落葉低木です。原産地はヨーロッパで、樹高は1~1.5mほどです。
耐寒性が強いため、寒冷地でも育ちますが、耐暑性は弱いため、暑い地域では育ちにくいです。カシスはフランス名であり、英語ではブラックカラントと呼ばれています。また、カシスは傷つくと猫の尿のような強烈なニオイを発しますが、傷つけなければ無臭です。
花や実の特徴

カシスの開花時期は4~5月で、黄緑色の小さい花を咲かせます。その後、緑色の実をつけ、やがて濃紫色や黒色に変わります。
植え付けから2年ほどで実を収穫できるようになります。カシスは自家結実性であり、1株植えれば実がなります。実は酸味が強いため、そのまま食べるより、ジャムやゼリー、果実酒などに加工されることが多いです。
実は栄養が豊富

カシス(クロスグリ)の実は、栄養価が非常に高いことが知られています。
アントシアニンの含有量が非常に豊富で、ブルーベリーよりも多いと言われています。アントシアニンは、目の疲れやストレスからくる肩こりや頭痛などに効果があるとされ、目の健康維持にも役立つとされています。また、ビタミンCも豊富に含まれており、ビタミンAやβカロテン、カルシウム、マグネシウムなどの栄養素も含まれています。
カシス(クロスグリ)の育て方のポイント7つ

カシス(クロスグリ)はヨーロッパ原産のため、日本での主な産地は青森県など一部の冷涼な地域ですが、注意点を押さえれば自宅の敷地内で栽培することも可能です。
ここではカシスの育て方のポイントについて解説します。
1.栽培環境・用土

カシスは地植えでも鉢植えでも育てることができます。
カシスは暑さに弱いため、強い日差しの当たる場所は避ける必要があります。午前中は日当たりのよい場所で、午後は明るい日陰になるような場所が最適です。
また水はけと水もちのよい土壌を好むため、市販の培養土や赤玉土にピートモスを混ぜた土、またはベリー類専用の用土などを使用するとよいでしょう。
2.水やり

カシスの水やりについては、地植えと鉢植えで管理が異なります。地植えの場合、基本的に降雨で十分なため、水やりは必要ありません。ただし、夏場に日照りが続いて乾燥している場合には、水やりが必要になります。
鉢植えの場合は、表土が乾いたらたっぷりと水を与えるようにします。鉢の下に受け皿を置いている場合は、水やり後にたまった水をこまめに捨てるようにしましょう。
3.肥料

カシスの肥料は、地植えの場合は植え付け時に有機質肥料もしくは速効性化成肥料を元肥として混ぜます。10月にも同じ肥料を追肥します。
一方、鉢植えの場合は地植えよりも定期的な施肥が必要です。2月、7月、10月に有機肥料や即効性化成肥料を施します。2週間に1回ほどの頻度で、1,000倍に薄めた液体肥料を与えてもよいでしょう。
4.植え付け・植え替え

カシスの植え付けおよび植え替えは、落葉期の12~2月が適期です。地植えの場合は、植え替えは必要ありませんが、鉢植えの場合は、約2年に1回程度のペースで行うことが望ましいです。鉢植えの場合は、現在の鉢よりも一回り大きな鉢に植え替えることが必要です。
5.日常のお手入れ

カシスの整枝・剪定は12~2月に行います。
株の根元から毎年新梢が出るので、勢いの強いものを3~4本残すようにします。極端な強剪定は避け、5年ほどで主軸枝が15本程度となり、樹形が整います。
5年を超えた古い主軸枝は地際から切り取ります。また、風通しや日当たりをよくするため、混みあっている枝もこまめに整理しましょう。
6.人工授粉と収穫

カシスは、自家結実性があるため、人工授粉や授粉樹は必要ありません。自然に授粉すると実がどんどん大きくなり、黒く熟した実をたくさん収穫できます。
収穫時期は7月です。もし毎年実がつきにくい場合は、4~5月頃に絵筆などを使って受粉させるとよいでしょう。
人工授粉は、筆を花の中に入れて雄しべの花粉をつけ、花の中央にある雌しべにこすりつけるようにして行います。
7.注意すべき病害虫

注意すべき病気には、うどん粉病や斑点病などがあります。剪定などで風通しをよくすることで予防しましょう。
害虫では、カイガラムシがつきやすい傾向があります。こまめな剪定を行い、風通しをよくすることが、害虫対策の重要なポイントです。カイガラムシ類がついたら、使い古しの歯ブラシなどでこすり落として駆除します。
カシス(クロスグリ)の増やし方

カシス(クロスグリ)は種まきや挿し木で増やすことができます。
ここではそれぞれの増やし方について解説します。
種まき

カシスを増やす方法として、実から採取したタネを使って種まきする方法があります。タネの発芽のためには寒さにあてる必要があるため、種まきする前にタネを冷蔵庫に入れておきます。また、タネからでは実が収穫できるまでに時間がかかることに注意しましょう。
果実の収穫後すぐにタネをまき、冬の間土が乾きすぎないように管理していると、春になると発芽します。
挿し木

カシス(クロスグリ)は挿し木で増やすのが一般的です。
挿し木の方法は以下の通りです。まず、前年に伸びた若い枝を切り、葉を数枚残してあとは取り除きます。その後、挿し穂に水を吸わせるために1時間ほど水につけ、水を吸わせた挿し木用の用土に挿して軽く押さえてから水やりします。挿し穂は乾燥しないよう注意して管理します。
カシス(クロスグリ)の食べ方

カシス(クロスグリ)の果実は生で皮ごと食べることもできますが、酸味が強いためジャムやジュースなどに加工するのが一般的です。
カシスのジャムの作り方をご紹介します。
収穫したカシス500gと砂糖300g、水80g、レモン果汁少々を用意します。
収穫したカシスは花柄を取り除いて水洗いし、鍋に果実と水を入れて5分ほど煮ます。鍋の中の果肉をザルに取り出し、木べらなどで果肉をつぶしてタネなどを漉しとります。鍋の中に濾した果肉と砂糖、レモン汁を入れて10分ほど弱火で煮詰めます。このとき、焦げないように木べらなどで混ぜながら煮詰めて、とろみが出てきたら完成です。保存する場合は殺菌した瓶などに詰めて蓋を載せ、冷ましてから蓋を閉めます。
カシス(クロスグリ)を育てて味わってみよう

カシスは地植えでも鉢植えでも育てることができます。強い日差しに当てないように注意し、こまめな剪定を心がければ比較的育てやすい植物です。
収穫したカシスでジャムやジュース、ケーキなどを作って楽しむこともできます。
ぜひこの記事を参考に、カシスをご自宅で育てて収穫する贅沢を楽しんでみてはいかがでしょうか。
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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