野趣溢れる姿が魅力的なペルシカリア! 丈夫で育てやすく初心者にもおすすめ
みなさん、ペルシカリアという植物をご存じですか? 秋のナチュラルガーデンでその真価を発揮してくれるタデ科の植物です。丈夫でよく増えることから、園芸初心者の方でも上手に活用することができるでしょう。ここでは、そんなペルシカリアについて詳しく解説していきます。
目次
ペルシカリアの主な特徴
まず、ペルシカリアの主な特徴について解説します。
基本情報
ペルシカリアはタデ科ペルシカリア属(イヌタデ属)の多年草、宿根草の総称です。原産地はヒマラヤ、ヨーロッパなど。道端でよく見られるイヌタデもこのペルシカリア属に含まれます。草丈は品種によって差があり、40~200cm。株幅は前後左右に大きく広がるため、60~100cmほどを想定しておくとよいでしょう。花色は赤い品種が多いですが、中には白やピンクの品種もあります。暑さ寒さに強く、日本の気候で問題ありません。冬期に地上部は枯れて、また春に芽吹きます。
ペルシカリア属の仲間
ペルシカリア属には日本でもなじみのある植物が多くあります。例えばよく目にするミズヒキやイタドリ、ヒメツルソバやイヌタデも、ペルシカリア属の植物です。中でもヒメツルソバはピンクや白色の細かな丸い葉を多数つけ、可愛らしく、栽培も簡単でよく増えることから、グラウンドカバープランツとして使われているのを見かけることも多いでしょう。イタドリは日本各地に分布する多年草で、草丈2mと大きく育ちます。茎が太く中には空洞があり、山菜や漢方薬として古来より食されてきました。春の新芽は爽やかな酸味があり、そのまま食べたり、和え物や佃煮などにしても美味しいです。またイヌタデは道端や至る所で見られる一年草で、茎の先に小さな可愛らしい赤色の花穂をつけます。タデ科には食べられる種類のものがありますが、イヌタデの「イヌ」には「偽の」や「食べられない」という意味合いがあります。
育て方の基本
丈夫なペルシカリアですが、環境によっては株が暴れたり、病気になってしまったりすることもあります。ここでは、ペルシカリアの育て方についての基本を解説します。
適した栽培環境
ペルシカリアは、日当たりのよい場所から半日陰の環境であれば問題なく育ちます。ただし、半日陰など日照量があまり少ないと茎が間のびし、葉姿がまとまりなく暴れやすいので、できれば日当たりのよい場所でコンパクトに育てたほうが扱いやすいでしょう。土壌もさほど気にすることはありませんが、水はけと水もちがよい場所を好みます。土壌の乾燥にはあまり強くなく、適度に湿り気のある所を好みます。大きくなる種類が多いので、鉢やプランター栽培よりも地植えにしてしっかりと育てるほうが本来の魅力を発揮できるでしょう。鉢などから植え替える場合、腐葉土とバーミキュライトを混ぜ込むと水はけもよくなり、より適した土壌にすることができます。
水やり・肥料
地植えの場合、しっかりと根付いていれば自然の降雨だけで問題ありません。乾燥には弱い面があるので、夏の降雨量が少ない場合にのみ水やりしてください。肥料の必要はほとんどありません。生育不良なときや、大きく育てたい場合は、緩効性肥料を成長期に与えてください。
植え付け・植え替え
植え付けは、春か秋の天気のよい時に行いましょう。植え替えは芽吹き始める3~4月と、地上部が枯れて休眠し始める秋が適期です。また株が大きく育ち、混み合ってきたときも株分けを兼ねて植え替えるとよいでしょう。
剪定・切り戻し・花がら摘み
ペルシカリアは成長とともに茎が伸び、剪定しないと草丈が高くなるので、倒れやすかったり、暴れやすかったりします。そのためコンパクトにまとまるよう剪定が必要です。秋に開花する種では、初夏に一度切り戻しをしておくと、株がまとまった状態で花を咲かせるためおすすめです。花が咲き終わったら、次の花芽の上で摘み取っておきましょう。また枯れ葉はその都度取り除いておくと株が蒸れず、健康に育ちます。
夏越し・冬越し
耐暑性、耐寒性ともに強く、日本の環境では基本的に心配することはありません。夏は水切れに注意し、また冬は地上部を枯らして越冬するため、植えてある場所に目印を付けておくとよいでしょう。霜よけなど、冬越しの対策は必要ありません。
病害虫
特に注意する病害虫はありません。葉が混んでいたり、風通しが悪い環境ではハダニが付くことがあります。放っておくと植物の成長を阻害し、進行すると枯らしてしまうため、見つけた場合は薬剤を散布して対処しましょう。少しでも残っているとすぐに増えるので、葉の裏表、両面に丁寧に散布しましょう。また時々葉裏にも水をかけてやると、ハダニ予防につながります。
増やし方
ペルシカリアは株分けで増やすことができます。適期は春と秋です。とても丈夫で、成長期であれば株分け時に多少傷ついてもすぐ回復し、根付くのも早いです。そのため、株分けの際に伸びすぎたり傷んだ根は取り除くとよいでしょう。株が大きくなり、掘り上げる必要が出てきたときも、株分けをするよい機会です。丁寧に掘り上げたら古い土を落とし、切り分けます。分けたら植えたい場所に植え付け、水をしっかりと与えましょう。
代表的な品種
ペルシカリアには多くの品種があります。ここでは、代表的な園芸品種について解説します。
シルバードラゴン
春の芽吹きとともに赤黒い葉を展開し、進むにつれ、中心部が銀葉に変化してきます。その外側はまるでV字模様のような緑の縁取りとなり、美しいです。夏から秋にかけて白く小さな花をまとまって咲かせます。また春から秋にかけては葉色の変化も楽しめるので、カラーリーフとしても魅力的です。茎は細く長く伸び、グラウンドカバーのように育ちます。
レッドドラゴン
‘シルバードラゴン’に似ていますが、葉の展開が進むにつれて、紫や赤、緑や銀色が混ざり合い、より多彩な葉色になります。‘シルバードラゴン’より茎はしっかりとしていて自立しやすい種です。白くまとまった小さな花を多数付けます。草丈は25cmから60cmほどになります。
ブラックフィールド
アンプレキシカウリスの花色の濃いものを選抜した品種です。鮮やかな赤色の花を多数付け、ゆらゆらと風に揺れる様は野趣もあり、とても綺麗です。国内での流通はまだ少なめです。
ポリモルファ
草丈、根張りともに2m程度になる大型の原種のペルシカリアです。まるで樹木のようになり、開花期には小さな白い花が集まってモコモコとした雲のようにも見えます。植栽の後方に植えるとよい雰囲気になるでしょう。流通はあまりありません。
ピンクエレファント
アンプレキシカウリスの改良品種です。夏にピンク色の踊るような花を多数付けます。ほかの種に比べて草丈は低く40cm程度。小さな庭や花壇前方にも植栽しやすい品種です。葉は明るいライムグリーンで、夏になると斑点が現れます。
さまざまなテイストの庭によくなじむペルシカリア
ペルシカリアは道端などで見かける種もあり、ともすると雑草の仲間とも思われがちですが、強健で可愛い花が咲くので、うまく活用すると庭の名脇役になることでしょう。使い方次第で和の庭にも洋の庭にもマッチするペルシカリア、ぜひ育ててみてはいかがでしょうか。
Credit
文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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