トップへ戻る

【癒やし系サボテン】翠冠玉に兜丸、トゲのかわりにふわふわ綿毛で癒される!育て方も教えます|多肉植物狂い vol.03

【癒やし系サボテン】翠冠玉に兜丸、トゲのかわりにふわふわ綿毛で癒される!育て方も教えます|多肉植物狂い vol.03

サボテンにとって切っても切れないもの、トゲ。サボテンの代名詞でもある、そのトゲがないサボテンをご存じですか? トゲのないサボテンなら触っても痛くない! そして可愛い! 今回の多肉狂いは、トゲのないサボテンをご紹介します。

Print Friendly, PDF & Email

トゲのないサボテン!?

皆さんは「サボテン」と聞いて、どんなものを連想しますか? おそらく多くの人が、鋭いトゲをビッシリと全身にまとい砂漠に佇む姿を思い浮かべるでしょう。しかし、なぜあんなに尖ったものがたくさん生えているのでしょう? 不思議ですよね。

とげとげー

そんなトゲが嫌で、サボテンを買わない人がいるのも確か。もしあなたがそれでサボテン栽培をあきらめているのなら、それはもったいないこと。サボテンの種類は世界になんと2,000以上もあるといわれ、その中にはトゲがまったくないサボテンもたくさんあるんです。それどころか、トゲの代わりに◯が生えているものもあるんです! 今回の多肉狂いは、トゲのない、ちょっと変わったサボテンをご紹介します。

マル秘

サボテンにはなぜトゲがあるのか

そもそもサボテンにはなぜトゲが生えているのか、そのトゲの役割がなんなのかについてご説明します。

サボテンのトゲは、もともとは葉っぱだった!?

サボテンの自生地といえば、主に南米や北米の乾燥した砂漠地帯が有名です。しかしサボテンの”祖先”となると、これが意外にも南米のジャングルなどの鬱蒼とした森林の中に自生していたことが分かっています。しかも今の形とはかけ離れた、普通の木のような形をしていたのです。中には、ツルのようにほかの木の幹を這うように生育していたものもありました。そんなサボテンの祖先がなぜ、今のようなまん丸や柱のような姿になったのか・・・。それは、遥か昔の新大陸(南北アメリカ大陸)で起きた、サボテンを取り巻く自然環境の変化が原因なのです。

その頃の新大陸では、気候の変動や、なんらかの外的な影響を受け、森林が減少してしまいました。降水量も激減したことから大地は乾燥し、たまに降った雨も強い陽射しがあっという間に蒸発させてしまいます。そこでサボテンたちは、根が吸い上げた貴重な水分を放出する「葉の蒸散作用」を不要なものと考え、葉をトゲ状に進化させました。

杢キリン

しかし葉は植物が光合成を行うための重要なパーツであるため、サボテンたちは思いきってその機能を茎に移し、葉のトゲ化に合わせて茎を肥大化させていきました。肥大化した茎は、貴重な水分を溜めるためのタンクなので、蒸散を防ぐために肉厚にもなりました。加えてトゲは、そんな茎が動物たちに食べられないように防御する役割も担ってくれています。トゲも茎も、まさに変わりゆく地球環境を生き抜くために、なるべくして進化を遂げたわけです。

じつは、そんなサボテンの進化の過程を、サボテン科ペレスキア属の杢キリン(モクキリン)という植物の中に見ることができます。杢キリンはサボテンの原種といわれていて、葉とトゲが混在するとても面白い姿をしています。

杢キリン
これがサボテンの原種、杢キリン。トゲがなければサボテンに縁のある植物とはまず思わない。

トゲのないサボテンはなぜトゲがないのか

トゲへの進化を選ばず、綿毛に変える道を歩む

サボテンの中には、鳥や獣、風などにより種子が運ばれたのか、比較的標高が高い場所を新たな自生地として選んだものたちがいます。他のサボテンの仲間同様に、水分確保のために茎は肥大化させましたが、彼らは葉をトゲにすることを選ばず、しなやかな綿毛状に進化させました。なぜなら、そこは標高が高いために朝晩の気温差が大きく、夜はかなり冷え込みます。しかし彼らが手に入れた綿毛には保温効果があり、寒さを凌ぐことができるのです。人間がダウンベストを着るのと同じですね。

ロフォフォラ

また、綿毛状にすることにより、朝晩の気温差により発生する水蒸気などを毛に吸着させ、効率よく水分を捕集することもできるようになりました。中には、全身を綿毛でぐるりと覆い尽くすようになった仲間もいて、その仲間は高地ゆえの強烈な紫外線から全身を守る術を手に入れました。

翁丸
全身をぐるりと綿毛で覆い尽くすサボテン、翁丸。

このように、子孫繁栄のために葉を綿毛へと進化させたトゲなしサボテンですが、じつはもう一つ、大切な役割があります。それは、私たちがそのふさふさを触ったとき、きもちい〜! と思わせること(笑)。

トゲのないサボテンに花は咲くのか

どんなサボテンも、基本的には花が咲きます。ただし、年齢、栽培環境、個体の持つスタミナなど、いくつかの条件が揃わなければなりません。トゲのあるサボテンは、トゲの間を縫うようにつぼみが姿を現し、そして花を咲かせます。その様子は、武骨さと可憐さが同居し、とても魅力的です。それに対して、トゲのないサボテンは、トゲのない分、花の美しさがより一層際立ちます。

振武玉
武骨さの中に可憐さの漂う、エキノフォスロカクタス属、振武玉(しんむぎょく)の花。
瑠璃兜の花
まるで派手な花火が打ち上がったかのような美しい花を咲かすアストロフィツム属、瑠璃兜。

花は、午前中の明るい時間に開き、夜は閉じます。それを2〜3回繰り返したら、しおれていきます。決して長くはない開花期間が、人をどこか情緒的にさせます。

トゲのないサボテンのおすすめ4選

トゲがないとサボテンじゃない? そんなことはありません。お饅頭みたいな姿は、眺めているだけでキュンキュンします。ずーっと眺めていると、「なんでこんなもんが生えてるんだろう?」「なんでこんな模様がついているんだろう?」と、つくづく見入ってしまいます。ここでは、そんな素晴らしきトゲのないサボテンのおすすめ4種類をご紹介します。

デフューサ(翠冠玉)

デフューサ1
デフューサ2

ぽてっとした姿に、赤ちゃんの頭みたいな綿毛を生やしたデフューサ。ロフォフォラ属(和名ではウバタマサボテン属)という種類に属していて、翠冠玉(すいかんぎょく)という和名もついています。ロフォフォラ属のサボテンは米国南西部にも自生していますが、デフューサの原産地はメキシコ中部のケレタロ州で、この地域の固有種です。

前出の動画にもあるように、ふさふさの綿毛はずっと触っていたくなるほど気持ちよく、また、ボディーを触るとまるで大福餅みたいで、思わず食べてしまいたくなるようなサボテンです。

そんな可愛いデフューサですが、属するロフォフォラサボテンの果肉には、幻覚作用のあるメスカリンという成分が含まれていて、北米先住民たちは古来よりそれを儀式などに用いているのです。なんかイメージがガラっと変わっちゃいますね。でも、日本で種から栽培された実生株にはそういう成分はほとんど含まれていないので安心してください。

ちなみに、ロフォフォラ属のサボテンは、子株がポコポコ出てくるので、そんなところも楽しいですよ! 値段も手頃で、写真のデフューサはSサイズのみかん程度の大きさで2,000円でした。

兜丸

兜1
兜2

ギリシャ語の星を意味する「アストロン」と、植物を意味する「フィートン」をミックスした造語「アストロフィツム」と名付けられたサボテンの分類があります。日本では大変古くから親しまれていて、その見た目から「有星類(ゆうせいるい)」とも呼ばれています。

中でもこの兜丸(かぶとまる・兜とも呼ばれている)は、8つの稜(りょう:サボテンのヒダ)から生えた大小の綿毛がまるで夜空を飾る星々のようで大人気の品種です。この模様、可愛いですよね! ついつい見入ってしまいます。

でもそんな見た目に反して、兜丸という名前は、戦国時代に武士がかぶる兜の、頭頂部を保護するパーツ「兜鉢」に由来しているんです。英語圏ではSea-urchin Cactus(ウニサボテン)と呼ばれていて、国や人種によって命名センスが違うのもおもしろいですね。

原産地はメキシコ北東部から米テキサス州にかけてですが、昔から多くの日本人サボテン栽培家たちが兜丸の品種改良に挑んできたため、‘スーパー兜’や’ミラクル兜’、また作出した人の名を冠した‘村主兜’など、日本独自の種類が世界中のサボテンマニアの間で珍重されています。

ちなみに、私の持つ兜丸(写真上)は、形も模様もベーシックなタイプなので、2,600円と手頃な価格のものです。でも十分可愛いでしょ? 綿毛の触り心地もポツポツしていて、いい感じですよ。

スーパー兜
兜丸の上級品種、スーパー兜。1970年代にメキシコから輸入された山木(現地自生株)からのクローン繁殖品種だ。

作出者名を冠したもので有名なのは、村主康瑞さんの作出した‘村主兜’。この5月にイベント「天下一植物界」会場にいた村主康瑞さんに突撃インタビューを行ってきました。日本のサボテン栽培の裏話も聞けるので、ぜひチェックしてみてください!

【天下一植物界Vol.2】美株サボテンと話題のコーデックスが奇跡の競演!

瑠璃兜

瑠璃兜

兜丸から小さい星が消え、稜線の間に大きめの星だけが規則正しく並ぶ、いわば兜丸のシンプルバージョンの瑠璃兜。サボテンというより、名前の美しさと相まって、どこか工芸作品みたいな佇まいです。兜丸だと名前からして武骨な感じですが(見た目はそうじゃないですけどね)、“瑠璃”がついただけでエレガントなサボテンに見えてしまいます。

写真は私の手持ちの瑠璃兜ですが、一年に2〜3回、中心がオレンジ色で、外に向かってだんだんと金色になっていく、とても綺麗な花を咲かせます。初めてこの花を見た時は、その美しさに思わず息を呑みました。兜丸も同様の花を咲かせるので※、星が賑やかな兜丸、もしくは、星がシンプルなこの瑠璃兜、どちらかで、この美しい花の開花にチャレンジしてみませんか?

※兜系にはピンクや薄紫の花を咲かせる種類もあります。

福禄寿

福禄寿

何ともおめでたい名前です。その名も、ロホセレウス属、福禄寿(ふくろくじゅ)。毛もなにもない緑色の肌はスベスベで、ずっと触っていたくなるサボテンです。アリゾナ南部とメキシコ北西部が原産で、特にメキシコ西部のバハカリフォルニアに多く自生しています。和名の福禄寿は、御利益をもたらす七福神の中の一人、福禄寿から来ています。古い絵画ですが、この福禄寿をご覧ください。まさにサボテンの福禄寿の頭と一緒でしょ?

Fukurokuju
橘守国という江戸中期の歌人の描いた福禄寿の絵。確かに頭の部分がサボテンの福禄寿そのもの・・・。

きっと初めてこのサボテンを見た人が、あやりたくそう名付けたのかも知れませんね。

ちなみに、福禄寿という名には、子宝、財産、健康長寿という三徳が込められているので、家に置いたら何とも縁起がよくなりそうですね!

しかしこのサボテン、残念ながら、なかなか流通していないのです。何軒かの多肉専門店に問い合わせてみましたが、入荷するのは非常に稀とのこと。入手するには、メルカリをこまめにチェックするなど、ネットで地道に検索して探すのが一番の近道だと思います。まさにゲットできたら来福! といった感じですね。

お値段は写真の小さめ(12cmくらい)のものが3,000円程度といったところでしょうか。やはり確実なのはメルカリなのかな・・・。この記事を執筆しながら見てみましたが、SOLD OUTだらけの中、2つだけ、まだ販売中の福禄寿を確認できました。欲しい人は、見つけたら即買いがいいと思いますよ。

トゲのないサボテンの育て方・コツは根

用土

購入したものを植え替える場合は、水はけのよい土を使ってください。園芸店やAmazonなどのネットで販売している「多肉専用土」でOKですが、多肉を専門に扱う大型店などに行くと、独自にブレンドした土を「多肉用」や「サボテン用」として販売しているところもあり、おすすめです。

多肉用土
園芸店が独自にブレンドした「サボテン・多肉用土」。

水やり

春から秋にかけてが成長期です。成長期は、2週間に1度、土の中ができるだけ蒸れないように、気温が下がる夕方に、鉢底穴から水が勢いよく流れ出るくらいたっぷりと与えてください。冬の休眠期は、月に1度、同様に夕刻にたっぷりと与えてください。水が鉢にたまった老廃物を押し流し、根をとりまく土の中をリフレッシュさせ、根の生長を促進することができます。

「デフューサ」や「兜」など、綿毛のあるタイプのサボテンは、水やりの際に綿毛にかからないようにしてください。映像のように、株の周りに円を描くように水をあげれば、綿毛を濡らさずに済みます。綿毛は頻繁に濡らすと固くなってしまい、一度固くなった綿毛は再びフサフサには戻らないため、フサフサの感触をキープしたい場合は、注意しながら水やりを行ってください。映像でも紹介していますが、ペットボトルにつけて使用する「じょうろアタッチメント」が100円ショップなどで売っており、これを使うと綿毛を濡らすリスクもなく水やりができて、とても便利です。

肥料

サボテンは他の植物に比べ、肥料をあまり必要としないため、成長期は月に1回程度、『ハイポネックス』などの液体肥料を少量、水で薄めて与えればOKです。使用量は、液体肥料のボトル側面に記載してあります。『ハイポネックス』の場合、2Lのペットボトル満量の水に対し、0.5mLで大丈夫です。逆に入れすぎて多肥状態にすると、サボテンは根が繊細なため、肥料焼けという症状を起こしてしまい、枯れる原因にもなります。

園芸用シリンジ
液体肥料『ハイポネックス』。ホームセンターの園芸コーナーで購入したシリンジ(注射器)が計量に便利。

日照と温度管理

トゲのないサボテンは、陽射しをたっぷりと当て、高めの温度で管理すると、ふくよかで瑞々しい個体(通称わがままボディ)へと成長します。しかし、直射日光は苦手。ほんの一瞬なら大丈夫ですが、長時間直射日光に当たっていると、せっかくの美しい肌を焼いてしまうため、7〜9月は遮光ネットの使用をおすすめします。園芸用の遮光ネットがない場合は、鉢底ネットや、100円ショップで売っている洗濯ネットでも代用できます。

鉢底ネット遮光
鉢底ネットを100円ショップで売っているワイヤーに引っかけ、土に刺して帆のようにするだけで、立派な遮光ネットになる。

冬場の温度管理は、5℃を下回らないように注意してください。5℃ギリギリまで寒い外に置いておくと、翌春、デフューサは白い花を、兜はオレンジと薄黄色のグラデーションが綺麗な花を咲かせます。ただし、個体の状況によります。サボテンは、成長期の暑さと、冬の寒さをちゃんと与えてあげることで健康に育ち、美しい花を咲かせます。

兜と温度計

サボテンは風にちゃんと当ててあげないと、健康に成長してくれません。風通しが悪い状態で水やりをしていると、土から水分がなかなか蒸発せずに、根が蒸れて、根腐れの原因にもなってしまいます。夏場はそのリスクが高まります。また、無風状態はサボテンの美しい表皮にカイガラムシが付着する原因にもなります。カイガラムシは、一度ついちゃうと取るのに苦労するので厄介なんです。

サボテンにとって一番よいのは、外で遮光しつつ、めいっぱい風を感じさせながら育てることです。住環境でそれが無理な場合は、サーキュレーター(送風機)で部屋の空気を循環させるなど、少しでも自然環境に近い状況を作ってあげると、サボテンは喜びますよ。

サーキュレーター

おわりに

いかがです? トゲのないサボテン、欲しくなりましたか? ここでご紹介した「デフューサ」も「兜」も、実際に現物を見ると、とても可愛いんです! お部屋にお迎えすると、雰囲気がとても和みますよ。 疲れて帰った時などは、ふと目をやると、「おかえり! お疲れ様!」って言ってくれているようなんです(笑)。トゲトゲなサボテンだと、これが「元気出せよ! 明日も尖っていこうぜ!」という声が聞こえてくるのですが、とげのないサボテンは、あのまん丸が優しく包みこんでくれて、叶うなら小さくなってあの中で眠りたいと思ってしまいます。

育てる楽しみだけでなく、一緒にいるだけでちょっと優しい気持ちになれるトゲのないサボテンを、ぜひ育ててみませんか?

Credit

Profilepix

文/編集部員K
フリーランスのロックフォトグラファーを経て2022年4月にガーデンストーリー編集部に参加。サボテンに魅せられて以来5年、これぞ天職! と、精力的に取材、執筆を行う。好きなサボテンはゲオヒントニア・メキシカーナとサワロ(弁慶柱)

写真/JOHN CHEESEBURGER & 編集部
スーパー兜/finchfocus_shutterstock.com
福禄寿/wikipedia.org

Print Friendly, PDF & Email

連載・特集

GardenStoryを
フォローする

ビギナーさん向け!基本のHOW TO