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【和の植物】縁起がよい伝統植物「オモト(万年草)」魅力&育て方を徹底解説

【和の植物】縁起がよい伝統植物「オモト(万年草)」魅力&育て方を徹底解説

nieriss/Shutterstock.com

オモト(万年青)は葉を愛でる観葉植物の一つで、縁起がよいといわれ、日本独自の感性で発展を遂げた世界に誇る園芸植物です。この記事では、オモトの特徴や育て方などの基本情報から、その魅力である葉芸や斑模様のバリエーションについても解説します。

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オモトの主な特徴

オモトとはどんな特徴があり、どこが観賞ポイントなのか、また花言葉などについても解説します。

基本情報

万年青
sumito/Shutterstock.com

オモトはキジカクシ科オモト属の常緑多年草です。日本や中国が原産で、日本では本州や四国、九州に自生しています。

漢字では「万年青」と書き、一年中青々とした緑の葉を保つことから、観葉植物として古くから愛されてきました。

草丈は30〜60cmで、品種によって異なります。耐寒性や耐暑性は普通程度。4〜6月にクリーム色の花を咲かせ、その後赤や朱色の実をつけますが、オモトには毒があるため果実も食べられません。

花言葉

jannoon028/Shutterstock.com

オモトの花言葉は「長寿」「長命」「永遠の繁栄」「母性の愛」「相続」「崇高な精神」など数多くあります。

「長寿」「長命」「永遠の繁栄」などは、家にオモトを置くと災いを防ぎ、繁栄を続けるという言い伝えや、一年中青々と茂る様子からとされています。

また、「母性の愛」は、大きな葉が赤い実を守るように見える様子に由来しています。

「崇高な精神」は、江戸時代にオモトの栽培が武士の精神修養や素養、教養として受け継がれてきたことに由来しています。

種類

万年青
simona pavan/Shutterstock.com

オモトには数多くの品種があります。葉の大きさや形によってグループ分けされ、1,000種以上もの品種が登録されています。

大葉系は、葉の長さが30〜40cmほどになる品種です。

中葉系は、葉の長さが20cm以上で、葉の特徴により、さらに薄葉系、獅子系、縞甲系に分けられます。

小葉系は、葉の長さが5〜10cmほど。表面にシワがあるのが特徴で、非常に多くの品種が登録されています。

オモトはお祝いに贈る縁起のよい植物

水引
sogane/Shutterstock.com

オモトは引越し祝いとして贈る風習があることでも知られる植物です。その始まりは、1590年、徳川家康が江戸へ移る際にオモトが贈られ、後に徳川家が繁栄したというエピソードから広まった風習だといわれています。

現在でも縁起がよい植物とされ、引越しの際には最初に鬼門の方角にオモトを置くという風習も残っています。

オモトの育て方のポイント

ガーデニング
Natallia Ustsinava/Shutterstock.com

ここまでは、オモトの特徴についてご紹介しました。

ここからは、オモトの育て方のポイントについて項目ごとに解説します。

栽培に適した環境

環境
Alicja Graczyk/Shutterstock.com

オモトは半日陰を好み、夏の直射日光や強い西日は苦手です。耐陰性はありますが、全く日の当たらない環境では育ちません。室内で育てる際は、時々日の当たる場所に移動させましょう。

また過湿と乾燥を嫌うため、風通しがよく午前中だけ日が当たるような半日陰が最適です。

鉢植えの場合、梅雨の時期は雨の当たらない場所に、夏は涼しい日陰や室内の明るい場所に移動させましょう。

地植えの場合は、明るい日陰で冬に気温が10℃を下回らない場所に植えます。

水やり

水やり
Osetrik/Shutterstock.com

オモトは過湿も乾燥も嫌うので、水やりのバランスに少しコツが必要です。

基本的には、土が乾いたらたっぷりと与えます。

春夏は毎日水やりをして、梅雨から夏は蒸れに注意し乾燥気味に管理します。冬は成長が遅くなるので、夏よりもさらに控えめに。土が乾いた後、数日してから水やりするのが目安です。

肥料

肥料
Hennadii H/Shutterstock.com

肥料を与える際は、過肥になると株を傷めて枯らしてしまうため、少量を長期間施すように心がけるのがポイントです。

有機質の固形肥料を、2月中旬、4月初め、9月下旬に少量施すとよいでしょう。液体肥料の場合は、規定の濃度よりもさらに2〜3倍に薄めたものを、1〜2週間に1度を目安に水やりの代わりに施します。

植え付け・植え替え

ガーデニング
Dmitry Melnikov/Shutterstock.com

オモトの植え付けの適期は春と秋で、最適なのは秋です。9月下旬から5月頃までは植え替え可能ですが、真夏と真冬は避けましょう。

鉢植えでは、植え替えを1〜2年に1度行います。株を鉢から取り出し、古い用土を流水で洗い流します。傷んだ根はカットし、広げながら新しい用土に植え替えます。株が大きくなっていれば一回り大きな鉢に植え替えますが、コンパクトに育てたい場合は、同じ鉢に植え直してもかまいません。

植え替え後は、浅く水を張ったバケツなどに鉢ごと浸けて水を吸わせます。

日常の手入れ

葉水
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毎日1回、葉水(はみず/スプレーなどで葉の表面を水で潤すこと)をすると、乾燥を防ぎ、害虫の発生予防にもなります。葉にほこりがつきやすいため、葉水の前に表面を濡れたタオルなどで優しく拭きましょう。オモトの葉は2〜3年経過した古い葉から枯れるので、枯れた葉は根元から切って取り除きます。

増やし方

株分け
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オモトは株分けをして増やすことができます。株姿を乱す子株ができてきたら、株分けをするとよいでしょう。その際は、子株から根が出ていることを確認してから行います。

注意すべき病害虫

病害虫
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オモトは葉の表面にオレンジがかった斑点が現れる赤星病や、地中にある芋の部分が腐敗する芋腐れ病に注意が必要です。

害虫では、葉や株元に付着するカイガラムシに特に注意しましょう。アザミウマやハダニ、アブラムシなどがつくこともありますので、発生したら適用のある薬剤で駆除しましょう。

オモトの魅力は葉芸と斑

万年青
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オモトの魅力は、葉の形がさまざまな「葉芸(はげい)」や斑模様の違いにあります。

ここからは、代表的な葉芸や斑の名称についてご紹介します。

葉芸とは

万年青
Vladimirkarp/Shutterstock.com

オモトにはさまざまな葉の形や模様があります。その中で特徴的なものに名前をつけて、葉芸と呼んでいます。

葉芸には獅子葉、雅糸竜、二面竜、小波葉などの種類があり、全部で23種類あるとされています。

例えば、「獅子葉」は、葉先が葉裏に沿ってカールした形を指します。

「雅糸竜」は、葉の上に細かなひだが入る品種をいいます。

「二面竜」は、葉の左右にひだが2本入っているものです。

「小波葉」は、葉の縁やひだが小さな波形になっています。

斑とは

万年青
Wan Fahmy Redzuan/Shutterstock.com

オモトは葉芸だけでなく、さまざまな模様も楽しめます。

模様には縞や覆輪、胡麻斑などがあり、全部で約16種類あります。

「縞」は、葉の基部から葉先にかけて、筋状の黄色い斑が縦に入るものです。

「覆輪」は、葉に白や黄色の縁取りがあるものをいいます。

「胡麻斑」は、黄色や白の斑点が葉の全面に入っているものです。

このほかにもさまざまな模様があります。

オモトを育てて美しい葉芸を堪能しよう

万年青
Romix Image/Shutterstock.com

オモトは一年中青い葉を楽しめるのが特徴の観葉植物で、葉の形や模様にバリエーションがあります。水やりのコツをつかめば栽培しやすいのも特徴です。美しい葉芸や斑が見られ、縁起がよいとされるオモトを、ぜひご家庭でも育ててみてはいかがでしょうか。

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