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緑の葉が美しく食べられるツワブキ! 育て方や食べ方をご紹介

緑の葉が美しく食べられるツワブキ! 育て方や食べ方をご紹介

oasis2me/Shutterstock.com

一年中みずみずしい葉姿を保つツワブキは、斑入りなどの品種も多く、カラーリーフプランツとして重宝する植物です。昔から日本に自生してきただけに、環境に馴染みやすく丈夫に育つので、ビギナーにもおすすめ。この記事では、ツワブキの基本情報や育て方などについてご紹介していきます。

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ツワブキの主な特徴

ツワブキの花って、どんな姿をしているかイメージできますか? 昔から身近にある植物だけれど、ピンとこない方も多いかもしれませんね。ここでは、ツワブキの基本情報や特徴について詳しくご紹介していきます。

基本情報

ツワブキ
Future Hope/Shutterstock.com

ツワブキは、キク科ツワブキ属の多年草です。原産地は日本、朝鮮半島、中国。昔から日本でも野山に自生してきたので、暑さ寒さに強く、環境に馴染みやすくて大変育てやすい植物です。常緑性なので一年を通してみずみずしい葉色を保ち、冬も足元が寂しくならないので重宝します。草丈は20〜50cmで、秋に黄色い花を咲かせます。主に花や葉を観賞する植物ですが、食用にもなります。

花や葉の特徴

ツワブキ
Tracy Immordino/Shutterstock.com

ツワブキの開花期は10〜12月で、花色は黄色、オレンジ、白など。花茎を長く伸ばした先端に、マーガレットに似た花を多数咲かせます。同様に、葉柄を長く伸ばした先に丸くて艶やかな葉をつけます。この葉柄を若いうちに収穫して、食用にすることもできます。

また、葉に斑が入る品種が多く、カラーリーフとしても楽しめます。じつは江戸時代から続く古典園芸の世界では、盛んに品種改良が行われ、愛好家のコレクターズアイテムとして愛されてきました。それだけに、今も品種が多様で、選ぶ楽しみがある植物です。

名前の由来や花言葉

ツワブキ
Image Republic/Shutterstock.com

ツワブキの名前の由来は、葉がツヤツヤとしていることから。ツヤブキがなまってツワブキになったとされています。漢字で「石蕗」と書くのは、海岸近くの岩場などに自生し、フキに似た姿をしていることに由来するようです。ツワブキの花言葉は「謙遜」「困難に負けない」などがあります。

ツワブキとフキの違い

フキノトウ
フキノトウと呼ばれるフキの花は早春に咲く。Elena Rostunova/Shutterstock.com

ツワブキとフキは、同じキク科で見た目もよく似ています。見分けるためのポイントを3つ挙げましょう。

  1. 開花期が異なります。ツワブキは10〜12月に咲きますが、フキが咲くのは2〜3月です。
  2. ツワブキは、フキのようにフキノトウができません。花姿が全く異なるのが見分けるポイントです。
  3. ツワブキはフキよりも葉に厚みがあり、ツヤツヤとしています。また、ツワブキには葉柄と若い葉に産毛があるのが特徴です。

育て方のポイント

ここまで、ツワブキの基本情報や特徴、名前の由来、花言葉などについてご紹介してきました。では、ここからはガーデニングの実践編として、適した栽培環境や植え付け、水やりや施肥、気をつけたい病害虫、増やし方など、育て方について詳しく解説します。

栽培に適した場所

ツワブキの咲く庭
Honki Kumanyan/Shutterstock.com

ツワブキは、日なたから半日陰まで、場所を選ばずよく育ちます。ただし、あまりに暗い場所では、ヒョロヒョロと間のびした草姿になり、花つきも悪くなるので注意。斑が入る品種は、日当たりが悪いとはっきりとした斑が出なくなったり、真夏に強光線を浴びると葉焼けして見栄えが悪くなったりするので、朝のみ日が差す東側や落葉樹の足元など、チラチラと木漏れ日が差すような半日陰の場所が向いています。

ツワブキは土壌を選ばずよく育ち、暑さ寒さにも強いのが特徴です。関東以西の暖地では特に寒さ対策の必要はなく、戸外で越冬できます。

土づくり

土
bluedog studio/Shutterstock.com

【地植え】

植え付けの約2週間前に、腐葉土や堆肥、緩効性肥料少量を混ぜ込んでよく耕してください。水はけのよい環境を好むので、10〜20cmほど盛り土をして周囲よりも高くしておくとよいでしょう。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

草花用にブレンドされた、市販の培養土を利用すると手軽です。

植え付け・植え替え

ガーデニング
Vasyliuk/Shutterstock.com

ツワブキの植え付け・植え替えの適期は、4〜5月か、9〜10月です。ただし、ほかの時期にも苗は出回っているので、花苗店などで入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、軽く根鉢をほぐして植え付けます。最後にたっぷりと水を与えましょう。複数の苗を植える場合は、20〜40cmくらいの間隔を取ってください。

庭で育てている場合、環境に合えば植え替える必要はありません。ただし、植え付けから数年が経って株が込み合いすぎているようなら、掘り上げて株分けしてください。改めて植え直し、株の若返りをはかりましょう。

【鉢植え】

鉢で栽培する場合は、5〜7号の鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから草花用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗をポットから取り出して軽く根鉢をくずし、鉢の中に仮置きして高さを決めたら、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。

鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出してみて、根が詰まっていたら、根鉢をくずして古い根などを切り取りましょう。根鉢を1/2〜1/3くらいまで小さくして、元の鉢に新しい培養土を使って植え直します。

水やり

水やり
wavebreakmedia/Shutterstock.com

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。

真夏に水やりする場合、気温の高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってすると株が弱ってしまいます。朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。

また、真冬に水やりする場合は、気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。

【地植え】

根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつでもジメジメとした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまいます。土の表面がしっかり乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がってきたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。また、冬は土が乾燥しづらくなるので、与える頻度を控えめにしつつ、適宜水やりを続けてください。

肥料

肥料
New Africa/Shutterstock.com

【地植え】

強健な性質なので、植え付け時に元肥として緩効性肥料を施してあれば、追肥の必要はありません。株の生育に勢いがない場合は、液肥を与えて様子を見てください。

【鉢植え】

2月下旬〜3月中旬と6月、11月頃に緩効性化成肥料を少量、株の周囲にまきます。スコップなどで軽く耕し、土に馴染ませておきましょう。

注意すべき病害虫

農薬
Happy_Nati/Shutterstock.com

【病気】

ツワブキが発症しやすい病気は、うどんこ病、褐斑病などです。

うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢、つぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放任するとどんどん広がるので注意。対処せずにそのままにしておくと光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。症状が出たら病気の葉を摘み取って処分し、適用する殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。

褐斑病は、カビによる伝染性の病気です。主に葉に褐色またはくすんだ茶色の斑点が現れ、下葉から枯れ上がっていきます。雨が多い時期に発生しやすいのが特徴です。発症した葉を見つけたら、早々に切り取って処分し、周囲に蔓延するのを防ぎましょう。適用する薬剤を葉の表と裏に散布して、防除します。

【害虫】

ツワブキに発生しやすい害虫は、シンクイムシなどです。

シンクイムシは、キクスイカミキリの幼虫で、主に夏から秋に発生しやすくなります。葉柄に産み付けられた卵から幼虫が孵り、穴をあけて中に侵入して内部を食い荒らすので注意。被害が進むと根茎まで旺盛に食害し、株が著しく弱って葉が枯れ始めます。株に異変があれば、根元を探して幼虫を捕殺してください。食用にする予定がなければ、適用する薬剤を散布して防除しましょう。

増やし方

ツワブキの種
High Mountain/Shutterstock.com

ツワブキは、種まき、株分け、根伏せの方法で増やすことが可能です。それぞれの作業について、詳しく解説します。

種まき

種まきのメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなります。

ツワブキの種子は市販されていませんが、植え付けたツワブキが開花した後につけた種子を採取し、播いて増やすことができます。開花した後にタンポポのようなふわふわとした綿毛をつけるので、飛んでいく前に採取し、密閉できる保存袋に入れて冷暗所で保管しておきましょう。ツワブキの種まき適期は2〜3月です。

黒ポットに市販の草花用培養土を入れ、種を数粒ずつ播きます。ツワブキは好光性種子といって、発芽に太陽の光を必要とするので、土をかぶせる必要はありません。最後にたっぷりと水やりをしましょう。発芽までは風通しのよい半日陰に置き、乾燥しないように適度な水管理をしてください。発芽後は、日当たりがよく、風通しのよい場所で管理します。本葉が2〜3枚ついて込み合ってきたら、適宜間引いて生育のよい苗を残しましょう。本葉が3〜5枚ついてしっかりした苗に育ったら、植えたい場所に定植します。

※園芸品種の場合、親と同じ草姿になるとは限りません。

株分け

ツワブキの株分けの適期は、4月〜5月中旬か10月頃です。株を植え付けて数年が経ち、大きく育ったら株の老化が進むので、「株分け」をして若返りをはかります。株を掘り上げて4〜5芽ずつ付けて根を切り分け、再び植え直しましょう。それらの株が大きく成長し、株が増えていくというわけです。

根伏せ

根伏せの適期は、生育期の4〜10月頃です。

まず、黒ポットに市販の草花用培養土を入れて、十分に湿らせておきましょう。ツワブキを掘り上げた際に、比較的太い根を3〜4cmくらいにカットします。黒ポットにその根を平らに置き、2cmほど土をかぶせておきます。水切れしないように管理すると、根から芽が出して、新しい個体として生育し始めます。しばらく育苗し、ポットに十分に根が回った頃に、植えたい場所に植え付けます。根伏せのメリットは、親株とまったく同じクローンになることです。

ツワブキの品種

ツワブキ
Stanislav71/Shutterstock.com

ツワブキは、古典園芸の時代から愛されてきた植物だけに、さまざまな品種があります。

黄色い花が八重咲きになる八重咲きツワブキや、草丈が高く葉が大きいオオツワブキ、葉に蛍がとまっているような黄色い斑点のある蛍斑(ほたるふ)ツワブキ、葉に白い斑がランダムに入る浮雲錦、葉の縁に細かいウェーブが入る牡丹獅子などが有名です。

ツワブキを美味しく食べるには

ツワブキ
junrong/Shutterstock.com

ツワブキの若い葉柄を収穫して、食卓に並べてみてはいかがでしょうか。ここでは、ツワブキをおいしく食べる方法についてご紹介します。

食べる際の注意点

ツワブキは、主にまだアクが少ない地下茎から生えてきたばかりの若い葉柄を採取して、食用にします。まだアクが少ないとはいえ、下処理としてアク抜きは必要です。

  1. 根元を切り取って半分に切り、湯を沸かした鍋に30秒ほど入れます。
  2. すぐに水にさらし、水気を切った後に皮を剥き、食べやすい大きさに切ります。その後、さらに水にさらします。
  3. 再び湯を沸かし、適宜塩を入れてもう一度2分ほど茹でます。
  4. 最後に3時間ほど水にさらしたら、アク抜き終了です。

食べ方

ツワブキは、いろいろな食べ方を楽しめます。アク抜きしたツワブキを炒め煮にしてキンピラにしたり、衣をつけてさっくり揚げた天ぷらにしたり、煮物にしたり。独特の香りと食感を楽しんでください。

花も葉も楽しめ、食用になるツワブキを育ててみよう!

ツワブキの庭
High Mountain/Shutterstock.com

斑入りの品種が多く見つかるエバーグリーンとして、みずみずしいグリーンの葉姿を楽しめるうえに、秋から初冬にかけてはマーガレットに似た花を多数咲かせて華やかに彩るツワブキ。ぜひ庭に取り入れて、丸っこい葉姿を愛でてはいかがでしょうか。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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