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- マストバイ“原種・神7” 植えっぱなしで、よく増え、かわいい!
あまたある花のなかで「原種(げんしゅ)」と呼ばれるものがあります。原種とは人の手で改良される前の植物で、いわばご先祖様。チューリップにもシクラメンにもバラにも、どんな植物にも原種があり、そこからバラエティーに富んだ園芸品種が生み出され、花の世界は現在のように豊かになってきたのです。ここでは原種のなかから、ガーデナー激推しの7種をご紹介します。どれも今が買い時!
目次
原種とは?
花にも野菜にも、すべての植物には原種があります。原種は改良される前の野生のままの姿なので、野生種とも呼ばれます。原種に対して、それをもとに人が改良して生まれた植物を「園芸品種」と呼びます。野菜や果樹などは食味の向上や病害虫への耐性を高めるために、花は色や形のバリエーションを増やしたり、栽培のしやすさなどを目的として原種が改良され、現在のような豊かな園芸品種のラインナップが生まれています。華やかで選り取り見取りの園芸品種の陰に隠れて、目立たぬ存在となっていた原種ですが、今、その魅力が再認識され、育てる人が増えています。
原種の魅力
原種は野生のままの性質なので、野趣溢れる姿や素朴な雰囲気を持っており、ナチュラルガーデンによく似合います。また、病害虫への耐性が高く、丈夫なものも多いので、初心者でも育てやすいというメリットも。さらに、例えば同じチューリップでも園芸品種はワンシーズン限りで終わりますが、原種は何年も繰り返し咲き続け、増えていくというコスパのよさも魅力です。
- 素朴で愛らしい姿
- 丈夫でローメンテナンス
- コスパがよい
という三拍子の魅力が原種の人気の理由です。
ガーデナーおすすめの“原種・神7”
ここからは、実際にさまざまな植物を育てるなかで、原種の魅力にハマッているガーデナーの面谷ひとみさんがセレクトした、おすすめ原種をご紹介します。植えっぱなしで何年も咲く原種は、植え替えなどの労力がなく、「今年もまた会えたね!」という喜びがあると話します。ほとんどは園芸店で入手できます。
原種チューリップ
原種チューリップ クルシアナ・シンシア/球根/開花期4〜5月
原種チューリップのクルシアナ・シンシアです。原種チューリップの中には地際でクロッカスのように咲くものもありますが、シンシアは草丈30cmくらいで、茎も葉も細く華奢な姿が魅力。花もほっそりとしていますが、赤と黄色の2色でよく目立ちます。
原種チューリップ クルシアナ・レディージェーン/球根/開花期4〜5月
シンシアと同系の原種で、赤と白の2色咲きの原種チューリップにクルシアナ・レディージェーンがあります。太陽の光を浴びると写真のように花が開き、陰ると閉じる習性があります。シンシアもレディージェーンも植えっぱなしでどんどん花数が増えて、年々華やかさが増しています。
原種チューリップ バタリーニ・ブライトジェム/球根/開花期4〜5月
原種チューリップのバタリーニ・ブライトジェムは、ひよこ色と、小さな姿が愛らしい花です。草丈は15〜20cmほどなので、他の植物と植える場合は植栽位置に気をつけないと、隠れて見えなくなってしまいます。園芸品種のチューリップは背が高いので、その足元に咲くように植えてあげても素敵です。植えっぱなしで何年も咲いてくれます。
原種スイセン
原種スイセン バルボコディウム/球根/開花期3〜4月
バルボコディウムは、草丈15cmほどの小さな原種スイセンです。鮮やかな黄色と白色があり、薄紙のような繊細な花弁ながら、非常に丈夫で毎年ほとんど何もしなくてもよく咲きます。ラッパのような個性的な花姿と糸のような細葉で、小さくてもよく目立ちます。ビオラやパンジーなどの一年草ともよく似合います。
原種系アネモネ
原種系アネモネ パブニナとフルゲンス/球根/開花期4〜5月
原種系アネモネには、よく似た花形のパブニナとフルゲンスがあります。どちらも花弁と花心のコントラストが美しい花で、園芸品種に比べて耐寒性・耐暑性に優れ、とても丈夫なのが特徴です。園芸品種は夏にダメージを受けて翌年咲かない場合もありますが、原種は夏越しも冬越しも容易で何年も楽しめます。さまざまなカラーバリエーションがあり、風に揺れるたおやかな姿が魅力です。アネモネはギリシャ語で「風」という意味。春風を運ぶ花として知られます。
原種系(?)アネモネ コロナリアダブル・フローレプレノ/球根/開花期4〜5月
原生地では見られなくなっており、植物画に残るのみで今や幻のアネモネと呼ばれています。その昔、日本に入ってきたらしく、花の情報が極端に少ないことから原種かどうかも定かではありませんが、性質としては原種に近く、植えっぱなしで丈夫に何年も咲きます。八重咲きで花粉ができないことから繁殖が難しく、流通量が少ないため、見つけたらラッキー。
原種シクラメン
原種シクラメン/球根/開花期9〜11月(ヘデリフォリウム)、12〜3月(コウム)
原種シクラメンは、秋咲きのヘデリフォリウムと、冬から早春にかけて咲くコウムの2種があります。園芸品種のシクラメンは、地植えで年を越すのが難しいものが多いですが、原種は環境さえ合えば植えっぱなしで何年も咲き、どんどん増えます。「夏の暑さに弱い」「生育期には光が必要」という条件にぴったり当てはまるのが落葉樹の下です。オカチョウジガイなどの陸性の貝やダンゴムシなどに球根を食べられることがあるので注意。雑草を取ったり、薬剤を使って対処します。
原種ジギタリス
原種ジギタリス ルテア/宿根草/開花期5〜6月
バラと一緒に咲かせる宿根草として人気のジギタリスですが、園芸品種は二年草で花の期間が限られるのに対し、原種は長寿命なのが特徴。年々株が太って花数が増えます。耐寒性に優れていますが、耐暑性は中程度なので、日当たりが強すぎないよう植える場所を少し気遣ってあげるとよいでしょう。小花が連なる華奢な姿が魅力です。
原種クリスマスローズ
クリスマスローズ ニゲラ/宿根草/開花期12〜1月
さまざまな花色や花形がある宿根草のクリスマスローズは、園芸品種も植えっぱなしで何年もよく育つことから、毎年展覧会が催されるほど大人気の花です。ほとんどの園芸品種は2月から3月の早春に咲きますが、その名前の通りクリスマスの頃に咲くのは、この原種のニゲラです。真っ白な花を雪景色の中で咲かせることもあります。
原種バラ
ロサ・ガリカ・オフィキナリス/樹木/開花期5月
花の女王と呼ばれ、登録されているだけでも4万種以上もの品種があるバラ。原種もたくさんありますが、ロサ・ガリカ・オフィキナリスは最も古い原種といわれます。古くから薬用や香料用として栽培されてきた歴史があり、素晴らしい香りを持つ花の美しさはもちろん、マットな葉も野趣があり魅力的。バラというと豪華なイメージがありますが、オフィキナリスは素朴で可憐な雰囲気のコーナーを作ってくれます。
ご紹介した原種の植物に共通するのは、植えっぱなしで丈夫に育つということ。来年のガーデン計画に、ぜひ原種を加えてみてはいかがでしょう。
Credit
記事協力 / 面谷ひとみ - ガーデニスト -
おもだに・ひとみ/鳥取県米子市で夫が院長を務める面谷内科・循環器内科クリニックの庭づくりを行う。一年中美しい風景を楽しんでもらうために、日々庭を丹精する。花を咲き継がせるテクニックが満載の『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(KADOKAWA)が好評発売中!
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写真&文 / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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