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夜に咲く花や夜にいい香りを放つ花の特徴は? 具体的な花の種類もご紹介!

夜に咲く花や夜にいい香りを放つ花の特徴は? 具体的な花の種類もご紹介!

prafulrao/Shutterstock.com

植物の中には、夕方から夜にかけて花を咲かせる性質を持つものがあります。それらの花は、開花と同時に芳醇な香りを漂わせることも多く、姿は見えなくてもその存在感を強く感じられるのも魅力です。この記事では、夜に開花する植物の性質を解説するとともに、比較的育てやすいものをピックアップし、それぞれの特性や育て方のポイントについてご紹介します。

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夜に咲く花や夜に香りが強くなる花の特徴は?

ヨルガオ
mr_reverend/Shutterstock.com

夜に開花する植物のほとんどは、熱帯〜亜熱帯地域が原産です。これは、暑い地域では夜に活動する昆虫などが多数いるため。開花したのちに受粉を媒介する者として、夜に活動する昆虫などをターゲットとし、種の保存戦略を高めてきたのです。花色に白や黄色が多いのは、暗がりでも目立つようにするためです。また、夜に咲く花は、甘くて濃厚な香りや蜜を持つものが多いのですが、これも媒介者を効率よく呼び寄せるために進化してきたものとされています。

夜に咲く花は、暑い地域に自生してきたものが多いので、栽培の際に注意したいのは、冬の寒さ対策です。鉢栽培を基本にして冬は室内に取り入れ、日当たりがよい場所で管理しましょう。夜の気温低下にも注意し、なるべく一日を通して気温の変化がないようにすることもポイントです。

夜に花を咲かせる(香りが強くなる)多年草・一年草・球根

草花に分類される多年草・一年草・球根植物の中から、夜に花を咲かせるものをピックアップしました。基本情報や管理のポイントを解説します。

月下美人

ゲッカビジン
Satoshi Mizushima/Shutterstock.com

サボテン科エピフィルム属の多年草です。月花美人の開花期は7〜10月で、12〜13cmほどの大きな花を咲かせます。花色は白で、花弁を重ねる豪華な花姿が魅力的。夜に開花し始めて甘い香りを放ち、朝までにはしぼんでしまう一日花です。

原産地はメキシコを中心とした中南米。サボテンの一種で、高温多湿の森林内で自生してきた植物です。寒さに大変弱く、冬でも8〜10℃は必要なので、鉢栽培を基本とし、季節に応じて適地へ移動しながら管理します。草丈は100〜200cm。もともとは樹木の幹に根を張り、下向きに葉を枝垂れさせるようにして生育する特性があり、草姿が乱れやすいので支柱を立てて誘引するとよいでしょう。あまりに大きくなって持て余すようなら、シュートが100〜150cm伸びたところで先端を摘み取り、高さを抑えます。

オシロイバナ

オシロイバナ
Aoi190/Shutterstock.com

オシロイバナ科オシロイバナ属(ミラビリス属)の多年草です。日本では寒さに耐えられずに越年できないので、一年草として扱われています。開花期は6〜10月で、花色はピンク、白、赤、オレンジ、黄、複色など。ほのかに上品な甘い香りを持っています。花は夕方から咲き始めて翌朝まで開花。午前中にはしぼんでしまう短命な一日花ですが、次々と咲くので花がらをまめに摘み取り、株まわりを清潔にしておきます。

原産地はペルーなどの熱帯アメリカで、暑さに強い性質を持っています。草丈は30〜100cm。こぼれ種で増えて雑草化するほど強健な生命力を持ち、放任してもよく育つのでビギナーにおすすめです。植え付けの適期は6〜8月。日当たりと風通しのよい場所を選んで植え付けます。

ヨルガオ

ヨルガオ
Suesviews/Shutterstock.com

ヒルガオ科ヨルガオ属の多年草です。日本では寒さに耐えられずに越年できないので、一年草として扱われています。開花期は8〜9月。夕方からアサガオに似た花径10〜12cmの大きな白い花が咲き、甘い香りもあります。翌朝にはしぼんでしまう一日花ですが、開花期間中は次々に開花して長く楽しめます。ユウガオという名前で販売されていることもあります。

原産地は南アメリカのつる性植物です。つるを4〜6m伸ばすので、支柱やネットをしつらえて誘引して仕立てます。つるが硬いので、多少強引に誘引してもかまいません。暑さ対策として南側の窓前にネットを張って広く誘引すれば、グリーンカーテンとしての利用も可能。日当たりのよい場所を好むこと以外は、放任してもよく育つ丈夫な性質で、ビギナー向きです。

チューベローズ

チューベローズ
Gilang Prihardono/Shutterstock.com

リュウゼツラン科ゲッカコウ属の球根植物です。開花期は7〜9月で、花色は白。花茎を長く立ち上げ、6弁花を多数咲かせて穂状になります。甘いフローラル系の香りで、夜になるとより濃く香るのが特徴的。香水の原料にもなっています。

原産地はメキシコで、暑さに強く寒さに弱い性質を持っています。十分気温が上がった春に植え付け、初夏から初秋に向けて開花。地上部が枯れた頃に球根を掘り上げて、バーミキュライトを入れた箱に埋め入れ、10℃以上の場所で管理します。越年後また春が来たら植え付ける……というサイクルで毎年楽しめる草花です。草丈は60〜100cmになり、花茎を長く伸ばすので、支柱を立てて誘引しておくとよいでしょう。やや湿り気のある土壌を好むので、特に真夏は水切れしないように管理するのがポイントです。

マツヨイグサ

マツヨイグサ
High Mountain/Shutterstock.com

アカバナ科マツヨイグサ属の多年草です。ツキミソウとして認識されていることが多いのですが、誤認が広まってしまったためで、この夜に咲く黄色い花はマツヨイグサです。開花期は6〜8月で、花色はレモンイエロー。花径3cmほどの小花で、夕方から咲き始めて朝にはしぼみます。草丈は10〜30cmです。

原産地は南アメリカで、繁殖力が強く放任してもよく育ちます。むしろはびこりすぎるきらいがあるので、周囲の草花との調和を乱すようであれば、抜いて調整するとよいでしょう。いくつかの種類があり、オオマツヨイグサは、草丈が1〜1.5mにもなって葉を大きく広げ、花径8cmくらいの比較的大きな花が咲きます。メマツヨイグサの花径は2〜5cmで、繁殖力が強くて野生化しやすいので注意が必要。コマツヨイグサも強健ではびこりやすい性質で、花径は2〜3cmほどです。

カラスウリ

カラスウリ
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ウリ科カラスウリ属の多年草です。開花期は7〜9月で、陽が落ちた頃から開花し始めます。花色は白で、4〜6弁花が反り返るように開花。大変ユニークな花姿で、白い花弁の縁は細い糸状になってレースのように見えます。夜に開花するのは、受粉のために夜に活動する蛾を呼び寄せるためで、花は朝を迎える頃には、もうしぼんでいます。

原産地は中国、日本。昔から日本の野山で自生してきた植物だけに、寒さにも強く丈夫でほとんど管理の手間がかかりません。つる性植物で、他者につるを絡ませながら生育するので、支柱やフェンス、ネット、アーチなどに仕立てて誘引する必要があります。10〜11月に直径5〜7cmのオレンジまたは朱色の果実がつきます。雌雄異株で、実をつけるのは雌株のみです。地下に塊根を持っており、冬は地上部を枯らして休眠しますが、枯れたわけではなく越年して春になると再び生育し始めます。12〜3月が植え付け適期で、塊根を入手して植え付けます。

夜に花を咲かせる(香りが強くなる)低木〜高木

樹木の中から、夜に花を咲かせるものをピックアップしました。基本情報や管理のポイントを解説します。

マツリカ

マツリカ
phosy16/Shutterstock.com

モクセイ科ソケイ属の多年性つる植物です。開花期は7〜9月で、花径2cmくらいの肉厚な白い花が咲きます。夕方から咲き始め、翌朝にはややピンク色を帯び、やがてしぼんでしまう一日花です。一重咲きと八重咲きがあります。ジャスミンの一種でもあり、強い香りを放つのが特徴です。香料用として栽培され、またジャスミンティーの材料となっています。

原産地は熱帯アジアで暑さには強く、寒さに弱い性質を持っています。冬でも10℃以上は必要なので、鉢栽培を基本とし、季節に応じて適地へ移動しながら管理するとよいでしょう。つるを伸ばして生育し、自然界では150〜300cmになります。鉢栽培では剪定や切り戻しによって樹勢をコントロールし、手に負える範囲で栽培するのがおすすめ。オベリスクやあんどん仕立て用などの支柱を設置し、つるを誘引しながら管理しましょう。常緑の植物で冬もみずみずしいグリーンを楽しめますが、寒さによって地上部を枯らすことがあります。しかし地下の根は生きていることがあるので、翌春に生育し始めるのを待ってみてください。

イエライシャン

イエライシャン
Doikanoy/Shutterstock.com

ガガイモ科テロスマ属の多年性つる植物です。開花期は6〜9月で、花径2cmくらいの星形の花が咲きます。花色は咲き始めの黄緑色からオレンジ色へと変わります。咲き進むと上品な甘い香りを放ちますが、夜になると香りがより強くなります。しかし真夜中になると甘い香りはなくなるなど、時間帯によって香り方が変わる神秘的な植物です。イエライシャンは中国語で、漢字で書くと「夜来香」。日本ではトンキンカズラの別名があります。

原産地は中国やベトナムなどで、暑さには強く、寒さに弱い性質を持っています。冬でも10℃以上は必要なので、鉢栽培を基本とし、季節に応じて適地へ移動しながら管理するとよいでしょう。つるを伸ばして生育し、自然界では4〜5mになります。鉢栽培では剪定や切り戻しによって樹勢をコントロールし、手に負える範囲で栽培するのがおすすめ。オベリスクやあんどん仕立てに使う支柱などを設置し、つるを誘引しながら管理しましょう。肥料を好むので、生育期は定期的に緩効性化成肥料を与えて、株の勢いを保ちます。ただし、冬は生育が止まるので、肥料は与えずに管理してください。

ヤコウボク

ヤコウボク
Hasbullah Mohamad/Shutterstock.com

ナス科ケストルム属の常緑性低木です。開花期は6〜11月で、星形の花が咲きます。花色はグリーンを帯びた白。一つひとつの花は小さく、やや地味な印象ですが、多数の花を咲かせ、濃厚な甘い香りを漂わせて存在感を強めます。夜に一層強く香り、「ナイトジャスミン」の別名を持っているほどです。強烈といってもいいほど香るので、強い香りを長時間感じていると頭痛を起こしやすい敏感な方は、開花期には室内に入れないほうが無難です。

原産地は西インド諸島で、暑さには強く、寒さに弱い性質を持っています。冬でも5℃以上は必要なので、鉢栽培を基本とし、季節に応じて適地へ移動しながら管理するとよいでしょう。自然樹高は100〜300cmになりますが、剪定や切り戻しによって樹勢をコントロールし、手に負える範囲で栽培するのがおすすめ。花が咲き終わった枝は切り戻しておくと、側枝を伸ばして再び開花します。

サガリバナ

サガリバナ
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サガリバナ科サガリバナ属の常緑高木です。開花期は7〜9月で、花茎が下に向かって30〜50cm伸びて多数の花を連ねます。花色は白〜淡いピンクで、糸状に長く伸びる雄しべが放射状に展開し、ふわふわとした花姿が特徴です。太陽が沈む頃から開花し始め、完全に日が落ちて暗くなった頃に満開になります。翌朝、日が昇り始める頃にすべての花を落とす一日花です。開花すると、バニラのような甘い香りを漂わせます。

原産地は東南アジア〜太平洋で、日本では沖縄など南西諸島に自生。暑さには強く、寒さに大変弱い性質を持っています。冬でも15℃以上は必要なので、鉢栽培を基本とし、季節に応じて適地へ移動しながら管理するとよいでしょう。

ニオイバンマツリ

ニオイバンマツリ
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ナス科バンマツリ属(ブルンフェルシア属)の常緑性低木です。開花期は4〜7月で、花径は3〜4cmの5弁花が多数咲き、満開時には木を覆い尽くすほどになり、見応えがあります。咲き始めは紫色ですが、だんだん褪色してやがて白へ変化します。そのため1本の木で紫から白の複色の花色を楽しめ、大変華やかです。花からは芳醇な甘い香りが漂い、夜に香りが強まります。

原産地はブラジル南部やアルゼンチンで、約40種が分布。熱帯性の花木のため、暑さには強く、寒さには弱い性質を持っています。冬でも5℃以上は必要なので、鉢栽培を基本とし、季節に応じて適地へ移動しながら管理するとよいでしょう。開花期は水を欲しがるので、水切れには注意。生育旺盛で樹形が乱れやすいので、花後すぐを目安に、適宜切り戻して管理します。

香りも楽しめる夜に咲く花!

夜の花
Adimas L. Nugraha/Shutterstock.com

夜に咲く花は、意外にたくさんありますよね! 開花期になったら、夕方から室内に取り込んで、咲き進んでいく姿を観察するのも楽しいもの。多くは夏に開花期を迎えるので、お子さんのいる家庭では、夏休みの自由研究のテーマにしても面白いかもしれません。ぜひ夜に咲く花を栽培して、花姿や香りなどを愛でてみてはいかがでしょうか。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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