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今、カラテアが熱い! 一鉢置けばそこはもう熱帯アメリカ、プロが選んだ推しのカラテア4選|観葉植物基礎講座 Vol.7

カラテアは種類ごとに葉の模様が異なる観葉植物。同じカラテア属とは思えないほど、それぞれの品種が個性を競っています。育て方がちょっとだけ難しいけれど、お部屋にエキゾチックな熱帯の風を呼び込んでくれる摩訶不思議な葉の模様は、所有する喜びを与えてくれます。今回は、思わず集めてコレクションしたくなっちゃうカラテアのあれやこれやを、お馴染みオザキフラワーパークの観葉植物担当・後藤さんに徹底解説していただきます。
目次
カラテアってどんな植物?


カラテアは、グアテマラやホンジュラスなど7つの小国からなる熱帯アメリカを原産地とするクズウコン科の植物。品種ごとに異なる葉の模様を持っており、そのエキゾチックな美しさは世界中の観葉植物ファンを魅了しています。
いくつかの品種は、夜になると葉を折りたたむ休眠運動をすることでも知られており、この動作が手を合わせて祈る姿を想起するため、Prayer plants(祈りの植物)とも呼ばれています。

カラテアという名の由来は諸説ありますが、古代ギリシャや古代ローマで使われていたkalathos(カラトス)というユリの花のような形をした網籠に花穂が似ているため、という説が一般的です。
カラテア属は、かつては300以上の種類がありましたが、2012年に行われたDNA検査により、そのうちの約250種がゲッペルティア属、残る約60種類がカラテア属として分類されました。そのどれもが葉の色や形が異なるためコレクターも多く、集める楽しみがあるところは、前回特集したポトスにも似ていますね。
しかし育て方に関しては、ポトスよりやや難度が上がります。カラテアが枯れる原因として最も多いのは、乾燥。美しい葉の模様を楽しみながら健康な株に育てるためには、頻繁に葉水を行って株周りの湿度を保たなければなりません。多少放置していても葉が劣化しない品種が多い観葉植物の中にあって、カラテアは日々のケアがとても大切な種類なんです。

カラテアは、クロカータやオーガスタなど、種類によっては美しい花を咲かせます。ただ残念なことに、日本では沖縄など亜熱帯に近い環境以外で観葉植物として育てた場合、素人が開花させるのは難しいとされています。しかし、クロカータのように、比較的開花しやすい品種も出回っているため、関東以南の太平洋側にお住まいの方はチャレンジしてみる価値はあります。

【カラテアってウコンの仲間なの?】
カラテアはクズウコン科の植物ですが、二日酔いに効くとされるウコンとは関係ありません。ただ、クズウコンは地下茎から澱粉が取れ、それが食用になることから、コロンビアのヌカク族という先住民は、自生するカラテアになんらかの薬効性があるかどうかと考え珍重しています(薬効成分があるかは実際のところ不明)。また、ヌカク族のハンターは、大きく成長したカラテアの葉を狩猟用の矢を入れる筒にするなど、工芸品としても活用しています。
カラテアのプランツデータ
- 植物名:カラテア
- 和名:品種ごとに異なる和名がある。
- 学名:カラテア+○○(品種ごとに異なる)
- 科目:クズウコン科
- 属名:カラテア属
- 原産地:熱帯アメリカ
- 分布域:亜熱帯地域、熱帯雨林地域
- 葉の観賞期:通年
カラテアの特徴と魅力
一つひとつの品種が個性的な葉の模様を持つことで知られるカラテア。
カラテアは品種によって葉の模様がまったく異なるため、同じ属仲間には見えないほど個性豊かなのが特徴です。美しい模様はまるでアートのようで、一目惚れで買う方も多く、中には海外までレア物を探しに行く熱狂的なコレクターもいます。
ポトスやへデラのように、どの園芸店に行っても置いてあるというものではないため、欲しい方は事前に園芸店に確認することをおすすめします。ちなみにオザキフラワーパークでも入荷に波があり、また入荷しても種類によってはその日のうちにすぐに売れてしまうため、事前の在庫確認が望ましいです。

カラテアは入手したらSNSに投稿するファンも多く、インスタグラムで「#カラテア」と検索してみると2.9万件ものMyカラテアが投稿されており、学名の「#calathea」と入れると、投稿数はなんと86.1万件にまで跳ね上がります。そこでは、世界中の人々が自分流にカラテアを楽しんでいる様子が見られるため、これからカラテアを買う方も、買ったけれどインテリアコーディネートに迷っている方も、よい参考になるのではないでしょうか。

カラテアの育て方
置き場所

カラテアにとって最適な置き場所は、レースのカーテン越しの優しい光が入る窓辺や、同程度の明るさが確保できる場所。窓から離れた部屋の中心あたりに置いても問題はありませんが、日中の2〜3時間は前述の場所に置いてあげると葉の模様もくっきりした健康な株に育ちます。直射日光は葉焼けの原因となるため、絶対にNGです。
カラテアは耐陰性が強いため、日陰でもしっかりと育ちます。ただし、極端に暗い場所で栽培すると、最大の魅力でもある葉の模様が薄くなったり消えてしまうなどの影響が出ます。また、劣化した葉は株の勢いも弱めてしまいます。

最も注意してほしいのが、エアコンの風。冷暖共に、風が直接当たる場所は避けてください。エアコンの風が直接当たる場所に長時間置いておくと、葉が気孔から水分を蒸発させる代謝活動(蒸散)ができなくなり、株が弱る原因になります。
これらのことから、カラテアの置き場所は「明るすぎず、暗すぎず、エアコンの風があたらず」を念頭に管理してください。
【カラテアはペットOK】
観葉植物の中にはペットに有害な種類のものも数多くあります。しかし、カラテアはペット(犬及び猫)に対して安全な観葉植物なので、安心して室内に置けます。ただし、猫の中には猫草と間違えて葉をかじってしまう子もいるので、猫がいるご家庭では特にご注意ください。
観葉植物のペットに対する安全性は、下記「アメリカ動物虐待防止協会」のANIMAL POISON CONTROL/Toxic and Non-Toxic Plants List (ペットに対する有毒無毒リスト)を引用しています。
夏の管理温度、冬の管理温度

【夏】
カラテアの栽培に最適な温度は20〜30℃です。しかし年間を通して蒸し暑い熱帯アメリカが原産のため、耐暑性はとても強く、室内の温度が35℃くらいにまで達するような猛暑日が続いても枯れる心配はありません。むしろ寒さに弱いため、冷房の冷たい風が当たらないよう十分に注意してください。
【冬】
カラテアは数ある観葉植物の中でも特に寒さに弱いため、冬は15℃を下回らないように管理してください。15℃を下回ると葉がしおれたり、株の健康状態によっては枯れてしまう場合もあります。また、冬は暖房を効かせていても、陽が落ちるにつれ窓辺の気温も急激に下がっていくため、カラテアを窓辺で管理している場合は、夜間は部屋の中心に移動してあげるのがおすすめです。
【サーキュレーターを活用しよう】
夏と冬は窓を閉め切っていることが多いので、自然界に少しでも環境を近づけるために、サーキュレーター(送風機)の使用をおすすめします。
天井(直上)に向けて風を送れば、サーキュレーターの風は直進する性質があるため、天井で四方に分散し、壁にぶつかった後は下に向かい、部屋の中でぐるぐると回ります。こうして部屋の空気をまんべんなく循環させることにより、病害虫も発生しにくく、健康な株に育つことが期待できます。
水やり

春~秋の間は土の表面が乾いたら、鉢底穴から流れ出るくらいたっぷりと水を与えます。冬は土の表面が乾いて3日ほど経過したら、同様に鉢底穴から流れ出るくらいたっぷり水を与えます。受け皿に溜まった水は必ず捨ててください。
肥料

春~秋の間は、窒素が多い観葉植物用の液体肥料を週1回のペースであげてください。使用法はメーカーにより異なるため、必ず商品ごとの使用法に従い、適切な量を与えてください。
固形(錠剤)肥料の場合は、置肥(おきひ)といって、鉢の縁付近に規定個数を置いておけばOKです。こちらも必ず商品ごとの使用法に従い、適切な量を与えてください。
カラテアは、根の機能が弱まる冬の間は基本的に施肥は不要です。液体肥料は冬になったら止め、固形(錠剤)肥料は、冬に入る前にまだ鉢に残っている場合は撤去して、冬場は完全に無肥状態にしてください。
葉水の方法など、日常のお手入れ

カラテアは極度に乾燥に弱いため、空中湿度を高く保たないと葉が丸まったり、先端から変色するなど葉のコンディションが急速に悪くなり、最終的には枯れてしまいます。このため、葉水は春夏秋冬、毎日あげてください。極端な話、気づいた時にスプレーするなど、一日に何回あげても構いません。むしろそうすることで、害虫が発生するリスクを抑えることができます。
ただし、冬場の葉水は必ず日中に行うようにしてください。カラテアは寒さに弱いため、夜間に行うと株の体温を下げてしまい、弱らせる原因となってしまいます。
植え替え

株の成長を促すために2~3年に1回、春~秋の間に1〜2回り大きい鉢に植え替えてください。
病害虫
【害虫】
カラテアの葉や茎が乾燥すると、高い確率で発生するのがカイガラムシとハダニ。発生すると葉を弱らせるため、葉の美しさが売りのカラテアにとってはまさに天敵です。
- カイガラムシは、一度発生すると急速に広がり患部も深くなります。しかし効果的な薬剤が少ないため、見つけ次第ピンセットや歯ブラシを用いて物理的に駆除します。
- ハダニの場合は、市販の殺虫剤を散布して駆除してください。
前述のように、害虫予防に最も有効なのが葉水なので、“気づいた時の葉水”を習慣にすることをおすすめします。
【病気】
カラテアは空中湿度を高めにして育てるため、春~秋に、湿度を好む黒斑病、斑点病が出る場合があります。
- 黒斑病/初期症状は白い小さな斑点ができ、やがてその名の通り黒い大きな斑点に成長していきます。
- 斑点病/初期症状は褐色の小さな斑点がいくつかでき、やがてそれらが拡大していきます。
- 黒斑病も斑点病も、初期症状の段階で総合殺菌剤(『STダコニール1000』等)を用いて治療すれば高い確率で治りますが、発見が遅れると殺菌剤も効かずに枯れてしまうこともあります。
人間の体同様、病気は早期発見が第一。手遅れにならないように、日頃の葉水のときなどに株の状態に目を配ることが大切です。

オザキフラワーパーク後藤さんが選んだ、推しのカラテア4選

僕の推しのカラテアをご紹介するので、ぜひ育ててみませんか?
ランキフォリア


【写真の商品】高さ(以下全て鉢含まず)20cm 店頭価格:1,680円(税込)
品種の名がラテン語で槍の(lancea)葉(folium)に由来するように、シャープで波打つ形の葉に水彩絵の具で描いたようなアート感溢れる模様が印象的。
ポップな現代アートを思わせるこの模様、とても自然の物とは思えません。表の模様に反して、裏は綺麗なパープル1色。表と裏で全く違う表情を楽しめるのも、ランキフォリアの魅力です。

成長が早いランキフォリアはすぐに生い茂ってきます。葉が古くなって傷んできたなと思ったら、躊躇せずに剪定をしてください。剪定をすることにより新しい代謝を促し、株の健康状態を良好に保つことができます。それ以外は一般的なカラテアの育て方と変わりありません。
写真の商品は高さ20cm(鉢含まず)ですが、自生地では1mを超える株も多いため、明るい場所で基本通りのケアをしていけば、現状の倍以上の40〜60cmまで伸びると思います。
ドッティー


【写真の商品】高さ20cm 店頭価格:1,680円(税込)
まるで黒いキャンバスにホットピンクの模様を一筆書きで入れたような葉が特徴の‘ドッティー’。漆でも塗ったかのような光沢を帯びたエキゾチックな葉の雰囲気は、部屋でも独特の存在感を放ちます。
‘ドッティー’は1998年にAnne E. Lamb氏によりフロリダで作出された園芸品種です。2000年に米国で特許が出願され、市場に出た途端に大人気になり、今では最も売れているカラテアの一つです。オザキフラワーパークでもとても人気で、中にはカラテアと知らずに、その存在感に惹かれて買っていかれるお客様もいます。
耐陰性の強いカラテアの中でも‘ドッティー’は最も耐陰性があり日陰でもよく育つため、カラテア初心者にはおすすめです。
ムサイカ


【写真の商品】高さ15cm 店頭価格:2,680円(税込)
葉の表面の模様がモザイクみたいなことから、モザイクという異名を持つムサイカ。欧米ではカラテア・ネットワークという商品名でも販売されています。擬態の一種でもあるかのようなこの模様の葉が自然に生えてくるというのは、摩訶不思議なものです。遠目にはなんの変哲もない緑の葉に見えますが、近くに寄るとこのモザイク模様なので、お客様が思わず足を止めて見入ってしまう光景を店頭でもよく目にします。
コンテンポラリーな見た目から近年作出された品種かと思われますが、オリジナルの品種は1875年にブラジル南東部で英国の園芸家ウイリアム・ブル氏により発見され、最初はマランタ・ベラ・ウイリアムブルと名付けられました。
それ以降、カラテアの1品種として世界中で愛されてきましたが、2012年に行われたDNA調査により、カラテアではなくゲッペルティア属に分類されたため、正式にはカラテアではなくなりました。でも、今だに世界中でカラテアの1品種として販売されているというのは面白いですよね。
ちなみにムサイカは、カラテアの中でも出会えたらラッキーなレア物として知られていますが、オザキフラワーパークには割と頻繁に入荷します。ただし、すぐに売り切れてしまうことが多いため、購入される場合は、事前に在庫状況をお問い合わせください。

オルナータ(サンデリアーナ)
グリーンの下地にピンクのラインという、まさに熱帯ならではの奇抜な配色が目を引くオルナータ。海外ではサンデリアーナの名のほうが通っていますが、その見た目からピンストライプ・カラテナという別名もあります。

【写真の商品】高さ45cm 店頭価格:2,980円(税込)
よく見ると、ペンで描いたようなライン模様はピンク1色ではなく、葉の外側に行くにしたがって色が薄くなるグラデーションになっているんです。おしゃれですよね! 初見のインパクトが強いためか、オルナータを一目見たお客様の多くが、そのまま衝動買いしていかれます(笑)。

自生地では3m近くまで伸びますが、観葉植物として室内で育てた場合は、高くても1mくらいが最長です。写真の45cm(鉢含まず)という高さの商品は、どんなお部屋にもマッチする大きさだと思うので、僕個人的にはおすすめです。しかし、成長が遅い品種のため、大きくしたいと考えている方は、最初から大きめの株を検討されたほうがよいと思います。

自生地では5〜8月に、上の写真のような小さなオレンジ色の花を咲かせるので、自生地に近い環境の沖縄周辺地域にお住まいの方は、地植えしたら開花を体験できるかもしれませんね。
取材後記
独特な模様を持つ葉が印象的なカラテアですが、皆さんは後藤さんのピックアップしたこの4種類のうち、どれが気に入りましたか? ここまで葉の模様が異なると、どれを選ぶかで性格診断などもできそうですね。
ランキフォリアを選ぶ人は情熱的で、‘ドッティー’を選ぶ人はポジティブ思考、ムサイカを選ぶ人はこだわりが強く、オルナータを選ぶ人は社交的。もちろん、論理的な根拠はなく、私の勝手な解釈ですが、皆さんはどう思われますか?
それぞれに個性が際立つので、贈り物にする場合、あの人にはどのカラテアがいいかな、って考えるのも楽しそうですよね。私個人的にはムサイカのシンプルな中にも存在感のある葉が気に入ったので、ちょっと変わったものが好きな友人の誕生日に贈ろうかなと考えています。
オザキフラワーパークの企画、次回も乞うご期待です!
取材協力
『オザキフラワーパーク』
1961年に東京は練馬区石神井で創業以来61年、人気の観葉植物からニッチな珍奇植物まで、全国屈指を誇るその品揃えは「買える植物園」としての異名を持つ。植物や園芸グッズの豊富さもさることながら、アクアリウムや爬虫類の生体販売も行っているため、近隣はもちろん、全国各地からお客様が途絶えることなく来店する話題の超大型園芸店。編集部スタッフもプライベートで足繁く通う。
東京都練馬区石神井台4-6-32
TEL : 03-3929-0544
URL https://ozaki-flowerpark.co.jp
営業時間:9:00~19:00
Credit
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