カラフルでもふもふの花が人気! 長く楽しめるデージーを育ててみよう

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デージーはカラフルな花色で、品種によってはもふもふとした質感の花姿が愛らしい花。晩秋に苗を入手すれば開花期も長く、冬を彩る寄せ植えとしても活躍してくれます。この記事では、デージーの基本的な性質、特徴、花言葉、品種、詳しい育て方など、幅広くご紹介します。
目次
まずは、デージーの基本情報を押さえておこう!

デージーは、キク科ヒナギク属の一年草です。原産地はヨーロッパや地中海沿岸で、寒さに強い性質を持っています。逆に暑さには弱く、本来は多年草に分類されますが、日本では暑さに耐えられずに枯死してしまうので、一年草として取り扱われています。ライフサイクルは短く、秋に種まきして育苗し、越年すると春から盛んに開花。夏前には株が傷んで枯死します。そのままにしておくと病害虫の発生を招くので、抜き取って次の季節に備えましょう。開花期は一般に12月下旬〜5月とされていますが、冬に咲いているのは、ほとんどが秋頃から出回る開花調整された花苗です。冬は開花したまま、生育はほぼ止まっています。3月頃から旺盛に生育し始め、次々と開花するピークは3〜5月と捉えておくとよいでしょう。デージーの花色は、白、ピンク、赤、赤紫、複色など。草丈は15〜40cmです。
デージーの花言葉と名前の由来

デージーの花言葉は「美人」「純潔」「希望」「平和」など。色別の花言葉もあり、赤い花は「無意識」、白い花は「無邪気」、ピンクの花は「希望」です。
デージーという名前は、「day’s eye」に由来しています。これは、昼間の明るい時間には花弁を開き、暗くなると閉じてしまう性質から。和名は「雛菊(ひなぎく)」で、菊の花よりもかなり小さいことから名付けられたようです。
白・ピンク・赤など! カラフルで可愛いデージーの品種

デージーは人気の高い花なので、育種が進み、愛らしい花姿の品種が多数あります。‘ポンポネット’はロングセラーの品種で、花径2cmほどの小輪種ながら、たくさんの花が咲くのが特徴。花色は赤、ピンク、白があります。‘チロリアンデージー’は最もポピュラーな品種で、花径5cmほどの大輪シリーズ。花色は濃い赤紫、濃いピンク、ベビーピンク、白などがあります。イングリッシュデージーは、ヨーロッパに広く自生する原種のデージーで、楚々として野趣感あふれる花姿はナチュラルガーデンなどで重宝します。草丈10〜15cmの矮性種の‘バンバン レッド’、‘バンバン ローズ’は、ピコティー咲きで花径は5cmほど。‘タッソーピンク’や‘タッソー ストロベリー&クリーム’は中輪ポンポン咲きで、特にもふもふ感を楽しめる品種です。
デージーによく似た近縁種! シャスターデージーとブルーデージー
名前に「デージー」とつく植物はたくさんありますが、それらはデージーとは異なる別種、別属の草花です。ここでは、その中から魅力的な花を2種ご紹介します。

シャスターデージーは、キク科レウカンセマム属の常緑性多年草で、草丈は50〜80cmです。開花期は5月中旬〜7月。日本のハマギクとフランスギクを交配して生まれた品種で、中央が黄色く花弁が白で、マーガレットに似た花を咲かせます。

ブルーデージーはキク科フェリシア属の常緑性多年草で、草丈は20〜50cmです。開花期は3〜5月と10〜12月。花心は黄色、花弁は青みの強い紫色で、そのコントラストが美しい人気の花です。
デージーを元気に育てるポイント
ここまで、デージーの基本情報や特徴、花言葉、品種などについてご紹介しました。では、ここからはガーデニングの実践編として、植え付け、水やりや施肥、手入れなど日頃の管理、病害虫対策、増やし方など、育て方について詳しく解説します。
デージーの栽培環境と置き場所

日当たり、風通しのよい場所を好みます。半日陰の環境にも耐えますが、あまりに日当たりが悪いとヒョロヒョロと茎葉が間のびして軟弱な株になったり、花つきが悪くなったりするので注意。
秋に種を播き育苗して冬越しさせる場合は、冷たい風が吹きつける場所を避けましょう。霜が降りる場所では株元にバークチップやワラを敷きつめ、マルチングを施しておきます。
水はけ、水もちのよい土壌を好むので、植え付け前に有機質資材を投入し、ふかふかの土づくりを心がけてください。
デージーを植えるのに適した土づくり

【地植え】
植え付けの約2週間前に、腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで、よく耕しておきます。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。
【鉢植え】
市販の草花用培養土を利用すると手軽です。
デージーの植え付け方

デージーの植え付け適期は、10月〜11月上旬です。ただし、ほかの時期にも苗は出回っているので、花苗店などで入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。苗は、小さくても節間が短くがっしりとまとまっており、ヒョロヒョロと間のびしていないものを選ぶとよいでしょう。
【地植え】
土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、根鉢をくずして植え付けます。最後にたっぷりと水を与えましょう。複数の苗を植える場合は、20cmくらいの間隔を取っておきます。
【鉢植え】
鉢で栽培する場合は、5〜6号の鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから草花用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗をポットから取り出して鉢に仮置きし、高さを決めたら、根鉢を軽くほぐし、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。大きな鉢にほかの植物と一緒に植え込んで、寄せ植えを作ってもOKです。
デージーは水切れしやすい! 水やりの注意点

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。
真冬に水やりする場合は、気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。
【地植え】
根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。
【鉢植え】
日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつも湿った状態にしていると根腐れの原因になるので、与えすぎに注意。土の表面がしっかり乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。さらに生育期に入り、旺盛に茎葉を茂らせて花をたくさん咲かせるようになると、水切れしやすくなるので注意してください。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。
デージーの肥料で気をつけるポイント

【地植え・鉢植えともに】
植え付け時に元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。
開花期を迎えたら、月に1度を目安に緩効性化成肥料をばらまき、スコップで軽く耕して土に馴染ませます。または、10日に1度を目安に液体肥料を与えてもよいでしょう。
デージーを栽培している間に必要なお手入れ

デージーは次々に花が咲くので、終わった花は摘み取りましょう。花首の下ではなく、長く伸びた花茎の根元から切り取ってください。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながりますよ! また、いつまでも花がらを残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。種を採取したい場合は、開花が終わりそうな頃に花がら摘みをやめて、種をつけさせましょう。
デージーを育てるうえで気をつけたい病気や害虫

【病気】
デージーが発症しやすい病気は、うどんこ病、灰色かび病などです。
うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢、つぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放任するとどんどん広がるので注意。対処せずにそのままにしておくと光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。うどんこ病が出たら病気の葉を摘み取って処分し、適用する殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。
灰色かび病は花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほど、かつ多湿の環境下で発生しやすい病気です。ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれています。風通しが悪く込み合っていたり、花がらや枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合っている場合は、間引いて風通しよく管理しましょう。
【害虫】
デージーに発生しやすい害虫は、アブラムシ、ハダニなどです。
アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。
ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要です。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期には、葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけてやるとよいでしょう。
デージーは種まきで育てるのが一般的

デージーは、種まきで増やすことができます。種まきのメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。幼苗の状態でひと冬越すことで、春からの生育期になると旺盛に生育し、丈夫な株になります。
初心者でも比較的簡単! デージーの種まき
デージーの発芽適温は20℃くらいです。種まきの適期は一般地で9月頃で、育苗して冬越しすると3月頃から開花します。寒冷地では、3月上旬に種を播き、5〜7月上旬に花を咲かせるとよいでしょう。
デージーの種は大変小さいので、種まき用のセルトレイを準備してください。トレイに市販の培養土を入れ、1穴当たり数粒ずつ播きます。デージーは発芽に光を必要とする好光性種子のため、土をかぶせる必要はありません。種が細かいので、浅く水を張った容器にセルトレイを置いて鉢底から吸水させます。発芽までは涼しい場所に置き、乾燥しないように適度な水管理をしてください。
3〜4日すると発芽し、1週間ほど経つと双葉が出揃います。発芽後は弱々しい苗を間引いて1本立ちにしましょう。残す苗の根を傷めないように、株元を押さえて抜き取ってください。その後は、日当たりがよく、風通しのよい場所で管理します。
本葉2〜3枚でいったん仮植え! 本葉10枚になったら定植しよう
本葉が2〜3枚出始めたら、セルトレイから鉢上げするタイミングです。3号の黒ポットに草花用の培養土を入れ、セルトレイから苗を抜き取って根鉢を崩さずにそのまま植え付けます。日当たり、風通しのよい場所で育苗し、7〜10日に1度を目安に液肥を与えましょう。多湿になると根張りが悪くなり、茎葉がヒョロヒョロとして間のびした株になるので、いつも湿った状態にならないようにしてください。水やりは表土がしっかり乾いてからたっぷりと与えるのが基本です。
本葉が7〜10枚ついたら、植えたい場所に定植します。
寄せ植えにピッタリのデージー! 単独でも群植しても見応えあり

デージーは、コンパクトにまとまる草姿から、大鉢に寄せ植えする花材として人気があります。開花株が冬前から出回るので、同時期に出回り始めるビオラやスイートアリッサムなどと一緒に華やかな寄せ植えを作り、寂しくなりがちな冬の庭を彩ってはいかがでしょうか。低い草丈を生かし、春の花壇ではチューリップやヒヤシンス、スイセンなど、株元が寂しくなりがちな植物の手前に植えて華やかさをプラスするとよいでしょう。広い場所に群植しても見応えのあるシーンを演出できます。
カラフルなデージーを植えて庭を華やかにしよう!

草丈が低く、花壇の前面や寄せ植えの主役として活躍するデージー。キュートな花姿は古くからガーデナーの間でも愛されてきた人気の植物です。寒さに強く、ビギナーにも育てやすいので、冬から早春にかけて、庭やベランダを彩る寄せ植えを作ってみてはいかがでしょう。
Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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