【驚異の花数】1株で1,000輪以上?! たくさん咲いてローメンテナンスな2022年「殿堂入りのバラ」を要チェック!

3年に一度行われるバラの国際会議で決定される「殿堂入りのバラ」。その条件は、世界中のどの環境でも育てやすく、国や性別を超えて誰が見ても美しいと感じ、たくさんの国で長く愛されているというのが選出基準です。つまり、ボーダーレスかつジェンダーレスな魅力に世界がひれ伏す、いわば‘神バラ’。今年、新たに加わったバラを要チェック!
目次
バラを育てるときに知っておきたい3つのこと

バラは世界中から新品種が発表され、登録されているだけでも4万もの品種があります。その膨大な数のバラの中から、最適のバラを選ぶにはどうしたらいいのでしょう。もちろん、花の色や見た目など個人の好みが最も大きなセレクトの理由になりますが、外観上の好み以外で育てるときに必ず押さえておきたいポイントがあります。重要なポイントは以下の3つ。
① バラの樹形
② 開花周期
③ 耐病害虫性・耐寒耐暑性
① バラの樹形の中には「つるバラ(クライミング)」「木立ち性バラ(ブッシュ)」、この2つの間の性質を持った「半つる性(シュラブ)があります。つるバラの中には7〜8mにまでシュート(枝)が伸びるものもあり、基本的にアーチや壁など構造物に誘引して仕立てるのに適します。ですから、どこに植えるかで適した樹形を選ぶ必要があります。
② バラはいつ咲くかご存じですか? バラが咲く時期は主に3つに分けられます。バラが見頃を迎えるのは主に5〜6月の春と9〜10月の秋。このうち春にしか咲かないものを「一季咲き性」、春から秋まで繰り替えし連続的に咲いているものを「四季咲き性」、四季咲き性ほどではないものの春以外の季節にも咲くものを「返り咲き性」と呼びます。
③ バラには「黒点病」と「うどん粉病」という特有の病気があり、品種によってかかりやすいものとかかりにくいものがあります。かかりやすいものは消毒などによって防除する必要があります。近年は品種改良によってこれらの病気にほとんどかからない品種も多く生み出されています。耐寒耐暑性も同様に品種によって異なります。
殿堂入りの‘神バラ’から選ぶのが早い!

Photo/Besklubova、zzz555zzz、natayurchuk、EQRoy/Shutterstock.com
同じバラを選ぶなら、たいていの場合、長く花が楽しめて、丈夫なバラが欲しいもの。そんな条件に叶うバラを世界基準で選出しているのが、40カ国が参加するバラの国際会議で決定される「殿堂入りのバラ」。いわばバラのワールドカップ決定戦のようなもので、「世界中のどの環境でも育てやすい」「国や性別を超えて誰が見ても美しいと感じる」「たくさんの国で長く愛されている」というのがその選出基準です。
選出の舞台は3年に1度。「殿堂入りのバラ」はすべての魅力を兼ね備えた‘神バラ’と言っても過言ではありません。バラ選びに迷っているなら、神頼りが確実です。

2022年の「殿堂入り」は‘フラワーカーペット® ローズ ピンク’

2022年10月、第19回世界バラ会議アデレード大会(オーストラリア)が開催され、「殿堂入りのバラ」にNoack Rosen(ノアックローゼン)社のフラワーカーペット® ローズ ピンクが選出されました。1976年にピースが選出されて以降、殿堂入りしたバラは‘フラワーカーペット® ローズ ピンク’で18品種目です。
驚異の花数&ローメンテな‘フラワーカーペット® ローズ ピンク’

【品種の特性】
- 1房に10輪、1株で1,000輪以上(成熟株で環境による)
- 病気に強く手間がかからない(うどん粉病・黒星病に強く定期的な薬剤散布をほとんど必要としない)
- 四季咲き性で春から秋まで次々と花が咲く
- 中小輪のディープピンクの半八重咲きの花が房になってたわわに咲く
- アーチ形の樹形で樹高60~80cm・樹幅約1mで、コンパクトに育てられる
- グラウンドカバーとして用いることができる
- 乾きに強い

‘フラワーカーペット® ローズ ピンク’は、ドイツのWerner Noack(ウェルナー ノアック)氏によりグラウンドカバーローズとして1988年に作出された品種で、以降花色のバリエーションが増えた同シリーズの先駆けです。ノアック氏は以前から耐病性が高く薬剤散布が不要で、剪定などの手入れが最小限で済むローメンテナンスの優れたバラの作出に力を入れており、‘フラワーカーペット® ローズ ピンク’は、1990年には世界一厳しいことで知られるドイツのバラの評価試験「ADR」で史上最高得点を叩き出しました。
低く這うように広がる性質を生かして庭に咲かせよう

‘フラワーカーペット® ローズ’シリーズは、圧倒的な花数を誇り、春から秋まで次々に咲き続け、植栽して2〜3年経つと1株で1,000輪以上の花を咲かせる場合もあります。樹高60~80cmとバラの中では比較的樹高が低く、カーペット状に這うように広がるので、花壇の前方へ配置して宿根草などと組み合わせたり、写真のようにバードフィーダーなどのガーデンアイテムと合わせても印象的なコーナーを作ることができます。

鉢植えに咲かせれば、溢れるようにこぼれ咲く豪華な姿が楽しめます。四季咲きで長く咲いてくれるので、いつも華やかにしておきたい玄関や庭の入り口、デッキなどにも向いています。今回、殿堂入りを果たしたピンク以外のフラワーカーペット® ローズシリーズも合計で30以上の国際的なバラの賞を受賞しており、ワールドワイドな実績あり。初めてバラを育てる人にも頼もしい存在になってくれるでしょう。

Credit
協力/ハクサン https://hakusan1.co.jp/product/flower_carpet_rose/
表記外写真/ハクサン

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。