昔から日本の野山や原っぱに自生してきたアザミは、現代でも道端や土手などでも見かけることができる身近な存在の植物です。この記事では、アザミの主な特徴や性質、育て方、種類などについて、詳しくご紹介します。

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アザミの主な特徴

美しい花姿のアザミは、どんな特徴や性質を持っている花なのでしょうか? ここでは、特徴をはじめ、花言葉など基本的な情報についてガイドしていきます。

基本情報

アザミ
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アザミは、キク科アザミ属の多年草です。北半球の広範囲に自生しており、約250〜300種が分布するとされ、日本でも細かく分ければ150種にも及ぶ野生種があるとされています。園芸種として流通しているのは、ノアザミから改良されたもので、通称名はハナアザミ。日本の野生種を改良したもので、ドイツアザミ、寺岡アザミ、楽音寺などの品種があります。元々野山に自生している植物のため、手をかけずともよく育ち、ビギナーでも気軽に育てられます。

花や葉の特徴

アザミの葉
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アザミの草丈は50〜100cmくらいで、種類によって草丈が異なります。そのため、栽培する際には最終的に草丈がどれくらいまで達するのか、ラベルなどで確認しておくとよいでしょう。アザミは大きく切れ込みの入った葉を放射状に伸ばす草姿で、茎葉にはトゲがたくさんあります。刺さると痛いので、幼い子どもやペットのいる家庭では、近づけない場所で栽培すると安心です。

アザミの開花期は主に5〜8月。「主に」と表現したのは、種類によって開花期が異なるからです。開花期は種類によって4〜10月と幅があります。花色は、紫、ピンク、白など。花茎を立ち上げた頂部に一輪開花し、花が終わるとタンポポに似た綿毛のある種子がつきます。

アザミの花言葉

アザミ
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アザミは、花色によって花言葉が異なります。紫色は「厳格」「高貴」「気品」、白は「自立心」、赤は「権威」、青は「安心」「満足」などです。

スコットランドの国花

アザミ
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アザミは、スコットランドの国花であることはご存じでしょうか? 大学やお城の紋章などのデザインに組み込まれていることが多く、人々に愛されている花だということが分かります。これは、戦争中に敵兵がアザミのトゲに阻まれて域内に攻め入ることができなかった、または敵兵がアザミのトゲを踏んでとっさに悲鳴を上げたために敵襲に気づき、返り討ちを果たせた、といったいくつかのエピソードから。国民を侵略から守ってくれた花として、現在も変わらず愛されているようです。

アザミの育て方の基本

ここまで、アザミの基本情報や、特徴、花言葉などについてご紹介しました。ここからはガーデニングの実践編として、適した栽培環境や植え付け、水やりや施肥、手入れなど日頃の管理、増やし方など、育て方について詳しく解説します。

栽培環境

アザミ
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日当たり、風通しのよい場所が好適。半日陰の場所でも育ちますが、花つきが悪くなり、茎葉が間伸びして徒長しやすくなります。暑さにも寒さにも強く、放任しても丈夫に育ちます。地植えする際は、適度に水はけ・水もちのよい土壌がよく、乾燥しやすい場所は避けたほうが無難です。

用土

土
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【地植え】

植え付けの2〜3週間前に腐葉土や堆肥、緩効性肥料少量を混ぜ込んで、よく耕しておきます。土に有機質資材や肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

草花用にブレンドされた、市販の培養土を利用すると手軽です。

植え付け・植え替え

ガーデニング
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アザミの植え付け適期は3月頃です。ただし、植え付けの適期以外にも苗が花苗店で販売されていることもあります。入手したら、早いうちに適地に植え付けましょう。苗を購入する際は、節間が短くがっしりと締まって、勢いのあるものを選んでください。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に苗よりも一回り大きな穴を掘り、ポットからアザミを取り出し、根鉢を崩さずに植え付けます。複数の苗を植え付ける場合は、30cmほどの間隔を取りましょう。最後に、たっぷりと水やりします。

庭植えの場合は、植え替える必要はありません。

【鉢植え】

鉢の大きさは、5〜6号鉢に1株を目安にします。

用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから、草花用の培養土を半分くらいまで入れましょう。アザミの苗を鉢に仮置きし、高さを決めます。苗をポットから出し、根鉢を崩さずに植え付けましょう。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3㎝ほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。

鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。

鉢から株を取り出してみて、根が詰まっていたら、根鉢を軽く崩して古い根などを取り除きましょう。元の鉢に新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備して植え替えてください。

水やり

水やり
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水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。

真夏に水やりする場合は、気温が上がっている昼間に行うと、すぐに水の温度が上がり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。

また、真冬に水やりする場合は、気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。

【地植え】

根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。しかし、いつでもジメジメとしたにしておくと、根腐れの原因になってしまうので注意。土の表面が乾いたのを見はからってから、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がってきたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。また、冬に地上部が枯れても、カラカラに乾燥させることのないように、適宜水やりを続けてください。

肥料

肥料
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【地植え】

植え付け時に元肥として緩効性肥料を施してあれば、追肥は不要です。

越年以降は、生育が旺盛になり始める少し前の3月頃に緩効性肥料を少量施します。

【鉢植え】

生育期の4〜10月に、液体肥料を2週間に1度を目安に与えます。

必要な作業

剪定
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【摘心】

アザミは、成長期に入って新芽が動き出した頃に茎の先端を切り取る「摘心」を繰り返すと、よく分枝してこんもりと茂り、花つきもよくなります。

【花がら摘み】

アザミは次々に花が咲くので、終わった花は摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながりますよ! また、いつまでも終わった花を残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。種子を採取したい場合は、開花が終わりそうな頃に花がら摘みをやめて、種子をつけさせましょう。

【支柱の設置】

草丈が高くなるタイプのアザミを育てる場合は、早めに支柱を設置して茎を誘引しておきましょう。すると強風による倒伏を防ぐことができます。支柱は地中深くまで差し込んで、しっかり支えられるようにしておくことが大切です。

増やし方

アザミの種
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アザミは、種まきで増やすことができます。

【種まき】

アザミを種まきから増やしたい場合、開花後に種子を採取して播くとよいでしょう。日本に古くから自生してきたアザミの種類なら、ビギナーでも種まきから簡単に育てられますよ! 種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くて多数の苗を植えたい場合は、コストカットにもなります。

開花期が終わりを迎える頃に花がら摘みをやめ、熟したら種を採取。アザミの種まきの適期は10月頃か3月頃です。秋に種を播くと、開花まで時間がかかりますが、冬を越して春を迎えると一気に成長して育ちがよくなります。春に播くと開花までの期間は短いので、長く場所を取られないのがメリットです。寒冷地では寒さに耐えられない場合もあるので、十分気温が上がった春に播くのがおすすめ。春に播く場合は、密閉容器に入れ、翌春まで涼しいところで保管しておきましょう。

3号の黒ポットに草花用にブレンドされた市販の培養土を入れて十分に水で湿らせた後、数粒ずつ種を播いて軽く土をかぶせます。発芽までは乾燥・過湿にならないように適度な水管理をしてください。発芽後に間引いて元気のいい苗を1本のみ残し、その後は日当たり、風通しのよい場所で管理します。本葉が4〜5枚ついたら根鉢を傷めないように苗を取り出し、植えたい場所に定植しましょう。

病害虫

アブラムシ
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【病気】

アザミが発症しやすい病気は、うどんこ病などです。

うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢、つぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放任するとどんどん広がるので注意。対処せずにそのままにしておくと光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。うどんこ病が出たら病気の葉を摘み取って処分し、適用する殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。

【害虫】

アザミに発生しやすい害虫は、アブラムシ、ナメクジなどです。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目にも不愉快なので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。

ナメクジは花やつぼみ、新芽、新葉などを食害します。体長は40〜50mmほどで、頭にツノが2つあり、茶色でぬらぬらとした粘液に覆われているのが特徴。昼間は鉢底や落ち葉の底などに潜んで姿を現しませんが、夜に活動します。植物に不快な粘液がついていたら、ナメクジの疑いがあるので夜にパトロールして捕殺してください。不可能な場合は、ナメクジ用の駆除剤を利用して防除してもよいでしょう。多湿を好むので風通しをよくし、落ち葉などは整理して清潔に保っておきます。

アザミの主な種類

アザミ
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昔から日本の野山で咲いて親しまれてきたアザミには、さまざまな種類があります。ここでは、よく知られているものについてご紹介しましょう。

キセルアザミ

マアザミ、サワアザミとも呼ばれています。本州、四国、九州の山あいの少し湿り気のある環境でよく繁茂するようです。草丈は50〜100cm。花径は3cm前後で、ややうつむくように咲くのが特徴です。

フジアザミ

中部地方や関東地方に自生するアザミで、荒地や斜面などで見かけることができます。草丈は50〜150cmの大型種。開花期は晩夏から秋にかけてで、5〜10cmの大きな花を咲かせます。

ハマアザミ

千葉県以西に分布するアザミで、主に海岸に生育するためにこの名前で呼ばれています。砂地を好む性質で、草丈は30〜50cmくらい。葉が肉厚で、光沢があるのが特徴です。開花期は夏〜初冬までと長く、花径は3cmほど。

アザミは食用にもなる

アザミ
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アザミは、山菜として食べられているのを知っていますか? トゲが心配かもしれませんが、まだトゲが柔らかいうちの新芽を採取して食材とします。おひたしや天ぷら、胡麻和え、汁物の具などに利用。また、根はゴボウアザミと呼ばれ、醤油漬けや味噌漬けに利用でき、あくぬきしてキンピラに調理することもできます。

可愛い花姿が楽しめ、食用にもできるアザミ

アザミ
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紫や白などの愛らしい花を咲かせるアザミは、手をかけずとも丈夫に育ち、トゲに注意さえすればストレスなく育てられる植物です。若い芽は食用できるのもいいですね。ぜひ庭やベランダで育てて、野趣あふれる花姿を愛でてはいかがでしょうか。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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