セイヨウヤドリギ(ミスルトー)を見たことはありますか? 真冬にも常緑を保ち、月長石のような乳白色の実をつけるセイヨウヤドリギは、古代ケルトの人々に神聖視され、さまざまな伝承を持つ不思議な植物です。
目次
数々の伝説を持つセイヨウヤドリギ
流れるような美しい常緑の枝葉に、乳白色に輝く半透明の小さな実をつけるセイヨウヤドリギ。他の樹木の枝の上で育つ、半寄生植物です。冬枯れの木々の上に、鳥の巣のような青々とした茂みをつくるその姿から、生命力や霊力の強い薬草として特別視されてきました。古代ケルト人の宗教を司るドルイド僧は、特にオークの木に宿ったこのセイヨウヤドリギを神聖視し、年に一度の特別な日に、黄金の鎌で採取する儀式を行っていたと伝えられています。また、北欧神話では、セイヨウヤドリギは不老不死の光の神バルドルをこの世で唯一傷つけることができるものでした。
イギリスでは、セイヨウヤドリギにまつわるこんな言い伝えが。クリスマスの季節、人々はヤドリギの小枝を吊るして幸福や安全を祈ります。そして、ヤドリギの枝の下にいる人には誰にでもキスをしていいという慣習があります。なんでも、キスを拒むと翌年の結婚のチャンスがなくなってしまうのだとか。現在では、恋人同士がヤドリギの下でキスをするのは結婚の約束を交わしたことになり、愛の木でもあるヤドリギの祝福を受けるとされています。
セイヨウヤドリギを飾る
さまざまな伝承を持つ神秘的なセイヨウヤドリギを飾ってみませんか? ヤドリギを飾る時には、言い伝えの通り、地面に触れないようリースやスワッグにして飾りましょう。白く輝く小さな実が美しい装飾になります。
リースをつくって飾る
セイヨウヤドリギの小枝、リース土台、ハサミ、リースワイヤーを用意します。
適当な量のセイヨウヤドリギの小枝を束にし、リースワイヤーで土台にしっかりと留めます。
枝の部分が見えないように、ヤドリギの束を少しずつずらしながら固定していきます。全体がヤドリギの葉で覆われたら完成!
小枝を束ねてスワッグに
赤いリボンで小枝を無造作に束ねただけでも、こんなに素敵なデコレーションになります。緑と赤のカラーに加え、雪を思わせる白い実がクリスマスの雰囲気にぴったりです。
参考文献/「魔女の12カ月」飯島 都陽子(山と渓谷社)
Credit
文 / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
- リンク
記事をシェアする
新着記事
-
公共ガーデン
都立公園を新たな花の魅力で彩る「第2回 東京パークガーデンアワード 神代植物公園」は秋深まる
新しい発想を生かした花壇デザインを競うコンテスト「東京パークガーデンアワード」。第2回のコンテストは、都立神代植物公園(調布市深大寺)を舞台に一般公開がスタートしています。ここでは、5つのコンテストガ…
-
ガーデン&ショップ
里帰りした宿根草「アスター‘ジンダイ’」が初めての開花! 東京パークガーデンアワード@神代植物公園で観…
今、ガーデンに関わる人たちの間では、温暖化や病害虫の影響を受けない植物のセレクトや、手のかからないローメンテナンスな庭づくりを叶える優れた植物を求めて日々チャレンジが続いています。そんななか、アメリ…
-
イベント・ニュース
【秋バラが本格的に開花!】秋の風情が深まる「横浜イングリッシュガーデン」へ出かけよう!PR
希少なアンティークローズから最新品種まで、国内外でも屈指のコレクション数を誇る「横浜イングリッシュガーデン」は、秋に色香を増すバラも続々開花が進んでいます。11月2日(土)からは、季節を先取りしてクリス…