辛いもの好きな方には、すでにお馴染みになっているハバネロ。じつは、日本でも栽培できることをご存じでしょうか? ハバネロは猛烈な辛さを持つトウガラシの仲間で、カラフルな実は観賞にも料理にも楽しめます。この記事では、そんなハバネロの特徴や栽培方法について詳しくご紹介します。
目次
まずは知っておこう! ハバネロの基本情報と特徴
ハバネロはナス科トウガラシ属の植物で、原産地はメキシコのユカタン半島です。かつては世界一辛いトウガラシとしてギネスブックに認定されていました。現在はその座をキャロライナ・リーパーに譲りましたが、今でも辛いトウガラシの代名詞として親しまれています。
日本でおなじみの‘鷹の爪’とは異なり、丸みのあるピーマンのような形で、フルーティーな香りがします。
花は白い色で、「信じ合う心」という花言葉を持っています。
オレンジ色や赤色のハバネロも!
栽培される主な種類をご紹介
トウガラシの一種であるハバネロには、さらにさまざまな種類がありますが、主に栽培されている品種は次のようなものです。
オレンジ色の‘オレンジライプ’は広く出回っている品種の一つ。原産地のユカタン半島では、ほとんどがオレンジ色のハバネロです。赤い色のハバネロには‘カリビアンレッド’や‘レッドサビナ’があり、世界一辛いとしてギネスブックに認定されていたのは‘レッドサビナ’です。
ハバネロの栽培に適した環境と土づくり
ハバネロを育てるには、日当たりのよい環境が大切です。できれば5時間以上、日が当たる場所で育てましょう。
土はある程度の水もちは必要ですが、基本的には水はけや通気性のよい土が適しています。鉢植えやプランターで育てる場合は市販の培養土を使うか、赤玉土6:腐葉土4などの配合の用土でもよいでしょう。地植えの場合は、あらかじめ土に腐葉土や牛ふん堆肥などの有機質と苦土石灰を混ぜ込み、植え付けの1週間前に緩効性化成肥料も混ぜ込んでおきます。
ハバネロを上手に育てるコツ
ハバネロを上手に育てるには、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。
ここからは、ハバネロを育てる際のポイントについて一つずつ説明しましょう。
ハバネロは種まきから育てられる! 種まきの方法と苗づくり
5月頃になると苗が出回り、種子から育てることもできます。戸外でハバネロの種を播く場合、5月頃が適しています。発芽の適温は25℃~30℃で、夜間の温度が20℃を超える必要があるためです。ただし、5月に種まきをすると収穫が遅くなるので、4月上旬に室内で早まきして苗を作り、5月になったら植え付けてもよいでしょう。
種子は育苗ポットまたは地植えで、1つの植え穴に4~5粒ずつ播いて、薄く土を被せます。地植えの場合は間隔を40cmほどあけて播きます。土をかけすぎると発芽率が下がってしまうので、種子が隠れる程度に薄く土をかけるようにしましょう。
ハバネロの植え付けの時期とポイント
ハバネロの本葉が4〜5枚まで成長したら、元気のよい苗を1本だけ残してほかは間引きます。1株だけにして育て、最初の花が咲いたら植え付けましょう。
鉢植えにする場合は、できるだけ大きな鉢に植えると、株が大きく成長して実もたくさんつきます。鉢は直径20cm以上の7〜10号鉢が適しています。60cmのプランターであれば1〜2株植えられます。
根を傷つけてしまうのを防ぐため、あまり根鉢を崩さないように注意して植え付けましょう。
土が乾いたらたっぷり水やり! ただし与えすぎには注意
種まき後は、発芽するまで土が乾かないように水やりをします。
植え付け後は、鉢土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷりと水を与えましょう。気温が高くなる昼の間に土が乾いてしまうので、鉢植えの場合は午前中にたっぷり水をやるのがおすすめです。乾きやすい真夏には、夕方〜夜にも確認し、乾いていれば水やりをしましょう。
地植えの場合は雨の水分だけで足りるので、基本的には水やりは不要です。乾燥が続く場合だけ水やりをする程度でかまいません。
生育が旺盛なハバネロは定期的な追肥が必要
ハバネロは気温が上がる6月以降に生育が旺盛になります。肥料を適切に与えることで株が大きくなって実がよくつくため、収穫まで規定量の追肥をします。肥料が足りないと、実が大きく育たないため注意しましょう。
地植えの場合は、緩効性化成肥料を与えます。鉢植えも緩効性化成肥料でよいのですが、液体肥料を2週間に1回ほど与えてもかまいません。
成長してきたら支柱立てと摘心も行おう
ハバネロは根の張り方が浅く、風で倒れてしまうことがあるため、支柱を立てる必要があります。ある程度育ってきたら、1m程度の支柱を立てて株を支えましょう。
また、一番花(最初に咲いた花)が咲いたところで枝分かれしますが、そこよりも下のわき芽は全てかき取ります。
ハバネロを育てるうえで注意しておきたい病気と病害虫
ハバネロは、アブラムシが葉や茎などに付きやすい植物です。見つけ次第、ホースの水で洗い流すなどして駆除しましょう。アブラムシが媒介するモザイク病にも注意が必要です。モザイク病になると、葉に濃淡のモザイク状の模様が現れます。発生した部分は取り除きましょう。喫煙者はタバコからタバコモザイクウイルスが付着していることがあるので、手入れをする前には石けんで手を洗うと安心です。
ヨトウムシも発生しやすい害虫です。葉を食べてしまう虫ですが、夜間に活動するため昼間は見つけづらいです。もし葉が食害を受けているようであれば、夜に見回ってみて、芋虫を見つけたら取り除きましょう。
カビが原因で葉や茎が白くなる、うどんこ病も発生することがあります。乾燥すると発生しやすいため注意しましょう。
ハバネロの収穫と種子の採取
ハバネロはピーマンと同じように、色づく前の緑色の時期でも収穫が可能です。色づいたものは7〜8月が収穫時期です。ヘタを1cmほどつけて収穫します。
収穫する際には実を傷つけて汁が出ないように注意しましょう。汁が手などにつくと皮膚刺激があります。心配な場合は手袋やゴーグルなどを使うと安全です。また、ハバネロの果実を触った手はよく洗い、しばらくは目や顔などを触らないようにしましょう。
種子を採る場合は、果実が熟してシワシワになるまで待ってから収穫します。果実を割って種子を取り出したら、よく水で洗って乾かし、チャック付きのビニール袋などに入れて保管しておきましょう。
ハバネロは室内で水耕栽培も可能!
ハバネロは水耕栽培でも育てることができ、また空いたペットボトルを利用して栽培できるキットなども市販されています。室内でも栽培可能ですが、発芽適温や生育適温、日当たりなどに注意しましょう。初夏から秋までは十分な日光が当たるように管理します。
料理はもちろん観賞用として花や実も楽しめる
ハバネロは、さまざまな料理に活用できます。サルサソースやオイル漬けなど、調味料として使うほか、パスタや煮込み料理、炒め物などに一般的なトウガラシと同じように使うことができます。手入れをする時同様、ハバネロの果実を触った後はよく手を洗い、果汁が目に入らないように注意しましょう。
料理だけでなく、白くて可愛らしい花やカラフルな実を観賞用として楽しむこともできます。
育て方のコツを押さえてハバネロを栽培してみよう!
ハバネロはプランターでも収穫を楽しめ、ポイントを押さえて栽培すれば簡単に育てることができます。ぜひご自宅で育てたハバネロで、激辛料理を楽しんでみてはいかがでしょうか。
Credit
文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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