葉色の美しさが魅力的なカレックス! 寄せ植えやグラウンドカバーで楽しもう
カレックスは細長く美しい葉が魅力的なカラーリーフプランツです。丈夫でまとまりもよく、オーナメンタルグラスとして地植えや寄せ植えでも効果的。また低い場所に広がってグラウンドカバーとしても大活躍してくれます。ここではそんなカレックスの特徴と育て方の基本について解説したいと思います。
目次
カレックスの特徴
カレックスは葉色やサイズもさまざま。種類によって乾燥地向きとそうでないものがあるので、それぞれの特徴を知ることが栽培する上で大切です。ここでは、そんなカレックスの特徴について解説します。
基本情報
カレックスはカヤツリグサ科スゲ属の植物で、多年生と一年性の種があります。自生環境も湿地を好むものから乾燥地を好むものまでさまざまで、草丈は20~120cmと幅があります。耐寒性はおおむね高く、耐暑性も問題ありません。日本にも約210種が自生し、世界中には2,000種類以上が分布しているという、大きなグループです。そのため園芸品種も非常に多くあります。
栽培難易度が低く、日陰でも育つので、ナチュラルガーデンや寄せ植えなど、園芸を始めたばかりの人でも使いやすい植物です。
花や葉の特徴
一見するとイネ科のような細い葉を放射状に広げ、冬でも常緑で綺麗な葉色を保つ種が多いです。そのため一年を通して葉の繊細なラインを楽しめるのが魅力。光沢のある葉は緑色や銅葉、斑入りのものなどがあります。異なる品種を組み合わせて、グラウンドカバープランツとして葉色の違いを楽しむのもおすすめです。花期は4~6月で、穂状の花を咲かせます。華やかさはありませんが、風に揺れる様は涼やかで可愛らしいものです。
アレンジ
カレックスはコンパクトにまとまり、ほかの植物とも合わせやすいため寄せ植えの素材や引き立て役として活躍します。また地植えの際、庭のコーナーに沿って数種をまとめて植え、グラウンドカバーとして使うこともできますし、ロックガーデンなどでオーナメンタル的に植えても様になります。和風、洋風、ナチュラルな雰囲気の庭など、どんなタイプの庭にも合わせることができるため、とても重宝します。
栽培環境
どんな庭にも合わせやすいカレックスですが、乾燥地に自生する種もあれば湿地に自生している種もあります。そのため、種類に応じた環境に植えてあげることが大切です。ここでは自生地に応じた栽培環境について解説します。
適した場所
カレックスのほとんどはあまり場所を選ばず、日当たりのよい場所から半日陰まで問題なく育てることができます。ただし、斑入り種は夏の強い日差しで葉が傷む場合があります。そのため地植えの際はやや日陰の場所に、鉢植えの場合はその時期だけ場所を移動するようにしましょう。反対に銅葉やオーレアと呼ばれる黄色みがかった葉色の種は、日差しが遮られると葉色もはっきりしないので、植える場所に注意しましょう。日本原産の種はやや湿り気のある土壌を好むようですが、地植えであれば極端に乾燥しない限りは問題なく育ちます。
用土
ほとんどの種類は、水はけと通気性のよい土壌が適しています。肥沃な土壌でよく育つので、地植えの際は、植える前に腐葉土を混ぜておくとよいでしょう。寄せ植えなど、鉢植えの場合は、赤玉土に腐葉土を7:3程度の割合で混ぜた土か、市販の草花用培養土で育てるのがおすすめです。
育て方の基本
丈夫で手間のかからないカレックスですが、基本を知ることで失敗なく栽培することができます。ここでは、育て方の基本について解説します。
水やり
地植えであれば、植え付け後すぐはしっかりと水やりを行い、活着後は基本的に雨水だけで問題なく育ちます。土の乾燥が進み、水不足になると、葉が先端から枯れてきます。地植え、鉢植えにかかわらず、その際はしっかりと水やりを行いましょう。特に夏場は注意が必要です。
肥料
基本的には肥料は必要としません。植え付け時に緩効性肥料を規定量混ぜ込んでおく程度でよいでしょう。小苗から早く大きくしたい場合や、葉の色艶がよくない場合は、2カ月に1回を目安に液体肥料を施したり、春に置き肥をしたりすると調子よく育ちます。
植え付け・植え替え
植え付けは、新芽の動き出す3月から4月上旬がおすすめです。園芸店では春になるとたくさんの品種が出回るので、苗の購入後すぐに植え付け、その後はたっぷりと水やりを行い定着させましょう。地植えの場合は、植え替えの必要はありません。大きくなりすぎた場合は株分けを行い、サイズを小さくすることができます。鉢植えの場合、成長とともに根の張りも強くなり、鉢の中で根が詰まってしまうと生育が悪くなるため、一回り大きな鉢に植え替えましょう。その際、古くなって黒くなった根を取り除き、整理しておくと、その後の育ちもよくなります。
剪定・切り戻し
大株になると古い葉が中心部に溜まって風通しが悪くなり、そのままだと枯れ始めます。そのため、冬に葉を株元から5cm程度の位置で全体的に刈り込み、古い葉を取り除いておきましょう。中心部まで光が届くようにしておくと、春になったときに新しい葉が綺麗に展開することができます。それ以外の時期でも、草丈を揃えたいときは適宜刈り込んでかまいません。
増やし方
カレックスは種まきと株分けで増やすことができます。一度に多くの苗が必要な場合は、種まきがおすすめです。種まきの適期は9〜10月上旬、もしくは3月下旬〜5月上旬。播種後2~3週間ほどで発芽します。ある程度の大きさになったら移植します。種子繁殖の場合、斑入り種は斑の出ていないものも発芽してくるため、不要なものは間引きましょう。また大株を株分けし、増やす方法もあります。特に斑入りなどの品種では、安定して同じ性質を持った苗が確保できるのでおすすめ。ハサミなどを使って株元を縦に割るように切り取ります。この時、切り取る株にも根がしっかりと付いているように注意しましょう。適期は3月~4月上旬です。
病害虫や冬越しの注意点
注意する病害虫は特にありません。葉の過密が原因で中心部が蒸れ、腐ることがあるので、葉の刈り込み作業をしっかりと行いましょう。耐寒性も高く、冬越しは厳寒地を除き特に対処することはありません。ただ鉢植えで、長期間土まで凍るような状態の時は、室内に取り込んだり、防寒用のカバーを巻いたり、寒冷紗で覆うなど凍結防止の対策が必要です。
斑入り品種で先祖返りが起こったときの対応
斑入りのカレックスを育てていると先祖返りを起こし、斑のなくなった葉が出てくるときがあります。そのような葉は斑入りの葉より性質が強いため、そのままにしていると斑なしの葉の勢いが強くなってしまいます。斑入りの葉を楽しみたければ、斑なしの葉が出てきた場合はすべて取り除くようにしましょう。
代表的な品種
前述のように、カレックスは世界に2,000種以上が分布し、園芸品種も数多くあります。ここでは、その中でも代表的な品種について解説します。
ジェネキー
Carex brunnea ‘Jenneke’
主な自生地は日本で、東南アジアやオーストラリアにも自生しています。草丈30cmほどでコンパクトにまとまり、葉は細く、立ち上がるようにして弧を描きます。密に茂り、一年を通して綺麗な中斑が入ります。暑さ寒さに強く、大きな株になるととても丈夫です。ただ成長がやや遅く、小苗の時期は土の乾燥と高温多湿にやや弱い面があるため注意しましょう。
オシメンシス
Carex oshimensis
日本原産のカレックスで、別名をオオシマカンスゲやベアグラスともいいます。中でも葉に斑の入った‘エバーゴールド’という園芸品種がよく流通しています。日本の気候にあった品種ですが、夏の用土の蒸れに弱いので、水はけのよい場所に植えましょう。
フロステッドカール
Carex comans ‘Frosted Carls’
ニュージーランド原産です。淡い緑色の葉は糸のように細く、弧を描くように伸び、葉先はカールします。暑さ寒さに強く丈夫で、姿が乱れてきたら強剪定をすると再び綺麗に育ちます。乾燥と多湿に弱い面があるので、小苗のうちは特に注意しましょう。
カレックスを植えて、美しい葉色や株姿を楽しもう
カレックスはとても丈夫で、メンテナンスも少ないため、園芸初心者でも扱いやすいリーフプランツです。葉色やサイズも豊富なことから、選んだり、組み合わせたりする幅も広く、初心者だけでなく上級者も多用しているオーナメンタルグラスといえるでしょう。さまざまな花と合わせて、自分だけの組み合わせを楽しんでみてはいかがでしょうか。
Credit
文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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