ある分野で優れた功績を残した人や物を称える「殿堂入り」。バラの世界にも、そんな殿堂入りの称号を持つ品種があることをご存じでしょうか? 殿堂入り品種に選ばれるチャンスは3年に1度しかないという、狭き門です。諸説ありますが、4万から10万種以上あるともいわれるバラの品種の中で、2022年現在までに殿堂入りしたバラは、わずか18種。そのどれもが、美しさや極上の香り、花付きのよさなどの優れた点で評価されたバラです。この記事では、そんな殿堂入りのバラ18種を一挙ご紹介します。

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殿堂入りのバラとは

世界中の人々に愛され、4万種を超える品種があるともいわれるバラ。膨大な品種数に加え、毎年いくつもの新品種が発表されています。そのため、いざバラを育てようと思ったときに、どの品種を選んだらいいのか迷ってしまうかもしれません。お気に入りの品種を探すのも楽しいものですが、美しい最高のバラをお探しなら、誰もが認める優れた性質を持つ「殿堂入りのバラ」の中から選ぶのもおすすめです。

殿堂入りのバラ

「殿堂入りのバラ」とは、3年に1度開かれるバラに関する国際会議、世界バラ会議で選出されます。世界バラ会議は、現在世界40カ国が加盟する世界バラ会連合の最大の大会で、世界中から研究者や生産者、愛好家などが集まる、まさにバラ界のビッグイベントです。そんな場において選ばれる「殿堂入りのバラ」の条件は、「世界中で愛されている名花」であること。「世界中の多くの環境で育てやすい」「国や性別を超えて多くの人が見て美しいと感じる」「たくさんの国で長く愛されている」というのがその選出基準です。3年に1度しか選ばれる機会がないこともあり、いままでに選ばれた品種はわずか18品種のみ。数多有るバラの中から選び抜かれた最高のバラは、ガーデニング初心者から上級者まで、誰にとっても魅力的なパートナーとなってくれるはず。バラ選びに迷っているなら、「殿堂入りのバラ」の中から選んでみてはいかがでしょうか?

ちなみに、次回2025年に行われる第20回世界バラ会議の舞台は、日本。広島県にて福山大会が行われる予定です。

バラを探している人必見! 最新品種を含む殿堂入りのバラ18品種をすべてご紹介

それでは、ここからは2022年現在までに「殿堂入りのバラ」に選ばれた18品種を、選出された年代順にご紹介しましょう。

ピース Peace

バラ ピース Peace
Alex Kinval/Shutterstock.com

花径約14cm/樹高約1.2m/四季咲き/微香

選出:1976年 オックスフォード大会(イギリス)
発表:1945年 メイアン(フランス)

記念すべき最初の殿堂入り品種が、この‘ピース’。花径15cmにも及ぶ、当時の基準では驚異的な大輪花に、クリームイエローの花弁に淡いピンクの覆輪が入り、とても華やかです。性質も丈夫で花つきがよいことから世界中に広がり、20世紀を代表する傑作花となりました。さらに交配親としてもよく利用され、数多くの名花が生みました。第二次世界大戦後の1945年に、平和への願いを込めて名付けられました。

クイーン・エリザベス Queen Elizabeth

クイーン・エリザベス Queen Elizabeth
beibaoke/Shutterstock.com

花径約9cm/樹高約2m/四季咲き/微香

選出:1979年 プレトリア大会(南アフリカ)
発表:1954年 ラマーツ(アメリカ)

エリザベス女王に捧げられたバラ。柔らかい印象のピンク色の丸弁花は、1輪から数輪の房咲きになり、次々に開花して花つきがとてもよいのが特徴です。しっかりした花弁は雨に当たっても傷みにくく、また耐暑性、耐寒性に優れ、悪条件でも生育する強健種なので、初心者にも育てやすいバラです。直立高性に生育します。

ドゥフトボルケ Duftwolke

ドゥフトボルケ Duftwolke
catus/Shutterstock.com

花径約14cm/樹高約1.2m/四季咲き/強香

選出:1981年 エルサレム大会(イスラエル)
発表:1963年 タンタウ(ドイツ)

ドイツ語で「香りの雲」という意味の名を持ち、「フレグラント・クラウド(Fragrant Cloud)」とも呼ばれるドゥフトボルケは、その名の通りフルーティーな香りが高く評価されています。ややくすんだ朱赤の花は房咲きになりやすく、大輪でありながら花数が多いのも特徴。株のまとまりがよいので鉢植えにも向きます。

アイスバーグ Iceberg

アイスバーグ Iceberg
zzz555zzz/Shutterstock.com

花径約7cm/樹高約1.2m/四季咲き/微香

選出:1983年 バーデンバーデン大会(ドイツ)
発表:1958年 コルデス(ドイツ)

フロリバンダを代表する最高傑作の一つで、純白の清楚な半八重咲き中輪花が、房咲きで花付きよく開花し、まるで雪景色のように株いっぱいに咲きます。繰り返しよく咲き、管理次第では夏~秋にも春と変わらないほどの花数を楽しめます。ドイツ語で「白雪姫」の意味の「シュネービッチェン」とも。枝代わりにつる性の‘つる アイスバーグ’や花色の異なる‘バーガンディ・アイスバーグ’などもあります。

ダブル・デライト Double Delight

写真/河合伸志

花径約13cm/樹高約1.2m/四季咲き/強香

選出:1985年 トロント大会(カナダ)
発表:1977年 スイム&エリス(アメリカ)

アイボリーホワイトから開花とともに赤く変化していく様子が目を引く品種。主に1輪で開花し、花数はやや少なめですが、花弁の縁が赤く染まる美しい色彩と濃厚でフルーティーな香りという、名前の通り「二重の喜び」が味わえます。発表後わずか10年という、異例のスピードで殿堂入りした人気品種です。

パパ・メイアン Papa Meilland

パパ・メイアン Papa Meilland
Besklubova Liubov/Shutterstock.com

花径約13cm/樹高約1.5m/四季咲き/強香

選出:1988年 シドニー大会(オーストラリア)
発表:1963年 メイアン(フランス)

黒バラの名花で、黒に近いほど深い真紅の花弁はビロード光沢があり、整った花形の花は豊かなダマスク香を放ちます。トゲが多く粗い枝ぶりで、株姿がやや整いにくいという欠点はありますが、気品あふれる姿と洗練された香りは欠点を補って余りあるもの。著名な育種家アラン・メイアンが、祖父アントワーヌ・メイアンに捧げた品種です。

パスカリ Pascali

パスカリ Pascali
sergio ambrosi/Shutterstock.com

花径約10cm/樹高約1.5m/四季咲き/微香

選出:1991年 ベルファスト大会(イギリス)
発表:1963年 レンス(ベルギー)

端正に整った半剣弁高芯咲きで、切り花品種として愛されてきた品種。象牙色の花心に、外側になるにつれ純白になる花を咲かせます。親である‘クイーン・エリザベス’譲りの強健さを持ち、多花性で、耐寒性・耐暑性ともに優れる、育てやすいバラです。「パスカリ」とは、キリスト教の復活祭を意味します。

ジャスト・ジョーイ Just Joey

ジャスト・ジョーイ Just Joey
MOTOKO/Shutterstock.com

花径約14cm/樹高約1.2m/四季咲き/中香

選出:1994年 クライストチャーチ大会(ニュージーランド)
発表:1972年 ロジャー・ポウジー(イギリス)

独特のアプリコット色の大輪花は、花弁がフリルのように波打ち、ボリュームがあります。香りのバラ‘ドゥフトボルケ’の血を引き、ティー系の香りも魅力的。気温が下がる秋に咲く花は、より濃い色彩が楽しめます。花付きもよく、育てやすい強健種。花茎がしっかりしているので、花壇や切り花に向きます。

ニュー・ドーン New Dawn

ニュー・ドーン New Dawn
EQRoy/Shutterstock.com

花径約7cm/つる約3.5m/返り咲き/中香

選出:1997年 ベネルクス大会(ベルギー、オランダ、ルクセンブルク)
発表:1930年 ヘンリー・FBosenberg(アメリカ)

淡いピンク色の花が1枝に5輪ほどの房咲きになり、花つきがとてもよいつるバラ品種。よく伸びるので大型のアーチなどの構造物にも向きます。返り咲きし、耐病性も優れ、日照不足にも耐える完成度の高い品種で、さまざま条件の場所で栽培できます。交配親としてもよく利用され、現在のつるバラの育種に大きく貢献しました。

イングリッド・バーグマン Ingrid Bergman

イングリッド・バーグマン Ingrid Bergman
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花径約12cm/樹高約1.2m/四季咲き/微香

選出:2000年 ヒューストン大会(アメリカ)
発表:1983年 オレセン(デンマーク)

半剣弁高芯咲きの整った花形で、光沢のある鮮やかな緋色のバラを咲かせる、赤色バラの完成形の品種。主に一輪咲きで花つきがよく、大きめの照り葉に花の赤色がよく映えます。しっかりした花弁は花もちがよく、雨に当たっても傷みにくいのも長所。半直立性でまとまりよく生育するので鉢植えにも。

ボニカ’82 Bonica’82

ボニカ'82 Bonica'82
Klever_ok/Shutterstock.com

花径約7cm/樹高約1m/返り咲き/微香

選出:2003年 グラスゴー大会(イギリス)
発表:1982年 メイアン(フランス)

サーモンピンクの丸弁平咲きの花が、スプレー状に大きな房咲きになります。景観を作るのに向く修景バラに分類され、株を覆い尽くすようにたくさん咲く姿は見応え十分。耐病性、耐寒性に優れ、ローメンテナンスでも育てやすい品種です。使い勝手のよいシュラブローズで、シーンを選ばずに活躍します。

ピエール・ドゥ・ロンサール Pierre de Ronsard

ピエール・ドゥ・ロンサール Pierre de Ronsard
Lyona/Shutterstock.com

花径約10cm/つる約3m/弱い返り咲き/微香

選出:2006年 大阪大会(日本)
発表:1985年 メイアン(フランス)

整ったカップ咲きで、白色に中心がピンクに染まるロマンチックな姿が人気のつるバラ品種。花つきがとてもよく、満開時には見事な姿が楽しめます。樹勢が強いのである程度スペースがある場所での栽培がおすすめ。ややうつむき加減に咲き、高いフェンスや壁面、アーチなどに誘引するとより花の魅力が味わえます。

エリナ Elina

エリナ Elina
Wicked Digital/Shutterstock.com

花径12㎝/樹高1.5m/四季咲き/微香

選出:2006年 大阪大会選出(日本)

作出:1981年 ディクソン(イギリス)

クリームイエローの厚みのある丸弁は花弁幅が大きく、ゆったりとした印象に開きます。耐寒性、耐暑性、耐病性のある、強健で育てやすいバラで、ティー系の香りも楽しめます。遅咲きで開花サイクルはやや長く、花つきは中程度。半直立性でまとまりのよい大きな株に成長します。

グラハム・トーマス Graham Thomas

グラハム・トーマス Graham Thomas
Olga_Ionina/Shutterstock.com

花径約7cm/つる約2.5m/返り咲き/中香

選出:2009年 バンクーバー大会(カナダ)
発表:1983年 オースチン(イギリス)

うつむき加減に咲く山吹色のカップ咲きの花は、数輪の房咲きになります。とても花つきがよく、生育旺盛で細めのシュートをまっすぐに伸ばし、誘引しやすい半つる性の品種。心地よい強めのティー系の香りがあります。イングリッシュローズ人気の火付け役となったバラです。

サリー・ホームズ Sally Holmes

サリー・ホームズ Sally Holmes
Parkova/Shutterstock.com

花径約8cm/つる約3.5m/返り咲き/微香

選出:2012年 ヨハネスブルグ大会(南アフリカ)
作出:1976年 ホームズ(イギリス)

しなやかに枝を伸ばすつる性品種で、アイボリー色の一重咲きの花が、ブーケのように大きな房になって開花します。花数が多いのが特徴で、地植えにすると大きく育つので、壁面など広い場所への誘引がおすすめ。たっぷりと花が咲くダイナミックな景色が楽しめます。涼しくなるとピンクがかった色合いに変化します。

カクテル Cocktail

カクテル Cocktail
zzz555zzz/Shutterstock.com

花径約5cm/つる約2.5m/四季~返り咲き/微香

選出:2015年 リヨン大会(フランス)
発表:1957年 メイアン(フランス)

赤色に中心が黄色という鮮明な色彩の半つる性品種。シュートは細くしなやかで誘引しやすく、フェンスやアーチ、オベリスクなどに。花つきがとてもよく、数輪から大房で開花し、シュートの元から先まで花をつけるので、満開時は株全体が花で覆われる見事な姿になります。早咲きで、春以降も秋まで次々と開花します。

ノック・アウト Knock out

写真/河合伸志

花径約8cm/樹高約1m/四季咲き/微香

選出:2018年 コペンハーゲン大会(デンマーク)
発表:2000年 ラドラー(アメリカ)

ローズ色を帯びた赤色のセミダブル咲きで、特に冷涼な気候では美しく発色します。耐病性の基準を変えてしまうほどの強い耐病性に加え、耐暑性、耐寒性、耐乾性もある、非常に強健な品種。花つきがとてもよく、さらに連続開花性にも優れ、春から初冬まで絶え間なく花を咲かせ続けるという、それまでのバラとは一線を画すほど手のかからない、育てやすいバラです。

フラワーカーペット® ローズ ピンク Flower Carpet Pink ※new!

フラワーカーペット® ローズ ピンク Flower Carpet Pink
写真/ハクサン

花径約4cm/つる約1m/返り咲き/微香

選出:2022年 アデレード大会(オーストラリア)
発表:1989年 ノアック(ドイツ)

2022年に「殿堂入りのバラ」の仲間入りを果たした半つる性品種。樹高60~80cmのアーチ型の樹形で、ディープピンクの半八重咲きの花が房になってたわわに咲きます。世界一厳しいことで知られるドイツのバラの評価試験「ADR」で史上最高得点を叩き出した、耐病性が高くローメンテナンスで育つ強健なバラで、グラウンドカバーとしても用いることができます。

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評価の高さはお墨付き! 殿堂入りのバラをガーデンに取り入れよう

殿堂入りのバラ

今回ご紹介した18種の「殿堂入りのバラ」はどれも、美しさや育てやすさなどが総合的に評価されて栄誉を勝ち取ったもの。そのパフォーマンスの高さはお墨付きです。そして、2025年の世界バラ会議でも、きっとまた新たな殿堂入り品種が誕生することでしょう。バラを育ててみたいけれど、どの品種を選んだらよいか迷っている人がいたら、まずはこの「殿堂入りバラ」の中から選んでみるのはいかがでしょうか?

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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