TBSテレビ「マツコの知らない世界」で “美しく優雅~バラの世界” の出演歴があり、バラに精通する「日本ローズライフコーディネーター協会」代表の元木はるみさんが選ぶバラの‘神5’。バラを育てて35年の生粋のロザリアンが悩みに悩んだ末にリストアップしたバラは、魅惑的な花色、豊かな香り、食べることができる花、仕立ててゴージャスな風景になるなど、元木さんを長年ときめかせてきたバラたちです。「もし万が一、枯れてもきっとまた購入したい!」と思わせる5種のバラを美しい写真とともにご紹介します。

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元木はるみさんがバラを選ぶ基準とは

バラの庭
バラをメインにした元木さんの庭。2020年の様子。

神奈川県の自宅の庭で、多数のバラを育てながら、バラを育てる喜びや育て方を、記事執筆やカルチャースクールなどでも解説する元木はるみさんは、最愛のバラを育てて約35年になるロザリアンです。

バラの庭
現在の庭に引っ越す前の元木さんの庭。2019年の様子。

元木さんがバラの苗を購入するに至るまでにまず確認することは、系統や樹高、樹形等の性質です。その情報をもとに、植えるのにふさわしい場所を考えます。日当たりや、構造物の支えが必要かなどを含めて、庭のどこに植えたらよく育つか、鉢栽培の場合はどこに置くとよいかを確認します。そして、咲いている花や香りなどを知るために、バラの専門店や庭園などで、なるべく実物を見てから購入を決断します。

実際に見て、心がときめくかも大きなポイントです。そんな元木さんによるチェックポイントを満たし、実際に育ててきた経験から選んだ5種のバラを紹介します。

マストバイ①
20年間ずっと心ときめかせてくれるバラ「クロッカス・ローズ(Crocus Rose)」

クロッカス・ローズ(Crocus Rose)

系統シュラブローズ(S)/四季咲き性/2000年イギリス作出/作出者:David Austin

このバラを初めて見たのは、以前開催された花イベント「国際バラとガーデニングショー」の会場でした。バラの花々で埋め尽くされた会場のなかでも、特にこのバラがお披露目されたイングリッシュローズの新品種が植栽されたコーナーは、人気の的でした。ミレニアムイヤーに発表されたバラですが、「華やか」と表現するよりは、花に内包する‘秘められた美しさ’を強く感じました。

クロッカス・ローズ(Crocus Rose)
庭では、花色が褪せるまで咲くほど花もち良好。

会場内の室内灯では、花色はほとんど白っぽく見えましたが、グリーンアイを覗かせて、ほんのわずかに黄色~アプリコット色が見え隠れするニュアンスがあるその花色は、とても繊細で心奪われたことを覚えています。それからすぐに苗を入手して庭に植えてから、もう20年以上。今でも、最初の出会いの時に感じた ‘秘めた美しさ‘に心ときめきます。

クロッカス・ローズ(Crocus Rose)

アプリコット色のつぼみから、カップ咲き、大輪ロゼット咲きと次第に開き、アプリコットクリーム~クリーム色へと変化していきます。そのすべての花色と花姿を身近に眺めていたくて、束ねて室内に飾るのも楽しみの一つです。

優しい花色、優しい佇まいのバラですので、脇役にも主役にもなる大変エレガントなバラです。

マストバイ②
花数たっぷりで他のバラとも相性がよい「スノー・グース(Snow Goose)」

スノー・グース(Snow Goose)

系統シュラブローズ(S)/四季咲き性/1996年イギリス作出/作出者:David Austin

花径3cmほどのセミダブルの小輪花が房状に咲いて、ナチュラル感があるバラです。長年、‘スノー・グース’を育ててきましたが、以前の庭ではこのバラのよさを生かしきれていなかったのではと反省しています。現在の庭では、しっかり日が当たる場所に植えたためか、すくすく元気に育ち、春は壁を覆い尽くすほどたくさんの花を咲かせてくれました。

スノー・グース(Snow Goose)

イングリッシュローズでありながら、つるバラとして利用することができ、花壇の背景や庭の奥側に配置するとよいバラです。栽培には、壁面やフェンス、アーチなどの支えが必要です。

スノー・グース(Snow Goose)

上写真は、先にご紹介した大輪のバラ‘クロッカス・ローズ’を囲むように添えたのが、小輪の‘スノー・グース’です。このアレンジメントでも分かるように、どんなバラとも相性がよく、ガーデンでもアレンジメントでも重宝するバラです。

マストバイ③
食べられる芳香豊かなバラ「食香バラ‘豊華’(ほうか)」

食香バラ‘豊華’(ほうか)

系統不明/一季咲き性/作出年・作出国・作出者不明

ダマスク香にスパイシー香が微かに加わった強い香り。ワックス成分の少ない花びらは、柔らかく苦味やえぐみも少ないことから、中国では1000年以上も前から、食用・薬用・香料として利用されてきた唯一無二のバラです。現在でも山東省平陰のバラの村では、このバラを多数栽培して出荷されています。このような歴史とロマン溢れるバラを自宅で身近に栽培できるようになったことは大変ありがたいことです。

食香バラ‘豊華’(ほうか)
左/花びらのビネガー漬け。右/樹高は、約1.2~1.5mまで成長し、花は一季咲きですが、房咲きで次々花開くため、花期は長く楽しめます。

このバラが咲く時期は毎朝花を摘み、花弁をさまざまな方法で暮らしに役立てています。例えば、花びらをビネガーに漬けて、水や炭酸水で割ってビネーガードリンクにすると、喉越しよくバラの香りが口いっぱいに広がる夏にぴったりの飲み物に。また、砂糖やオリーブオイル、ハーブソルト、レモン汁を加えれば、バラ色のドレッシングが出来上がります。

食香バラ‘豊華’(ほうか)

‘豊華’の柔らかく美味しい花弁は、生のまま食すこともできるので、サラダやお菓子に生の花弁を散らせば、彩り豊かな一品になります。病害虫にも強い性質で、私は完全無農薬でこのバラを育てています。

マストバイ④
ゴージャスに咲く!「フランソワ・ジュランヴィル(François Juranville)」

フランソワ・ジュランヴィル(François Juranville)

系統:ランブラー(R)/一季咲き性/1906年フランス作出/作出者:Barbier Frères & Compagnie

バラで風景を作りたい時に、大活躍してくれるつる性のバラです。暑さ・寒さに強く、枝は匍匐(ほふく)性でよく伸長し、パーゴラやアーチなどの構造物に誘引するのに向く性質です。我が家では、サンルームの開口部を縁取るように設置したパーゴラに絡めて、外から見ても室内から見てもバラの花々に囲まれる感覚が味わえるゴージャスなバラです。

フランソワ・ジュランヴィル(François Juranville)
新しい庭に植え付けて、わずか2年で写真のようにアーチを覆うまでに成長しました。

引越し前の住まいでも、窓の周りを縁取るように誘引し、約10mを超す大木にまで成長しました。しかし、現在の住まいに移る際、掘り起こして移植するには大きすぎて、現在の庭では新しく苗を購入しなおして植栽しました。

マストバイ⑤
魅惑の花色と香りをまとう「ブルー・ムーン・ストーン(Blue Moon Stone)」

ブルー・ムーンストーン(Blue Moon Stone)

系統:シュラブ(S)/四季咲き性/2017年日本作出/作出者:河本純子

グリーンがかったツボミから、薄紫色の中輪ロゼット咲きの花が開花するその過程がなんともロマンチック! 花に顔を近づけると、ダマスクの香りに甘さが加わった心地よい香りを堪能できます。花色は徐々に退色していきますが花もちがよいため、一房の中に紫色~白のグラデーションを見ることができます。

ブルー・ムーンストーン(Blue Moon Stone)
美しいひと房の中の紫色~白のグラデーション。1鉢でも存在感のあるバラ。

剪定することでコンパクトな樹形に仕立てられるシュラブローズなので、鉢植えで育てるのにも向いています。

Credit


写真&文/元木はるみ
神奈川の庭でバラを育てながら、バラ文化と育成方法の研究を続ける。「日本ローズライフコーディネーター協会」代表。近著に『アフターガーデニングを楽しむバラ庭づくり』(家の光協会刊)、『ときめく薔薇図鑑』(山と渓谷社)著、『バラの物語 いにしえから続く花の女王の運命』、『ちいさな手のひら事典 バラ』(グラフィック社)監修など。TBSテレビ「マツコの知らない世界」で「美しく優雅~バラの世界」を紹介。
元木はるみの「バラとハーブのある暮らしSalon de Roses
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