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今イチ推しのポトス、プロが教えます! ポトスで始める観葉植物|観葉植物基礎講座 Vol.6 

今イチ推しのポトス、プロが教えます! ポトスで始める観葉植物|観葉植物基礎講座 Vol.6 

生活空間に癒やしを与えてくれる観葉植物。中でも街のあらゆる場所で見ることができるポトスは、観葉植物の定番。ゆえに「ありきたりの観葉植物」だなんて思っていませんか? いえいえ、じつは今、ポトスは園芸店を回って推し活をする人がいるほど大人気なんです! 身近だけど、じつはあまりよく知らない・・・今回はそんなポトスの魅力を、お馴染みオザキフラワーパークの観葉植物担当・後藤さんに徹底解説していただきます。

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ポトスは定番中の定番

ポトス
Pix:www.proflowers.com

数ある観葉植物の中でも定番の人気を誇るポトス。オーソドックスなビジュアルは、決して主張しすぎることなく、瑞々しい存在感があり、住宅はもちろん、飲食店、オフィス、公共施設など、さまざまな場所で手軽に加えられるインドアグリーンとしても重宝されています。

Fork Café
San Franciscoの人気カフェ「Fork Café」の壁面を飾るポトス。圧巻の存在感。 Pix:Plants On Walls/flickr.com

ポトスという名称はスリランカの公用語シンハラ語の「potha(ポサ)」に由来しています。しかし、ポトスの原産地はフランス領ポリネシアのモオレア島と考えられています。名前の由来とされる言葉が原産地の言語ではないのは、一体なぜなのでしょう? その謎を、スリランカ駐日大使館が解決してくれました。

じつはスリランカもポトスの自生地であり、古くは有毒な雑草(確かにポトスには毒がある)という扱いだったそう。しかし今ではスリランカ国民もポトスを観葉植物として好んで育てている、とのことでした。スリランカでは、ポトスが雑草みたいに生えているなんて驚きですね!

ポトス
Blanscape/Shutterstock.com

日本ではポトスは明治時代から観葉植物として親しまれており、和名では黄金葛(おうごんかずら)と呼ばれてきました。現在は、ほとんどの園芸店がポトスの名前で販売していますが、この「黄金葛」という和名がいかにも富を呼んでくれそうだということから、縁起物としても知られており、風水的な見地でポトスを購入する方もいます。

黄金葛
福を招く「黄金葛」。じっと眺めていると福の神の顔が浮かんでくるかも。

多くの方がハンギングで楽しんでいるため、ツルが下垂する印象が強いポトスですが、原産地では薄暗いジャングルの地表あたりに自生し、気根と呼ばれる幹や茎から出た根を他の樹木に巻き付かせながら、上方向に伸びていきます。

現地ポトス
ソロモン諸島のジャングルで自生しているポトスの様子。我々の知るポトスとは違い、モンステラにも似たかなり大ぶりの葉は、大きいものだと幅1mにもなる。
Pix:Tauʻolunga licensed under CC BY-SA 3.0

【ポトスに花が咲く!?】

あまり知られてはいませんが、じつはポトスは花が咲く植物なんです。といっても、それは原産地で自生しているポトスの話で、それも10年に1度というタイミングで咲きます。しかし観葉植物として流通しているポトスの開花例は、かつて名古屋で1例あるといわれていますが、それも物証がなく生産者間での伝説というレベルの話なので、もしも花を見られたら、それはもう奇跡!!

ポトスの花
Pix:Mokkie licensed under CC BY-SA 3.0

これが現地で確認されたポトスの花。何やらトウモロコシのようですが、サトイモ科特有の黄色い花軸に密集した肉穂花序(にくすいかじょ:肥厚した花軸の周囲に多数の小さな花が密生している状態)と、茶色く枯れた仏炎苞(ぶつえんほう:肉穂花序を包むために葉が変形したもの)が確認できます。

ポトスのプランツデータ

  • 植物名:ポトス

  • 和名:オウゴンカズラ(黄金葛)

  • 学名:エピプレムナム・ピナツム

  • 科目:サトイモ科

  • 属名:ハブカズラ属

  • 原産地:ソロモン諸島及び東南アジア

  • 分布域:亜熱帯地域、熱帯雨林地域

  • 葉の観賞期:常緑多年草なので通年

ポトスの特徴と魅力

ポトスは、主に東南アジアのソロモン諸島などの熱帯地域に自生するサトイモ科のツル性の植物です。光沢を放つ瑞々しい葉を付けたツルが、鉢から旺盛に垂れ下がる姿がとても印象的。多くの方がハンギングにしたり、棚やスツールに置いた鉢植えからツルを垂らして楽しんでいます。また、成長も早く、育て方が簡単なため、観葉植物初心者にはおすすめです。

#ポトス
インスタグラムで#ポトスを検索すると、なんと8.9万人もの方がMyポトスを投稿。いかに人気かがうかがえる。

ポトスには多くの園芸品種があります。最も多く目にするのは、葉にクリームイエローの不ぞろいな模様が入った‘ゴールデン’という品種。このほかにも、濃いグリーン1色の葉が特徴の‘パーフェクトグリーン’や、葉が縮れたタイプの‘テルノシャングリラ’など、園芸店で購入できる品種だけでも20以上あるため、「ポトス推し活」で園芸店めぐりをする人もいるほど、今人気の観葉植物なんです。

価格は500円以内で買えるものや、1,000円前後で買える吊り鉢タイプのものなど、さまざまです。レアな品種であったり、作り込んであるようなものだと値段も高くなりますが、それでも3,000円を超えるというのは稀で、とてもコスパのよい観葉植物でもあります。

ポトスの育て方

置き場所

ポトスは耐陰性の強い観葉植物です。これは、前述の自生地での環境に由来するもので、観葉植物として地下のレストランやカフェに置かれても、枯れずに生きていけるのはそのためです。逆に、遮るものもなく直射日光が長時間当たるような環境では、葉焼けを起こし、枯れてしまいます。

元気に育ってもらうために最適な置き場所は、レースのカーテン越しの優しい光が入る窓辺や同程度の明るさが確保できる場所。それが難しい場合は、前述のように耐陰性があるため、窓から離れた部屋の中心あたりに置いても問題ありません。

ポトス&ブラインド
直射日光を避ける意味ではブラインドも有効だが、隙間から日が当たらないよう注意が必要。 Pix:Jim Kinkennon/flickr.com

ただし、四季を通してエアコンの風が直接当たる場所は避けてください。そのような場所に長時間置いておくと、葉から水分を蒸発させる蒸散活動を阻害し、株がダメージを受けるからです。

【ポトスは幼児やペットの手の届かないところで育てましょう】

ポトスの葉や茎には毒素(不溶性のシュウ酸カルシウム結晶)が含まれており、大人はさほど気にかける必要はありませんが、万一幼児がそれらを口にした場合、呼吸困難に至る場合があります。また、ペットを飼っている方も同様に注意が必要です。それ故か、英語圏ではDevil’s Ivy(悪魔の蔦)とも呼ばれています。

夏の管理温度、冬の管理温度

ポトスと温度計

夏場の最適な温度は25〜26℃です。耐暑性が強いため30℃くらいまでは問題なく育てられます。しかし、窓を閉め切っていることの多い夏場は自然界に少しでも環境を近づけるために、天井にサーキュレーター(送風機)の風を送るなどして、部屋の空気を循環させてあげるのが望ましいです。

冬は10℃を下回らないように管理してください。耐寒性が弱いので、8℃を下回ると葉がしおれたり、落ちたりする場合があります。しかし、元来が丈夫な植物のため、10℃以上の環境に戻せば徐々にまた生えてきます。

水やり

watering
Pix:Dan Jones/flickr.com

春~秋の間は土の表面が乾いたらたっぷり与えます。冬は土の表面が乾いてから1日おいて、たっぷり与えます。受け皿に溜まった水は必ず捨ててください。

肥料

肥料
Pix:Amazon.co.jp

肥料は本来、決められた時期に決められた量をあげるものですが、ポトスは肥料との相性が大変よいため(肥料焼けを起こしにくい)、春~秋の間は、窒素が多い観葉植物用のタブレット肥料を2カ月に1回程度、やや多めに与えると葉の色艶がよくなります。

このほか、観葉植物用の液体肥料もあり、その場合は春~秋の間に週1回与えてください。ただし、タブレット・液体肥料共に、成長が鈍化する冬はあげないでください。

葉水の方法など、日常のお手入れ

watering
Pix:Subhin/flickr.com

ポトスは空中湿度が高いほうが喜ぶので、葉水は毎日あげてもOKです。また、葉水はポトスにつきやすいカイガラムシやハダニの予防にもなります。

葉が旺盛に茂った株は、一部の葉が黄色くなり枯れることがありますが、枯れた葉は株の代謝維持のために、見つけ次第カットしてください。また、日焼けした葉も同様にカットしてください。

植え替え

株の成長を促すために2~3年に1回、春~秋の間に1〜2回り大きい鉢に植え替えてください。

特筆すべき栽培ポイント

【剪定と水挿し、挿し芽】

ツルが特徴のポトスですが、長くなりすぎたツルや葉は切って剪定しても大丈夫です。また剪定は株の形をこんもりとさせたいときにも有効です。こんもりとさせたい場合は、ツルを根元から10〜15cmほど残してカットし、そこから新しいツルが伸びて、3〜4枚の葉がついた頃に先端をカットします。こうしていくうちに、どんどん枝分かれしていき、やがてこんもりとした形になります。

水挿し
カットしたツルを水挿ししている様子。 Pix:Jacqueline Tomajan/flickr.com

水を張った容器に切ったツルを挿せば(水挿し)、水耕栽培を楽しむことができ、用土を入れた植木鉢に挿せば(挿し芽)、株分けをすることができます。

ただし、水挿しや挿し芽を目的としてツルを切る場合は、新芽が出ている節を残してカットしてください。節には成長点があり、これがないツルを挿しても発根しないので注意が必要です。また、残したツルに葉が多く残っている場合は、葉からの水分の蒸散を抑え、エネルギーを発根に集中させるために、葉は1〜2枚のみ残してあとは切ってください。

【病害虫】

定期的に葉水をして株を潤わせていないと、カイガラムシやハダニが高頻度で発生します。カイガラムシは残しておくと、どんどん広がり、患部も深くなるため、見つけ次第早急な駆除が望ましいです。効く薬剤が少ないため、歯ブラシやピンセットを用いて物理的に駆除します。ハダニの場合は、市販の殺虫剤を散布して駆除してください。

オザキフラワーパーク後藤さんが選んだ、推しのポトス6選

オザキフラワーパーク後藤さん
僕もポトスが大好きで自宅でも栽培しています!

パーフェクトグリーン

ポトス
ポトス

【写真の商品】高さ15cm 店頭価格:680円(税込)

葉に斑(ふぞろいの模様)が入ったイメージが強いポトスにあって、‘パーフェクトグリーン’はその名の通り、潔いぐらいパーフェクトなグリーンの葉が持ち味。

ゴールデン

ゴールデン

【写真の商品】高さ15cm 店頭価格:398円(税込)

ポトスのアイコン的存在ともいえる‘ゴールデン’。一般に、ポトスといえばこの‘ゴールデン’を指します。一般的とはいえ、クリームイエローの斑とグリーンの織りなす美しい葉は、ずっと見ていると時間の経つのを忘れてしまいます。

斑の入り方は光の状態によって左右されます。明るいところで育てれば斑が多く入り、暗いところで育てると新芽に斑が入らず、‘パーフェクトグリーン’のような緑一色の葉になる傾向にあります。明治時代から日本に入っており、とても生命力が強いため、観葉植物初心者にもおすすめの品種です。

写真の商品は500円でお釣りの来る手乗りサイズですが、成長も早くあっという間に生い茂るため、コスパも最高なポトスです。

テルノシャングリラ

テルノシャングリラ
テルノシャングリラ

【写真の商品】高さ12cm 店頭価格:398円(税込)

巻き巻きの葉にびっくりする‘テルノシャングリラ’。これらの葉はこれから展開するわけではなく、この巻き巻きのまま成長していく、ちょっと珍しい品種です。

愛知県の育種家、伊藤輝則氏が作出した品種で、オザキフラワーパークでも入荷したらすぐに売れてしまう人気商品です。

名の由来を考えてみると、伊藤輝則氏(テルノ)の作り出した理想郷(シャングリラ)なんて、とてもロマンチックですね。ちなみに、伊藤輝則氏の作出した品種は、その名前を取り「テルノシリーズ」として、愛好家に人気なんです。

珍種のわりには価格も安いので、普通のポトス(ゴールデン)と一緒に育ててみるのも面白いですね。育て方は、通常のポトスの育て方と同様です。

テルノハナハナ

テルノハナハナ
テルノハナハナ

【写真の商品】高さ12cm 店頭価格:398円(税込)

‘テルノシャングリラ’同様、伊藤輝則氏が作出したテルノシリーズの‘テルノハナハナ’。淡く黄緑色の斑が入っていて、濃淡2色のグリーンを楽しめます。

全体的に爽やかな印象なので、写真のようにウッディーなインテリアや白壁映えのする、とてもおしゃれなポトスです。

テルノシャンゼリゼ

テルノシャンゼリゼ
テルノシャンゼリゼ

【写真の商品】高さ20cm 店頭価格:1,380円(税込)

こちらもテルノシリーズ。ポトス・ライムというポトスの人気品種の枝変わり品種(元の植物の枝の部分の成長点が突然変異し、新たな品種となったもの)で、原種のライムより葉が肉厚で色も濃く、とても育てやすい品種です。

他のテルノシリーズよりも大きめの株で、ハンギング仕立てにして販売しています。ハンギング鉢も込みの値段なので、初めてのポトスにいかがですか?

エンジョイ

エンジョイ
エンジョイ

【写真の商品】高さ15cm 広がり幅30cm 店頭価格:2,480円(税込)

斑の入り方が迷彩模様のような‘エンジョイ’は、オザキフラワーパークでも人気のポトスです。一鉢置くだけでお部屋の雰囲気が楽しげになり、品種名もハッピーな雰囲気なので、新築や引越しのお祝いとしても喜ばれます。

‘エンジョイ’は、そのルーツもユニーク。もともとはインドの栽培農家が偶然発見した突然変異種でした。それがオランダに持ち込まれて商標を獲得し、その後アムステルダム郊外の街で毎年開かれる世界最大規模の花の品評会「アールスメールフラワーオークション」で、2007年のロイヤルフローラホラントアワードを受賞した品種なんです。

ちなみにこの賞は、世界の花市場の6割強を占めているオランダで、最も権威のあるロイヤル(王室)の名を冠した賞。そんなルーツを持つ‘エンジョイ’を贈ったら、贈られた人も喜ばれることと思います。もちろんご自宅にもおすすめです!

取材後記

この取材をしたあと、どこでどんなポトスに出会えるか、改めて自宅付近の店舗を歩いてチェックしてみました。

まず駅ビルのスイーツショップとスタバ、薬局、駅前の都市銀行、カレーチェーン店、不動産屋2軒、メガネ店、皮膚科、形成外科、整骨院、ジェラート専門店、パン屋、台湾料理屋、、、さすがにここでやめました(笑)。

ちなみにカレーチェーン店とジェラート専門店が‘ゴールデン’、それ以外は皆‘パーフェクトグリーン’でした。この調査でポトスが最もメジャーな観葉植物であるということを改めて実感しました。もしも、カツカレーを食べながら「あ、あそこにあるのパーフェクトグリーンだ。」とつぶやく人がいたら、それは完全に推し活中のポトスオタクです。

あなたも推しポトスを見つけて、推し活してみませんか?

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