唐辛子のような見た目で辛みの少ないシシトウは、夏に美味しい野菜の一つです。料理ではおなじみですが、自宅で育てることもできますよ。この記事ではシシトウを辛くしない育て方のポイントから、栄養価、美味しい食べ方レシピについてご紹介します。
目次
シシトウはどんな野菜?
シシトウは、ナス科トウガラシ属(Capsicum属)の野菜で、ピーマンやトウガラシの仲間。トウガラシの仲間ですが、辛みが少ない甘味種です。ただし、生育中の水不足や天候の急激な変化、肥料の量が適切でなかった場合などには、辛くなることがあります。熟すと色がトウガラシのような赤色になります。よく見かけるのは緑色ですが、赤いシシトウも流通しています。
シシトウの栽培方法
炒め物やおつまみに人気のシシトウは、それほど栽培が難しくないので、庭やベランダで育てることもできる人気の野菜です。
ここからは、シシトウの育て方についてご紹介します。
苗の選び方
家庭菜園でシシトウを栽培する場合は、1~2株あれば十分な量が収穫できます。
発芽温度が高く、気温が高くなってから種まきをすると収穫期が長くとれないため、タネから育てるよりも市販の苗を購入することをおすすめします。
苗を選ぶ際には、大きくしっかりした株で、茎が太いものを選びましょう。本葉が7~10枚ほどで、葉にツヤがあり、一番花が開花する直前の株を選ぶと、すぐに収穫できます。
土づくり
地植えの場合は、植え付け2~3週間前に、苦土石灰をまきます。植え付け1週間前には、堆肥と化成肥料や有機肥料を施します。さらに畝を立てて、マルチを張ります。連作障害を起こすため、ナス科の野菜を3年以上栽培していない場所で育てましょう。
鉢植えで育てる場合は市販の野菜用培養土を使うか、小粒の赤玉土に3割ほど腐葉土や牛ふん堆肥などの有機質を混ぜ込んだものを使います。ほかの作物を栽培した用土を再利用する場合は、ナス科の作物を育てたことがないものを使いましょう。
植え付け
シシトウの植え付け適期は、十分に暖かくなった4月中旬~5月下旬。苗を植え付ける際には、まずポットごと苗を水につけてたっぷり含ませます。次に、畝に張ったマルチに40〜50cm間隔で穴をあけ、植え穴を掘ります。その後、根鉢をくずさないように、苗を植えて株元を軽く押さえ、たっぷり水をやります。最後に、仮支柱を立て、ゆるく誘引します。
鉢植えの場合は、7〜10号(直径約20〜30cm)の鉢か、60cmプランターに植え付けます。鉢の場合は1鉢あたり1株、60cmプランターであれば2株ほどを植え付けるとよいでしょう。
鉢には必要に応じて鉢底網と鉢底石を入れ、水はけをよくしておきます。
水やり・肥料
シシトウは乾燥に弱いため、土が乾いたら十分に水やりをすることが重要です。水が不足するとストレスがかかり、辛くなることがあるため注意しましょう。
また、実がつき始めたら固形肥料を追肥し、以降は3週間に1回のペースで肥料を与えます。シシトウは長期間にわたってたくさん実をつけるため、肥料切れに注意しながら管理します。
鉢やプランターで栽培する場合は、用土の表面が乾いたら、底から流れ出すまでたっぷりと水やりをします。2週間に1回ほど、水やりを兼ねて1,000倍に薄めた液体肥料を与えると手軽です。
日常の管理
シシトウの株が成長してきたら仮支柱を抜いて本支柱を立て、誘引します。
最初に咲く花を「一番花」といいますが、この一番花より下の脇芽は摘み取り、一番花のところから枝を2~3本残して株姿を作ります。
この枝に沿って斜めに支柱を立て、ビニールタイなどで誘引します。
株間を広めにとって植えれば、誘引せずに放任しても問題ありません。
収穫
株を充実させるために、最初にできた実は3~4cmの小さなうちに収穫しましょう。その後は、5〜7cmほどの大きさになったら収穫します。株の消耗を抑えるため、早めに収穫するのが好ましいです。
シシトウは6〜11月まで収穫できます。
病害虫
シシトウがかかりやすい病気には、青枯れ病や疫病、うどんこ病、モザイク病などがあります。病気の症状が現れた株は撤去して、すぐに処分しましょう。
また、つきやすい害虫にはアブラムシやハダニ、タバコガ、ヨトウムシなどがありますが、見つけ次第駆除しましょう。
口に入れるシシトウの栽培では、実がなり始めてきたら薬剤を使いたくない方も多いかと思います。毎日よく観察して、手や割りばしなどで虫を取り除きましょう。アブラムシはホースの水流などで洗い流してもよいでしょう。
また、シシトウをはじめとするナス科の植物は、タバコモザイクウイルスに感染すると生育が悪くなってしまいます。喫煙する方は、手入れなどでシシトウに触れる前に、石けんを使ってよく手を洗うようにすることをおすすめします。
プランター栽培の方法
シシトウは、プランター栽培も可能です。プランターは、容量20ℓ、深さ30cm以上の野菜専用のものがおすすめです。土は市販の野菜用培養土を使いましょう。
プランター栽培も、日当たりと風通しのよい場所で管理し、基本的な植え付け方法や育て方などは、地植えの場合と同じです。
シシトウの選び方と保存方法
スーパーなどでもポピュラーなシシトウですが、美味しいものを選ぶためにはどのようなポイントに注意すればよいのでしょうか。
ここからは、シシトウを購入する際の選び方や、保存方法について解説します。
美味しいシシトウの選び方
美味しいシシトウは実が鮮やかな緑色で、つやとハリがあり、へたがしっかりしているもの。へたが黒ずんでいたり、果肉が硬いものは、鮮度が落ちているので避けたほうがよいでしょう。また、大きすぎるものは、成長しすぎて味が落ちている可能性があります。
冷蔵保存
冷蔵庫に入れると、シシトウは1週間ほど保存できます。へたは残して茎を切り落とし、洗って水気をよく拭き取ります。まとめてペーパータオルで包んで、ポリ袋に入れて野菜室で保存しましょう。
購入時にプラスチックの容器に入っていた場合は、ペーパータオルで包んで容器に納め、容器ごとポリ袋に入れると、より鮮度を保てます。
冷凍保存
シシトウは、冷凍すれば1カ月ほど保存できます。
冷凍する際には、茎を切り落とし、へたは残し、洗って水気をよく拭き取りましょう。重ならないように冷凍用保存袋に入れ、空気を抜いて冷凍庫に入れます。
調理するときには、1分ほど室温に置くと包丁が入るようになり、カットして使うことができます。
シシトウに含まれる栄養
シシトウは特に、βカロテンが豊富です。βカロテンは体内でビタミンAに変換されます。
また、ビタミンCも多く、ビタミンB6やカリウムも豊富に含まれています。
シシトウのレシピ
自宅で育てたシシトウや、スーパーで購入したシシトウを使って作りたい定番料理をご紹介します。
てんぷら
シシトウを洗ってキッチンペーパーで水気をとり、シシトウの脇に少し切れ目を入れます。切れ目を入れることで揚げた時に破裂するのを防げます。竹串で数カ所穴をあけてもOKです。
てんぷら粉を水で溶き、油を鍋で170℃まで温めておきます。
シシトウを衣にくぐらせて油に入れて揚げます。衣がきつね色になり、サクッとした感触になったら引き上げます。20~30秒ほどで火が通るので、揚げすぎないよう注意しましょう。
油切り用の網などで余分な油を落とし、お皿に盛り付けて完成です。塩や七味を振っていただくのがおすすめです。
煮浸し
シシトウのヘタを切り落とし、竹串などで種とワタを取っておきます。
小鍋に油をひいて強火でシシトウを炒め、焼き目がついたら、だしを1/4カップ加えます。
沸騰したら弱火にし、しょうゆ、みりんをそれぞれ大さじ1加えて煮込みます。
程よく煮込んだら火を止めて、冷ましながら味をなじませます。
夏には冷やして食べてもおいしい料理です。
シシトウを育ててどんどん食べよう
小皿料理やおつまみにぴったりのシシトウは、広いスペースが必要がなく、家庭でも簡単に栽培できる野菜です。収穫も長く楽しめるので、食べたいときに採れたてを少量調理する楽しみ方もできます。
ぜひご家庭でシシトウを育てて、さまざまな料理で楽しんでみてはいかがでしょうか。
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