夏から秋の庭を、鮮やかに彩る草花のガイラルディア。開花期が長く強健で、管理の手間がほとんどかからないので、ビギナーさんにもおすすめ。この記事では、ガイラルディアの基本情報や育て方について詳しくご紹介します。
目次
ガイラルディアってどんな花? 花言葉もご紹介
ガイラルディアは、キク科テンニンギク属の草花です。原産地は南北アメリカで、約20種が確認されています。暑さ寒さに強く強健で、育てやすい草花の一つです。草丈は30〜90cm。種類によって幅があるので、苗を購入する際は最終的にどれくらいの大きさに育つのか、ラベルを確認しておくとよいでしょう。
ガイラルディアの開花期は、6〜10月です。花色はオレンジ、黄、赤など。夏に咲く植物らしい、ビビッドな花色が魅力です。花言葉は、「協力」「団結」「天真爛漫」「きらびやか」など。
品種も豊富! ガイラルディアには一年草と多年草がある
ガイラルディアは種類が多く、種まきから1年以内に枯死する一年草、一度植え付ければ越年して毎年開花する多年草の両方があります。日本では、主に多年草のガイラルディア・アリスタータ(和名オオテンニンギク)、一年草のガイラルディア・プルケア(和名テンニンギク)が流通。園芸品種もさまざまに揃い、草丈が低くコンパクトにまとまる「アリゾナ」シリーズは、寄せ植えなどにも利用しやすく人気があります。
ガイラルディアは初心者にやさしい! 育て方をご紹介
ここまで、ガイラルディアの基本情報や品種などについてご紹介してきました。では、ここからはガーデニングの実践編として、育て方について詳しく解説します。
ガイラルディアの好む土を使おう
【地植え】
植え付けの約2週間前に、腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで、よく耕しておきます。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。
【鉢植え】
市販の草花用培養土を利用すると手軽です。
ガイラルディアに適した場所とは?
【地植え】
日当たり、風通しのよい場所を好みます。あまり日陰では花つきが悪くなり、株もひょろひょろと徒長気味に伸びて、軟弱な株になるので注意しましょう。暑さ寒さには強いので、多年草の場合は植えっぱなしにしてかまいません。
【鉢植え】
基本的に、日当たり、風通しのよい場所に置いて管理します。暑さにも寒さにも強いので、一年を通して戸外に置いてかまいません。
ガイラルディアの植え付けのポイント
ガイラルディアの植え付けの適期は、4〜5月か10月頃です。ただし、ほかの時期にも苗は出回っているので、花苗店などで入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。
【地植え】
土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、根鉢を軽く崩して植え付けます。最後にたっぷりと水を与えます。複数の苗を植える場合は、30〜50cmの間隔を取っておきましょう。
【鉢植え】
鉢で栽培する場合は、7〜10号の鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから草花用の培養土を半分くらいまで入れましょう。ポットから取り出した苗を鉢の中に仮置きして高さを決めます。根を軽くほぐし、少しずつ土を入れて、植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。大鉢に、寄せ植えの素材の一つとして他の植物と一緒に植え付けてもOKです。
水のやりすぎに注意! やや乾き気味にする
水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。
真夏に水やりする場合は、気温の高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。
また、真冬に水やりする場合は、気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。
【地植え】
根付いた後は、地植えの場合は地中から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。
【鉢植え】
日頃の水やりを忘れずに管理します。ガイラルディアは乾燥に強く、多湿に弱いので、与えすぎに注意。土の表面がしっかり乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。また、多年草のガイラルディアは冬でもカラカラに乾燥させることのないように、適宜水やりを続けてください。
ガイラルディアの日ごろのお手入れは?
【花がら摘み】
ガイラルディアの終わった花は早めに摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながりますよ! また、いつまでも花がらを残しておくと、種子をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。
【切り戻し】
ひと通り開花が終わり、株姿が乱れてきたら、切り戻します。地際から草丈の半分くらいの高さを目安に、深めにカット。込み合っている部分があれば、数本を根元から切り取って蒸れ対策をしておきましょう。
【支柱の設置】
草丈が高くなる品種を育てる場合は、早めに園芸用支柱を立てておき、丈が伸びてきたら誘引して倒伏を防ぎましょう。
控えめがポイント! 肥料の施し方
【地植え・鉢植えともに】
植え付け時に、元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。
あまり肥料を与えすぎると軟弱になるので、株の様子を見て施します。肥料を与えるのに適したタイミングは3月頃と9月頃ですが、元気に育っていれば必要ありません。株の状態を見て株に勢いがないようであれば、緩効性肥料を株の周囲にばらまき、軽く耕して土に馴染ませます。
ガイラルディアの病気・つきやすい害虫は?
【病気】
ガイラルディアに発生しやすい病気は、灰色かび病、黒斑病です。
灰色かび病は花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほど、かつ多湿の環境下にて発生しやすい病気です。ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれています。風通しが悪く込み合いすぎていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合っている場合は、間引いて風通しよく管理しましょう。
黒斑病は、春や秋の長雨の頃に発生しやすくなります。カビが原因で発生する伝染性の病気で、葉に発生しやすく、最初は黒または褐色の小さな斑点が現れます。病斑は3〜15mmで、下葉からだんだん上の葉へと広がっていきます。進行すると葉が縮れて黄色または褐色になり、やがて枯死します。株同士の間が狭い場合や、茎葉が茂りすぎて鬱蒼とした状態などで発病しやすくなるので、適宜葉を間引いて風通しよく管理してください。発病した葉はただちに切り取って処分し、適用する薬剤を散布して様子を見ます。
【害虫】
ガイラルディアに発生しやすい害虫は、アブラムシです。
アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、シャワーではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。
ガイラルディアの植え替え方法
多年草のガイラルディアの植え替えに適したタイミングは、4〜5月か10月頃です。
【地植え】
地植えの場合は、数年は植えたままにしてもかまいません。しかし、大株に育って込み合ってきたら、掘り上げて株分けして植え直し、株の若返りを図るとよいでしょう。
【鉢植え】
鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出して根鉢をくずし、新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢をくずす程度にして植え替えてください。
ガイラルディア 多年草タイプの冬越し方法
【地植え・鉢植えともに】
ガイラルディアは寒さに強いので、そのまま戸外で越冬できます。秋が深まると地上部を枯らして休眠するので、地際で刈り込んでおきましょう。枯れた茎葉をそのまま残しておくと病害虫の越冬地となってしまうので、株まわりをきれいにしておきます。休眠中、地植えの場合は特に水やりは不要ですが、鉢栽培の場合はカラカラに乾燥させることのないように、控えめに水やりを続けてください。
ガイラルディアの増やし方は3通り
【種まき】
一年草のガイラルディアは、ビギナーでも種まきから簡単に育てられますよ! 種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くて多数の苗を植えたい場合は、コストカットにもなります。
種まきの適期は4〜5月か10月頃で、発芽適温は15〜20℃前後です。
種まき用のセルトレイに草花用にブレンドされた市販の培養土を入れて十分に水で湿らせた後、1穴当たり1粒ずつ播き、種子が隠れる程度に薄く覆土します。水やりは浅く張った容器にセルトレイを置いて、底から吸水させるとよいでしょう。
発芽までは乾燥・過湿を避け、適度な水管理をしてください。発芽後は日当たりがよく、風通しのよい場所で管理します。本葉が2〜3枚ついたら根鉢を傷めないようにトレイから取り出し、3号の黒ポットに鉢上げします。さらに育苗して根鉢が充実し、十分に育ったら植えたい場所に定植します。
【株分け】
多年草のガイラルディアは、株分けして増やすことができます。株分けの適期は3〜4月か9月頃です。株を植え付けて数年が経ち、大きく育ったら株の老化が進むので、「株分け」をして若返りをはかります。株を掘り上げて数芽ずつ付けて根を切り分け、再び植え直しましょう。それらの株が再び大きく成長し、同じ姿の株が増えていくというわけです。
【挿し芽】
多年草のガイラルディアは、挿し芽で増やすことができます。挿し芽とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと、発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し芽ができないものもありますが、ガイラルディアは挿し芽で増やせます。
挿し芽の適期は、生育期ならいつでも可能です。新しく伸びた茎を2節以上つけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した茎(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を2〜3枚切り取ります。黒ポットを用意して新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。発根後は日当たり、風通しのよい場所に移動し、十分に育ったら植えたい場所へ定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。
たくましくて初心者向き! 長く咲くガイラルディアを楽しもう
ガイラルディアは暑さ寒さに強く、環境に合えば管理の手間をかけずとも健やかに育ってくれる草花です。開花期間が長く、暑い夏も元気にカラフルな花を咲かせてくれるのもいいですね。品種も豊富なので、ぜひ好みのガイラルディアを見つけて、育ててみてはいかがでしょうか。
Credit
文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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