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- 夜に香る花には理由があった! いい香りを楽しめるおすすめの花13選
植物の中には、夜に花を咲かせて香りを強く漂わせるものがあります。それにしても、なぜそんな性質を身につけたのでしょうか? この記事では、夜に開花して香りを放つ理由を探るとともに、その中からおすすめの植物をリストアップしてご紹介します。
目次
夜に花の香りが強くなるのはなぜ?
夜に花を咲かせて、香りを強く漂わせる植物は、熱帯地域に自生する植物がほとんど。これは、植物の生き残り戦略の一つとして発達したものです。熱帯地域は、昼は暑すぎて生命の危険があるために昆虫が外に出ることは少なく、気温が下がった夜になると活発に活動し始めます。花は、そんな昆虫を呼んで受精を確実にするために、夜に開花するように進化したのです。サイズが大きく白い花が多いのは、ほの暗い月光の下でも目立ちやすくするため。さらに香りを強く漂わせることで、虫をおびき寄せるというわけです。したがって、夜に香りを漂わせる植物のほとんどが、夏に開花します。
夜に香る花13選
夜に花を咲かせて香りを濃く漂わせる植物、13種類をピックアップしました。寒さに弱いものがほとんどですが、適した温度管理をすれば、日本でも栽培することができます。
マツリカ
モクセイ科ソケイ属のつる植物です。開花期は7〜9月で、花径2cmくらいの肉厚な白い花が咲きます。夕方から咲き始め、翌朝にはややピンク色を帯び、やがてしぼんでしまう一日花です。一重咲きと八重咲きとがあります。ジャスミンの一種でもあり、強い香りを放つのが特徴です。香料用として栽培され、またジャスミンティーの材料にもなっています。
原産地は熱帯アジアなので暑さには強く、寒さに弱い性質を持っています。冬でも10℃以上は必要なので、鉢栽培を基本とし、季節に応じて適地へ移動しながら管理するとよいでしょう。つるを伸ばして生育し、自然界では150〜300cmくらいにまで達します。鉢植えでは剪定や切り戻しによって樹勢をコントロールし、手に負える範囲で栽培するのがおすすめ。オベリスクやあんどん仕立てに使う支柱などを設置し、つるを誘引しながら管理しましょう。常緑の植物で冬もみずみずしいグリーンを楽しめますが、寒さによって地上部を枯らすことがあります。たとえ地上部が枯れても地下の根は生きていることがあるので、翌春に生育し始めるのを待ってみてください。
ヨルガオ
ヒルガオ科ヨルガオ属の多年草です。日本では寒さに耐えられずに越年できないので、一年草として扱われています。開花期は8〜9月。夕方からアサガオに似た、10〜12cmの大きな白い花が咲き、甘い香りを漂わせます。翌朝にはしぼんでしまう一日花ですが、開花期間中は次々に咲いて長く楽しめます。ユウガオという名前で流通していることもあります。
原産地は南アメリカのつる性植物です。つるを4〜6m伸ばすので、支柱やネットを設置し、誘引して仕立てます。つるが硬いので、多少強引に誘引してもかまいません。暑さ対策として南側の窓前にネットを張って広く誘引すれば、グリーンカーテンとしての利用も可能。日当たりのよい場所を好むこと以外は、放任でもよく育つ丈夫な性質で、ビギナー向きです。
イエライシャン
ガガイモ科テロスマ属の多年生つる植物です。開花期は6〜9月で、花径2cmくらいの星形の花が咲きます。花色は咲き始めの黄緑からオレンジへと変わり、咲き進むと上品な甘い香りを放ちます。夜になるとより強く香りますが、真夜中になると甘い香りはなくなるなど、時間帯によって香り方が変わる神秘的な植物です。イエライシャンは中国語で、漢字で書くと「夜来香」。日本ではトンキンカズラの別名があります。
原産地は中国やベトナムなどで、暑さには強く、寒さに弱い性質を持っています。冬でも10℃以上は必要なので、鉢栽培を基本とし、季節に応じて適地へ移動しながら管理するとよいでしょう。つるを伸ばして生育し、自然界では4〜5mくらいにまで達します。鉢栽培では剪定や切り戻しによって樹勢をコントロールし、手に負える範囲で栽培するのがおすすめ。オベリスクやあんどん仕立てに使う支柱などを設置し、つるを誘引しながら管理しましょう。肥料を好むので、生育期は定期的に緩効性化成肥料を与えて、株の勢いを保ちます。ただし、冬は生育が止まるので、肥料は与えずに管理してください。
プルメリア
キョウチクトウ科インドソケイ属(プルメリア属)の落葉樹です。原産地では一年中開花しますが、日本での開花期は6〜10月。花径は6〜7cmで、やや肉厚な5弁花を咲かせます。花色は赤、ピンク、黄、白、複色など。開花すると、甘い香りを漂わせます。
原産地は熱帯アメリカで、暑さには強く、寒さに大変弱い性質を持っています。冬でも15℃以上は必要なので、鉢栽培を基本とし、季節に応じて適地へ移動しながら管理しましょう。樹高は自然樹形で10mほどにもなりますが、近年は樹高を抑えた矮性種も出回っています。晩秋に室内に取り込む前に剪定し、大きくなりすぎないようにするとよいでしょう。
チューベローズ
リュウゼツラン科ゲッカコウ属の球根植物です。開花期は7〜9月で、花色は白。花茎を長く立ち上げ、6弁花を多数咲かせて穂状になります。甘いフローラル系の香りを持ち、夜になるとより濃く香るのが特徴。香水の原料にもなっています。
原産地はメキシコで、暑さに強く寒さに弱い性質。十分気温が上がった春に植え付け、初夏から初秋に向けて開花。地上部が枯れた頃に球根を掘り上げて、バーミキュライトを入れた箱に埋め、10℃以上の場所で管理。越年後また春が来たら植え付ける……というライフサイクルで、毎年楽しめる草花です。草丈は60〜100cmになり、花茎を長く伸ばすので、支柱を立てて誘引しておくとよいでしょう。やや湿り気のある土壌を好むので、特に真夏は水切れしないように管理するのがポイントです。
月下美人
サボテン科エピフィルム属の多年草です。月花美人の開花期は7〜10月で、12〜13cmの大きな花を咲かせます。花色は白で、花弁を重ねる豪華な花姿が魅力。夜に開花し始めて甘い香りを放ち、朝までにはしぼんでしまう一日花です。
原産地はメキシコを中心とした中南米。サボテンの一種で、高温多湿の森林内で自生してきた植物です。寒さに大変弱く、冬でも8〜10℃は必要なので、鉢栽培を基本とし、季節に応じて適地へ移動しながら管理します。草丈は100〜200cm。もともとは樹木の幹に根を張り、下向きに葉を枝垂れさせるようにして生育する特性があり、草姿が乱れやすいので支柱を立てて誘引するとよいでしょう。あまりに大きくなって持て余すようなら、シュートが100〜150cm伸びたところで先端を摘み取り、高さを抑えます。
ニオイバンマツリ
ナス科バンマツリ属(ブルンフェルシア属)の常緑性低木です。開花期は4〜7月で、花径3〜4cmの5弁花が多数咲き、満開時には木を覆い尽くすほどになり、見応えがあります。咲き始めは紫色ですが、だんだん褪色してやがて白へ変化します。そのため1本の木で紫から白の複色の花色を楽しめ、大変華やかです。花からは芳醇な甘い香りが漂い、夜に香りが強まります。
原産地はブラジル南部やアルゼンチンで、約40種が分布。熱帯性の花木のため、暑さには強く、寒さには弱い性質を持っています。冬でも5℃以上は必要なので、鉢栽培を基本とし、季節に応じて適地へ移動しながら管理するとよいでしょう。開花期は水を欲しがるので、水切れには注意。生育旺盛で樹形が乱れやすいので、開花後すぐを目安に、適宜切り戻して管理します。
イランイランノキ
バンレイシ科イランイランノキ属の常緑樹です。自生地では一年中開花しますが、日本での開花期は6〜9月。花径は5cmほどで、ややカールする長い花弁がユニークです。咲き始めはグリーンで、咲き進むと黄色やオレンジ色へと変化していきます。香水の原料になるほど芳香を放つのが特徴。開花初期は香らないのですが、開花が進むと強く香るようになります。
主に熱帯地域に自生する植物で、暑さには強く、寒さに大変弱い性質を持っています。冬でも15℃以上は必要なので、鉢栽培を基本とし、季節に応じて適地へ移動しながら管理するとよいでしょう。
ヤコウボク
ナス科ケストルム属の常緑性低木です。開花期は6〜11月で、星形の花が咲きます。花色はグリーンを帯びた白。一つひとつの花は小さく、やや地味な印象ですが、多数の花を咲かせ、濃厚な甘い香りを漂わせて存在感を強めます。夜にはいっそう強く香るため、「ナイトジャスミン」の別名を持っているほどです。強烈といってもいいほど香るので、強い香りを長時間かぐと頭痛を起こしやすい敏感な方は、開花期には室内に入れないほうが無難です。
原産地は西インド諸島で、暑さには強く、寒さに弱い性質を持っています。冬でも5℃以上は必要なので、鉢栽培を基本とし、季節に応じて適地へ移動しながら管理するとよいでしょう。自然樹高は100〜300cmになりますが、剪定や切り戻しによって樹勢をコントロールし、手に負える範囲で栽培するのがおすすめ。花が咲き終わった枝は切り戻しておくと、側枝を伸ばして再び開花します。
キダチチョウセンアサガオ
ナス科キダチチョウセンアサガオ属の常緑樹です。開花期は7〜11月で、別名の「エンジェルストランペット」の名前の通り、長さ25〜30cmほどのラッパ形の花を下向きに咲かせます。花色はピンク、オレンジ、黄、白。夜になると香りが強くなります。
原産地は熱帯アメリカで、暑さには強く、寒さに弱い性質を持っています。そのため、鉢栽培を基本とし、季節に応じて適地へ移動しながら管理するとよいでしょう。ただし、他の熱帯植物よりは寒さに耐え、暖地では地植えも可能です。本来は常緑樹ですが、日本の冬の寒さを経験するとすべての葉を落とします。しかし生育期になると新芽を出すので、早々に枯れたと判断せずに春まで見守ってください。全ての部位に毒を含むので、取り扱いには注意しましょう
トキワレンゲ
モクレン科モクレン属の常緑樹です。シラタマモクレン、ココマグノリアの別名を持っています。開花期は3〜11月ですが、満開の姿がずっと続くというよりは、長い期間に花が少しずつ咲くといった具合です。緑色のつぼみが時間をかけてほころんでいき、白い玉のような花姿が愛らしいのですが、一日花のためすぐに散ってしまいます。開花するとメロンのような甘い香りを漂わせます。
原産地は中国で、関東以南の暖地であれば、庭植えも可能です。最終的に樹高は3mくらいになりますが、成長が遅いので鉢栽培にも向いています。剪定の手間はあまりかからず、透かし剪定をして管理するとよいでしょう。
オシロイバナ
オシロイバナ科オシロイバナ属(ミラビリス属)の多年草です。日本では寒さに耐えられずに越年できないので、一年草として扱われています。開花期は6〜10月で、花色はピンク、白、赤、オレンジ、黄、複色など。ほのかに上品な甘い香りを持っています。花は夕方から咲き始めて翌朝まで開花。午前中にしぼんでしまう短命の一日花ですが、次々と咲くので、終わった花をまめに摘み取り、株まわりを清潔にしておきます。
原産地はペルーなどの熱帯アメリカで、暑さに強い性質を持っています。草丈は30〜100cm。こぼれ種で増えて雑草化するほど強健な生命力を持ち、放任してもよく育つのでビギナーにおすすめ。植え付けの適期は6〜8月。日当たりと風通しのよい場所を選んで植え付けます。
サガリバナ
サガリバナ科サガリバナ属の常緑高木です。開花期は7〜9月で、花茎が下に向かって30〜50cm伸びて多数の花を連ねます。花色は白〜淡いピンクで、糸状に長く伸びる雄しべが放射状に展開し、ふわふわとした花姿が特徴です。太陽が沈む頃から開花し始め、完全に日が落ちて暗くなった頃に満開になります。翌朝、日が昇り始める頃に全ての花を落とす、一日花です。開花すると、バニラのような甘い香りを漂わせます。
原産地は、東南アジア〜太平洋で、日本では沖縄など南西諸島に自生。暑さには強く、寒さに大変弱い性質を持っています。冬でも15℃以上は必要なので、鉢栽培を基本とし、季節に応じて適地へ移動しながら管理するとよいでしょう。
夜によい香りを放つ花を楽しもう
夏になると、夜に花を咲かせる植物の種類が多くなります。特に夜行性の昆虫にアピールしておびき寄せるために、麗しい香りを漂わせる花も多く、観察するのも楽しいもの。夜に香る植物を取り入れて、庭にトロピカルな雰囲気を加味するのもよさそうです。
Credit
文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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