ストケシアは、初夏から秋にかけて可憐な花を咲かせる多年草です。生命力旺盛で、環境に合えば放任してもよく育ち、枯らしてしまう失敗が少ないのでビギナーさんにもおすすめ。この記事では、ストケシアの特徴や基本情報、花言葉、適した栽培環境、詳しい育て方など、幅広くご紹介していきます。
目次
ストケシアの主な特徴
ストケシアについてはあまり馴染みがなくて、どんな花なのかピンとこない、という方も多いかもしれませんね。まずは、基本情報や主な特徴、花言葉についてご紹介します。
基本情報
ストケシアは、キク科ストケシア属の草花です。原産地は北アメリカ南西部の南カリフォルニア、フロリダ、ルイジアナなどで、暑さや寒さに強い性質をもっています。和名は「ルリギク」で、大正時代に日本に持ち込まれました。草丈は40〜50cmで、根が広がりやすく、大株に育ちます。栽培は容易で、根付けば放任してもよく育つ丈夫な性質です。
花や葉の特徴
ストケシアの開花時期は6〜10月で、長い期間にわたって花茎を次々に上げ、開花を楽しませてくれます。花茎を伸ばした先端に、径6〜7cmの花が咲きます。花色は、青紫の濃淡、濃い赤紫、ピンク、白、黄など。ストケシアの葉は明るいグリーンで細長く、茎に対して互生につきます。
ストケシアの花言葉
ストケシアの花言葉には「清楚な娘」「清らかな乙女」「追憶」「追想」「たくましさ」などがあります。「清楚な娘」「清らかな乙女」は、エレガントな色や花姿からイメージされたのでしょう。「追憶」「追想」は、多年草で一度根づけば毎年同じ場所で開花することから。「たくましさ」は、手をかけずともよく育って増え広がる性質に由来するとされています。
栽培環境
ストケシアは、どのような環境を好むのでしょうか。まずはストケシアの性質を把握し、栽培に適した場所の選定や、健康に育つ土づくりから始めましょう。
適した場所
【地植え】
ストケシアを植え付ける際には、日当たり、風通しのよい場所を選びます。日陰では、ヒョロヒョロと茎葉が間のびして軟弱な株姿になり、花つきが悪くなるので注意してください。また多湿を嫌い、水はけのよい環境を好みます。水はけの悪い土壌であれば、腐葉土や堆肥を多めにすき込み、10〜20cmくらい土を盛って周囲よりも高くしておくとよいでしょう。
【鉢植え】
日当たり、風通しのよい場所に置いて管理します。
用土
【地植え】
植え付けの約2週間前に、腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで、よく耕してください。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。
【鉢植え】
市販の草花用培養土を利用すると手軽です。
育て方の基本
ここまで、ストケシアの基本情報や特徴、花言葉、適した栽培環境などについてご紹介してきました。では、ここからはガーデニングの実践編として、ストケシアの植え付けや、水やり、施肥、日頃の管理、増やし方など、育て方について詳しく解説していきます。
植え付け・植え替え
ストケシアの植え付け・植え替えの適期は、3〜4月か9〜10月です。ただし、ほかの時期にも苗は出回っているので、花苗店などで入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。
【地植え】
土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、根鉢を軽くくずして植え付けます。最後にたっぷりと水を与えましょう。複数の苗を植える場合は、30〜40cmの間隔を取っておきます。
地植えにしている場合は、数年は植えたままにしてもかまいません。しかし、大株に育って込み合ってきたら、掘り上げて株分けして植え直し、株の若返りをはかるとよいでしょう。
【鉢植え】
鉢で栽培する場合は、7〜8号の鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから草花用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗をポットから取り出し、鉢の中に仮置きして高さを決めたら、根鉢を軽くほぐし、少しずつ土を入れて、植え付けていきます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。大鉢にほかの植物と一緒に植え込んで、寄せ植えを作ってもOKです。
鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出して根鉢をくずし、新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢をくずす程度にして植え替えてください。
水やり
水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。
真夏に水やりする場合は、気温の高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。
また、真冬に水やりする場合は、気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。
【地植え】
根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。
【鉢植え】
日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、ストケシアは多湿を嫌うので、与えすぎに注意。土の表面がしっかり乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。一方で、水切れすると葉が枯れ込んでくるので、適切な水の管理を心がけてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がってきたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。また、冬でもカラカラに乾燥させることのないように、適宜水やりを続けてください。
肥料
【地植え・鉢植えともに】
植え付け時に元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。
その後は、春の芽出し前の3月頃と、開花し始める前の5月頃、開花が終わった9月頃に、緩効性肥料を株の周囲にばらまき、軽く耕して周囲の土に馴染ませます。
花がら摘み・剪定・切り戻し
【花がら摘み】
ストケシアの終わった花は早めに摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながりますよ! また、いつまでも花がらを残しておくと、種子をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。
【剪定】
梅雨の時期に茎葉が込み合っていると、蒸れて株が弱ることがあるので、込んでいる部分は、適宜間引く剪定をします。風通しよく管理すると、病害虫の発生を防ぐことにつながりますよ!
【切り戻し】
ストケシアは秋が深まると地上部を枯らして休眠するので、地際で刈り込んでおきましょう。枯れた茎葉をそのまま残しておくと病害虫の越冬地となってしまうので、株まわりをきれいにしておきます。
地植えは根切りが必要
ストケシアは非常に生命力旺盛な植物で、放任してもよく育つのが長所の一つですが、それが短所になってしまうこともあります。環境に馴染むと増えて広がりすぎ、ほかの植物との調和を乱し、あるいは他の植物を駆逐してしまうこともあるのです。主に根を伸ばして増えていくので、株が広がりすぎるのを抑えるためには「根切り」の作業が有効。ストケシアの株の周囲にスコップの刃を差し込み、地中の根を切ります。根を切っても、切れた先からまた芽を出して増え始めるので、切った先の根は掘り上げておくとよいでしょう。
増やし方
ストケシアは、種まき、根伏せ、株分けで増やすことができます。
【種まき】
ストケシアは、ビギナーでも種まきから簡単に育てられますよ! 種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くて多数の苗を植えたい場合は、コストカットにもなります。
種まきの適期は4月頃か10月頃で、発芽適温は15℃前後です。
3号くらいのポットに草花用にブレンドされた市販の培養土を入れて十分に水で湿らせた後、1穴当たり2〜3粒ずつ播き、種が隠れる程度に薄く覆土します。発芽までは乾燥・過湿にならないように適度な水管理をしてください。
発芽したら、日当たり、風通しのよい場所で管理します。本葉が出始めた頃に、勢いのいい苗を1本残し、ほかは間引いてください。葉が傷んでいるものや、ヒョロヒョロと間のびして弱々しいものを選んで間引きます。引き抜く際は、株元を押さえて、残す苗の根を傷めないようにしましょう。さらに育苗して根鉢が充実し、十分に育ったら植えたい場所に定植します。
【根伏せ】
ストケシアは、根伏せで増やすことができます。適期は生育期の4〜10月頃です。
黒ポットに市販の草花用培養土を入れて、十分に湿らせておきます。株を掘り上げた際に、比較的太い根を3〜4cmくらいにカットします。黒ポットに根を置き、2cmほど土をかぶせます。水切れしないように管理すると、根から芽を出し、新しい個体として生育し始めます。しばらく育苗し、ポットに十分に根が回った頃に、植えたい場所に植え付けます。根伏せのメリットは、親株と全く同じクローンになることです。
【株分け】
ストケシアの株分けの適期は3〜4月です。株を植え付けて数年が経ち、大きく育ったら株の老化が進むので、「株分け」をして若返りを図ります。株を掘り上げて数芽ずつ付けて根を切り分け、再び植え直しましょう。それらの株が再び大きく成長し、同じ姿の株が増えていくというわけです。
病害虫
【病気】
ストケシアはほとんど病気の心配はありませんが、まれに白絹病が発生することがあります。
白絹病はカビが原因の周囲に伝染しやすい病気です。根や茎に発生しやすく、発症初期は地際あたりに褐色の斑点が見つかります。病状が進むと株元の土に白いカビがはびこり、やがて株は枯れてしまうので注意が必要。病株を発見したら、周囲に蔓延させないためにただちに抜き取り、土ごと処分してください。土づくりの際に、水はけのよい環境に整えることが予防につながります。
【害虫】
ストケシアは、害虫が発生する心配はほとんどありません。
夏越し・冬越しの注意点
【夏越し】
日本の夏は年々暑くなっている傾向にあり、植物にとっても厳しい状況になりつつあるといえます。直射日光を長時間浴びて、しおれるような兆しがあれば、株の上方に遮光ネットを張るのも一案です。鉢栽培の場合、日当たりのよいコンクリートに囲まれた空間などではかなり気温も上がるので、半日陰で風通しのよい場所に移動するとよいでしょう。
【冬越し】
ストケシアは寒さには強いので、関東以西の暖地では特に防寒対策の必要はありません。冬も戸外で越冬できます。寒冷地では、休眠している株の上に腐葉土やバークチップなどをかぶせてマルチングしておくとよいでしょう。鉢植えの場合、冬は休眠しているので水やりは控えめにしてください。
ストケシアの園芸品種
ストケシアは、品種改良によって生まれた園芸品種も出回っています。‘江戸紫’は代表的な品種で、やや濃い紫色の花が魅力。‘オメガ スカイロケット’は従来の品種よりも花茎が長く伸びてよく分枝し、たくさんの青紫の花を咲かせます。草丈もやや高く、60〜90cmになるのが特徴です。‘ホワイトスター’は、清楚な白花で、花心にやや淡いピンクがのります。
涼し気な青紫や美しい紫の花を咲かせるストケシアでガーデンを彩ろう
ストケシアは、暑さや寒さに強く、多湿にさえ注意すれば手間をかけずともすくすくと育つ丈夫な草花という魅力が伝わったでしょうか。次々と開花して庭に華やぎをもたらしてくれるうえ、花もちもいいので、インテリアに飾って楽しむのもおすすめ。病害虫の心配はほとんどないので、ぜひ庭やベランダで育ててみてはいかがでしょうか?
Credit
文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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